天然才女との生活は驚きの連続であり、暇しません。俺的には結構ありだと思ってます。   作:花河相

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才女と友人2

「うふふ……美味しい」

「イヴさん、それでどうかなさいましたの?」

「……は?!そうだった」

 

 レイモンドが去ったあと、ジュリー=エットは美味しそうにお菓子を頬張るイヴを見て問いかけた。

 束の間の休日、恋人のローは私用で実家に帰っているため一人でティータイムをしながら本を読んでいたところ突然の訪問。もとからいつでも来て良いと伝えていたものの、急に来たので十分なもてなしができないでいた。

 

 そんな状況でもイヴが嬉しそうにしているところを見て安心していた。

 

「……ジュリーに話したいことがあった」

「ふむ……」

 

 嬉し顔から心機一転今までないくらいーーまだ2回目の再会だがーー真剣な表情であったので身構える。

 

「レイくんが……浮気してるかもしれない」

「……へ?」

 

 投下された言葉に一瞬面食らうジュリー。

(……聞き間違いではないですわよね?)

 

 そう疑うのも無理はない。 

 ジュリーは先ほどレイモンドと話をしていた。

 好印象で、婚約者想い、それがレイモンドの第一印象であった。

 念のため確認を……そう思い再度聞き返す。

 

「イヴさん、もう一度お願いしても宜しくて?」

「レイくんが浮気した」

 

(聞き間違いではないのですね。……まだ会って日が短いですが。こだわりの強い……もしかしたら)

 

 誤解かもしれない。

 レイモンドから芯が強いとも言われたイヴのことにジュリーは悩む。

 

「……浮気……誤解かもしれませんわよ?少しお話ししましたけど、イヴさん一筋のようにお見受けしましたが」

「……まさか、ジュリーも」

「それはありませんわ。わたくしにはロー様一筋ですもの」

「そっか」

 

(……少し予想の斜め上ですわね。どうにか修正を)

 

 誤解を解くことから始めよう、ジュリーはまず何かあったかを整理することから始める。

 

「その……浮気を疑う証拠はあるのですの?」

 

 ただの勘違いや思い込みの可能性もある……。そう判断したのだが。

 

「朝、手紙が届いてた」

「お手紙ですの?……どう言った内容の」

「背景、レイモンド=ヒューズ様。お久しぶりです。最近はとても寒い日が続いておりますが、どうお過ごしでしょう?私は元気に過ごしております。王立魔法学院の合格し、今年の4月から入学させていただく運びとなりました。またレイモンド様と過ごせること思うと楽しみで胸心躍る毎日ですーー」

「ちょっと待ってくださいまし!」

 

 ジュリーはイヴを止める。

 急に手紙の内容を話したので混乱した。

 

「ま、まさか全て覚えておりますの?」

「うん、私一度見たもの忘れないから……多分」

 

 意外な特技を知り驚くも一度考えるジュリー。

(……これ、完全にアウトですわよね?)

 

 手紙の内容を途中までだが、聞く限り完全に浮気である。

 

「それで、レイモンド様はなんと言ったのですか?」

「問い詰めたら動揺して誤魔化そうとした」

「……そ、そうですのね。ち、ちなみにイヴさんはその手紙を見たあとどのように問い詰めたのですの?」

 

 普通ならばここで浮気認定をするのが普通だ。だが、ジュリーは何か引っかかった。

 イヴは過程をすっ飛ばし、結論だけ言う可能性がある。

 

「えっと……呪符を付与して白状しなきゃ発動するって脅した」

「おそらくそれが動揺した原因かと……呪符の規模は?」

「……お家が洪水になるくらい?」

 

(……それは動揺しますわ。というより、そんな規模の大きな呪符を作れるってイヴさん何者ですの。後で聞いてみましょう)

 

 ジュリーはまだイヴのことを知らない。

 上級魔工師でも難しいことを普通にしているのだ。

 流石に驚く。

 とりあえず、ジュリーはひとまず置いておいて、安心させることにする。

 

「……イヴさん、多分レイモンド様は浮気していないと思いますわ」

「え?……」

「少しはレイモンド様を信用なさったらどうです?……一度疑うと難しいのはわかりますが」

 

 色々驚く点があるが、ひとまずそれを整理しよう。

 己の友人は不安で相談しに来たのだろう。なら、まずは安心させるべきだろうと。

 

「でも……」

「信じること……それも大切だと思いますわ」

「信じる……こと」

「ええ」

 

 信じること、その言葉にイヴは一度目を見開いたが、すぐに視線をジュリーから離す。

 まだ、少し納得がいっていない。

 

(……言いましたが、それが一番難しいんですわよね)

 

