『シュガーラッシュ』   作:空っぽのティーポット

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※本作品はスマホ画面(縦)(執筆環境SE3)で
 読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
 描くための基盤作りの物語です。


『ヒーローズ・デューティにて』

【ゲームセンター開店5分前です】

閑散としたゲームセントラルステーション

 先程流れたアナウンス

  皆が準備を整えているようです

 

「何て動きづらいんだ」

そんな静寂の中、ひっぴり腰の大男が

 耳障りな音を立てながら歩いていた

 

腹回りはともかくとして

 視界UIのなんと見辛いことか

  視界に入るもの全てにtipsが表示され

   視界は常に目隠し状態

 

手を前に出し、ぶつからない様にと

 注意を払いながら前進を続ける

「えぇっと、なんて言ったか?

 ヒーローズ…ヒーローズ… …デューティ!

〈ヒーローズ・デューティ〉!」

ひっぴり腰の大男は

 目的地を見つけるや否や走り出す

 

そんな矢先に何かにぶつかり

 体制を崩したかと思えば、何かに足をとられ

  盛大にこけてしまう

 

大男に手を差し伸べる者もまた大男

 鍛え抜かれた肉体美と巨漢

「すまない、よそ見をしていた」

ザンギエフは大男を余裕で引きあげる

 

大男に不満を漏らすオレンジ色の物体は

「@!#!?」

〈Qバート〉のキャラクターQバート

 

「ごめんよQバート、ザンギエフ

 ちょっと急いでるんだ」

開店のアナウンスからしばらく経つ

 大男は一刻も早くヒーローメダルを

  手に入れたくてたまらない様である

 

 

慌てた様子の大男が短く謝罪を述べた後

 千鳥足で〈ヒーローズ・デューティ〉に

  入っていくのを見届ける

   ザンギエフとQバートだった

 

 

【コイン警報!コイン警報!これは演習ではない!

 全員配置につけ!】

ゲームの中に入るや否や

 マルコフスキーに化けたラルフが

  数人の兵士に交じって

   意気揚々と列車から降りてきました

 

ラルフは未だかつてないほど興奮しています

「ついにメダルがもらえるぞ!」

 

興奮を他所に

 場の空気は重たく、真剣さを帯びます

【名もなき惑星で…】

 

 

ストーリーに沿って展開される

 シミュレーション型シューティングゲーム

 〈ヒーローズ・デューティ〉

 

流されている映像群はプレイヤーへの

 カバーストーリーである。キャラクターは

  ゲーム内で本当に闘いそして散る

 

兵士の皆が武装を確認する中

 ラルフは武器の使い方が分からず

  てんやわんやな様を兵士達は笑っていた

 

しかし、続いて登場したキャラクターにより

 場の空気が一瞬にしてシャンとする

  …ラルフを除いて

 

その最前線に立つ金髪ショートの

 たっぱ(・・・)と瞳の大きな

  若くて美しい女兵士こそ

   マルコフスキーが愚痴をこぼしていた

    カルホーン軍曹、その人だった

「いいかよく聞いておけ!

 一度しか言わないからな!」

 

ドスの効いたかつ(・・)強い声色で

 カルホーン軍曹は兵士を鼓舞する

「怖気づくことは許されない!

 怖くなってズボンの中にちびっても

 誰にもいうな!」

 

「手柄を立てて

 大好きなママを喜ばせてやれ!」

「ママ、大好き〜!」

鼓舞する演説の間に茶々を入れるラルフ

 周りはそんなことを気にすることなく

  先の戦場を睨みつける

 

「道を開けろ!プレイヤーの到着だ!」

後方から怒号に似た声で前方に伝達される

 皆が道を開けた所をキャタピラーで前進する

  異様な存在、プレイヤー機である

 

その姿は人型のカルホーン軍曹達とは違い

 モニターの顔に機械仕掛けの身体

  足はキャタピラーと怪しげな立ち姿をしている

「〈ロボット〉の親戚か?」

昔懐かしいゲームにこんな奴居たなと

 ラルフは笑い飛ばします

 

【ゲーム開始まで】

ストーリーが流れ終え

 いよいよゲーム本編が始まるカウントダウンが

  始まります

 

カルホーン軍曹が銃火器を携帯し

 プレイヤーに向かって繰り返します。

「我々は人類最後の希望だ

 ミッションは全てのサイ・バグを倒すこと!

