久々にマトモな戦闘が出来るので、ちょっと楽しもうとしてます。
旧旧Fトンネル内。
二体の異形が向かい合っていた。
仮面ライダーファントムと旧旧Fトンネルの霊。
ファントムは腕を組んで余裕を現し、対する旧旧Fトンネルの霊は斧を構えて臨戦態勢を取っている。
「あ”あ”あ”あ”あ”!!!」
仕掛けたのは旧旧Fトンネルの霊。
ファントムの足を切り落とそうと斧を振るった。
巨体と剛腕によって振るわれる斧。
ファントムはソレを軽々とよける。
「ぐお!?」
回避と同時に、敵の頭部に跳び回し蹴りを繰り出した。
こめかみを蹴られてよろける旧旧Fトンネルの霊。
対するファントムは体重を感じさせないほど軽々しい動きで着地。
再び腕を組んで余裕を現す。
ジャンプ力40m、キック力10トンの健脚。
即席で跳んでも人一人分など軽く飛び越え、足の力の蹴りだけでも人の頭を潰せる。
しかし相手も常軌を逸した悪霊。痛みを怒りで流して再び攻撃を仕掛けた。
再び斧を振るう旧旧Fトンネルの霊。
今度の狙いはファントムの頭部。
一番狙いやすく、急所になる部位。
今度は一切遊ばない。すぐに殺してやる!
スカッ!
殺意を込めた一撃は、虚しく空を切った。
軽々と避けられた。
動きも殺気も。全て見え見え。
そんなお粗末な攻撃が歴戦の戦士であるファントムに通じる筈がない。
ファントムは片足を斜め前に移動させ、屈みながら回避。
頭上すれすれに斧が通り過ぎ、同時に敵の懐に飛び込んだ。
反撃に絶好の位置を確保。今度はファントムが攻撃する番である。
一撃目、キドニーブロー。
腰を回転させ、腕を折り畳ませた至近距離の殴打。
打撃と同時に霊的エネルギーを叩き込み、内部からダメージを与える。
痛みに悶えて動きが止まる旧旧Fトンネルの霊。その隙に攻撃を続ける。
二撃目。アッパーブロー。
拳を打ち上げるように横腹へ叩き込む。
腰を勢いよく戻して回転させ、その威力と共に霊的エネルギーをぶち込む。
その勢いで体が浮き上がり、少し後ろに下がる。故、ファントムは追撃をかけた。
三、四、五と。連続で拳を突き出す。
ワンツースリーと、無造作に胴体を打つ拳。
脚力、腰の回転力、拳の加速力、腕力、体重、そして霊的な力。
若干フォームは崩れているが、全ての力が拳に集約されている。
その威力は絶大。確実に敵にダメージを与え、最後の拳で派手に吹っ飛ばした。
「がはぁ!?」
壁に叩きつけられる旧旧Fトンネルの霊。
背骨と内臓にダメージを受け、口から血が漏れる。
ファントムの攻撃によって内部はズタズタ。しかし、彼の戦意………いや、敵意と殺意はまだ折れていなかった。
「う”あ”あ”あ”あ”あ”」
「い…いや!」
「ヒィ……!」
近くにいた霊を食って回復する。
霊の基本的能力の一つ。他者を取り込んで霊的エネルギーを補給する。
これでまだ戦える。こののっぺり仮面をぶっ潰せる!
「・・・」
対するファントムは何もしない。
追撃も回復の妨害もすることなく、腕を組んで待っていた。
「ヒヒっ!」
ニヤッと笑いながら壁にもたれかけ、スーとめり込む旧旧Fトンネルの霊。
すり抜けたのだ。
霊の基本的能力の一つ、物体透過。
これによって一旦姿を隠したのだ。
どこから現れる。
ファントムは警戒して辺りを見渡し・・・。
バキィン!
