ファントムがいる+酒呑童子がいる+悪霊も協力的+原作以上に神様追い込まれてる
ここまで好条件揃ってたらいけるでしょ!
戦いは順当に行った。
完全にファントム陣営の手中にあった。
六人もの大怨霊。
原作と違って脱出を企てず、全員協力的。
しかもその一人は神格を持つ竜神の子、酒呑童子。
更にファントムという指揮官兼穴埋め要因がいる。
悪坊主魂でバフ担当。
デバフ要因は多いが、悪霊という特性上、他者を強化するものはいない。
唯一のバフ要因として指揮しながら味方を強化。数で押しつつ軍曹が首を跳ねた。
強盗魔魂で急遽突撃。
空からの攻撃や超スピードで翻弄させ、仲間をサポート。
仲間と仲間の攻撃の合間に超スピードで接近し、左腕を切り飛ばした。
拷問師魂でサポート担当。
空間接続能力は集団戦向きな能力。
後方から敵の攻撃を空間接続で返してカウンター、戦線が崩れたら自身と入れ替える等、能力を駆使してサポートした。
仲間と協力し、指揮して。隙を突いて右腕をハルバードで切り裂いた。
闇医者魂で回復と治療担当。
悪霊の中で唯一治療可能な彼が医者代わりに回復担当になった。
拷問師魂や強盗魔魂で接近し、傷ついた仲間を治療しつつ、敵から力を奪う。
弱った瞬間を狙って酒呑童子が蛇毒の呪いを駆使。黒阿修羅も同時攻撃で内臓を潰した。
他にも様々な形態となって対応。
切裂魔魂や格闘家魂で前衛、放火魔魂や銃殺魔魂で後衛、絞殺魔魂や詐欺師魂で他の悪霊をサポートしていった。
「(殴り合いや剣術は勿論、弓矢や銃の扱いも出来る上に、強化や回復まで出来るのか。見たところ強化には音楽の技術が必要みたいだが…アイツは一体何を持ち合わせていないんだ?)」
あまりの多才さに敵である太歳も関心。
勝ったら戦いだけでなく囃子でもさせようか。
戦いの中彼はそう考えていた。
好調だった。
誰一人欠けることなくいっていた。
このまま圧殺できると誰もが思っていた。
「今だッ!」
『Destroy! Omega drive!』
繰り出される必殺技。
最後はファントムがトドメを刺す。
続いてサポートする悪霊たちの一斉放呪。
ソレは太歳が放った最後の一撃、螺旋星雲をも突破。
彼の飛び蹴りが死体同然の太歳に炸裂する…。
「何をしてる分霊!さっさとソイツを殺せ!」
途端、星の光が地上に降りた。
強烈な光がその場にいる者たちの眼を焼く。
だが、ソレは一瞬で止んだ。
「く、クソ…!なんだってんだ!?皆、大丈夫か!?」
「な、なんとか防御が間に合ったぜ」
装甲が傷だらけの状態でファントムは仲間の無事を確認する。
威力こそあるが長く続かなかったおかげで致命傷は免れた。
中でも、防御に間に合ったモノは無傷に近い。
一瞬安堵する一同。
だが、ソレは間違いだとすぐに気づくことになった。
「本霊め…。余計な事を」
「………嘘だろ?」
光が止んだ先。
そこにいたのは無傷になった太歳だった。
文字通りの無傷。
死に体だった筈が五体満足に。
自刃童子の呪いで刻んだ弑逆桔梗すら回復している。
「だが、もう僕でさえ僕を止められないッ!」
溢れる神気。
神聖でありながら禍々しいオーラ。
嵐のように暴力的かつ、烈火のように激しく。
辺り一帯にまき散らされたソレを感じた者たちは、その強大さに再び恐れを抱いた。
マズい。
振り出しどころかマイナスになった。
一同は気づくと同時にすぐさま行動。
太歳目掛けて一斉放呪を開始した。
「一番厄介なのはお前だな」
「ッ!!?」
その全てをすり抜け、ファントムの眼前に現れる太歳。
さっきより格段に速い。
咄嗟に格闘戦で応戦しようとした瞬間…。
「ッ!?」
スカッと、拳がすり抜けた。
幻影。本体は既に別の方へ向かっている。
ファントムすら騙せる幻影。術に関する知識と技術、そして経験。
これもまた太歳の強みであり、自分たちは遊ばれていたと改めて気づかされる。
だが、そのお遊びもここまでだ。
「クソッ!」
『Wake up!
