少し遅れましたが最新話更新、さくさく終わりまで書きたい。3話程度度終わるはずだったのに、レフィーヤ失禁から予定が狂いましたがなんとか終盤。
全8話、完結まで後少し!
我ながら少しだけオーバーなリアクションをしていた。実際、この状況で思い出さなくてもいいことを思い出してしまったからいい気分はしない。
でも、それが今は良い効果になるのではと、僕は思った。
抱きしめたレフィーは、僕を支えるために自分を奮い立たせた。僕が弱ったから、自分を奮い立たせることができた。
守られるだけじゃない、そう自分を想うには何よりもまず行動だ。成果がいる。
マッチポンプ、だなんて言われればそれまでだ。でも、結果が最良になるのなら、多少情けなくなるぐらい別にいい。体面なんて、どうとでも
「……あ、あの」
「なにかな?」
「さ、さっきのって」
「!」
バレる、そんな言葉が脳裏をよぎる。だけど、考えている様子のレフィーヤさんは
「…………なんでも、ないです
口を開く前に一回、たまった唾液を嚥下してみせた。
「やっぱり、なんでも……行きましょう、ベル」
「————……そうだねレフィー」
言葉を並べる必要はない。
今のレフィーヤさんと僕は、もう大丈夫だと胸を張れる。
<<6番通路>>
怯えて背中に隠れるレフィーヤさんはもういない。堂々と、この起きている異変に挑もうとしている。
僕の先を行って、積極的に通路の異変に目を配らせる。
さっきまでとは逆だ。
「引き返しましょう」
「!」
通路から顔を出してすぐ異変に気付いた。向かってくるおじさんの後から遅れて、全く見たことのない男の人が二人こちらへと向かってきて、そして道半ばで止まった。
もう、今さら驚くことは無いタイプの異変だ。怯えて竦んでいたレフィーも、どこかシュールな芸風に首を傾ける感じで、さらっと踵を返した。
「……あれ、進んだらどうなってましたかね」
「それ、考えなくてもわかりますよ」
「……だね」
八番出口の通路の異変は様々だ。奇妙で奇怪で、驚異で悍ましい。タイル男よろしく、こちらに直接危害を加えてくるに違いない。
気になって近づいて、異変に怯えてさあ引き返そうとすれば、瞬時に背後に回られて捕まったり。うん、想像に容易い。
<<7番通路>>
通路に出て、まず見るはポスターと扉の有無。次に、天井の照明と床のタイル二種。
見て、進んで、奥にも警戒して、何かが起こる予兆が無いことでひとまず安堵する。ここで見るべきは、些細な異変。
気づけば8番通路、ゴール目前へとたどり着く。
……わからない、どこにもおかしい所は、ない?
奥まできて、引き返す。上の看板にも変わらず出口を示す一文が書いてある。読めない文章だけど、矢印と数字で八番出口を示していることだけはわかる。
読めない文字の書かれた扉も、特に異変は見えない。往復して目を凝らしてみ帰すけど、ポスターも同じ、扉も変わらず開かずの扉。
「……ベル、こっち」
「!」
「これ、これ見てください」
「……何か、見つけたの?」
「えぇ、きっとこれです」
レフィーが待つポスターの前、指さし示すのはそのポスターが張られている壁。
レフィーの指先がタイル張りの壁をなぞる。線に沿って、降りる指先がポスターの辺と角をなぞった。
「大きさ、変わってます……このポスターの大きさ、本当なら横の長さも縦の長さも、ちゃんとタイルに収まっていました。整数に収まっていた、だけど……今は」
「……はみ出ている、というか、これ」
凝視して、ようやく気付く。
微弱ながら、ポスターはゆっくりと拡大していた。少し離しておいた指先に、大きくなるポスターの角が届いてしまった。
「異変ですね、間違いなく」
見つかればもう用はない。躊躇いなく、僕らは来た道を引き返す。
先に待つおじさんの横を一瞥して通り抜ける。
問題なく、僕らは正解の道へと至った。
<<8番通路>>
7番出口の看板から出てすぐ、異変は見つかった。
「あれ、あの隅にある黒い球体……あれ、光ってました?」
「……撤退しましょう、ほらすぐに」
レフィーが僕の手を掴んで引っ張っていく。
疑ったら即行動。なんだろうと顔を前に出して変な光線でも飛んで来たら大変だ。
うん、冗談にならない。ありそうだ。
「見てください!8番の表示です!」
「!?」
終わった異変のことなんてすぐに吹き飛ぶ。