 いいか新人!覚悟を決めろ!」

カルホーン軍曹が言い終えると同時に

 兵士達の潜伏していた格納庫の扉が開き

  兵士達は一斉に飛び出していきます。

   無論ラルフもそれに続きます。

 

意気揚々と銃を構えたラルフですが

 目の前に広がる光景に絶句します。

 

 

全てを覆い尽くすほどのサイ・バグの大群

 空を見ても、地面を見ても、地平の彼方まで

  怪しげな緑色の光でいっぱいです

「待ってくれよ、こいつらは何だ?」

 

ラルフは30年間

 色々なゲームをやってきました

〈インベーダー〉〈グラディウス〉〈R-TYPE〉

〈ツインビー〉〈センチピード〉など

 

それらゲームを上手くはないにしろ

 下手くそとは呼べない腕前を持っており

  ラルフ自身もそれを自慢に思っていました

 

しかし〈ヒーローズ・デューティ〉は

 始めてびっくり

【3Dアクションシューティング】だったのです

 

既存の【2Dシューティング】とは訳が違います

「ちょっと待った!ダメダメダメ!」

初見の光景に怖気づきラルフは格納庫へ

 一目散に逃げようとします

 

ですが兵士達は雄叫びを上げながら

 サイ・バグへ特攻を仕掛けていきます

「最初の客だ!しっかり働けマルコ!

 チビんじゃねぇぞ」

「カルロス!

 あんまりマルコをいじめてやんなw」

周りの兵士はプレイヤーに追従していきます

 

「おい!マルコ、銃はどうし…」

「うわぁ!?」

「カルロス!」

ラルフを揶揄っていた兵士カルロスは

 背後からの射撃により命を落とした。

 

「おい!何だよあれ」

「こいつらは食ったものが体の一部になるんだ!」

「何だ?マルコ、迫真の演技じゃないか」

マルコことラルフはいつのまにか銃を奪われており

 その影響でサイ・バグが進化してしまっていた

 

遠距離からの銃弾の嵐

「視覚外からの攻撃だ!撃ち殺せ!」

「プレイヤーの死角だ!やれ!!」

「マルコ!カルロスの銃を!」

「おい、待ってくれよ」

兵士達は一斉にサイ・バグへ掃射する

 サイ・バグは思いのほか脆く忽ち砕け散ります

 

「ひゃー、気持ち悪い!」

砕け散ったとなれば体液がそこかしこに散乱します

 レトロではない表現にラルフは混乱します

 

「落ち着け!マルコフスキー!隊列は乱すな!」

ラルフにカルホーン軍曹が怒鳴ります

 

 

画面の中で混乱している大男に苦笑する少女

 お助けNPCの指示に従いサイ・バグの卵を

  撃ち抜き、再度体液が画面に飛び散ります。

『頼むからここから出してくれ〜』

「ふふ」

嫌悪感を示す様な表現中でも

 調子っぱずれな存在の兵士に

  プレイヤーも思わず笑ってしまいます。

 

 

そんなことは露知らずラルフは必死です

 何故ならこのゲームでは命が軽いからです

【自分のゲームの外で死ぬと、復活ができない

 そこでゲームオーバー…】

 

「それだけは絶対にダメだ」

ラルフの脳裏には〈ターボ〉の文字

 今一度冷静になりたいラルフですが

 

「それでも気持ち悪いものは気持ち悪い!」

サイ・バグの大群とその体液に喚き散らします

 

「タワーの入り口に向かうぞ!」

戦場の中で指令が出されると

 声は聞こえずとも視界のUIにマップが

  表示されます

 

「タワー?『タワーによじ登れ』!」

ラルフは必死さも相まって忘れていた主目的を

 再確認します

 

「あのタワーの最上階に!」

マルコフスキーから得ていた情報

 タワーのてっぺんに勲章

  ラルフは一目散にタワーに駆け寄ります

 

「待て!マルコフスキー!」

「「「マルコ!」」」

メダルのことしか頭にないラルフはタワー

 研究所に単独で突貫します

「あの馬鹿」

 

タワーの扉が開いた瞬間

 無数のサイ・バグが外に飛び出していきます

 

 

「俺のメダル!俺のメダル!」

興奮止まる所を知らないラルフはタワーの

 先は先へと進み続ける

 

「見てろよジーン」

頭の中はジーンの悔しがる姿でいっぱいです…

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