『シュガーラッシュ』   作:空っぽのティーポット

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※本作品はスマホ画面(縦)(執筆環境SE3)で
 読む方法を前提として書いています。
※これは後にシュガー・ラッシュ3を
 描くための基盤作りの物語です。


『メダルの対価』

 

「いらっしゃい、フェリックス」

「タッパーさん、ラルフを知りませんか?」

ナイスランダーを宥め

【ゲーム・セントラル・ステーション】に

 避難させたフェリックスは

 〈タッパー〉を訪れていました

 

他ゲームのキャラクターから

 昨晩はここでタッパーと話していたと聞き

  早速やってきたみたいです

「あぁ飲みにきてたよ、裏手に行ってごらん」

 

「ラルフ…ラルフ?」

掃除用具置き場の前で

 声をかけたフェリックスですが返事がありません

 

中から聞こえる大きなイビキだけが

 中に誰かいることを教えてくれます

 

2回ノックした後、改めて声を掛けようとした時

 勢いよく扉が開きました

「サイ・バグだ!!サイ・バグが!!!」

「ラルフ!…じゃない」

 

金具のひしゃげた扉をハンマーで直しながら

 フェリックスはマルコフスキーに声をかけます

「あの、僕はフェリックスっていいます」

「すまない民間人よ!話している時間はないんだ」

しかし、取りつく島もありませんでした

 

何やらマルコフスキーは顔が真っ青です

 慌ててフェリックスが追いかけます

「どこか具合が悪いんですか?」

「〈ヒーローズ・デューティ〉に戻らなければ」

 

緊張の面持ち、尋常ではありません

 フェリックスは少し考え

  キャラクターの責務についてのことかと思い

   宥めようとします

「あ、それなら

 ゲームセンターはしまっていますよ」

 

マルコフスキーは立ち止まります

 顔の青ざめは一層酷くなっています

 

フェリックスは動揺しています

 少し考え

  マルコフスキーは片膝をつき、伝えます

「だが、サイ・バグは止まらない

 俺たちと同じだ」

【業務連絡。ゲームセンターは閉店した】

 彼らの闘いはこれから始まるのです

 

 

「メダルだ」

よじ登った先で最上階の部屋に着きました

 金色に輝く勲章が部屋の中心で待っています

 

「気持ち悪い!!」

ですが、ラルフの行く手を阻むのは

 無数の卵と分厚いガラス窓です

 

怪しく輝いている楕円形の卵は

 部屋の壇上を囲むように

  規則的に並んでいます

 

 

「マルコフスキー、ただいま戻りま…」 

「マルコフスキー!!!」

「カルホー…」

マルコフスキーが〈ヒーローズ・デューティ〉に

 到着したと同時に

  飛んできたヘルメットを顔面で受け止め

   膝から崩れ落ちてしまいます

 

下がった身長をカルホーン軍曹に

 胸ぐらを掴まれ、無理矢理に立たされます

 

「ヒーローズ・デューティのルール、その1は?」

「はい…絶対に

 プレイヤーの邪魔をしないことであります」

「では何故タワーに独断専行をした!」

「恥ずかしながら身に覚えがございません!」

「貴様…」

「あ、あの…」

カルホーン軍曹がマルコフスキーを

 殴ろうとした時

  同席していたフェリックスが

   止めに入ります

 

「どう言うことかマルコフスキー説明しろ」

「はい、こちらはフィックス・I・フェリックス

 民間人であります」

「やぁ、僕は…」

マルコフスキーの紹介を受け

 自己紹介をしようとしたフェリックスでしたが

  再びカルホーン軍曹に割って入られます

 

「ほぉ?貴様…守るべき民間人を死地に

 同伴させるとはいい度胸だな」

「それなんですが…」

「問答無用、お前ら腕立て用意!!!」

 

 

「民間人…フェリックスとか言ったな」

「え?あ!はい」

兵士達が全員腕立て伏せをする中

 カルホーン軍曹はフェリックスに話しかけます

 

「要件は何だ?」

「ここに居るかもしれない

 仕事仲間を探してるんです」

「それで?」

フェリックスは言葉に詰まり

 マルコフスキーの方を見ます

 

「腕立て止め!!

