昔の友達がイケボでアトミックしてる俺はどうすりゃ良いですか?   作:富竹14号

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 なんか二日ぶりに書くと色々忘れてた、展開どうしよ?


意外と情無し

 

 

 あれから三年くらい経った、色んなもんぶっ飛ばして三年くらい経った。

 

 その間の俺の人生は…まぁ一言で言うなら充実したものだった。

 

 シドという全力でぶつかっても死なない相手に夢を語り合える相手、法も倫理も向こうの世界と比べて緩いから殊更好き放題出来るしで、まぁ充実した人生とも言えるだろう。

 

 あれから組織を拡大させる為とか言ってあっちこっちに出かけるアルファが、それこそ犬猫鳥を拾うみたいにポンポン悪魔憑きの子達を拾って帰ってくるせいで家を子供用に改築及び増築しなくちゃいけなくなったけど…まぁ、そこはそこで色々と楽しかった。

 

 唯一問題があったことと言えば…あの馬鹿が口八丁で作り出したはずのディアボロス教団が実在しちゃってたってことである。

 

 いや、何かおかしいとは思っていたのだ、なんで口八丁で生み出された架空の組織の名前を聞いたことがあるんだろうとか、なんで妙に既視感のあることを的確に言ってくるんだろうとか。

 

 そして、そこまで気になってしまっては確かめずにはいられなかったと言うか何というか、俺はとにかく色んな場所から情報を集めまくって、そこで得た点と点を繋げていった。

 

 …まぁ、その道すがらでまぁまぁ色んなことがあったけど、それはどっかに置いておくとしてだ。

 

 結果として分かったのは……ディアボロス教団が実在しちゃってるという確固たる事実だった。

 

 最初は呆然としたし唖然ともした、何度も何度もその事実が本当に事実足り得るかを確認し立証し、そしてそれが間違いない事実であると証明してしまった時の衝撃は、今でも覚えている。

 

 洗脳に児童誘拐、歴史の改変やら人体実験やら何のその、どいつもこいつもド外道な組織…如何にもな悪で外道な組織、それがこの世に普通に存在しちゃってたのである。

 

 恐らくこの存在を認知していないのはシドだけで、多分俺を含むシャドウ・ガーデンの人員はみんな周知の事実としてこれを広めている…頭が痛い。

 

 なんで頭が痛いかって、その当の親玉のシドがこの事実を一欠片と信じやしねぇってことである。

 

 一応それっぽい組織があることも教えたし、資料だって渡してみたりもしたのだが…こいつ全然信じないし資料に至っては小道具扱いだ……手が込んでるねとか言われた時は割と本気で殴り飛ばしてやろうかと思ったよな実際。

 

 

 …まぁ、そんなこんなで俺は13歳になった、身体も結構大きくなって出来ることもある程度は増えてきた、二年もすればやりたいことは大概全部出来るようになるだろうとは思う。

 

 実際つい最近は───

 

 

 

 

「やっほー盗賊狩りしに行こうよレンー!」

 

 そんな感じで過去を振り返っていた俺の耳に、何一つ変わらない馬鹿みたいな声が聞こえてくる。

 

 この世の悪の権化、それを無自覚に潰して回っている男の声だ、当然そこには覚悟もクソもありはしない。

 

 ペンを置き、ガリガリ書いていた日記帳を閉じて、俺は今尚アホらしい声で俺を呼ぶ声の方向に足を向けた。

 

 

 

 

 

 

 

「貴様…貴様貴様貴様ァァァァァァっ!!!!」

 

 

 そして、何故か今はこうなっている。

 

 目の前で何やら喚き散らしている女を前に、俺は遠い目をしていた。

 

 

 一応、意味が分からないだろう人の為に言っておくとだ、俺はあの後シドに連れられて盗賊狩りに行った。

 

 なんでもシドの姉が攫われたらしく、シドは一応は姉だからと助けに行こうとしていたわけだ、それとついでに陰の実力者ムーブでもしたかったんだろう…いや、もしかしたらそっちが本命かもしれないけど。

