仮面ライダーファントム   作:大枝豆もやし

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闍彌巫子に成り代わっていた悪霊の情報って少ないんですよね。
描写的に旧Kトンネルの霊だと思いますが名言はされてませんし、ドロシーなんて元闍彌って呼んでるし。



旧Kトンネルの霊

 

 水門に続く道を一人の初老が走っていた。

 

「クソが!こんなとこで死んでたまるか!折角肉体を手に入れたのに!」

 

 闍彌巫子。有名な霊能力者。

 心霊番組によく出演し、近年では心霊系動画に出ることが多く、最近ではランクSの旧Kトンネルから生還したという。

 しかし真実は違う。既に旧Kトンネルの悪霊に取り憑かれ、本人の魂は既に消滅。今の彼女は凶悪な悪霊だ。

 そう、彼女は成り代わりだ。

 

 巫女………いや、旧Kトンネルの霊は霊能者の肉体を手にして有頂天になっていた。

 元から強い悪霊であった彼女が肉体を手にした。しかも霊能力者のものを。

 奪った霊能力。これさえあればどんな相手でも勝てる…。

 

「何なんだアイツは!? あんなのがいるなんて聞いてないよ!」

 

 彼女の任務は旧I水門に呪物を仕込み、怨霊をより強力かつ凶悪にすること。

 しかしその企みはイレギュラーによって潰された。

 仮面ライダーファントムの圧倒的な力によって。

 

 

 何なんだあの姿は。

 いきなり変身した。特撮ヒーローのように。そんな奴聞いたことないぞ。

 

 何なんだあの力は。

 生身の人間の癖に、成り代わりじゃない癖に。何で悪霊と同じ力を持っているんだ。

 

 何なんだあの強さは。

 あの怨霊を圧倒した。あの強力な旧I水門の霊を。あんな強い奴がいるなんて聞いてないぞ。

 

 

 旧Kトンネルの霊は恐怖した。

 未知の存在であるファントムに。訳の分からなさと異様な力、そしてその圧倒的な戦闘力に。

 だが、何も悪いことだけではない。

 ファントムという脅威を早い段階で知ることが出来たのだから。

 

 早く合流して知らさなくては。

 あんな訳の分からなくて滅茶苦茶強い存在がいるということを。

 アレは絶対に自分たちの脅威になる。その前に何とか全員で情報を共有し、何か対策しなくては…。

 

 

 

「そんなに急いで何処に行く気だ?」

 

 瞬間、闍彌巫子の肉体を何かが縛り上げた。

 霊力で編まれたワイヤー。

 糸の延びるほうに目を向けると、指先から糸を出しているファントム絞殺魔魂ブラッディアイベースがいた。

 

「お…お前ェ!?」

「ああ、そういや名乗ってなかったな。俺はファントム。お前ら悪霊を打ち倒すモンだ」

「ッ!? まさか、お前最初から!?」

 

 ファントムは闍彌巫子の正体を最初から見破っていた。

 螢多朗自身の霊感と夜宵の霊視によって。

 旧I水門の霊との最後のやり取りの最中、ファントムがいなかったのはこの為。

 一番強い敵を無力化した後、次のターゲットに向かっていたのだ。

 

「ふざけ…!!?」

 

 肉体の霊力と自身の霊力を同時に行使し、拘束を解こうとする。

 しかし次の瞬間、雷に撃たれたかのような痛みと痺れが襲った。

 電磁パルスと金縛りだ。

 

 ガンドレッド型霊糸射出機、バインドクロー。

 絞殺魔魂がブラッディアイを素体にすることで使用可能になる専用武器。

 指先は鋭い爪となっており、その先端から霊子で構成された糸を射出し、対象を拘束する。

 糸からは電磁パルスや金縛りの呪いが込められており、物理的にも霊的にも対象を麻痺させ、その威力も調整可能。無傷に相手を捕縛するのは勿論、逆にダメージを与える事も出来る。

 

「じゃ、その体から出て行ってもらうぞ」

 