 マルコフスキー!!!」

「はい!軍曹!」

皆が突っ伏し倒れ込む中

 ヘロヘロのマルコフスキーが

  2人のもとに来ます

 

 

「というと何だ?酒を飲んで装備を取られ

 その妙ちきりんな格好をしてるのか…」

「はい!」

「バーピー準備!!!」

戦闘服に身を包んでいる兵士の皆

 

しかし、マルコフスキーは

 ザンギエフのレスラーパンツ一丁です

 

皆がバーピーの準備を始める中

 突然、破壊音が響きました

 

「馬鹿な速すぎる…」

カルホーン軍曹が兵士達に招集をかけます。

 

 

粉々になった防弾ガラスが

 タワーの最上階の部屋に散乱します

 

うちいくつかが卵の近くに飛んでいきますが

 当たった様子は見えません

「ごめんよ〜卵ちゃん達…」

 

ラルフは並んだ卵を避け

 抜き足差し足で進んでいきます。

  メダルはすぐそこです

 

 一歩、一歩、段差を踏み締め上がっていき

  壇上の最上段に上がった時

   勲章を守っていた球体が

    ゆっくりと開いていきます

 

蕾から花弁が開き

 花になるような挙動で球体が開きます

  花の上空、その中心で浮遊していた勲章に

   ラルフは手を伸ばします

 

『おめでとう!よくやった!』

勲章を手にした瞬間

 プログラムが作動し巨大な顔が映し出されます

  ホログラムです

 

『君の功績を讃えこの勲章を授ける

 ヒーローに敬礼』

空気を震わせる一糸乱れることのない敬礼と

 ホログラムのキャラクターの声

  散乱したガラスも震え

   ガラス片は音もなく卵を転がします

    怪しく輝いた卵からは…

 

 

「ビーコンは使えないぞ野郎ども」

カルホーン軍曹が銃を構え、兵士を鼓舞します

 マルコフスキーも

  予備の戦闘服に着替え

   一同はタワーへ向かっています

    彼、彼女らには休息はありません

 

「ところでそのラルフってやつは

 何故ここに来たんだ?」

「それは…」

「待て!サイ・バグだ!」

タワーの最上階から滝のようにサイ・バグが

 急降下してきます

 

「格納庫に触れさせるな!」

「撃て撃て!」

カルホーン軍曹達の本格的な防衛戦の始まりです

 

 

「これは俺のメダルだ!!」

その頃のラルフは羽化し続けるサイ・バグを

 片っ端から殴りつけています

  しかし

   倒せど減らせど尽きる気配がありません

 

ラルフも無視して帰ろうとしていましたが

 卵から出てきたサイ・バグの幼体に気を取られ

  気がつけば敵対状態です

 

終いにはラルフの持っている勲章を

 齧ろうとしてきます

 

「誰にも渡さないぞ!!」

そうはさせないと応戦するラルフですが

 攻撃の瞬間を狙われ

  最上階にある

   小部屋に吹き飛ばされてしまいます

 

サイ・バグの群れは依然として

 増え続けています

  自己増殖、急成長

   キリがありません

 

「俺は…」

ラルフは持っていた勲章を懐にしまうと

 小部屋のとっかかりに手を置き体を持ち上げ

  サイ・バグに殴り掛かろうと走り出します

 

ですが突如しまった小部屋の扉に

 顔面から突っ込み、気絶してしまいました

 

ラルフが入っていたのは小部屋ではなく

 最上階からキャラクター達が地上に戻るために

  用意されたシャトルの中だったのです

 

扉もとい隔壁が音を立てて完全に施錠されます

 サイ・バグが無数に取り囲んでいましたが

  出発の余波で

   ほとんどが振り落とされてしまいます

 

 

「軍曹!シャトルが!」

「退避!!!」

応戦中のカルホーン軍曹達は急降下してくる

 シャトルに気がつくと左右にばらけてこれを

  避けました

 

その時、横をすり抜けていくシャトルに

 ある2人が各々恐ろしい光景を目にしました

 

カルホーン軍曹に抱えられたフェリックスは

 シャトルの内に眠りこけるラルフを一瞥し

「ラルフ!!」

 

同時刻、カルホーン軍曹は

 非常用シャトルにサイ・バグの卵を見つけます

「サイ・バグ!!!」

 

しかし、そんな気づきを他所に

 シャトルは目にも止まらぬ速さで

  格納庫の入り口へと向かっています

 

「ターボが起きちゃう!!」

「サイ・バグが外に出てしまう!!!」

カルホーン軍曹は走り出します

 

ですが時既に遅く

 シャトルの加速は走りでは

  どうしても追いつくことができませんでした

 

格納庫の扉、その装甲をいとも容易く貫き

【ゲーム・セントラル・ステーション】へ

 シャトルは突撃を始めてしまいました

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