『シュガーラッシュ』   作:空っぽのティーポット

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『犯罪者』

 

「…ラルフ?」

「起きたかヴァネロペ」

ヴァネロペは

 ゲーム・セントラル・ステーションで

  目を覚まします

 

どこか夢を見ていた様な感覚に頭を抱えます

「ここは?」

「ゲーム・セントラル・ステーションだ」

「え!?嘘」

 

ヴァネロペは立ち上がり周囲を見渡します

 駅のホームの様な空間

  左右にはプラグとコンセント

   その下には

    さまざまな名前が流れています

 

「あたし…出られたんだ

 出られたんだ!あたし!!!やったぁ」

「どういうことだ?」

ヴァネロペがゲームから出られないことを

 知っているのはラルフだけです

  そのことに面を食らったカルホーンが

   頭を抱えます

 

「じゃあ、何だ?

 ラルフが勲章を盗んだってことか…」

「じゃあ、盗んだことは本当何だ…

 ってラルフは?」

カルホーンがプラグとコンセントを見やります

 ヴァネロペは向かいます

 

「問い詰めてやる♪」

 

【電源が切れる音】

コンセントからプラグが抜かれました

 

「… … …」

「は?」

 

 

「うそ…」

鼓膜が張り、耳鳴りがします

 心臓が強く鼓動し、耳にその

  心拍が届いてきます

  

呼吸が上手くできずに

 両膝をつき、視界がぼやけていきます

 

「しっ…、…い!おい!!」

兵隊(・・)さん?」

 

 

「しっかりしろ!おい!おい!!」

「兵隊さん?」

「呼吸をしろ!ゆっくりと」

ヴァネロペが口を動かしますが

 声は聞こえず、呼吸も酷く不安定です

 

「カルホーン軍曹!」

「コフート!アンプルを!」

カルホーンに気がついた

〈ヒーローズ・デューティ〉のキャラクター

 コフートがカルホーンに小走りで近づきます

 

カルホーンの命令によりコフートは

 懐から小瓶を取り出して渡します

 

【アンプル】

ヒーローズ・デューティの回復アイテム

 

【むせる】

「ゆっくりと呼吸をしろ」

「ヒューヒュー」

喘息に似た呼吸を続けるヴァネロペですが

 やがて呼吸が落ち着くと眠りに落ちました

 

「軍曹…一体中で何が?」

「分から…構えろコフート」

床にヴァネロペを寝かせたカルホーンが

 立ち上がりコフートと会話をしますが

 

【レーダーの音】

「目標1、シュガーラッシュ第二番出口!!」

「コフート、マルコフスキーは?」

「彼なら立派に仕事をしています」

「だといいがな…」

足音がコンセントの先から徐々に近づいてきます

 

「ごほ、ごほ…何なんだいったい?」

足音の正体はキャンディ大王でした

 

「大丈夫だ」

「銃を下せ!」

「休め!」

包囲していた兵隊が

 銃口を下にし、警戒を続けます

 

「全く、私の王国が…なんて酷い有様だ」

キャンディ大王が不機嫌そうに

 ゲーム・セントラル・ステーションに

  近づいてきます

 

ですが

 

 

「抜き打ちのセキュリティチェックです

 名前は?」

「キャンディ大王と呼んでくれ!」

「では、キャンディ大王さん

 どこからいらっしゃいましたか?」

「〈シュガー・ラッシュ〉からきたのだよ」

「お菓子や持ち込んではいけないものは?」

「いや、持ってないぞ、ふふふ」

「どちらへ向かわれますか?」

「いや、ちょっと、こっちに来たくてな」

「他に申告するものは?」

「お前が大嫌いだ」

「よく言われます」

 

一連の会話を終えキャンディ大王は

 ゲーム・セントラル・ステーションに入ります

 

「それで?お前たちだな…

 私の王国に虫を寄越したのは…」

「は!私の不注意によるものであります」

「こっちはとても迷惑をしたんだぞ!!!」

キャンディ大王はカルホーン達に詰め寄り

 声を荒げて叱責します

 

「故障寸前、私が2台目のメモリーを

 知っていなければ殺人だったんだぞ!!!」

「申し訳ございません」

「2度とこんなことがないように」

キャンディ大王は大声で

 ヒーローズ・デューティの面々を叱り

  どこかへと歩いていきます

 

頭を下げたカルホーンは

 プラグとコンセントを見ます

「警戒を続けますか?」

「いや、その必要はない」

 

【レーダーの音】

カルホーンはキャンディ大王の後頭部に

 狙いをつけ躊躇なくその引き金を引きます

 

 

【赤いノイズ】

「!?気づかれていたか!」

「外した!?」

 

カルホーンの銃が確実にキャンディ大王の

 後頭部に直撃したかに見えた次の瞬間

  キャンディ大王は赤いノイズにより

   銃弾をすり抜け走り出します

 

「私も焼きが回ったか?」

カルホーンは銃に映る自分の顔を眺めながら

 己の不甲斐なさに苛立ちを見せます

 

「いえ、確かに当たっていました」

コフートはキャンディ大王を追跡する

 カルホーンに並走して

  事態の分析を報告します

 

「恐らくアイツは何らかの方法で

 銃弾をすり抜けたものかと」

「そうか、慰めどうも」

「いえ、分析が仕事ですので」

 

「また、あの力さえ!」

キャンディ大王は

〈ヒーローズ・デューティ〉へ

 向かおうとしています

 

その目的は今一度サイ・バグに

 捕食され、進化することのようです

 

カルホーン達が止めようとしますが

 銃弾はすり抜けてしまいます

「ふふふ、私はそう易々とは…」

 

意気揚々と走り続けるキャンディ大王

 でしたが、その足が掴まれます

「ヴァネロペ!?」

 

【赤いノイズ】

キャンディ大王の赤いノイズが

 ヴァネロペに伝染していきます

 

ですがヴァネロペは

 その手を緩めようとしません

 

 

「お前…」

「あんた…誰なのよ」

白日の元に晒されたキャンディ大王の

 本当の姿は白と赤のレーススーツ

  ヘルメットも赤と白色

 

彼は〈ターボタイム〉の

 ヒーロー【ターボ】だったのです

 

「お前を知っているぞ…ターボ」

「これは美人のお姉さん

 どこかで会ったことはあるかな?」

「いや、貴様のような不健康なやつは

 これまで見たことがない」

 

〈ヒーローズ・デューティ〉の兵隊が

 次々にターボを取り囲みます

 

「逃げ場はないぞ?犯罪者め」

「私を撃つのか?どうなっても知らんぞ?」

「生憎とフェリックスが教えてくれているぞ

 壊し屋!!」

「私は史上最強のレーサーだ!!」

ターボが強引に動き続けます

 ヴァネロペが抑えていますが

  時間の問題です

 

「お願い!やって!!」

「掃射!!」

「よせ!!!」

ヴァネロペに捕まっているターボに向かい

 諸共銃弾の雨が降り注ぎます

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