読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
描くための基盤作りの物語です。
◇
ゲームセンターでは
『レッドスクリーン』のこともあって
子供達はシュガー・ラッシュから
少し距離を離しています
ですがいつぞやの少女が
硬貨を片手にカートへと近づきます
「楽しみ…え?」
少女が硬貨を入れ
シートに腰をかけて驚きます
「お母さんの車と違う…」
AT車とMT車との違いに酷く動揺します
◇
【コイン警報】
「…」
ヴァネロペは俯き立ち止まります
コードと世界の境目
そこには拒絶されたあの日が
トラウマとなって邪魔をします
「無理…無理だよ!」
ヴァネロペが両手を胸に当て
涙ぐませながら後退りをします
【青いノイズ】
【赤いノイズ】
「え?」
そんな時、世界の境目の奥に
青いノイズがやってきました
自分と同じ姿で鏡写しのようです
気がつけばヴァネロペは
キャンディ王国の住民と同じ方向へ
歩み寄り、世界の境目を抜けました
◇
「どうしよう」
ゲームセンターでは
プレイヤーが怖気付いていました
何をどうすればいいか分からず
シートの上で硬直しています
「大丈夫!あたしに任せて!」
「え?」
硬貨が無駄になりますが
怖い思いをしたくない少女は
シートから降りようとしますが
画面の奥から声をかけられ
シートへと戻ります
画面の向こうでは
緑色のパーカーに黒い髪のポニーテイル
髪にはお菓子の髪飾りと
見る者を惹きつける謎の少女がいます
「ハンドルを握って…
そのプレッツェルみたいなの」
「こう?」
プレイヤーは言われるがまま
ハンドルを握ります
「そこの棒つきキャンディは無視して
今は使わないから」
「わかった」
「さてと、
「うん」
「じぁ、右のボタンを右足で押そう!」
プレイヤーが足をゆっくりと踏み込みます
「少し走ろうか!」
「うん!」
プレイヤーの震える手は
少し収まっていました
「ここはね、キャンディ王国って言って
あそこに見える白いお城に居る
王様が治めてるんだ!」
「綺麗…」
高い場所からやや大きな白いお城が見えます
ヴァネロペはそんな景色を観光するように
紹介をしながらプレイヤーと走ります
「これ…」
「この車…」
ヴァネロペが入り口を下った先で
ロイヤル・キャンディ・カートが出迎えます
「これに乗ろう!」
「え?うん!分かった」
たちすくむヴァネロペに
プレイヤーが背中を押す形で
カートに乗り込みます
◇
赤いシートに
白を基調とした統一性
6速まであるカート
非常に馴染む、懐かしい感覚に
ヴァネロペは不思議に思います
「どうしたの?」
「ううん、それじゃあどこに行こうか」
「お城まで行こう!」
◇
「そうそう!上手い上手い」
「あ、着いちゃった…」
お城に着いたプレイヤーとヴァネロペ
ヴァネロペは
ロイヤル・キャンディ・カートから降ります
「あたしはここまで…他にもレーサーは
いるから楽しんでね」
「え?私あなたがいい…」
「!!?」
ヴァネロペが
マシュマロのカメラに向かって挨拶をした時
プレイヤーから思いもしない言葉に
驚きます
「ねぇ?ダメ?」
「あ、いや、その」
ヴァネロペがマシュマロを見やります
マシュマロのレースコーディネーターが
今日のプレイアブルキャラクターを確認します
今日のレースは行われておらず
前日の9人がピックアップされていました
「あたしはダメみたい…」
「そっか…それじゃ、またね」
「うん!またね?」
◇
マシュマロを見送るヴァネロペは
頬を伝う温かいものを愛おしそうに
胸に抱きます
「そっか…そうだった」
【ヴァネロペ・フォン・シュウィーツ】
パーカー姿の彼女は
ヴァネロペの一つの姿です
彼女は本来工場で
チュートリアルを担っています
彼女はレーサーではありません
プレイヤーが慣れてしまえば
表舞台に出てくることはありません
加えてキャンディ大王、ターボにより
その機能は使用不能にされていたのです
◇
「あぁぁぁ」
喉から溢れるように嬉しいため息が出
久しぶりの感覚に
涙がより一層流れ出ます
◇
【青いノイズ】
そんな時間が少しした後
青いノイズがヴァネロペを呼ぶように
その肩を叩きます
「うん、行くよ、歩く…歩くけど
手を引いてくれないかな?」
【青いノイズ】
青いノイズが手を差し伸ばし
ヴァネロペはその手を握ります