『シュガーラッシュ』   作:空っぽのティーポット

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※本作品はスマホ画面(縦)(執筆環境SE3)で
 読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
 描くための基盤作りの物語です。


『Wreck IT!』

 

「お待ち下さい、こちらを」

ボロボロの格納庫の警護に当たっていた

 カルロスがラルフとヴァネロペに

  兵士の装備を手渡します

 

「今回は特例です。勲章をセットして

 帰ってきてください」

「あのタワーの天辺か?」

「いえ、エアシューターが

 破損により使えませんので、山に直接」

 

 

閑散とした惑星

 地面は金属で覆われ

  少量の土を被っています

 

空は雲がかかりっきりで

 たまに覗く空でさえも怪しい緑色をしており

  あまり長くはいたくない空間です

 

「はなせせ、Raラフ」

「いや、もう無茶だ」

ターボの身体が徐々に丸みを帯びていきます

 

「サイ・バグに乗っ取られた以上

 もう、あの国ではやっていけない」

「わわわわわは、へいきぃだ?」

【赤黒いノイズ】

黒い下地に赤いノイズが入り

 赤黒く見えるノイズが

  ターボを包んでいきます

 

「ラルフ…」

「もう、助からない…」

「触ってても平気なの?」

「平気じゃなくても俺が連れて行く」

ラルフは迷いはなく、ただ覚悟と悲しみに

 板挟みにされていました

 

〈ターボ・タイム〉は

 人気のゲームでした

 

全盛期の〈フィックス・イット・フェリックス〉

 同様、子ども達からよく遊ばれていました

  とても人気のヒーローでした

【威嚇する鳴き声】

「ターボ…」

ターボにとっては

 周りなんてモブだったのでしょう

 

ですが

 ラルフにとっては憧れた

  ヒーローの一人でした

 

 

光が溢れでる山の頂上に到着しました

 ラルフはサイ・バグを下ろすと

  後退りで下がっていきます

「ヴァネロペ、フード失礼するぞ」

「え?あ!!!」

 

ヴァネロペは自分のフードから

 勲章が出てきたことに酷く驚きます

「言ってよ!!

 どこにあるかずっと気になってたのに」

「そうだな、すまん」

 

ラルフはとてもふざける気にはなれず

 ヴァネロペを嗜めると拳を構えます

 

「なぁに背負い込もうとしてるの?」

「おい降りろよ」

「ハードワーカーさん?次はどうするおつもり

 殴ってもすり抜けちゃうんだよ?」

「それは問題ない、俺も

 プログラムに触れたからな」

「でも一人で背負い込むことないんじゃない?」

「…」

 

肩にのったヴァネロペに嗜められると

 ラルフは呆れた様子で

  バッヂをなぞり

   拳を構え直します

「落ちるなよ、ヒーロー」

「平気、暴れん坊は準備OK?」

「いつでも」

 

ターボはカマキリ型になり

 ラルフとヴァネロペに向かって

  鳴き声を上げ、走り出してきます

「…ターボタスティック」

 

 

「これは!カルホーン軍曹」

「あの二人は?」

「はい、山に向かいました

 出入り口に戻ってきてはいません」

「身内に手をかけるとなると

 怖気付くものもいる」

「それは…」

「いい、気にするな私の過ちだ」

カルロスとカルホーンが話をしている最中

【ビーコンの音】

 

格納庫まで来た熱波と耳鳴り

 天まで届く光の柱が地面を照らします

「…行くぞ、兵士を呼び戻せ」

「は!各隊員に告ぐ…ビーコンがついた

 ビーコンがついた」

 

「は…これではあの二人をどう処分したものか」

天高くそびえ立つ光の柱の先を眺めながら

 カルホーンは長いため息をつきました

 

 

【業務連絡。ゲームセンターは閉店した】

「メアリー、パイをありがとう」

「どうも、お疲れ様でした」

 

〈フィックス・イット・フェリックス〉では

 皆が打ち上げをしていました

  マルコフスキーは

   自分の活躍を誇張まじりに話

    Qバートはケーキを食べていた

 

「…ッ」

「マルコフスキーさん!?」

真っ青なマルコフスキーに対して

 フェリックスは駆け寄ります

 

「あ…皆のもの、いや民間人諸君

 とても有意義な時間だった

 私はたった今から」

「たった今から」

 

「〈ヒーローズ・デューティ〉に戻る」

「良かった」

「よくない!!!」

ビーコンがついた知らせが入り

 マルコフスキーはトボトボとモノレールへと

  進んでいきます

 

「またいらして下さい」

「…あぁ」

マルコフスキーの表情は

 暗いながらもどこか楽しげでした

 

 

疲れ切ったラルフが崩れるように

 セントラル・ステーションでだらけます

  ヴァネロペはその前に立ち

   ラルフに一礼をします

「おい…改まってどうした?」

「私は、わたしは

 王女として、ここに宣言します」

「おぉ、そりゃ…えぇ!?」

「何よその驚きよう」

「すまん、冗談だ…で?」

 

ヴァネロペは表情を整えると

 真面目な顔でラルフに言います

「お城に住んでもいいんだよ

 部屋はたくさんあるから

 誰にも文句はいわれないし

 ひどい扱いも許さない」

「3食昼寝付き?」

「うん…」

「おやつ付き?」

「そこかしこに!」

「嬉しいなぁ」

 

「どうかな?」

「そうだな」

ヴァネロペの言葉を聞いて

 笑うラルフはこう答えました

 

「おれはもう幸せだよ

 大事なものをたくさんもらった」

バッヂをなぞりながら

 ヴァネロペに答え続けます

 

「それに、おれにも仕事が待ってる

 まあ、レーサーほどしゃれた仕事じゃ

 ないけどな」

「…ッうん」

 

「おれにも責任があるんだ

 兵隊としてのな」

「え?」

「うそ、冗談だよ」

「はぁ〜、そういえば盗んだのは

 本当だったじゃん」

「いや、ちゃんとサイ・バグは倒してたぞ?」

「ラルフ?」

「見方によっては盗んだかもな」

 

 

少しの間、お互いを乳繰り合いながら

 過ごし、疲労が取れた頃

「ヴァネロペ、それじゃ行くよ」

「からだに気をつけてね暴れん坊!」

「キャンディの食べすぎには

 くれぐれもお気をつけを王女様」

「ちゃんと休んでね?」

 

夜が深くなりつつある頃

 静まり返った

  ゲーム・セントラル・ステーションで

   二人は別れていきました

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