「早速面倒事だな」
そして現在、俺達は隠し通路で即身仏を発見してしまった。
事の発端は、国道1号線にある廃屋に入ってしまった事。
国道1号線は京都の隠れ心霊スポットらしく、色々と霊的な噂があったが、特に霊の気配はしなかった。
夜宵曰く浮遊霊もいないし霊の気配もないことからガセネタと判断し、さっさと卒業生開放セットを置こうとした途端、事件が起きた。
夜宵ちゃんが国道1号線にある廃屋に不法侵入してしまったのだ。
何か助けを求める声がしたから廃屋の戸を蹴破ろうとしたら、先に夜宵ちゃんがバールで破壊。中に入って隠し階段を発見。降りて通路の奥まで行くと座敷牢があり、その中に即身仏みたいなものを発見した。
即身仏は助けてと言っている。
か細い声だ。よく外に届いたな。
いや、それだけ助けてほしいということか。
即身仏になる僧侶だから覚悟が決まってると思ったが、やはりつらいものはつらい。
さっさと助けてやるか…。
「ッ!? 変身」
『Wake up! Bloody eye!!』
『I am fighter destroy evil』
『Go! Fight! Go! Fight! Go Fight!』
座敷牢の戸を蹴破った瞬間、神気を感じた。
反射的にファントムブラッディアイ魂に変身。
溢れ出す禍々しい神気と霊気でも相殺しきれず、若干背後に押し退けられた。
クソ、いつもの癖でファントム魂選びそうになったけど助かった! 通常形態じゃ力負けしてた!
「ごめん…なさい………助かって、しまった…」
「?」
座敷牢の戸が開き、即身仏の霊が出てくる。
泣きながら謝る霊。その様子からして閉じ込められて助けを求めていたのではないようだ。なら何故助けてと?・・・まさか!?
「気をつけろ、敵だ!それもこの力に匹敵するほどの!」
二人に注意を呼び掛けて周囲を警戒する。
今まで様々な敵を打倒したファントムブラッディアイ魂。
コレは今まで苦戦してきたような相手を難なく撃破する力を俺にくれた。
そんなアイコンの力が押し負けた。つまり今回の敵はソレだけ強いということ。
ホヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!
「っ!?待て!」
俺は不気味な声を出す気配の元を追った。
京都と佐賀の狭間にある寺院、日照寺。
日が沈んだそこで、ファントムは黒い四つん這いの悪霊と戦っていた。
ファントム放火魔魂。
彼の右手にはアーチェリーのような武器。
弓を振り回して炎を巻き起こし、炎の矢を放って貫いていく。
バーニングアロー。
ブラッディアイ魂による強化で得た放火魔魂用弓型武器。
リム部分は刃がついているため双刃剣としても使用可能な遠近両用武器でもある。
刃に炎を纏わせることで切断力を上げ、炎の矢を射れば焼夷弾や爆弾としても使える。
もちろんただ炎を出すことも可能。弓を振るうことで炎を周囲に巻き起こし、矢の発射口から炎を吹き出す。
ファントムはソレで次々と四つん這いの黒ずくめを切り裂き撃ち貫き、焼き殺していった。
「ばーさー…」
「黙れ」
ブレードで敵の首を刎ねる。
次いで顔を半分に両断して完全に黙らせた。
更に、切った個所から炎が上がって燃やし尽くす。
普段ならここまでしないが、徹底して始末する理由がコイツらにはあった。
即身仏があった廃屋の隣の寺、日照寺。
ここの住職曰く、この悪霊はシシムラ様という。
夜宵が解放した即身仏が封印していた太古の悪霊。
大昔一夜にして村を滅ぼし、日照寺の僧侶が封印。
以来、日照寺の者が封印維持を管理し、50年に一度現住職が即身仏になる事で数百年の間、封印を保っていたらしい。
だが、夜宵が不法侵入した上、封印を破壊したせいで復活してしまったと住職は語る。
