読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
描くための基盤作りの物語です。
※王=黙字です
ヴァネロペ王と表示されますが
コレ読み易さの差別化です
◇
数週間が経ちました
◇
「助けてフェリックス!」
ヴァネロペ王の朝は
〈フィックス・イット・フェリックス〉の
キャラクター
ナイスランダーの叫び声から始まります
続く雄叫びで二度寝をかまそうとしていた
煩悩を吹き飛ばされ、大きな欠伸をひとつ
ふかふかのベッドから足を下ろしスリッパを
履いた後、揺れるアパートを
飛んで跳ねてと移動する
ラルフの拳が窓の外から一階に落ちたなら
プレイヤーのはしゃぐ声が耳に届きます
「…はぁ」
ため息をひとつした後は
一階の正面玄関からラルフを迎えに行き
「お疲れ様ラルフ」
「ありがとうヴァネロペ王」
腹ばいになり泥を被ったラルフを労い
朝のシャワーに向かう背中を見送ります
「ん〜、よし」
ヴァネロペ王は今日も
【ゲーム・セントラル・ステーション】に
向かう様です
◇
【ゲーム・セントラル・ステーション】は
今日もガランとしています
お払い箱のキャラクターがいなくなって
久しくこの様な風景は
見ることがなかったでしょう
「おや?おはようございますヴァネロペ王」
「おはよう!サージさん
ダイファイの確認していい?」
「どうぞ」
検査係のサージが咳払いをし然とした態度で
ヴァネロペ王に道を譲った
「それにしても〈シュガー・ラッシュ〉の
様な大人気ゲームが故障しても
ゲームレスがいらっしゃらないのは
一重に【ターボタスティック】様々ですね」
「そうなんだけどね」
〈Wi-Fi〉の内容を確認し始めたヴァネロペ王
それに雑談をする形でサージが続けます
「何か気になる点でも?」
「プログラム上は問題ないの」
「というと?」
「容量?いや、定員っていうのかな」
「定員ですか」
「そ、多分だけど満席になる
ゲームも出てきちゃうと思うの」
「嬉しさのあまり失念していました」
ヴァネロペ王はターボを起こした
〈シュガー・ラッシュ〉の片割れについて
交えつつゲームセンター内の
隠れた危険について話しました
「どうにかしたいんだけど
リトワクさん次第…かなって」
「歯痒いですね」
「そうなんだよ…ね?」
〈Wi-Fi〉のログを確認していた
ヴァネロペ王の目にとある名前が映ります
「ヴァネロペ?」
数週間前〈Wi-Fi〉が導入された後に
ヴァネロペが利用した履歴が残っていたのです
「え?ヴァネロペ」
「そう、ヴァネロペ」
それまで流し読みをしていたログを現在まで
スクロールをしながら再度確認をします
「スワティ…ベンジャミン、ベン
ステラにリトワクさん」
それぞれゲームセンターを利用する
お客さんの名前とリトワクさん
殆どがプレイヤー名に上がる人達の中
所々にやはり
ヴァネロペの名前が入っていました
「サージ、これどういうこと?」
「あぁ…いえ、私にもさっぱり」
サージはヴァネロペ王に問い詰められ
大慌てで〈Wi-Fi〉の封鎖を確認します
ですが確かにサージの封鎖処置は機能しており
サージが封鎖処置に触れた瞬間
青色の封鎖処置の接触部分が赤くなり
メッセージ『Do not entry』の
表示とともに弾かれています
「…まさか」
サージのその様子にヴァネロペ王は
既視感を覚えると同時に
嫌な予感を覚えます
【赤いノイズ】
ヴァネロペ王は集中すると
赤いノイズを纏い封鎖処置に触れようとします
その様子を観察するサージは
ヴァネロペ王が弾かれることなく
入って行ってしまったのを見送り
呆然としました
◇
「お疲れ皆んな」
「お疲れ様ラルフ」
ゲームセンターが閉店する時間になり
キャラクター達は各々の生活に戻っていきます
ラルフはそれを少し確認した後
アパートの最上階へと向かいます
◇
「ヴァネロペ王
タッパーの店に飲みに行かないか?」
いつもの様に気晴らしに誘うため
最上階の扉をノックします
「ヴァネロペ王?」
開きっぱなしの扉、いつもなら
返事が返ってくるのにも関わらず
寝息すら聞こえてきません
「…っ」
ラルフは扉に手をかけ
開けようとしますが鍵が掛かっています
ラルフは拳を振りかぶると
最上階の部屋の扉目掛けて
打ち放ちます
ガラスが砕け散り、部屋の中に散乱しました
その勢いのまま部屋に侵入をした
ラルフの目には内装以外
目に映ることはありませんでした
◇
「!?」
今日の仕事を終え、何をしようか迷っていた
フェリックスの耳にそれは聞こえてきました
晴天の霹靂、いきなり聞こえた破砕音に
一瞬面を食らったフェリックスでしたが
ナイスランダー達の動揺を一瞥した後
急いで窓の外枠を跳躍で乗り継ぎ
一室、一室を確認していきます
「フェリックス!一番上だ」
そんなフェリックスの姿を確認したジーンが
フェリックスに向けて叫びました
「ありがとうジーン」
フェリックスは急いで登っていきます
◇
「ラルフ!」
騒ぎを聞きつけたフェリックスが
最上階に到着し、窓を開けて部屋に入りました
そこにはラルフが辺りを血眼になって
家具を片っ端からひっくり返していました
「ラルフ…ねぇ、落ち着いて」
聞く耳を持たないラルフに
フェリックスはマリンホーンを取り出し
【マリンホーンの音】
それを鳴らしました
「え?あ!フェリックス?」
「一体どうしたの?」
騒音により無我夢中の様子だったラルフが
フェリックスの存在に気がつきます
手の止まったラルフを他所に
魔法のハンマーで周辺を整えていく
フェリックス
尚も慌てた様子のラルフが
一生懸命に言葉を搾り出そうとしているのを
宥めるために
落ち着く様にジェスチャーをします
過呼吸気味だったラルフは
肩で息をしていた時より
幾分かマシになった様子です
「落ち着いたラルフ」
ラルフが落ち着きを取り戻し
ゆっくりと事を伝えます
「フェリックス…ヴァネロペ王が消えた」
「何だって!?」
その内容に今度は
フェリックスが取り乱しました