仮面ライダーファントム   作:大枝豆もやし

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悪徳僧による呪いはギターの音色に呪いを乗せることで発動します。
呪いの種類だけ弾く曲があり、呪いと相性のいい曲を選んで弾いてます。
ですからちゃんとギター弾けないと効果ありません。
もちろんこの螢くんはギター弾けます。


ボスムラ様

 

 

 

「この子を捕まえた後、筆談で意思疎通できるようになった」

 

「扱いさえ間違えなければ危険はない。だから仲間の識別と戦術の入れ知恵をした」

 

「結果、この子はコントロールが効く上に水門の時よりも格段に強い手持ち最強のSランクを超えるお化けになったの」

 

 

 

「螢くんと…ファントムと一緒に戦って!」

「うん、せいぎのみかたに…ぼくはなる!」

 

 

 

 

 

 京都と佐賀を繋ぐ国道一号線。

 そこで二人の悪霊が遊びのように戦っていた。

 ファントムの奏でるギターと、黒阿修羅によるお絵かき。

 スケッチブックに描かれたシシムラ様は肉団子となり、黒阿修羅の腹に収められた。

 ファントムはソレをサポート。ギターの音色に呪いを込め、シシムラ様の呪いを相殺。一方的に肉団子に変えた。

 

 自身の呪いが効かないと気づいたシシムラ様はやり方を変えた。

 ファントムのギターを妨害し、黒阿修羅のスケッチブックを奪おうとする。

 しかしソレも失敗。二人もまた攻め方を変えた。

 

 黒阿修羅が新たな形態へ移行した。

 念動力による黒い手で自身の周囲を覆い、黒い球状の結界を形成。空中に浮かんでスケッチブックの呪いによる遠隔呪殺を行う。

 ファントムも曲を変えた。

 相殺する為の呪いから金縛りの呪いに相応しい曲に。

 片や安全圏からの一方的な呪殺、片や敵の牽制及び足止め。

 二つの呪いによるコンビネーションによって、瞬く間にシシムラ様を消していく。

 

 これはもう戦いではない。

 一方的な虐殺である。

 

「ん?なんだ?」

 

 演奏を止めてギターを降ろすファントム。

 シシムラ様の様子がおかしい。

 突然動きが止まりぴくぴくと痙攣しだした。

 大分減らされたせいか、それとも諦めたのか。

 いやソレは無いとファントムはすぐさま否定し、追撃を掛けようとする。

 

「「ッ!?」」

 

 突如、シシムラ様に異変が起きた。

 白い毛のようなものに全身を覆われ、頭から身体が縦に避けて脳が露出。やがて黒いオーラになって一か所に集まり、一つの扉を形成した。

 

「(なんだあの扉は!? マズいぞ、壊すか? いや、あの中に本体の可能性がある!下手に壊して本体に手が出せなくなったら本末転倒だ!)」

 

 不可思議な状況にどう動くか迷うファントム。

 そうしている間に扉が開き、主がその姿を現す。

 中には、苦悶の表情を浮かべる二体のシシムラ様。

 二体は鎖で木製の台に繋がれ、その上に主がいた。

 

 美しい姿をしていた。

 天使のように白く、神々しい姿。

 しかし同時に禍々しくもある獣の姿。

 相反する二つの要素を併せ持つその在り方は、正しく神ともいえる。

 

 その者は二つの顔で笑っていた。

 微笑みを浮かべる美少年のような、天使のような顔。

 もう一つは山羊の顔。少年の顔の下にあり、舌を伸ばして嘲笑うような悪魔の顔だった。

 

「らぼーつ」

「ッ!?」

 

 一言呟いた途端、辺り一面に白い羽が舞う。

 雪のように舞い散りながらファントムと黒阿修羅へと向かう羽たち。

 神々しさと共に嫌な悪寒がしたファントムは咄嗟にギターを弾いて結界を形成。黒阿修羅も外殻に力を込めてより防御を固めた。

 

「(コイツ、シシムラ様を従えていた?いや食ったのか。つまりこいつがシシムラ様の本体か!)」

 

 結界の中で敵を観察するファントム。

 おそらくシシムラ様を使って復活する為のエネルギーを集めていたのだろう。

 よって彼は目の前の正体不明の敵をボスムラ様と暫定。

 どう来る? 先ずは敵の能力を把握する事にした。

 