 

「死ねぇぇっ!!!」

 

 そう言って血走った瞳を揺らしながら俺へと斬り掛かってきた女の剣をひょいっと躱しながら、俺はため息を吐く。

 

 話を戻そう…そうしてやーやーと付いて行った先には何故かアルファ達シャドウガーデンの幹部…『七陰』が居た。

 

 『七陰』…まぁ言ってしまえばシャドウガーデンの中でも特に突出した能力を持った者達、一人だけ武力もクソも無い奴が居るけどそこは頭脳でカバーみたいな感じで、とにかく能力が突出して強い者達だ。

 

 そんな奴等が集まってるって時点で…ほら、もう分かるじゃん? 盗賊どころの騒ぎじゃないって分かるじゃん? 教団案件じゃん?

 

 盗賊相手にぶつけるにはあんまりにもあんまりな超過剰戦力…うん、それが居るって時点で察しは付くし、なんだったらその一人がわざわざ俺に報告してくるから分かるよね。

 

 というか七陰の中には俺が教団についての情報を集めている中で助けた子もいる、だから今のあの子がどんくらい強いのかとか普通に知ってるのもあって余計に過剰戦力感が強い…だって下手したらそいつ一人で事足りるもの。

 

 教団の支部…シド曰く盗賊の根城に俺達は殴り込んだ…何時の間にか居なくなっていたあの馬鹿を除いて。

 

 虐殺に鏖殺…見てる俺が可哀想になってくるくらい勝負になってないそれを見ながら、俺も俺で適当にバカスカ殺しまくった。

 

 逃げるやつも逃げないやつも等しく例外を残さずみんな殺して殺して、時たま実験がてら色々と試したりもした。

 

 まぁ、そんなこんなでここのボスっぽいのも追い詰めて、追い詰めすぎて逃げられて、アルファの言葉的に多分偶然先回りしちゃっただろう親友に任せよう的な感じになった時に、部屋の奥から目を血走らせた女が出てきて───

 

 

「しねシネ死ねぇぇぇぇえ!!!!!」

 

 

 今に至る。

 

 目から血管が浮き出て今にも充血しそうなその瞳にただただ只管に殺意と憎悪と怒りを載せて、女は闇雲に剣を振るう。

  

 精細さなんて何処にも無い、ただ力と魔力と技をあらん限りに振り回すその女の姿に、俺は再びため息を吐き…徐ろに女の瞳に指を突き入れた。

 

 隙だらけの姿、剣を振るった後に生まれるあまりにも大きすぎる隙にまるで自宅のドアを開けるような気楽さで、俺は間合いに踏み込み女の瞳を指で潰す。

 

 ぐちゃりと突き入れられた指が瞳を潰す感触、あまり気持ちの良いものとは言えないそれに顔を顰めながら、痛みにのたうち回る女の身体を遠慮無く蹴飛ばす。

 

 瞳があった箇所から血を撒き散らし、それと並行して口からも大量の血を吐き出すその姿に若干の違和感を覚えつつも、俺は女へと冷たい視線を向けて、言葉を放つ。

 

 

「で、誰だよお前?」

 

 女性に対する優しさとか一欠片も無い、ただただ面倒臭そうな態度すら隠しもせず、俺は女へと問いかける…お前は誰だと。

 

 その言葉に反応してか、それとも単なる怨嗟故の行動なのか、女は手探りで剣を探り当てると同時に剣を振るい、俺がそれを素手で摘んで受け止める。

 

 遅いし弱いし修行が足りん、後十年くらいは剣振ってこいと言いたくなるようなお粗末な剣閃…それを受け止められたからなのか、女は堰を切ったように言葉を発し始める。

 

「お前の…お前のせいだ…!! お前さえ生まれなければ…全てが…!!!!」

 

 そう叫ぶ女の空いた目から血涙のように血液が流れ出す。

 