背後から現れた旧旧Fトンネルの霊を蹴り飛ばした。
不意を突いてファントムの足を斬ろうと、上半身だけ地面から現れた。
しかし、ソレを読まれて逆にカウンターを合わされてしまった。
美しいフォームのサッカーボールキック、バッチリとタイミングの合ったカウンター。
不意を突いて攻撃した筈が、逆に利用されてしまった。
螢多朗自身の霊媒体質。
霊の正確な位置と強さを把握するこの能力で、旧旧Fトンネルの霊がどこから来るのか看破した。
ファントムの力だけではない。螢多朗自身の能力もまた強力である。
「う”…あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」
斧を持つ腕を伸ばして攻撃する旧旧Fトンネルの霊。
旧旧Fトンネルが持つ特殊能力の一つ。しかしソレも無駄に終わった。
驚異的な動体視力で避けるファントム。
しかし、再び背後から斧が戻ってくる。
ファントムはソレを察知して振り返る。
同時に、その勢いで斧を弾き飛ばした。
拳を打ち上げて斧を逸らす。
手放され、空中で建て回転する斧
ソレをキャッチして伸ばされた腕に叩きつけた。
絶妙なタイミングの見切り。
流麗なアクションと回避動作。
ソレらはまるで一つの演武のようであった。
「ぐ……あああああああああああ!!!?」
「ほら、返す」
腕を斬られ、血飛沫が飛び散る。
更に斧を投げられて頭部に命中。
頭を勝ち割られ更に出血し。
汚い汁を散らした。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!」
溢れる血を抑えながら、近くにいた霊を食い千切って回復。
新しい腕を生やし、頭から斧を引っこ抜き、傷を回復させていく。
「う……ぎぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
激しい歯ぎしり。
顎が砕けんばかりに歯と歯を摩擦させる。
あれだけやられても尚、殺意は萎えを見せなかった。
しかしこれは決して折れな意思や誇りとかいった類ではない。
むしろ逆。子供の癇癪のようなもの。
ゲームで敵キャラを倒せずゲーム機に当たるような、そんな類である。
今までたくさん殺してきた。
ここに来た奴らは例外なく全員。
嬲り、甚振り、痛めつけてきた。
なのになぜこいつは倒れない?なぜ当たらない?なぜ勝てない!?
ふざけるな、ここでは例外なく俺に殺されるんだ。
お前も絶対に殺してやる!!
「あ”あ”あ”あ”あ”」
体を圧縮させる旧旧Fトンネルの霊。
ギリギリと、限界まで縮こませ、力を一点に集中。
ソレを一気に解放させる。
ビュン!
凄まじい勢いのタックル。
砲弾の如く体を撃ち出し、ドリルのように回転させて。
全ての力を斧に乗せ、口に咥えた斧をバイブレーションのように振動させ威力を上げる。
持っている全ての力をファントムに叩きつける……。
クルンっ!
旧旧Fトンネルの霊の一撃は、ファントムによって軽々と受け流された。
「………は?」
空中に打ち上げられ、茫然とする旧旧Fトンネルの霊。
その間にファントムはため息を付きながら、必殺技の構えに入る。
『Destroy! Omega drive!』
発動されるファントムの
ファントムの右脚に先ほどの打撃とは比べ物にならない霊的エネルギーが集中。
ソレを悪霊へとぶち込み、一気に開放。旧旧Fトンネルの霊を爆発四散させた。
「アイコンナンバー12。当たりだな」
倒した霊をアイコンにする。
そのナンバーは12。螢多朗が持ってないアイコンだった。
「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!!?」
旧旧Fトンネル入口前に、男の悲鳴が響き渡った。
生者の物ではない。このトンネルに君臨していた悪霊の声。
他者を甚振り、拷問と殺戮を謳歌していた旧旧Fトンネルの霊。
今度は彼が責め苦を受ける番である。
「どうだ?狩る側から狩られる側になった気分は?」
角を生やした
