読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
描くための基盤作りの物語です。
※王=黙字です
ヴァネロペ王と表示されますが
コレ読み易さの差別化です
「軍曹?」
「…私が先陣を切ろう」
真剣な面持ちのカルホーンは
他二人を見やるとそう言った
しかし、フェリックスは
カルホーンの手を取ると
両手で包み言いました
「軍曹が行くなら僕も行きます」
「私も焼きが回ったな…ラルフ!」
「え?軍そッ!」
カルホーンはフェリックスの手から
逃げるように手を引くと
フェリックスをラルフに目掛け
投げ飛ばしました
「おい危ないだろ…」
「私は軍人だフェリックス、心遣い感謝する」
カルホーンがフェリックスに敬礼をすると
走り出してしまった
「おい?何がどうなってんだ?」
事情がよくわかっていないラルフが
フェリックスに尋ねます
「軍曹がWi-Fiに!」
「何よそれ?ちょっと!?カルホーン」
カルホーンが単独で向かおうとしていたことに
腹を立てたタフィタが追いかけます
「待ちなさいよ!カルホーン」
タフィタが素早く距離を詰めてきます
「なんだこの足は」
カルホーンは自身の2頭身ボディの
扱いに慣れていないのか
転けそうになりながら走り続けています
カルホーンがひと足先にたどり着いたのは
大きな穴でした
「ちょっと!カルホーン」
タフィタは大声でその名を口にしますが
カルホーンは聞く耳を持っていません
◇
大きく開いた口
広がる眼前の虚空に怯むことなく
カルホーンは手を伸ばしました
ゲームセンターWi-Fi
アカウント・Sergent Calhoun、通信準備
大きな穴に触れた瞬間
虚空に走った青い稲妻が
カルホーンを捉えました
「!!?」
ゲームセンターWi-Fi
アカウント・Sergent Calhoun、通信中
カルホーンはカプセルに押し込められると
目にも止まらぬ速さで
虚空へと姿を消しました
◇
あっという間の出来事にタフィタは
戸惑い立ち尽くしました
しかし、表情を固めると
カルホーン同様に大きな穴に
触れ様と近づきます
「今度は見捨てない」
「おい!タフィタ」
ラルフの静止を聞かず
タフィタが穴に触れようとしたその時
青いカプセルが帰ってきました
「うわぁ!!?」
「軍曹?」
「カルホーンどうしたんだ?」
「…」
カルホーンは四つん這いになりつつ
穴から少し距離をとり
座りこみます
「一体どうしたの?何があったの?」
タフィタがカルホーンに寄り添い
質問をしました
喉に何かが詰まっていたのか
と思うほどの長い沈黙の後
カルホーンは告げた
「…何もかもが」
「それじゃあ何だ?
黒いバンダナをつけた青い鳥や
赤い止めピン、ニコちゃんマークに
巨大なコンパスに赤字に白い矢印
緑の…
「なにそれ?馬鹿げてない?」
「軍曹が嘘や冗談を言う人じゃないって
ことはわかってるんだけど
俄かには信じられないよね」
ラルフが顎を撫でながら
カルホーンから聞いた内容を反芻し
フェリックスとタフィタは
カルホーンを気遣っていた
「一つ言えることがあるとするなら」
そんな折、落ち着きを見せたカルホーンが
絞り出すように告げた
「脅威になるものはなかった」
「分かった、俺が行こう」
「「え?」」
ラルフは3人の返答を待つことなく
さっさと穴に近づいていきます
「ちょっと?あんた正気?」
「あぁ、冴えてる」
「軍曹はどうするの?」
「2人がついてるだろ?」
「…そうだけど」
場の空気が冷えた時
ラルフが言いました
「カルホーンでさえ、こうなったんだ
ヴァネロペやヴァネロペ王に
何かあってからじゃ遅いんだ」
「「…」」
場に納得が生まれたのを確認し
ラルフは改めて穴に向けて歩き始めた
「待て…」
そこに待ったを掛けた声があった
「無理は…」
「大丈夫だ、動ける」
タフィタが支えながらカルホーンは
立ち上がるとラルフを見上げて言った
「私を舐めるなコソ泥が」
「軍曹殿こそチビってるのでは?」
「いうようになったな一兵卒」
◇
「よし、行くぞ」
4人が揃って大きな穴の前に立ちました
全てを飲み込むかのような虚空
皆がそれに触れた瞬間
ゲームセンターWi-Fi
アカウント・Ralf、通信…
アカウント・Felix、通信準備中
アカウント・Taffyta Mattonfudge
通信準備中
アカウント・Sergent Calhoun、通信準備中
3人がカプセルに押し込められていきます
「え?あ、おい!?」
何故でしょう、ラルフはカプセルに
入り切るまでに中々の時間を要しました
その間に他の3人は目にも止まらぬ速さで
虚空へと姿を消しました
アカウント・Ralf、通信準備中
アカウント・Felix、通信中
アカウント・Taffyta Mattonfudge
通信中
アカウント・Sergent Calhoun、通信中
「何だっていつも仲間外れなんだ?」
ようやくカプセルに入ったラルフは
遅れながらも発進した
◇
まさに瞬く間
虚空に思えた光ファイバーの中を
高速で移動していた結果
気がつけば情報の波が
次から次へと過ぎ去っていく
『X(旧Twitter)』や『pinterest』
『Amazon』、『Safari』
『Youtube』、『LINE』
カルホーンが言っていた様々な物を
目にしつつ、気がつけば
何やら騒がしい場所へと通された
『Entry Central Adapter』
「あ!来たみたいだよ」
ラルフが到着した時、無地のキャラクター群に
混ざってフェリックス、カルホーンが出迎えた
「本当にびっくり…」
タフィタは少し離れた所で周囲を見回し
口を閉じることを忘れている様子でした