 羽がそれぞれの外殻に振り注ぐ。

 外殻に羽が付いた瞬間、菌糸のように根を伸ばす

 一つ二つなら問題ないが、数があまりにも多い。

 次々と菌糸が重なり合い、より勢いを増す。

 

「ッ? にくだんごが、ふえない?」

 

 黒阿修羅が外殻の中でスケッチブックの呪いを行使する。

 描いた敵の部位がくり抜かれたかのようになるが、すぐさま再生…いや、元に戻った。

 しかも、確かに抉れたというのに肉団子が増えない。

 そのことに黒阿修羅は疑問を抱いたが、ファントムはその正体にすぐ気づいた。

 

「(なるほどな。アイツの身体、細長い毛の集合体か。で、自由自在にソレを集合分離が出来る。だから一本の糸だけ残して他の部位に糸を移動させることで、被害を一本だけに抑えたのか)」

 

 ギターを弾いて結界を作りながら観察するファントム。

 彼の鋭い動体視力と観察眼は確かに捉えていた。

 ボスムラ様の身体が解けるかのように分離した瞬間を。

 そこから能力を推定し、どうするか対策を練る。

 だが、そうゆっくりはしていられない。

 

「「ッ!?」」

 

 菌糸の勢いが急に増した。

 増殖しながら外殻を覆い尽くし、先端がドリル上に変化。一点に集中してがりがりと嫌な音を立てながら削掘していった。

 どうやらこの糸、遠隔でも自在に操れる上に増殖するらしい。

 しかも羽をまき散らして追加し、増殖も繰り返している。

 ジリ貧。やがて派手な音を立てて外殻を砕いた。

 

 だが、二人はただ削られるのを待っている程呑気していない。

 

「ッ!?」

 

 ソレゾレの外殻から二人が姿を変えて飛び出してきた。

 ファントムは放火魔魂に変えて、黒修羅はロボのような外見で。

 月蝕尽絶黒阿修羅の第七の姿、殲。

 第六の姿である蝕でエネルギーを溜め込み、外殻が破られるとこの形態へと移行。

 よりロボットのような姿となり、以前と違って装甲の一部を液体化させている。

 これによって硬化一辺倒の形態と完全に異なり、液体金属のような剛と柔を併せ持つ。

 更に、外殻の一部を液体化して撒く事で、スケッチブックの呪いを極小化した『触れると消滅する雨を降らすことが出来る。

 今回はソレを防御に応用。消滅の雨によって羽を溶かしつつ、敵を牽制した。

 ちなみにファントムも無事。炎を纏って羽を焼きつつ、呪いの雨を防ぎながら接近している。

 

「はあッ!」

 

 動きを止めているボスムラ目掛けて矢を射るファントム。

 ボスムラは命中する部位の糸を移動させて避けようとするが、ここでボスムラにとって予想外の事が起きた。

 

「ッ!!?」

 

 矢が分裂した。

 散弾のように小さな矢に分かれ、全身に命中。

 刺さった個所で矢は炎になり、ボスムラの身体を燃やしていった。

 

「(奴のネタが分かった。奴はおそらく体を糸にして自在に動かせる。だから物理攻撃はあまり効かないが、炎ならダメージを与えられる)」

「(分かった。手伝う)」

 

 テレパシーで黒阿修羅に情報を伝えるファントム。

 黒阿修羅もソレに従い、ボスムラ目掛けて突進し、四本の巨大な腕で掴みかかる。

 握った部位を削り取り肉団子に変える能力は健在。むしろ液体金属の部位が強靭な筋肉となり更にパワーアップしている。

 

「ッ!?」

 

 対抗しようと翼をばたかせるボスムラ。

 羽を集中的に撒く事で弾幕の形成を図る。

 しかしソレはファントムによって封殺された。

 

 ファントムの矢撃。

 炎を圧縮して放った矢が、散弾となって弾幕を焼き払って相殺。

 結果、炎の幕が形成されて両者の間を遮る。

 その中を突っ切っていくように黒阿修羅が現れた。

 炎から突き出した四つの腕のうちの一本が、ボスムラの身体を削る。

 咄嗟のことで身体を縮められず、直撃を許してしまうボスムラ。

 

