読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
描くための基盤作りの物語です。
◇
『召喚状:フィックス・イット・フェリックス
のラルフ殿 ヒーローズ・デューティより』
「忘れてた」
とある日の開店時間の前
ゲーム・セントラル・ステーションと
ゲームを繋ぐ車両の近くにある
ポストの中にそれは入っていました
黒い封筒に白い文字
見やすさが逆に不気味さを際立たせます
どうやらラルフをヒーローズ・デューティへ
呼び出しているようです
「おい、不問でもいいだろ…」
「どうしたのラルフ?」
張り上げた声に反応したフェリックスが
心配そうに声を掛けてきます
「軍曹からのラブコールだ」
「わお、なら早く行かないとね」
「あぁそうだな…」
フェリックスに冗談が通じませんでした
◇
小走りで〈ヒーローズ・デューティ〉に
向かう途中
ゲーム・セントラル・ステーションを
ラルフが歩いていると
姿が瓜二つの少女が近寄って
声を掛けます
「「おはようラルフ」」
「おはよう…ってお前達どうしたんだ?」
少女ヴァネロペの一人が懐から
ラルフの召喚状によく似た紙を取り出します
「「呼び出し受けちゃって」」
「どちらか片方でいいんじゃないか?」
「「もし違ったら二度手間じゃん?」」
「それもそうだな」
◇
ヒーローズ・デューティの列車にのり
三人は揺れながら移動します
そこに会話はなく
ただ揺られながら移動をします
程なくして格納庫に到着すると
ラルフは深呼吸をし
少し顔を出すと
「あ〜軍曹?この前は悪かった…
二度としないよそれじゃ」
「「「ラルフ?」」」
手短に済ませようとしたラルフを
怒るヴァネロペ達
「はいはい、わかったよ
痛いのはよしてくれよ?この後仕事だ」
「大丈夫だ、死んでも復活できるだろう」
「冗談よしてくれ!痛いもんは痛いんだ」
「黙れ、本題に入るぞ」
ゲーム筐体の中
名もなき惑星が舞台の
〈ヒーローズ・デューティ〉
その一画に兵士が二列に並んでいました
皆一様に表情が固く
ラルフとヴァネロペの3人を
睨んでいるように見えます
「では、始めるぞ」
◇
本件は、勲章の無断持ち出し及びその不正使用
に伴い、これを処罰するために召喚状を
送付した
召喚者各位は無断持ち出し及び不正使用に
異議はあるか?ないのであれば沈黙で答えよ
これより二名三名を
爆発物による速やかなる処分を行う
◇
端的にいうと罪犯したから
それを償って下さいとのことです
「おい…嘘だろ?」
「「ありゃりゃ」混ざらないようにしないと」
「それじゃあ、とっとと始めよう」
三人はフリッカーボムが支給され
諦めた様子で電源を入れます
「まぁ、待て」
「「「??」」」
◇
カルホーンは処分書を破り捨てると
何かを取り出し、地面に設置すると
その電源を入れます
「おめでとう!よくやった!きみの功績をたたえ
このメダルを授ける
さあ、勲章だ!」
「「「え?」」」
「お前達はプレイヤーとして
ヒーローズ・デューティを完走し
ハイスコアを出したんだ」
カルホーンが置いた機械から『R&V』のスコアが
表示されます
「「「それって?」」」
「プレイヤーがしたことだから、罪は不問だ」
「「「それを先に言え(って)!!!」」」
フリッカーボムが音の間隔を狭めていく中
ヴァネロペはノイズによる不発を
ラルフは投げ飛ばしことなきを得る
「罪人には変わらなかったのだから
これでチャラだ」
疲れ果てた三人を前に兵士達は大笑いをします
◇
その日の閉店後
【悪役の会】改め【キャラクターの会】では
ラルフの近況報告を受け
参加者が喜んで聞いていました
「おれの役割は変わってない
でも、やり甲斐が加わった」
ラルフの密かな楽しみは
ゲームの終盤にあります
「最近じゃあパーティを開いたり
パーティに呼ばれたりもしている」
楽しげな話が続き、落ち着きを見せた頃
◇
場の空気が少し変わります
内容は
【ターボ】を未然に防ぐ
【ターボタスティック】による活動です
『GAME OVER』による進行不能を
プログラムを介して防ぐと共に
仕事を提供するというものです
「今までは手を差し伸べたくてもできなかった
ゲームに参加してもらうってことが
リスクなしでできるようになった」
「キャラクター登録を済ませれば
ターボは起こらない…
それじゃあ、今回の議題は?」
この議題のキーパーソンである
ヴァネロペズとラルフが中心で進められます
ターボタスティックの素晴らしい点は
ほかのゲームのキャラクターが登場すること
元のキャラクターの仕事が
楽になるということ
好きだったキャラクターが
ゲーム内で登場するとなった時
プレーヤーの子どもたちは
大喜びしていました
リトワクさんは最初不思議がっていましたが
子供達の笑顔や笑い声が溢れる
ゲームセンターを眺めている内
そんな細かいことは
どうでも良くなっていったようです
それぞれのゲームに参加して
盛り上げていくどんなゲームにも
人気が出ると新しく子供達だった
大人も来店してくるようになり
ゲームセンターは以前よりもっと賑やかになりました
会を締めくくる時の合言葉は
『ターボ』を忘れず
『レトロ』に誇りを持って勤めよう
皆んなが手を繋ぎ、黙祷の意を込めて
目を瞑ります
◇
キャラクターの会から
フェリックスとラルフが帰ってくると
ナイスランダーが出迎えます
Qバートもまたその一員です
「ごめんよ、Qバート」
「&_/##?」
「いや、とても助かってる…ありがとう」
ナイスランドに帰ってきた二人は
新しく来たキャラクターに住居を用意します
余っていたアパートの瓦礫をみんなで積み上げ
フェリックスがブルーベリーパイをほうばり
瞬く間に戸建てを建てていきます
◇
最後に
おれにとってのやり甲斐だ
悪役としてアパートを殴り壊し
フェリックスがそれを直していく
いつもと変わらないゲーム内容
それでも最上階まで来た時
そこから見る景色がたまらなく
好きなんだ
屋上から落とされるとき
アパートのみんなに持ち上げられる
配置の変わった〈シュガー・ラッシュ〉
そのプレイヤー画面が見えるんだ
そして、たまに
ヴァネロペと
ヴァネロペ・フォン・シュウィーツが
レースをしているところが見れるんだ
あの二人…帰った後のレースで
ゴールしたと同時に増えたんだと
大騒ぎで
〈フィックス・イット・フェリックス〉に
来たもんだから正直驚いた
アパートの最上階は二人が喧嘩した時
よく避難場所になっているんだ
小包の中を有効活用してるみたいで
安心した
◇
ゲームが終わり
プレイヤーと挨拶をするキャラクター達
そしてたまに、本当にたまに
終わる時が重なった時
こっちを見て、手を振ってくれる
そんなやり甲斐も見つかったんだ
ヒーローになりたかったんじゃない
悪役を辞めたかったわけじゃない
この仕事が好きだ
◇
ヒーロー役になれないのは悪いことじゃない
むしろ、友人達の頑張っている姿を一望できる
この景色を見れるんなら
悪役であることを誇りに思う
*最後までご愛読ありがとうございました
*第二部もボチボチ書いていきますので
気長にお待ちいただけると幸いです
*改めて拙い日本語ながら
読んでいただきありがとうございました