天然才女との生活は驚きの連続であり、暇しません。俺的には結構ありだと思ってます。   作:花河相

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才女の浮気調査?

 王立魔法学院は基本全寮制である。

 親元を離れ高い倍率を突破したエリートだけがその門を潜ることを許されるがほとんど通っている生徒が貴族で平民は少数。

 一昔前、魔法は貴族の特権だという文化があったらしい。今では身分関係なく魔法を学べるものの、貴族と平民では乖離的な差がある。

 平民なら、よっぽど才能があるものか、親が腕の立つ魔法使い、家が裕福で魔法を教える家庭教師をつけられる人くらいしないと平民には入学できない。

 一応実力主義のため、身分は平等となっている。中には平民をバカにする貴族もいないこともないが……。

 過去、平民が主席で卒業したという話も聞く。

 

 入学後の努力次第なのだろう。

 入った時は貴族の方が優れているが、努力次第で逆転もあると。

 おごれる人も久しからずというがまさにその通りである。

 

 ま、入学すらできない俺には関係ない話だが。

 

「こっちがイヴの行きたいところだよ」

 

 ゆっくり歩きながら説明する。

 イヴは外に出てからメモを取るようにしていた。

 そんなに真剣に聞いているなら説明しがいがある。

 彼女は少し変わったというより成長しているのだろう。いつか一人で学院を歩けるようになれば儲けもんである。

 送り迎えをしなくて良くなる。

 

「レイくんよく女子寮の場所わかるね。行ったことあるの?」

「うーん……いや、たまにかなぁ。冒険者の依頼で何回かね」

「ふーん。同じ人?」

「え?まぁ。寮長の婆さんと少しね」

 

 女子寮の寮長の婆さんと顔見知りなんだよな。

 冒険者の依頼を受けて雑用をやったことがある。

 

「なるほど。現場は女子寮。しかも複数人……と」

「ねぇ、さっきから何メモしてるの?」

 

 さっきからイヴのメモしている内容が気になる。

 やたら真剣にメモを取るし、ぶつぶつ気になる言葉を言っているから気になってしょうがない。

 

「え?…レイくんの浮気検証データ」

「だから、何故にそんなこだわる……」

「証拠は現場にある」

「まさか、友達に会いに行くってのも俺を現場に向かわせるための口実とか」

「いや、レイくんの浮気現場に行くのは単なるついで。ジュリーに会いに行く」

「へぇ、ジュリーさんっていうんだ。イヴの友達」

「は?!……まさかの誘導尋問……やるねレイくん」

「単なる自爆だよね?」

 

 イヴはハッと驚き俺を警戒する。

 いや、何故にそんな反応するのやら。

 

 とうやら友達は実在するらしい。

 嘘をついているならわかりやすいし。

 行ってみればわかることだから別にいいか。

 とりあえず、浮気云々は聞き返しても意味ないとして放っておくことにする。

 

「レイくんは誘導尋問の天才っと」

「いや、なんのメモ?浮気調査メモじゃなかったの?はぁ。歩きながらだと転ぶよ。そこに石落ちてるし」

「え?ーーふぎゃ!……あれ?」

 

 案の定イヴは転ぶ。なんとなく分かっていたのでサイキック魔法を準備していたおかげで空に浮いている状態になる。

 

「あ……危ない。まさか、レイくんの卓越な罠……さすがレイくん、油断ならない」

「罠なら助けないし。疑心暗鬼すぎでしょ」

「なるほど」

 

 お、納得したのか。

 

「つまり、飴と鞭。自白を引き出すため緩急をつけているんだね」

「イヴさ……最近誰かから探偵ものの物語聞いたりした?」

「……べ、別にぃ」

「聞いたんだね」

 

 イヴは視線を逸らし俯く。完全に目が泳いでいる。だが、彼女が魔法工学の分野以外の本は読んだとか考えにくい。

 誰かが話しているのを盗み聞きしたか、ネーメル先生の差金か?

 

 現状、イヴがこれほど行動する活力がわからないがこれも良い傾向であることで自分を言い聞かせたのだった。

 

 なんでも疑いたくなる。……自称探偵みたいなイヴであった。

 

 

 王立魔法学院の女子寮。

 基本男子禁制と女子のみの花園。

 男子生徒は侵入を試みて退学処分を喰らった事例があるとか。

 入るには寮長の許可証が必要、かつ、入るにはGPS機能みたいな魔道具の装着が必須。

 逃げたり危険があったときすぐに対処撃退できるようにする。

 

 花園に入るならよっぽどのことがない限り許可は降りない。

 俺の場合は学院長から特別待遇を受けているほか、女子寮長の依頼を受けることがあったので顔見知りである。

 

 俺は意外に学園で顔がそこそこ広いのだ。

 

 

「はい、そこの階段上がって3階のフロアを出て右にある。さっさといきな」

「いつもすいません。ほらイヴも」

「ありがと」

 

 寮長は言うなれば少し無愛想なおばさんだ。

 ただ、年齢は聞いていない。細身で僅かに小皺がある。会話は最低限。

 とりあえず連れて行こうとしたとき、女子寮長から呼び止められた。

 やはり、ただでは行かせてくれないらしい。

 

「あ、そうそう。来たついでに頼みたいことがあるんだが?」

「わかりましたよ。今回無理言って入れさせてもらってるので、無償でやりますよ」

「ほう……いい心がけだ。なら、そこのガキ送ったらさっさと戻ってきな」

「はーい」

「……ガキじゃないし、レディーだし」

「なんか言ったかい?」

 

 拗ねたイヴに寮長は聞き返す。

 この婆さんに絡まれると面倒だし早く目的地に行こうか。

 

「なんでもないですよ。さ、早く行こうかイヴ」

「……ふむふむ……なるほどなるほど」

 

 イヴの背中を押して動こうとすると、何かをメモし出した。

 少し覗いてみると紙の下の方でこんなメモが目に入る。

 

【レイくんは熟女好き。要注意】

 

「ちょっとイヴ、流石にそれはおかしいよ。しかも老女だよそれをいうなら」

「……へ?」

 

 突然話を振られたことで首を傾げるイヴ。

 

「それは全否定するよ。まず浮気も何もしてないけど、俺はノーマルだからね。そんな趣味嗜好は持ち合わせてないからね」

 

 ……予想だが、イヴに浮気云々を入れ知恵したのは多分ジュリーとって人かもしれない。

 後で聞いてみよう。

 

 そう決意し、俺は目的地を目指した、

 そういえば約束してないけど大丈夫なのだろうか?

 疑問が浮かんだときにはすでに部屋についていた。

 

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