『Driving hell』
パーカーチェンジしたと同時に超高速で移動。
太歳の気配を瞬時に探り当て烈風の如き勢いで飛んでいく。
既に太歳は黒阿修羅と自刃童子と戦闘。…いや、撃破していた。
自刃童子の頭部を足蹴にして潰し、黒阿修羅を掴んで持ち上げていた。
仲間を囮にするようで忍びないが、その隙を突いてファントムは特攻する。
「織り込み済みだ」
ファントム目掛けて黒阿修羅を投げる太歳。
咄嗟に受け止めてしまったファントムに消滅の凶星をぶつける。
黒阿修羅ごとファントムを仕留めるつもりだ。
トンッ。
咄嗟にファントムを押しのける黒阿修羅。
ファントムを庇ったのだ。
そのおかげで攻撃を免れたが、黒阿修羅はその一撃を食らって消滅。人形へと戻っていった。
これで一人目。太歳がそう思った矢先、抜け殻になった黒阿修羅の装甲が動き出す。
「しつこい。…ん?」
太歳が装甲を鬱陶しそうに破壊する。
だがその中から現れた白い手が太歳の手に触れた瞬間、その部位を切り落とした。
自刃童子の呪い。黒阿修羅の装甲に隠れチャンスを狙っていたのだ。
同時、自刃童子が依代の人形に戻っていく。
彼女も限界だった。限界を超えて神に傷を刻み付けた。
「(ありがとう、自刃童子、黒阿修羅)」
目を瞑って二人に感謝する夜宵。
ファントムもそうしたいがそんな余裕はない。
むしろ二人の決死の覚悟を無駄にしない為、彼はすぐさま動き出す。
『Wake up!
『Dissecting prey!』
パーカーチェンジと同時に能力を行使。
ハルバードで円を描いて空間を接続。
円の中から軍曹の祈りと花魁の呪いが溢れた。
ファントムのみを避け、その場一帯を呪いと祈りが覆い尽くす。
「(空間接続を使ったという事は近くにいないのか…いや違う!)」
披甲護身で身を守りながら情報を整理する太歳。
そのことから敵の次の手を予測。
すぐさま防御しようとした途端、重力が太歳を襲う。
そのせいでほんの刹那分行動が遅れた。
だが、この場では大きな隙だ。
「ぐぉ!?」
酒呑童子が太歳を羽交い絞めにしながら、鬼軍曹が軍刀で腹を突き刺した。
分霊と統合し十全の力を振るう酒呑童子と、祈りの眼を地面に展開する軍曹。
酒呑の爪から蛇毒の呪いが、軍曹の刀から衰弱の祈りが。
ほんの僅かだが太歳の動きを鈍らせる。
「(やれ大将!)」
「(今だ戦友!)」
脳裏に二人の声が響く。
ファントムのテレパシー能力。
二人の思念の声を聞き届けたファントムはドライバーに手をかける。
【消滅の凶星:星光渦】
解放されたエネルギーがハルバードに行き届き、必殺技を行使した時には、既に二人は大量の凶星によって細切れにされ、焼き尽くされていた。
二人がくれたこのチャンス、存分に活かすつもりだ。
『Destroy! Omega drive!』
ファントムが放つブラックホール。
解放された太歳を呑み込んで幽閉。
すぐさま接近してハルバードを振り上げる。
「おおおおおおおおおおおおおおお!!!」
雄叫びを上げてハルバードを振り下ろした。
裂帛の勢いで振り下ろされた一撃。
ソレは太歳を吸収した空間の穴を切り裂く…。
「ッ!?」
半分程叩き切った瞬間、ブラックホールが弾けた。
その勢いによって吹っ飛ぶファントム。
直感で彼は追撃ではなく逃走を選択。空中でワームホールを形成し、身体を小さくして中に入り込んで離脱した。
何が起きたのか、そんなものは言うまでもない。
太歳が力ずくで空間の穴をこじ開けて脱出したのだ。
その余波に吹っ飛ばされた。それだけだ。
「逃がさんッ!」
転移先のファントムに接近する太歳。