「お前なんて生まれなぎゃ良かったんだ! そうすれば私達家族は今も一緒にいられて、何も考えずに済んだんだ!! お前さえ生まれなきゃ私達は今でも幸せだったんだっ!!!!」

 

 狂気を撒き散らしながら、しかしその中に見せる悲哀とか言うか悲しみというか、それだけとは言えないものを俺へと吐き出したながら、女は俺へと拳を振るう。

 

 振るわれた拳を立ち位置を変えるだけで躱し、躱された女はその勢いのままに前方へと身を投げ出す。

 

 べチャリと惨めに転んだ女の肉体を中心に、大量の血液が洪水のように流れ出していく、そろそろ出血多量で死にそうなのだが、それても女の口は止まらない。

 

 

「お前が我等を裏切ったあの日、あの日から全てがおかしくなったのだ…真実を知った母は私達に声すら掛けず家を出ていき、父は酒に溺れ、部下達は次から次へと貴様らに殺されていった…!」

 

 全て貴様のせいだ…そういう女は足に力を入れて立ち上がろうとするが、それすら出来ずに血に滑って転んで頭を打つ、その痛みすら知らぬと言わんばかりに再び立ち上がって俺へと手を伸ばし、最早嘆きや懇願にも近い形で、その言葉を放つ。

 

「死ね…頼むから死んでくれ、私達の前に現れないでくれ」

 

「返してくれ、返してくれよ…あの日の、幸せだった私達のあの日を…頼むから」

 

 ゆらりゆらりと、まるで幽鬼か何かのように手を伸ばして俺へと向かうその様は、最早人のそれではない。

 

「返してくれ…返して───」

 

 返してくれ…そう言う女の胸から、剣が飛び出した。

 

 突き抜かれたのは心臓の位置、何が起きたか分からないと言った風に歪む女の顔に、何か言おうかと口を開く前に剣が抉られ引き抜かれる。

 

 鮮血…背後へと飛び散る血の塊、それに反比例するように女の身体は前へと押し出され、その先に居た俺へと抱きつくような形で身体がぶつかる。

 

 俺の首を支えにするように手を回して、俺も俺で思わずと言ったように女の身体を抱きとめてしまう、すぐに離そうと思ってもガッチリと身体を捕まえられているせいで中々外れてくれない。

 

 そんなことに四苦八苦している俺の耳元で、女が悲しみに暮れたような声色で一言呟いた。

 

「どうして…どうしてなんだよ───」

 

 

───シン

 

 

 何処か泣きそうな声で呟かれたその言葉を最後に、女はまるで壊れた人形のように崩れ落ちた。

 

 最早限界だったのだろう、人体ではまずあり得ないような曲がり方をした足を中心に、音すら立てず全ての骨や関節があらぬ方向に折れ曲がりながら女は地面へと投げ出される…その瞳からは、相も変わらず涙のように血が流れ落ちていた。

 

 

「…『ブラド』」

 

 俺の名前を呼ぶ声が聞こえる…因みにブラドって言うのは俺のコードネームみたいなもんだ、シドが何時の間にか名付けてた、なんでも血を操る姿が吸血鬼ぽかったのだそうだ、俺としては結構気に入っている。

 

 視線の先には頭から猫耳…というより豹かもしれないけど…まぁ、そんな耳と尻尾を生やした女の子、リリム……もといゼータが何処か心配そうに俺のことを見ていた。

 

 いや、ゼータだけじゃない…アホのデルタを除いて全員が何処か悲痛そうな瞳で俺のことを見ている、何が何だか分からんけど何故だが瞳に涙を浮かべている子さえいる。

 

 傷なんて負ってないのになとか考えながら、俺は笑みを浮かべて早く先に行こうと七陰達に言葉を掛ける、まだ終わってないぞと視線で促しながら。

 

 そしたら、何か覚悟を決めたような目で見られた…だからなんで?

 

 

 







 色々あって身体がボロボロだった、弟に愛憎に近い感情を抱いていた。

リトン家

 普通に没落した。



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