初めて到達したゴール直前、しかしまだ道は続く。
この道の先、進むか引き返すかで8番出口にたどり着く。
「ゴールは目前だね、でも道はある」
「……まだ、試してくるはずです。ベル、体の調子は大丈夫ですか?」
「うん、全快とは言えないかな……結構、キてる」
腕を回し、軽く飛んでみる。
妙に疲労が溜まっていて、正直今にも腰掛けたくて仕方ない。
この状態で、また用ー意ドンな逃走劇をやれとなれば、かなり厳しい。
……休む、いや
「ベル、無理をしないでくださいね……わたし、嫌じゃないならその……また、しましょうか?」
「……ッ」
両腕を開く、ハグをする構え。恥じらいながらも勇気を出すその姿勢は、かなりクるものがある。
だけど、今は
「……急ぎましょう」
「でも、私にばかり負担をかけていたんです……無理、しないでください」
「…………大丈夫、確かに無理はしてるけど」
心配して、こちらを伺う。
善意は受け取る。受け取ったうえで、今は
「無理は無理だけど……出来る範囲で無理をしている。それに、いざとなったら頼るから」
「……ッ」
反芻するように、僕が言ったその言葉を繰り返す、その言葉に喜びを感じているからの反応。
だからか、いった言葉で相手を赤面させたからか
……恥ずかしい、なんだろう
励まして、二人一緒にさあ異変に挑もうとなったのは良い。
いがみ合った関係から進んで、気づけば名前で呼び合っているのも、問題ないことだ。
だけど、それでも僕らは妙な気分のようだ。
「……さ、先を急ぎましょう」
「え、えぇ……そう、ですね」
二人だけの閉じ込められた環境。
ようやく見えた終わりで気が抜けているかもしれない。気を引き締めろ、そんな思いで頬をはたく。
「……行こう」
「か、顔……強くたたきすぎてませんか」
「……かもしれない、でもいいんだこれで」
終わりが見えている。ならば、悠長にしている時間は無い。
8番出口はもうすぐそこだ。
〇
「おじさんは、来てますね」
「大きさも変わりません……速さも、顔も相変わらずです。少しは笑ってみればいいんです」
「異変だね、それ」
軽口を交えて、何事もなく通り過ぎるいつものおじさんを一瞥。
先へ進む。ポスターの状態、扉の有無、何も異変は無い。
「……これは、どうでしょう?」
「引き返す。いや、まだ判断は……」
…………じり、ジリリリリ
「!」
「引き返しましょう、急いで」
手を掴んだ、調子が戻ったとはいえ僕の方が早く動けるから
けど、手を取った瞬間。またしても
……ブツンッ!?
「きゃあッ!?」
「離れないで、僕の傍に居てッ!!」
また、同じ暗転。
けど、扉が開いた様子はない。もしかしてまた通路から何か来るのか?
気を張り巡らして、万事に備えろ。何が来るッ
いったい、何がッ!
……ジリリ
「「!」」
サイレンが鳴る。本能的に警告を告げる音、いたるところから反響して
感覚を狂わせてくる。まるで、拷問の様に
「……ッ」
————ジリリリ、ジリリリリリリッ
————ジリリ、ジリリリリリリイイイイイッ!!
……何が、起こるんだ
起きる事象に神経を尖らせる。
耳うるさく騒ぐこの警報にも、何か意味があるのかと注意を割いて。
出るな
「!」
明確に聞き取れる言葉がした。受け取ってしまった耳から悍ましい感覚が走ってくる。
……何が起こる
敵か、仕掛けか
身構えて、ナイフを握って備える。
けれども、起きてしまう異変は、想像の遥か外
……出るな、出るな
「なに、声?」
「……レフィーも、聞こえるの」
「えぇ、聞きました……気味が悪い、何この音」
……出るな、出るな出るな
聞える、嫌なぐらいに聞こえ続ける
八番出口、あとすこしでこの空間から脱しようとする僕達に憤りを見せているみたいに
理不尽に、悍ましい
泥の底から声を響かせて、僕らをここに留めようとしてくる。
…………出るな
そんな意図を感じる。不可思議な声
出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな出るな
「……ッ!?」
とっさに耳を塞いだ、塞いだけれど、音は手を突き抜け頭蓋で大反響を起こす。
あまりにも明確な意図、最後の最後で待ち受ける異変に対して、僕らは改めてこの状況が異常であることを理解した。
「……ぁ、嫌ぁ……ぁ、ベル……離れないで、傍にッ」
「!」