白衣のようなパーカーを身に纏っているファントム。
闇医者魂。かつて廃病院を根城にしていた悪霊を封じた物。
戦闘力はそれほど高くないが、その能力は多岐に渡る。
治療、回復、病、そして拷問、等等。
今回使っているのは拷問。
メス、ハサミ、注射器、ピンセット、等等。
様々な医療器具を使って旧旧Fトンネルの霊を拷問していた。
「ただいま、螢多朗先生」
「あ、おかえり夜宵ちゃん」
旧旧Fトンネルから夜宵が戻ってきた。
彼女の両手には人型の紙人形。
犠牲者たちの霊を集めた物である。
まあ、中には純粋な犠牲者ではない者もいるが。
「ところで先生、何で医者なの?」
「ああコレ?このアイコンに封じられてる悪霊は拷問のプロなんだ。生前から医療ミスに見せかけて色々と拷問したり、闇医者になってからも人体実験と称して拷問を繰り返してた筋金入りのね。……電気メス」
ファントムの隣にいる看護師―――ナース服のコスプレをした花魁が電気メスを渡してきた。
本本来のナース服より露出の激しい格好。まるで某ホラー映画の泡頭ナースのようである。
では、何故こんな格好をしているのか。ぶっちゃけただのノリである。
「………何してるの?」
「今は電気メスを使って各部位を焼いてるんだ。ほら、火や熱を使った拷問って人形じゃなかなか出来ないだろ?だから新鮮味あると思ってさ」
「そんな新鮮味いらない」
夜宵が霊を痛め付けるのは上下関係をはっきりとさせる為の手段。決して趣味ではない。
「まあ待て。俺も拷問の趣味はない。これはこのアイコンの能力でね、こうして部位を切り取ることでエネルギーに変え、移植することが出来るんだ」
切り取った内臓を紙人形に放り投げる。
途端、紙人形に封じられていた霊の傷がきれいさっぱり治った。
「あ、ありがとう…ござい、ます」
治療を受けた霊は引き気味に礼を言った。
「なんか不服そうなんだけど」
「この人たちは他者を犠牲にするのを拒否した善霊。だから仇とはいえ他者を食い物にするような真似は嫌がる」
「え~、折角バラして回復アイテム作ったのに。これがあれば痛みから解放されるよ?」
「………後で考える」
とりあえずこの話は後にして、ファントムは二つに分けられた人型に目を向けた。
震えているものとそうでないもの。
何故わざわざ分ける。何故震えてる。
そう言いたげな視線を仮面越しに向けた。
「これは仕分け。その霊に殺された霊を回収し、純粋な被害者か情状酌量の余地のある者と、率先して道連れにして悪霊化した者を分けた」
「判別基準は?」
「ファントムを知ってるかどうか」
「?どういうこと?」
一端拷問を止めて振り向いた。
「ファントムと旧旧Fトンネルの霊の戦闘を知ってるのは、拷問されるのを見ようと近づいて来た霊達が大半。普通の霊や善霊は怖くて近づかなかったみたい。だからファントムを知っていた霊は加害者の疑いが強い」
「だから、一応全員に誰に道連れにされたか聞いたら、寺行き皆がコイツらに道連れにされたと言った。だから寺行き」
「成程ね。……じゃ、続きをやろうかな?」
「ッヒ!?」
ファントムは納得したようた後、旧旧Fトンネルの霊に振り向いた。
「じゃ、皆に謝ってもらおうか。ごめんなさいは?」
「ご…ごめ、んな……さ、い………」
それを聞いたファントムは無言でうなずく。
反抗する度、拷問し続け、ごめんなさいは?と尋ねてきた。
これを延々と繰り返されたせいで、ファントムに屈服したのだろう。
「良くできました」
「ぎゃああああああああああああああああああああ!!!?」
途端、電極をぶっ刺して電気を流した。
「(……私も大概だけど、この人も大概だな)」
夜宵もまた螢多朗の凶行に少し引いた。
・闇医者魂
パンチ力:3トン
キック力:6トン
100m走:8秒
ジャンプ力:20m
アイコンナンバー:08
ファントムの回復形態。闇医者の魂が封印されている。
能力は様々だが、主に回復がメイン。霊的ダメージだけでなく肉体的なものまで治せる上、他者も治療可能。
治療の際は霊を原料にする必要があるが、ただ霊を食って回復するより断然効率がいい。