 繰り広げられる肉弾戦。

 負けじと全身の糸を伸ばして攻撃するボスムラ。

 たとえ抉られても糸を増殖して埋めれば問題ない。

 そうやって何度か殴り合いながら、全身を分裂させてダメージを軽減。同時に背後に回り込み、糸を集結させて攻撃を仕掛ける…。

 

「!?」

 

 黒阿修羅の背後に回り込んだ瞬間、爆炎がボスムラを襲った。

 ファントムの援護射撃。

 炎を圧縮した矢を発射し、ボスムラを焼夷弾のように爆撃。

 そのせいで黒阿修羅を攻撃し損ね、反撃を許してしまった。

 

 振り返った黒阿修羅が四つの腕でラッシュをかける。

 対するボスムラも体を分裂させて攻撃を無力化。

 糸を絡ませながら黒阿修羅を捕らえようとする…。

 

「!?」

 

 再び撃ち出された炎の矢。

 矢は分裂して炎の散弾となってばら撒かれ、糸を燃やしていく。

 そのせいで黒阿修羅を拘束する力が緩くなり、脱出だけでなく反撃を許してしまった。

 

 正確無比な援護射撃。

 同士討ちすることなく全て的に命中させる腕前。

 この存在がボスムラに黒阿修羅のみの戦闘を許させなかった。

 

 前衛は黒阿修羅が担当。四本の伸縮する巨腕と呪いでボスムラの身体を削っていく。

 後衛はファントムが担当。炎の矢の散弾と爆撃でボスムラの身体を燃やしていく。

 

 前門の黒阿修羅、後門のファントム

 黒阿修羅が肉弾戦で削り、ファントムが射撃で燃やす。

 ボスムラにとって最悪の組み合わせである。

 

「一気に決めるぞ!」

「うん!」

 

 遂にファントムも仕掛けてきた。

 援護射撃では無く仕留めるつもりで。

 数発矢を撃って牽制しながら、黒阿修羅と共に接近戦を仕掛ける。

 

 燃やされる。

 炎を纏った両刃によって。

 切り刻まれる度に炎が燃え上がる。

 

 削られる。

 呪いの手四つの巨腕によって。

 掴まれ裂かれる度に削られていく。

 

 二人の猛烈なラッシュによって、ボスムラは確実に追い込まれていった。

 

 

 間に合わない。

 二人の猛攻に。

 

 防ぎきれない。

 二人の猛攻を。

 

 抜け出せない。

 二人の猛攻から。

 

 

「~~~~~~!」

「させるか!」

 

 ボスムラが仕掛けようと動き出す。

 分が悪い現状を打破する賭けに。

 焼かれ削られながらも、耐えて反撃。

 予め地面に伸ばしていた毛を使って二人を捕らえようとしたのだ。

 しかし、ソレはファントムによって阻止された。

 

 バーニングアローをブーメランのように投擲。

 炎を纏ったバーニングアローは熱風を周囲にまき散らしながら飛来し、根を燃やし尽くしながらボスムラを牽制。

 ファントムが作った隙を突いて黒阿修羅がボスムラに突進し、再び猛攻を仕掛ける。

 

「はあッ!」

 

 バーニングアローを空中でキャッチするファントム。

 すぐさま矢を放ってボスムラを貫き燃やす事で黒阿修羅を援護。

 炎に包まれながら黒阿修羅の連撃を受けるボスムラに視線を向けながら、ドライバーに手を掛ける。

 

『Destroy! Omega drive!』

 

 バーニングアローのレバーを引きながら構えるファントム。

 ファントムの動作に呼応するかのように、エネルギーが弓に集中。

 ソレは炎の渦となって弓を中心に巻き起こり、やがてその周囲に複数の矢を形成した。

 

「燃え尽きろ」

 

 一斉放射。

 放たれた炎の矢の大半はボスムラに命中。

 ボスムラだけでなく他の地点に伸びていた毛も焼き尽くし、存在の一片すら許さない。

 

「やったな」

「うん!」

 

 ボスムラが火葬される様を眺めながら、二人はハイタッチした。

 

 

 

 

 

「その御仁、少し宜しいですか?」

 

 

 





卒業生の一人とコンビで大悪霊を倒す。
このssでやりたかったことの一つです。
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