「やあ酒呑童子。君の封印を解いてあげる代わりに“取引”しないかい?」
「君に“戦ってほしい相手”がいるんだ。その鬼はとても強くて君に匹敵するかもしれない」
「その鬼は倒した相手を自身の力にする能力がある。もし君が負けると彼の配下にされるかもしれない。だから君には“その覚悟”をしてもらう必要がある」
「ソレと、今から封印を解いても制約が掛かって“溜めた力は使えない”。寝起きの状態で戦ってもらう」
「どうだい?君はソレでも“やってくれる”かい?」
「ケヒッ!愚問だぜ!受けてやるよその取引!」
酒呑童子はその取引に即答した。
そこに罠があるとも知らずに。
早速やられた。
首塚大明神。酒呑童子を祀っているこの神社は心霊スポット兼パワースポットなのだが、悪霊はいなかった。ということで卒業生解放装置だけ置いてコレで終わりだと思ったら、事件が起きた。
近くの廃屋を通り過ぎた瞬間、呪いが俺に襲い掛かって来た。
咄嗟にブラッディアイ魂に変身して無力化させたが、呪いそのものは埋め込まれてしまった。
呪いの内容は俺に詠子への殺意を抱かせる何かを埋め込めること。しかもその何かは俺を殺そうともしている。マジで厄介だ。
変身を解除すればやられる。ということで変身を保ったまま夜宵ちゃんや詠子にこの呪の調査をしてもらっている。
「駄目。水子の霊を見つけて成仏させたけど、この子にそんな力はないみたい」
「こっちも駄目。調べたけど似たような事件はないわ。こうなったら…」
詠子は目を鋭くさせて…。
「地元の警察署にハッキングして秘匿された事件もないか調べてみるわ!」
とんでもないことを言った。
しかしこの行動が大当たり、未解決事件の中にこの呪いのことがあり、遡って呪いを特定。後はその呪いの源を暴くだけだ。
「ならコイツだな」
『Wake up!
『Chasing my honey!』
盗撮魔魂にパーカーチェンジ。
途端、俺の周囲に五基のビット型専用武器、チェイシングレイが展開された。
ブラッドアイ魂によって盗撮魔魂が新たに得た武器と能力。
要するにガンダムのファンネルみたいなものだ。
脳波と霊力波でチェイシングレイを操作。
ドローンのように辺りに飛ばして呪いの源を探させる。
チェイシングレイの本領は探査。高性能かつ広範囲の様々なセンサーを駆使する事で霊現象を調査、解明する事が可能となる。
詠子がコイツを使えるようになったら最強だな。その時は俺の自由が無くなりそうだから嫌だけど。
「あった!」
呪いの源を発見。
上手い具合に隠しているがチェイシングレイで看破。
木の中に埋め込まれた呪物らしきものがこちらに呪いを送信している。
チェイシングレイから遠隔操作で光線を撃ち出して破壊。
霊は既におらず、呪いだけが残っている。
だが、元である呪物を破壊したからもう大丈夫だろう。
「これでひとまず解決ね」
「………ああ」
確かに詠子の言う通りだが、何か引っかかる。
何だ、この違和感は? 喉に小骨がつっかえたような違和感。
一体俺は何を不安に思っているんだ?
「オメエが他所モンの鬼か?」
「ッ!!?」
俺は声のする方目掛け、咄嗟に一基だけ帰って来たチェイシングレイで攻撃した。
発射した光線はガンガンセイバー銃モード程度の威力しかないが、卒業生クラスの悪霊でもない限り耐えられるものではない。牽制としては十分だ。
「ヒャハハハハッ! 何だその霊力波!?ションベンでも漏らしたか?」
だがソイツは光線を直で受けたというのに、ビクともしたなかった。
「何だお前?」
「ああ?お前知らねえのかよ?ソレでよくもまあ俺のシマに手を出そうなんて考えたなぁ?」
「俺様は酒呑童子!やっと娑婆に出られたぜ!」
とんでもないビックネームが出たなこりゃ。
酒呑童子に契約を持ちかけたある人は酒呑を騙しにかかってます。
薄々気づいてますが、力ずくで何とか出来ると思ってるので酒呑童子は承諾しました。