天然才女との生活は驚きの連続であり、暇しません。俺的には結構ありだと思ってます。   作:花河相

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シュベスタ

(……私は何をやっているのでしょう)

 

 シュベスタはイヴの家に上がり目の前に出された茶菓子を丁寧に食していた。

 己の行動を後悔反面、納得できないと不安が募るばかりだった。

 彼女は王立魔法学院に入学が決まると颯爽慕う兄と会うため、ヒューズ家を飛び出した。

 ヒューズ家は居心地が悪く、何より大好きな兄を勘当した家を早く出たかった。

 それから王都に辿り着くと少ない情報を頼りに捜索を続け、住居を見つけ出した。

 

(……何ですかあの女)

 

 だが、発見したのはレイモンドが他の女と歩く姿。

 やっと会えると胸が高鳴る中、学院長から許可を得て会いに行こうとしたら知らない女と……しかも楽しげにする姿はブラコンのシュベスタには許しがたかった。

 だから、後先考えず破綻させようと行動してしまった。

 

 結果は失敗した。

 今は第三者のジュリーが話の整理していた。

 人数の割にした周り小さい二人用のテーブルに詰め詰めで人数分の椅子を並べ、円卓状に座る。

 話はまとまりつつありレイモンドはシュベスタの出した手紙を広げる。

 

「ーーつまり誤解であった……と」

「そう。俺は浮気もしてない。手紙は妹が悪ふざけで投函したってこと。証拠に入れる姿を見てるし、新しい手紙もここに」

 

(全て無駄になりましたね)

 

 頭の冷えたシュベスタは自分の行動を振り返る。

 愚かなことだ。頭に血が登ってしまっていた。レイモンドの言葉を聞きながらふと呟いてしまう。

 

「……私は本気でしたのに」

「シュベスタさんは黙っててください。今はレイモンド様がお話していますので」

「……はい」

 

 どうやら聞こえてしまったらしい。ジュベスタはすぐに咎められさらに不機嫌になる。

 再度ため息。早く終わらないかなとこの苦痛の時間を過ごすシュベスタ。

 

 その後も少しやり取りがあり、彼女は理由は言わずイヴとレイモンドの関係を破綻させようとしたことを告げた。

 やっと終わったか。シュベスタまたため息。ジュリーとイヴのやり取りを静かに静観した。

 

「……では、落ち着いたようなのでわたくしは失礼しますわ」

「ありがとジュリー」

「ありがとうございます、時間とってもらって」

「お友達のためですもの。お気になさらず」

 

(やっと終わりましたか)

 

 長々と話をされたが、ジュリーのおかげで話は終わる。何故見ず知らずの人に説教を受けなければいけないのか。

 シュベスタは不貞腐れたまま反省の色を見せなかった。

 ジュリーが帰る寸前、イヴを呼び出す。

 

「あ、イヴさんちょっとこっちへ」

「ん?」

 

 耳打ちで何かを話していた。シュベスタは視線で様子をチラ見したがすぐに外す。

(何をしているのでしょう、関係ないですが)

 

 興味がないのだ。

  

(はぁ……私は何をしているのでしょう)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジュリー帰った後、お茶の入れ直しをする。

 納得のできないシュベスタは片付けをしているレイモンドに視線を向け……視線が合うと離して俯くを繰り返す。

 レイモンドは気になり近づいてくる。

 

(放っておいてほしいです)

 

 シュベスタはレイモンドに会いたい一心で行動したのに気持ちが冷めていた。今は一人になりたい。ここでごめんなさいと謝罪するだけでその場を丸く収まるのにその一言がなかなか口に出せない。

 どうせ怒られるのだろう、シュベスタは甘んじて説教を受けよう、そう思ったのだが。

 

「シュビーは今日泊まってくの?」

「……へ?」

  

 鳩が豆鉄砲を喰らったように虚を疲れるシュベスタ。

 話の流れ関係なく振られた話題にどう答えれば良いのか彼女は戸惑う。恐る恐る聞いてみることにした。

 

「……あの……怒ってないのですか?」

「え?手紙の件?いいよ別に。終わったことなんだから」

「で、でも」

「そもそも、あの程度で俺とイヴが別れることはないから」

「……そうですか」

 

 しどろもどろとするシュベスタはレイモンドから視線を落とす。「あの程度」と表現することから確固たる信頼関係が築いている。

 そこに部外者が入り込む余地がないようだと思い知らされる。

 シュベスタは席を立ち上がり、音を最小限に椅子をしまう。レイモンドは

 

「いえ、今日は帰ります」

「え?……せめてご飯くらい食べてほしかったのに。せっかくシュビーと会えたから腕によりをかけて料理しようと……今日は普通のーー」

「シュビー!食べて行くといい!」

「……え?」

 

 レイモンドの言葉を遮らようにイヴはシュベスタの片腕を噛む。イヴは逃してたまるかと思っているらしい。

 そんな行動にキョトンとするシュベスタ。

 

「で、でもーー」

「大丈夫!レイくんの料理は美味しいから!だから、今日は食べて行くといい。なんなら泊まって行ってもいい。だからお願い。ご飯食べてって」

「何故あなたがそんなにも必死なのですか?」

 

 シュベスタは自分は悪者のはずなのに、イヴから何故こんなにも懇願される立場にあるのかわからない。

 そんなイヴにレイモンドはわざとらしく。

 

「イヴにとって食事は死活問題みたいだ。ご馳走様にありつけるなら今日の出来事が些細になるくらいに」

「えっと……ということは」

「イヴも俺も今日のことは気にしてないってこと。だから、食べてって欲しい……それに久々に会ったんだ。ゆっくり話がしたいんだけど……」

 

 遠慮気味に言ったレイモンドにシュベスタは首を縦に振った。

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