仮面ライダーファントム   作:大枝豆もやし

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駆け足で神様と戦います。


弑逆桔梗

 

「うっひゃ~、マジで酒呑童子倒しちゃったよあの鬼神」

 

 夜宵たちと共に、ファントムと酒呑童子の戦いを眺める者がいた。

 神主の霊とその付き人―――霊群 久作。

 

「おい誰が付き人やクソ神主」

 

 霊群久作。

 京都の霊能力者で、自称呪物屋の通称タマちゃん。

 瓶底眼鏡にボサボサ髪、書生風の和装をした如何にも胡散臭い男。

 戦闘ができるほど強くはないが霊能力と霊能に関する知識は本物らしく、詠子たちと戦闘を観戦しながらソレを披露していた。

 

「僕が色々準備したったんやで?少しは労えや」

「そうは言っても一番肝心なのは彼が本当に酒呑童子を“調伏”出来るかどうかだ。こればっかりは彼の強さを信じるしか…ん?」

 

 神主の方に紙が飛んできた。

 人型を象った一枚の紙。

 ソレを手に乗せた途端、神主はにやりと笑う。

 

「酒呑童子、ゲットだぜ」

「あの兄ちゃんがな」

 

 

 

 

 

「で、アンタが謎の神主…いや、かの有名な安倍晴明だな」

 

 気絶したように眠った螢多朗は、起きてすぐに状況を知らされることになった。

 安倍晴明。かの有名な最強の陰陽師の霊が俺の目の前にいる。

 

「要はそこの根暗野郎に踊らされたってわけだ大将」

 

 俺の隣でいつの間にか回復した酒呑童子がだるそうに言う。

 

 酒呑童子は俺の式神になった。

 なんでも安倍晴明とタマちゃんが裏で調伏の儀の準備をしていたらしい。

 で、俺が酒呑童子を倒したことで儀式は完成。知らぬ間に俺は式神をゲットしたというわけだ。

 

「ソイツの力は必要になる。受け取ってくれ」

「お前がやったように言うんじゃねえぞ陰険野郎!俺は大将に負けたんだ!お前じゃねえ!」

「けど僕に騙されたじゃん」

「大将の強さありきの作戦だろうが!おめえの功績じゃねえよ!」

 

 確かにそうだな。

 安倍晴明がやったのは契約と儀式を整え、試合をマッチングさせたようなもの。

 試合の主体はあくまで俺と酒呑童子。だからこいつが俺に調伏されたのはこいつ自身が招いたともいえる。

 

「ソイツの策にハマったとはいえ俺は負けて調伏された。だから俺は大将の式神になったってわけだ」

「お前はいいのかよソレで」

「いいも何も負けたから仕方ねえだろ。それに…」

 

 急に、酒呑童子は好戦的な笑みを浮かべながら圧を強めた。

 

「あのクソガキに全員で喧嘩売るんだろ? んな楽しそうな祭り、乗らねえわけがねえだろ」

 

 なるほど、それが目的か。

 

「で、アンタらはあの神を倒したいんだな?」

「うん、子孫たちの負の遺産を片付けるためにもね」

 

 子孫。おそらく神代家を指しているのだろう。

 色々聞きたいが今はあとだ。

 

「じゃあ、僕が出来るのはここまで。あとはせいぜい呪いの手伝いをする程度だね。けど、あまりやりすぎると気づかれるからソレも最低限だ」

「十分だよ。それだけで勝率はぐっと上がる」

 

 京都内の心霊スポット五つに卒業生解放措置を配置した。

 京都御所を決戦の場にしてスポットにも人払いの札を配置。

 夜宵ちゃんが神様に呪いの紋を刻み、決戦の場まで逃げたら俺の出番。

 現場で待機している俺と卒業生で神様と交戦して時間稼ぎ。

 詠子がスポットに配置している卒業生やアイコンを回収し、総力戦で潰す。

 準備は整った。後は実行するのみ。

 

神殺し(リベンジマッチ)だ。今度は…ぶちのめす!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 遂に弑逆桔梗が決行された。

 夜宵ちゃんが病院に向かって俺は京都御所で待機。

 俺が来ないことに愛依ちゃんはガッカリしているらしいが、俺がいると警戒される。だからこれは仕方ないことだ。

 それに、あの神を倒せば自由になれる。会うのはそのあとでも十分だ。

 俺が生きていればの話だけど。

 

「………」

 

 震えている。

 俺の手が、体が自然と。

 恐怖とも武者震いとも言いきれない震え。

 すると、俺の手を詠子が取ってくれた。

 

 

「大丈夫、大丈夫だよ。螢くんなら大丈夫」

 

「螢は今までいろんな敵を倒してきた。中には、神様だってやっつけた」

 

「負けたこともある。逃げたこともある。死にかけたこともある。けどそれでも螢くんは勝ったじゃない」

 

「逃げた後でも逆転して、負けた後でも再び立ち上がって、死にかけたときでも強くなって。そうやっていろんな敵に勝ってきたじゃない」

 

「私は今まで見てきた、螢くんの戦いを。勝つ姿を。強くなっていくのを。だから今回も大丈夫。螢くんは強いんだから」

 

 

 

「・・・ありがとう詠子。マシになったよ」

 

 やれやれ、ここまで期待されてるならやってやらないとな………。

 

 

 

 

「いい身分だな。お前は女と逢引きか?」

 

 

 

 

「っ!? 来たか」

 

 振り向くと神様がいた。

 霊視出来ない俺でも見えている。

 どうやら俺に合わせて姿を見せてくれているようだ。

 傷もちゃんと見える。作戦は成功したみたいだ。

 なら後は俺の役目。全力で全うする。

 

「決戦の場といえばここしかないからな。しかし薄情な男だ。愛依に遺言を残すことなく別の女と逢引きとは」

「ッフ、そんなんじゃないよ」

 

『Bloody eye!』

 

 俺はドライバーを出し、アイコンを取り出す。

 

「お前を倒してまた会う。それだけだ」

 

『Eye!』

 

 アイコンのスイッチを押した瞬間、禍々しい神気が溢れ出す。

 ソレを見た神様は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 ちゃんと使えるのか。そう言いたげだった。

 

『Look into my bloody eye! look into my bloody eye!』

「変身」

 

 流暢な英語で重々しいラップが響く。

 溢れる神聖な神気。しかし凶兆を孕むこいつは正しく目の前の神の力だ。

 最初は暴れ馬っぷりに苦労したが、今は大分慣れた。

 こいつはあいつの力じゃない、俺のものだ。

 

「変身」

 

『Wake up! Bloody eye!!』

 

『I am fighter destroy evil』

 

『Go! Fight! Go! Fight! Go Fight!』

 

 

 

「行くぞ、悪神!」

「来い、鬼神の英雄よ!」

 

 俺たちは同時に駆け出し、同時に拳を突き出した。

 





やっと神様とリベンジです!
これを書きたくなって再開しました!
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