色々と突っ込みたくなるところはあるが、今はそれどころではない。
シシムラ様は凶悪な能力を持っている。
異様に長い手足のおかげか、四つん這いの癖に移動速度が速い上に、身体能力も高い。
しかも異様にタフで首を刎ねても頭を撃ち抜いてもしばらく動いて呪いの言葉を呟く。
呪いの言葉。
シシムラ様の一番厄介な点。
ばーさーると唱えると、ソレを聞いた者を廃人化させ、赤子サイズにまで縮小させミイラ化させる。次に、腹にある5つあるポケットに入れ、自身の身を犠牲にして次のシシムラ様に変える。
しかも、シシムラ様に変えられるのは動物でもいい。そのせいで人間はファントムが守り切れているのに、鳩や鼠といった小動物をシシムラ様に変えて襲ってきているのだ。
そのせいで夜宵が声を聴いてしまってやられた。
無間修復身代わりのおかげで収縮しないが、廃人となっている。
早く倒して回復させなくては。
ファントムはそのためにシシムラ様の本体を探しているのだが…。
「クソ!おい和尚!こいつのボスはどこだ!?」
「ヒィ~~~!」
「ッチ、耳栓のせいで聞こえてないか!」
この場にいる者は全員耳栓をしている。
和尚たちも耳を塞いでおり、逃げようとするが既に囲まれてしまった。
シシムラ様も耳栓に気づいて外そうとしてくる。その場で蹲るしかなかった。
ファントムが彼らを救い出せたのは本当に偶然だった。
気配を追ってこの寺にたどり着き、和尚に取り憑いていたシシムラ様を引き剥がして撃退。焦りだす和尚から無理やりシシムラ様の情報を聞いた途端、何処からかシシムラ様が湧いてきて今に当たる。
「(面倒臭い敵だ!次々湧いてきやがって)」
最初に選んだのは切裂魔魂。
バラバラにして呪いの言葉を唱えられなくしたが、数が多くなって全員を守れなくなったので、別のアイコンに切り替えた。
次に選んだのは銃殺魔魂。
ヘッドショットで仕留め、近接戦もガン=カタで対処。しかし銃弾では破壊箇所が小さいせいで撃っても少し動けるため、別のアイコンに変えた。
最後に選んだのが放火魔魂。
斬って良し、撃って良し、しかも炎で火葬出来るおかげで呪いの言葉を唱えられない。
しかしそれでも限界が出て来た。
「クソ、こうなったら辺り一帯を燃やすか!」
「駄目、螢くん!アイコン11を使って!」
「何言って…!? そうか!」
オメガドライブで一掃しようとした瞬間、詠子が止めてアイコンチェンジを指示。
意図を理解したファントムは炎をまき散らして時間を稼いだ後、指定されたアイコンに即時パーカチェンジした。
ちなみに螢多朗は変身してから解除しておらず、耳栓を付けてない。というかそんな隙をくれなかった。
『Wake up!
『Cult sutra!』
パーカーチェンジ完了。
同時、ファントムは装備されたギター型専用武器―――カルトギターを弾く。
ふざけているわけではない。
これがこの形態、悪徳僧魂の戦い方である。
呪いの相殺。
音を媒介にして呪いを放ち、ソレを応用して敵の呪いを打ち消す。
一番効果があるのは音や声による呪い。つまり今が使い時である。
しかし、相殺出来る呪いは一つだけであり、演奏中は無防備。故に、この形態では味方が必要になる。
「盈みたして 月蝕尽絶黒阿修羅」
「頼むぜ、戦友」
「任せて、ヒーロー」
最初、螢多朗を弾こうとしたのは封印の防御措置です。
しかしファントムに変身したことで封印された敵が外敵と判断して攻撃。
ソレと封印の防御措置の呪いが良い感じに合わさってファントムを後退させました。
外敵が現れたと思った封印対象はファントムを警戒し、和尚たちよりもマークしています。
あと、悪徳僧のギターは轟鬼の音撃弦をイメージしてください。