天然才女との生活は驚きの連続であり、暇しません。俺的には結構ありだと思ってます。   作:花河相

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才女の追試試験

 次の日の早朝、早く起きさせ朝ごはんを食べさせた。

 朝、試験会場まで送る。

 

「大丈夫か……しっかり名前書くんだよ?解答欄ずれてないか確認するんだよ」

「レイくん大げさ」

 

 その後は心配で居た堪れず校舎を歩いたり、気を紛らすため第一図書館で本を読んだりした。

 そして、試験時間後終わるタイミングで一度イヴのいる試験会場に戻ったのだが……何故か姿が消えていた。

 試験会場の教師に聞く

 

「ニコラさんは試験が終えると即退室しましたよ?」

「え?……まさか不合格なんてことは」

「答案用紙を見る限り問題ないでしょう?」

「そうですか……よかった」

 

 淡々と告げる試験官は鉄仮面みたいだった。

 まずは一安心だ。これで無事進級できる。

 

「では、イヴは今どこに?」

「分かりかねます」

 

 はぁ、教えてくれそうにないな。

 自力で探すか……はぁ、こんなことになるならずっと座っているべきだった。

 ……とりあえず思いあたる場所を探そう。最初はネーメル先生のところへ向かう。

 向かうとイヴとネール先生は茶を飲んでいた。

 

「あ、レイくん」

「ミスターレイモンド」

 

 魔法薬学準備室、壁は薬に関する本がびっしり詰められた壁、棚にはガラス製の容器、瓶詰めされている薬が置いてあった。

 そんな一室でネーメル先生とイヴは茶を飲んでのんびりくつろいでいた。

 

 

「先生、すいません。イヴがご迷惑を」

「気にすることはない、学友とーー」

「ダメ!……乙女の秘密」

「……ごほん、偶々彷徨っているのを保護したにすぎん」

 

 イヴは珍しく声を荒げる。……てか、イヴに学友なんていたのか?

 ……乙女の秘密か知らんけど、追求はしない。イヴにだって秘密くらいある。

 

「そんなことよりミスターレイモンド、貴方もどうです?」

「……いただきます」

 

 話を切り替えるようにネーメル先生に案内され、イヴの隣に座る。

 お茶を出してくれたので、お礼を言って飲む。

 

「はぁ……落ち着くぅ」

「以前講義で言ったが、ハーブティには疲労回復の効果がある、今の君にピッタリであろう」

「ええ、本当に」

 

 イヴを横目で見るが、まったりとくつろいでいる。  

 両手で丁寧に……椅子の上なのに正座で飲んでいた。

 

「イヴはなんで正座で飲んでるの?」

 

 ふとこぼした質問。

 その答えはというと。

 

「暖かいお茶は正座で飲むに限る」

「何そのこだわり」

 

 イヴはムフンっと鼻息をたて言った。

 いや、誇ることでもないのだが。以前日本人は正座で緑茶を飲むのが伝統だなんて言った気がする。

 しかもイヴは湯呑みで緑茶を飲んでいる。ネーメル先生が気を利かせてくれたんだな。

 本当に迷惑をかけてしまった。

 

 そんなイヴを横目に俺は出してもらったお茶を完食した。

 

「先生、そろそろお暇させていただきます」

「十分くつろげたのならよかった」

「では、失礼します。イヴ、行こうか」

「……やだ。まだ居る」

 

 イヴの眉間に皺がより少し不機嫌。

 どうしたんだろうと思う。お茶も飲み終わってるし……あ、なるほど。

 

「正座で飲むから痺れるんだよ」

 

 イヴは視線を逸らす、そこでふとイタズラを思いつく。

 俺は人差し指を立てる。その姿にイヴは両掌を俺に向ける。

 

「早まるなレイくん。まだ間に合う。誰も幸せにならない」

 

 この動作だけで察するイヴは慌てる。

 まるで引きこもり犯を説得する刑事みたいな文言。

 だが、ツンしたい。

 イヴは平坦な声でこういった。

 

「や…やめろぉぉぉ」

 

ーーツン…ツン、ツン

 

「ピギャ!」

 

 足の裏を突くとイヴは倒れ、椅子から落ちる寸前となる。

 俺は前もってサイキックを発動させていたため落ちない。

 打ち上げられた魚のようにピクピクさせたイヴ、両手で抱くとそのまま部屋を出る。

 

「では先生、失礼しますね」

「本当に仲がよろしいことで」

「ええ、まぁ」

 

 そういえば先生もいたんだった、少し恥ずかしい気もしなくもない。

 なんか前世のバカップルみたいだったかもしれないな。

 

「ミスターレイモンド」

 

 部屋を出ようとしたとき、ネーメル先生から呼び止められる。

 ふと振り返ると。

 

「例の件、前向きに検討してほしい」

 

 ああ、その話か。

 だが、俺は迷っておりーー。

 

「……すいません」

 

 俺はネーメル先生への返答を濁したのだった。

 出る時、ネーメル先生のため息すると。

 

「君の能力はもっと評価されるべきものだ」

「俺はイヴとの日常を気に入ってます。少し考えさせてください」

 

 俺はまた、答えを濁したのだった。

 

 

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