『シュガーラッシュ』   作:空っぽのティーポット

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※本作品はスマホ画面(縦)(執筆環境SE3)で
 読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
 描くための基盤作りの物語です。
※王=黙字です
 ヴァネロペ王と表示されますが
 コレ読み易さの差別化です


『事態急変』

 

数週間が経ちました

 

 

「助けてフェリックス!」

ヴァネロペ王の朝は

〈フィックス・イット・フェリックス〉の

 キャラクター

  ナイスランダーの叫び声から始まります

 

続く雄叫びで二度寝をかまそうとしていた

 煩悩を吹き飛ばされ、大きな欠伸をひとつ

  ふかふかのベッドから足を下ろしスリッパを

   履いた後、揺れるアパートを

    飛んで跳ねてと移動する

 

ラルフの拳が窓の外から一階に落ちたなら

 プレイヤーのはしゃぐ声が耳に届きます

 

「…はぁ」

ため息をひとつした後は

 一階の正面玄関からラルフを迎えに行き

 

「お疲れ様ラルフ」

「ありがとうヴァネロペ王」

腹ばいになり泥を被ったラルフを労い

 朝のシャワーに向かう背中を見送ります

 

「ん〜、よし」

ヴァネロペ王は今日も

【ゲーム・セントラル・ステーション】に

 向かう様です

 

 

【ゲーム・セントラル・ステーション】は

 今日もガランとしています

  お払い箱のキャラクターがいなくなって

   久しくこの様な風景は

    見ることがなかったでしょう

 

「おや?おはようございますヴァネロペ王」

「おはよう!サージさん

 ダイファイの確認していい?」

「どうぞ」

検査係のサージが咳払いをし然とした態度で

 ヴァネロペ王に道を譲った

 

「それにしても〈シュガー・ラッシュ〉の

 様な大人気ゲームが故障しても

 ゲームレスがいらっしゃらないのは

 一重に【ターボタスティック】様々ですね」

「そうなんだけどね」

〈Wi-Fi〉の内容を確認し始めたヴァネロペ王

 それに雑談をする形でサージが続けます

 

「何か気になる点でも?」

「プログラム上は問題ないの」

「というと?」

「容量?いや、定員っていうのかな」

「定員ですか」

「そ、多分だけど満席になる

 ゲームも出てきちゃうと思うの」

「嬉しさのあまり失念していました」

ヴァネロペ王はターボを起こした

〈シュガー・ラッシュ〉の片割れについて

 交えつつゲームセンター内の

  隠れた危険について話しました

 

「どうにかしたいんだけど

 リトワクさん次第…かなって」

「歯痒いですね」

「そうなんだよ…ね?」

〈Wi-Fi〉のログを確認していた

 ヴァネロペ王の目にとある名前が映ります

 

「ヴァネロペ?」

数週間前〈Wi-Fi〉が導入された後に

 ヴァネロペが利用した履歴が残っていたのです

 

「え?ヴァネロペ」

「そう、ヴァネロペ」

それまで流し読みをしていたログを現在まで

 スクロールをしながら再度確認をします

 

「スワティ…ベンジャミン、ベン

 ステラにリトワクさん」

それぞれゲームセンターを利用する

 お客さんの名前とリトワクさん

  殆どがプレイヤー名に上がる人達の中

 

所々にやはり

 ヴァネロペの名前が入っていました

「サージ、これどういうこと?」

「あぁ…いえ、私にもさっぱり」

サージはヴァネロペ王に問い詰められ

 大慌てで〈Wi-Fi〉の封鎖を確認します

 

ですが確かにサージの封鎖処置は機能しており

 サージが封鎖処置に触れた瞬間

  青色の封鎖処置の接触部分が赤くなり

   メッセージ『Do not entry』の

    表示とともに弾かれています

 

「…まさか」

サージのその様子にヴァネロペ王は

 既視感を覚えると同時に

  嫌な予感を覚えます

 

【赤いノイズ】

ヴァネロペ王は集中すると

 赤いノイズを纏い封鎖処置に触れようとします

 

その様子を観察するサージは

 ヴァネロペ王が弾かれることなく

  入って行ってしまったのを見送り

   呆然としました

 

 

「お疲れ皆んな」

「お疲れ様ラルフ」

ゲームセンターが閉店する時間になり

 キャラクター達は各々の生活に戻っていきます

 

ラルフはそれを少し確認した後

 アパートの最上階へと向かいます

 

 

「ヴァネロペ王

 タッパーの店に飲みに行かないか?」

いつもの様に気晴らしに誘うため

  最上階の扉をノックします

 

「ヴァネロペ王?」

開きっぱなしの扉、いつもなら

 返事が返ってくるのにも関わらず

  寝息すら聞こえてきません

 

「…っ」

ラルフは扉に手をかけ

 開けようとしますが鍵が掛かっています

 

ラルフは拳を振りかぶると

 最上階の部屋の扉目掛けて

  打ち放ちます

 

ガラスが砕け散り、部屋の中に散乱しました

 その勢いのまま部屋に侵入をした

  ラルフの目には内装以外

   目に映ることはありませんでした

 

 

「!?」

今日の仕事を終え、何をしようか迷っていた

 フェリックスの耳にそれは聞こえてきました

 

晴天の霹靂、いきなり聞こえた破砕音に

 一瞬面を食らったフェリックスでしたが

 

ナイスランダー達の動揺を一瞥した後

 急いで窓の外枠を跳躍で乗り継ぎ

  一室、一室を確認していきます

「フェリックス!一番上だ」

 

そんなフェリックスの姿を確認したジーンが

 フェリックスに向けて叫びました

 

「ありがとうジーン」

フェリックスは急いで登っていきます

 

 

「ラルフ!」

騒ぎを聞きつけたフェリックスが

 最上階に到着し、窓を開けて部屋に入りました

 

そこにはラルフが辺りを血眼になって

 家具を片っ端からひっくり返していました

「ラルフ…ねぇ、落ち着いて」

 

聞く耳を持たないラルフに

 フェリックスはマリンホーンを取り出し

 

【マリンホーンの音】

 それを鳴らしました

 

「え?あ!フェリックス?」

「一体どうしたの?」

騒音により無我夢中の様子だったラルフが

 フェリックスの存在に気がつきます

 

手の止まったラルフを他所に

 魔法のハンマーで周辺を整えていく

  フェリックス

 

尚も慌てた様子のラルフが

 一生懸命に言葉を搾り出そうとしているのを

  宥めるために

   落ち着く様にジェスチャーをします

 

過呼吸気味だったラルフは

 肩で息をしていた時より

  幾分かマシになった様子です

「落ち着いたラルフ」

 

ラルフが落ち着きを取り戻し

 ゆっくりと事を伝えます

「フェリックス…ヴァネロペ王が消えた」

「何だって!?」

 

その内容に今度は

 フェリックスが取り乱しました

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