周囲に消滅の星を展開し、転移先目掛けて繰り出した。
「させないよッ!」
「邪魔だ」
炎の蝶と重力波で阻害。
だが、消滅の凶星でソレを一掃。
ファントム目掛け第二射しようとした瞬間…。
『Destroy! Omega drive!』
繰り出された必殺技。
柄頭を合体させたリッパ―ナイフ。
投擲されたソレは赤黒いオーラを纏い、ブーメランのように飛来。
そのまま太歳の首を斬り落とした。
「ッ!?おのれ…!」
首と両腕が無い状態でファントムに殺意を向ける。
左腕はハルバードで叩き切った際にやったのだろう。
チャンスと見た花魁と御霊が一斉放呪。
そのままごり押し出来ると思いきや…。
【消滅の凶星:螺旋星雲】
再び銀河が地上に降りた。
巨大な目のようにも見える銀河。
京都御所を強烈な眩い光が照らし、内部にあるものを消滅。
膨大なエネルギーで内部にいるものを霊体物体構わず破壊。
卒業生もファントムも、ソレによってズタズタにしていく。
更に、破壊の際に生じた瓦礫が夜宵太たちへ飛んでいった。
「ッ!?危ない!」
大量の破が雨のように降る中、咄嗟にタマちゃんが夜宵を庇う。
しかし瓦礫や破片たちを完全に防げなかった。
夜宵は頭から血を流し、彼女の意識が朦朧としていく。
「―――――ッ!?」
辺り一帯を破壊し尽くす凶星。
やっと止んだところでファントムが………螢多朗が空中から地面に叩きつけられた。
ボロボロの状態で転がる螢多朗。
ファントムの変身が解除された。
螺旋星雲によるダメージで変身が解かれたのだ。
全身傷だらけの状態で血を吐きながら、螢多朗はソレでも立ち上がる。
「………」
「おいどうし…!?」
眼前にいた御霊がゆっくりと倒れる。
咄嗟に支えようするが、そのせいで異変に気付いた。
御霊の背中…いや、後ろが全て抉られていた。
ファントムを庇い、全て引き受けたのだ。
「後は…託した」
そう言い残して消えていく御霊。
彼だけではない。花魁も膝を付いて消えた。
これで残されたのはファントムだけ。
しかも変身していない。
戦況は最悪だ。
「よくここまで僕を追い詰めた。だが、ここまでだ」
太歳がファントムに接近した。
両腕、四肢、頭部、そして内臓。
全てを無くしたというのに太歳は動いている。
身体を覆うように光のエネルギーが集まって動かしている。
超高密度に集まった消滅の凶星の塊。
ソレは触れただけで霊体であろうとも遺伝子崩壊を起こし息絶える。
変身していない螢多朗では対峙する事すら危険な状態だ。
「本来ならこんな形でトドメを刺したくないが………まあ、恨むなら本霊を恨め。どの道お前を見逃す道はないこの滾り、ソレ以外に収める方法はないからな!」
「(ここまでだと…いうのか!?)」
ボロボロの螢多朗に消滅の凶星が振り下ろされる…。
「(諦められるかッ!)」
再びベルトを出現させて立ち上がった。
黒阿修羅は最後まで戦った。
ヒーローに憧れた彼は、ファントムを庇って致命傷を負いながらも、自刃童子と協力して太歳の右腕を取った。
鬼軍曹と酒呑童子も同様だ。
自身の身を犠牲にしてまで太歳の内臓を潰した。
酒呑童子に至っては騙されて式神にされたのに、最後まで戦ってくれた。
御霊は庇ってくれた。
重力波で太歳の攻撃を相殺し、変身が解かれたファントムを守り切ったのだ。
ここまでやってくれた。
何の関係も無い怨霊たちが。
螢多朗に諦めるなんて選択肢はない。
「うおおおおおおおおおおおお!」
彼は変わらぬ闘志を示し、変身しようとした。
『クライムフル!』
ちょっと雑になってしまいました…。