抱き寄せて守るように、この暗闇と怨嗟の中でレフィーに意識を向ける。
最後の最後で殺しにかかるこの脅威、異変の罠の坩堝に立たたされていると理解した。
……バツンッ
……バツンバツンバツンッ
明転、天井の灯が四方から照らし出す。真っ赤な血だまりの底、床も壁も一面全て血みどろの中、臓物の中に潜り込んだような光景が周囲に広がる。
「……なんだ、これ」
通路の中、生々しい浸食を受けているも壁面にはポスターがあり、扉もある。
四方を囲む道、僕らは一方通行ではない、十字路の真ん中に立っていた。
「ひどい、匂い……ん、んうぅ————————ッ」
「れ、レフィ……あ、大丈夫、大丈夫だから」
吐しゃ物の落ちる音。無理もない、正直僕も吐きそうだ。
死臭がひどい、まるでここで多くの人が潰えたかのように、悍ましい死臭があたり一面から逃げ場なく襲ってくる。
「……けほ、ごほッ……ぁ、ああぁ……もう、本当に最悪……絶対、こんなところで終わりたくないッ」
吐き散らした口を乱暴に拭って、弱った顔で懸命に気力を絞る。
そう、状況は最悪。さんざん辛酸を舐めさせられた。不愉快な思いもした。
でも、それでもこれで最後だ。
「……異変、でもこれは」
見つけるべきは何か、それぞれが8番出口を示す看板を天井からぶら下げている。
はたして正解はどれか、そう言いたいのだろう。
「ベル……どうします、イチかバチか」
「……保証は無い。なんだか、嫌な予感がする」
失敗すればふりだし、なんて甘い結果に済みそうにない。
等しく、全ての道から死の予感をバチバチに感じている。それは、レフィーも同じだ。
「道は四つ……運試しじゃない、謎解き?」
「ベル、足元のこれ……」
「!」
【正しい標書きは一つのみ】
【制限時間、3分】
「……なッ」
血が逆流したのかと思う程の衝撃、動揺しながらも僕らは取るべき行動に移る。
踏み出す。十字路の中央から出てそれぞれの看板に目を向ける。時間制限、何時から数えられていた?もう何秒経ってしまった?
……ここにきて、こんな追いつめ方なんて、質が悪いにもほどがあるッ
残り少ない、あっておそらく2分と少し
東西南北の通路にこれ見よがしと下げられた看板、腐肉に塗れた光るその板には、確かに読める文章で書かれている。標書き、なる文章が。
「8番出口は、この通路の先……レフィー、東は!」
「東は……北と南のどちらかは生の道、二択ですッ」
交差して、次に目を向けるのは南の通路
情報を整理すると、つまりはこうだ
【北の通路 この通路の先に8番出口はある】
【東の通路 北と南の通路のどちらかは生の道】
【南の通路 西の通路は贄の道、馳走となっては生きる術無し】
【西の通路 北と東の通路は死よりも恐ろしい地獄が待つ】
「こんな……あぁ、くそッ……落ち着け、焦るなッ」
わかっている、知っている。これは論理パズルだ。
複数の証言の中から嘘つきを見付ける問題。矛盾を突いて謎を紐解く
やったことはある。エイナさんが暇つぶしに出題してきたことも、だけどその時だって
「ぁ、えっと……違う、どっちだ……あぁ、くそッ」
焦る、判断が狂う。
あと何秒だ、何秒残されている。
解けそうなのに、頭が回ってくれない
力じゃどうにもならない。それに、こんな焦った頭でまともに問題を解けだなんて
「————……ッ」
イチかバチかの4分の1その選択肢が脳裏をよぎった、そんな刹那
「……北は違う、自己に対する言及は大抵すぐ矛盾する。北は嘘つきです」
「!」
迫るタイムリミット、腐臭漂う悪環境で、気高く髪をかき上げて論理に挑もうとする姿を見た。
「学区にいた頃、数学でやったことがあります……大丈夫、そんなに難しい問題じゃない」
屈した僕を抱え上げる。勇ましい、見上げる横顔には、さっきまでの焦りなんてどこにも見当たらない。
一人じゃない。忘れるな、ここにはもう一人、頼れる仲間がいた
「安心して、ベル……私が解きますッ」
今回はここまで、ちょっとやりすぎな展開かなと思ったけど、まあ二次創作だし、改変いっぱいでもいいよね。
論理パズルですが、こういうロジカルに頭使うの苦手、というか数学嫌いなのでなんで採用しちゃったのか。間違ってたらご意見ください。すぐ訂正します。
感想・評価等頂いて大変励みになっています。感想でレフィーヤ曇らせにテンション上げてくれる読者ニキがいると知れてうれしそす