天然才女との生活は驚きの連続であり、暇しません。俺的には結構ありだと思ってます。   作:花河相

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俺はイヴに甘い

「……ここは綺麗なんだな」

「うい」

 

 台所に移動するとでた一言だ。

 俺が掃除した後のままだった。

 

「とりあえず座ってて、今から作るから」

「……ありがと」

 

 片付けから入らなくて済んで良かったと思いつつ、調理に入った。

 

 まぁ、料理といってもそこまでこだわったことはない。

 作るのは野菜スープ。水分と栄養が同時に摂取できる優れもの。

 

 

 適当に食べやすいサイズに野菜と肉を切る。

 それと同時進行で鍋の中に水を魔法で出して火魔法で沸騰させる。

 そのまま出汁を取るための乾燥させた小さな小魚を入れる。

 

 料理時間短縮のためにフライパンで豚肉を少し焼く。

 それから出汁をとったあと、刻んだ野菜、肉の順に入れて煮込んでいき、最後に野菜を乾燥させて作ったコンソメを入れる。

 

「……すごい……初級魔法上達したね」

「そりゃどうも」

 

 そんな光景を見ていた彼女が少し微笑み褒めてきた。

 俺がやっているのはすべて初級魔法を応用してる。

 初級魔法だけならこの学院では俺の右に出るものはいない。

 無詠唱とマルチマジック(魔法を複数同時に扱うこと)。俺は初級魔法を極めたと言って過言じゃない。

 

 でも、これは学院では評価されない。なんせ学院ではいかに強い魔法を扱うかが重要視される。

 

 魔法使いに求められるのは魔法範囲、破壊力の二つ。

 

 初級魔法は戦闘では使えない、子供が最初に覚えるような魔法をここまで極めるのは誰もいない。

 

 では何故俺がここまで極めたか、

 いくつか理由がある。

 

 まずは俺は日本と呼ばれる国の前世がある。

 今の魔法の応用も前世の発想からだ。

 

 二つ目は俺は魔法の凡人の才しかない、大魔法を使うための素質がない。

 

 そして最後……これがいちばんの理由だ。

 

 必要にかられてだ。

 無魔法のサイキックも部屋の片付けで必要、風魔法も換気のため、水も火も髪を解かしたり、洋服のシミ落としや洗濯、アイロンをするため。

 

 元から無詠唱とマルチマジックがイヴと共に過ごす上で毎日のように使うたびに上達して今では念じれば仕える域まで達した。

 

 継続は力なりと言うがまさにそれだ。

 これは俺が誇ることであり、イヴに感謝している。

 凡人である俺が唯一天才に勝る手段。

 

「はい、出来上がり」

 

 イヴと話しているうちに完成した。

 ちょっと時短したので美味とは言えないが栄養だけは取れる。もちろん味は普通に美味い。

 鍋からスープを容器に入れ、スプーンをイヴの前に置く。

 

「うん……ありがと」

「……」

 

 イヴは礼を言ったあと……何故か口をぽかんと開ける。

 なんだよ。

 

「……あ」

「えと……なに?」

「……あーん」

 

 あ、食べさせろと言うことか。

 ……そういえば24時間も俺がこの研究所を空けたのは珍しい。

 ……寂しかったのかな?

 

 普段は自分で食べてるし今日くらいいいかも。

 イヴは甘えてくるが俺もそれを咎めることない。

 

 ……俺はイヴに甘いんだ。

 スプーンを持つとスープを掬い上げる。

 水魔法を応用した氷魔法を使ってイヴが食べやすい適温に冷まして食べさせる。

 

「わかった。はいあーん」

「……ん……美味しい」

「そりゃ良かった」

 

 丸一日ぶりの飯に満足なようだ。

 食べると口角を上げて微笑むイヴ。

 

 俺はそんなイヴに微笑みつつ、食べさせてあげる。

 

 そのまま食べ終わるとイヴは歯を磨いてもらい、寝室へ移動する。

 寝巻きに着替えた。

 

 ここまで1人で行ったことに俺は驚く。

 

 今日の反応からベッドに連れて行けとか、歯を磨いてとか言うと思っていたが。

 

 そのことを聞くと。

 

「レイくんにそんなことさせられないよ」

 

 と照れながら言われた。

 いや、イヴさんや……髪を解かしたり食べさせてもらったの忘れたのかい?

 

 そう思ったが、イヴが自発的に動いた理由はすぐにわかった。

 

「……レイくん、眠るまで手を握ってて?」

 

 なるほど、それをお願いするためか。

 つまりそれをお願いするためにベッドに行くまでの行動をしたと。

 

 そんな甘えてくるイヴに鼓動がドキリとするも、俺はイヴの手を握ってやる。

 

「わかったよ、掃除しなきゃだから寝るまでな」

「……うん」

 

 一言そう返したイヴはとても嬉しそうだった。

 俺は緩んでしまう口を我慢する。心臓がバクバクとするもそれに耐える。

 

 ……イヴはそれから10分ほどで寝息が規則正しくなる。

 熟睡したのを確認したことで寝室を出る。

 

 俺は音を立てずにドアを閉めるとそのまま壁に額をつける。

 ピタッとつけた時、溜まっていた身体中の熱が冷えていくのを感じる。

 

「……かわいすぎだろ」

 

 甘えてくるとどうしても甘やかしてしまう。

 俺はイヴに甘いんだ。

 

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