 反対のバインドクローから糸を射出するファントム。

 指を刀印に組みながら、糸を巻き付かせて縄のように編んで強度を上げる。

 ソレを釣り糸を投げるかのように投擲し、闍彌巫子に取り憑いた悪霊だけを釣り上げた。

 巨大な顔面に髪の毛が触手のように蠢く気味の悪い姿。ソレが悪霊の本性である。

 

「ぎゃあああああ!!?」

 

 肉体と悪霊が完全に分離したと同時、電磁パルスと呪いをより強く込める。

 更に動けなくなる悪霊。その間にファントムはドライバーのレバーを引いた。

 

『Destroy! Omega drive!』

 

 ベルトから音声が鳴ると同時、上空に眼の紋章が波のように出現。

 ファントムはそこは紋章目掛けて飛び上がり、紋章を水の中に飛び込むかのように通過。

 繋がれている悪霊は引っ張り上げられ宙吊り状態になる。 

 

「とどめ」

「~~~~~!!?」

 

 爆発四散。

 糸を爪弾いてエネルギーを一気に流し込み、悪霊は内部から弾けた。

 悪霊目掛けて目の紋章を描き、両手を開いて力を籠める。

 瞬間、アイコンが形成されて悪霊を封印した。

 

「暫定旧Kトンネルの霊、ゲットだぜ」

 

 アイコンナンバー06。

 今使っているのと同じものだった。

 

 

 

 

「まさか霊能者も成り代わられているなんてな」

「うん、しかも長い間憑依していた。その間誰にも気づかれずに」

 

 夜宵ちゃんと合流し、情報を共有する。

 

 闍彌巫子さんは死んでいた。

 どうやら長い間憑依されたせいで精気を完全に奪われていたようだ。

 けど、それでもぱっと見は完全に人間だった。成り代わりってこんなに長く憑依出来るのかよ…。

 

「で、遺品には例の呪物の右腕(ペア)か。これで決定だな」

「うん、おそらく成り代わりはただの集まりじゃなく、規律と力がある組織として機能している」

 

 一番厄介な点がコレだ。

 成り代わった悪霊を除霊したり、戦ったことは何度かある。けど霊能者に取り付いて体の力も使える悪霊は今回が初めてだ。

 集合霊や悪霊の団体と戦ったこともある。けどソイツらはただ集まってるだけだったり、強いやつが他の霊を一方的に従えているだけの関係が大半。ちゃんと組織として動いてるのは今回が初めてだ。

 成り代わりの組織を作ったボスは只者じゃない。一体どんな奴なんだ?

 

「けど手がかりは掴めた。捨て駒じゃなくてメンバーを」

「うん、これは大きな収穫。こいつを尋問して色々聞き出す」

 

 カタカタと羊の人形が震えている。

 先ほどアイコンに封じた悪霊を入れたぬいぐるみ。

 形代に入れることで二重に封印している。

 勿論身代わりとしても使用可能。

 

「先ずは警察に通報しないと。流石に遺体遺棄はダメ」

「そうだね。というか詠子が既にやってくれているよ」

 

 パトカーのサイレンが聞こえてきた。

 こりゃ事情聴取とかで時間が取られるな。

 けど、どう説明したらいいんだ?

 

 

 

 

 

 

 また大きな収穫がった。

 闍彌巫子さんの双子の姉、闍彌弥子さんとのコネが出来た。

 かなり強力な霊能者で夜宵ちゃんが連れている霊や俺のアイコンにも気が付き、特に動揺した様子もなかった。

 そして何よりも、成り代わり組織たちを全員地獄送りにすると言ってくれた。

 あの時の迫力、まるで強敵と遭遇した時と同じだった。

 こりゃ頼もしい味方になってくれそうだ。

 

 俺が神様に目をつけられていることにも気づいた。

 どうやら俺には印みたいなものが付けられており、霊感の強い霊能者ならなんとか見えるらしい。

 流石にその神が太歳星君とは気づいてないし、言ってもない。馬鹿正直に喋って折角の同盟がご破算になるのも嫌だし。

 

 とまあ、霊能者の協力者はかなり嬉しい。

 

 

 なにせ、ファントムは人間相手に戦えない縛りがあるからな。

 

 




旧Kトンネルの霊がどれだけ強いかはわかりませんが、漫画やアニメの描写から髪の毛を武器にする悪霊にしました。
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