 言っていることと思っていること矛盾しているのは自分も自覚している。

 それでも、今伝えられる言葉はそれしかなかった。イヴとジュリーの付き合いは短すぎ、過ごした時間も2回、1時間にも満たないかもしれない。

 

 それほど短い時間である。正直な話完全に信用はしていない。

 それでも、純粋までに素直なイヴを信用したいとは思っている。

 

(わたくしも少しは自分を……)

 

 出すべきだろう。

 ジュリーは眉唾を飲み込み、未だ俯くイヴに言葉を発する。

 

「今、ロー様はご実家に帰られているのです」

「……へ?」

 

 突然の話題変換にキョトンとするイヴだが、ジュリーは言葉を続ける。

 

「お見合いをさせられているとのことですわ」

「で、でもローにはジュリーが」

「ええ、その通りですが……実は家はあまりわたくしとロー様の関係をよく思っておりませんの。だから、無理やり婚約者を見繕うのに、必死なのですは」

 

 詳細は言えない。

 ジュリーとローの実家は不仲である。

 学院にいるうちは身柄を約束される。無意味な抵抗だと言われればそれまでだろう。

 在学期間も残り二年、それまでに両親を納得させなければいけない。

 ジュリーは家を無視し続けている。勘当されようが知ったことではない。

 

「お相手の詳細は控えますが、ロー様はわたくしがいるのにそのお相手に会いに行ったのですわ」

「……ジュリーは不安じゃないの?」

「不安ですもの。夜も眠れぬ……おかげで寝不足ですわ」

「じゃあ……なんで」

「信じている……からです」

 

 そう、ジュリーは縛りつけてでもローを送り出したくなかった。

 一夜の過ちでも起きようものなら、責任を追及され自分たちの関係は破綻する。

 でも、今までも同じようなことがあり、その都度信じ続けた。

 

「信じることは難しいこと。それはわたくしとイヴさんにも言えることですわ。だってまだあって2回目ですし」

「……ジュリーは私のこと……信じてない?」

「信じたいと思っておりますわ」

 

 ジュリーは答えを少し濁す

 

「あなたの人となりは少しはわかったつもりですわ。信用に値するということも。でも、まだ決定づけるための時間は過ごしていない」

「……うん」

「だから、これからいっぱいお話ししましょう。教えてくださいイヴさんのことを、レイモンド様の件でもいいですわ。あなたが普段何をしているのか、何が好きなのか、何が嫌いなのか。そうやってお互いを知り合ってこれから仲良くなりましょう!わたくしはイヴさんと本当の意味でお友達になりたい」

 

(わたくしは卑怯なのかもしれませんわね)

 

 信じたいといったのに、これから知っていきたいともいった。

 これはジュリーの願望を押し付けている。矛盾していると自覚していても確証できる確固たる証拠が欲しい。

 

「わかった!……これからいっぱいお話しする!」

「……イヴさん」

「私はレイくんが大好きで、レイくんの作る料理が好きで、ピーマンが嫌いで」

「ちょっと待ってくださいまし!」

 

 真っ直ぐすぎるイヴにジュリーは戸惑う。こんな面倒な自分を受け入れてくれようとしている。

 

 

 本当の意味での友達。それは誰が決めたものでも何が決め手なのかはわからない。

 それでも、イヴはジュリーを。ジュリーはイヴを。それぞれが本当の友達になりたいと思った。

 

(わたくしはなんと面倒なのでしょう)

 

 卑怯なのかも自分に対してこんなにも友好的に接してくれている。

 そんなイヴにジュリーは胸の内が、暖かくなるのを感じる。

 ローから感じる愛情……とはちょっと違う。友人に向ける友愛。

 その気持ちを大切にしたいと思いつつも、居心地の良いと感じたのだった。

 

「わたくしと比べレイモンド様との付き合いは長いのでしょう?」

「うん……」

「人となりを理解しているはず……なら、信じるのが正妻としての務めというものではございません?」

「……うん、わかった!ありがとうジュリー、私レイくん信じてみる!」

「もしも、裏切るようなら最低!と怒鳴りながらビンタしてやるのがいいですわよ!」

「うん!」

 

 イヴの嬉しそうな姿を見て微笑むジュリーであった。

 

 ……あったのだが。

 

 

 

 

 

「レイくん……誰その女」

「あなた方こそ誰ですか?」

 

 そこに修羅場があった。

 悩み相談が終わった後、少し雑談をして互い趣味や普段何やっているかを話す。

 イヴはジュリーを家に案内ーーイヴは家の場所を案内できないのでジュリーが寮長に場所を聞いて行ったーーしてついた時であった。

 

 そこにはレイモンドの面影のある可愛らしい女、彼に抱きついていたのをたまたま目撃してしまったのだった。

 

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