超昂どうでしょう 謹賀新年! 2024年ルビーちゃんカレンダー撮影 作:環 藍河
こんばんは、超昂どうでしょうです。
年末に突然始まった、2024年カレンダー撮影。
カメラマン・ライカのエスカレートする悪ノリに、ダイビートのマスコット・ルビーちゃんは翻弄されっぱなし。
しかしこれは中の人、エスカ・サファイアを地獄のクルーズ船ツアーに誘う、狡猾な罠だったのです!
イノリにパスポートを突きつけられ、絶体絶命のルビーちゃん。衝撃の最終夜、ご覧ください。
2023年12月某日 10:47 JST
ダイビート基地 ジェットヘリ離着陸ポート
日本出国まで 00:43
出国手続きを待ち、ベンチに座り肩を寄せ合う3人。
「ククク…サファイアさん、ぜひ! 今のお気持ちをひと言。」
「一人より二人、二人より三人。案ずるな、初・海外。」
作戦を成功させ、カメラマンは例のゲス顔で、イノリは根拠の無い自信で、拉致したサファイアを挟んでほくそ笑む。
「…事情を聞かせろ。」
ライカに足下をすくわれた屈辱を押し殺しながら、サファイアが声を絞り出す。
「頭領命令とはいえ、あたしだけ紙袋ラスボスのためだけにクルーズ船に乗らされるなんて、つまらないじゃないですかぁ~。」
「旅は道連れ、世は情け。袖すり合うも多生の縁。」
「そ…それだけか…っ?!」
ここで説明しよう。
昨日早朝、閂港を出立した、第2弾「超昂戦士と行く豪華クルーズ船ツアー」の目玉アトラクション、『超昂戦士危機一髪! シージャック奪還作戦』。
悪の首魁・紙袋ラスボス閃忍として果敢にエスカ・ルビーたちを苦しめ、最後は華々しく幽霊船と共に轟沈するライカさんの生き様は、誰もが涙を呑む珠玉のパフォーマンス。
(※詳しくは弊社SS「ひと夏のメモリアル! 超昂戦士と行く豪華クルーズ船ツアー」をご覧下さい。)
…だがライカさん、オファーを受けて一つだけ不満があった。
そう。
「おかしいでしょーーーっ!!
何で年末にあたしだけ、遊べもしないクルーズ船に乗せられて!
溺死寸前・命がけの重労働を強いられるんじゃーーっ!!」
加えてライカには、迫る年の瀬、どうしても納得いかない恨みがあった。
「今年はいいこといっこも無かったわいっ!!
大体、相棒イノリ救助のため孤軍奮闘したあたしが、褒められこそすれ、何で罰ゲームツアーに引きずり回されねばならんのじゃーーーっ!!」
ヒビキの手によりライカとイノリ、さらに外法天りるか・改め閃忍リルカ、お目付役のムツカを加えた4人は上弦衆の疑念を払拭する贖罪ツアーに強制送致され、とことんヒドい目に遭わされたことは、記憶に新しい。
…もちろん、ライカの自業自得、逆恨みもいいところだが。
「おのれ、おの~れえ~、エスカ・サファイア! この恨み、晴らさず年が明けると思うなあ~!」
(!!)※電球ぴっかり。
そう。
これはご立腹のライカが次の瞬間、満面のゲスの極み笑顔でひねり出した、言わば腹いせ。
「ダイビート2024年カレンダー撮影に見せかけた、エスカ・サファイア拉致計画」だったのである。
……
…
既にクルーズ船が出港してから30時間弱が経過、太平洋上をゆったり時速20ノットで航行中。
だが今回はダイビートのジェットヘリで後から追いかけて着船。
公海上に出るため出国手続きが必要だが、ちゃんとアトラクションに間に合ってしまうのである。
「よーし、行くぞサファイアー。出撃だー、出国だー。」
「クククっ…いいですかぁ? 初海外は油断禁物、ジェットヘリの機内は超昂戦士を容赦なく襲いますよお~?!」
「なっ…!?」
ライカさん、旅の心得をレクチャー。
「基地を発ったら、クルーズ船まで3時間。
どっかのリゾートバカンスじゃあるまいし、ふかふかソファーで快適ツアーだと思ってませんかあ?
機内は我々を襲いますよお~? ジェットヘリの椅子なんか、ガッチガチでえ、お尻が痛いのなんの!
さらに我々、スーパーの野菜かってくらい、白い冷気に襲われますから!」
…ダイビートの戦士輸送機って、そんな劣悪環境なのか…?
「言っときますけどサファイアさあ~ん? あなた、こんなひらひらの服じゃ、真っ先に風邪ひきますよお~?」
「サファイアー、閃忍たるもの、常に長袖。」
「お…お前たちだって装身したらひらひらだろうがあああっ!!」
「3時間凍えて、やっと体が慣れてきた頃にい、クルーズ船ですよお~?
中途半端で寝るに寝れないまんま、ヘリポートに着船ですからねえ~?」
さながら、乗り継ぎ路線バスにやられるタレントである。
「デッキのプールサイドで日射しいっぱい、ぽかぽかのびのびくつろげると思ってませんかあ~?」
「そうだぞサファイアー、なめてんのかー。」
「イ…イノリはこの夏、クルーズ船で遊び呆けただろうがあああっ!!」
「サファイアさんだって、転校したとは言え、元・月想館センニン科。
頭領命令ですからねえ、ひとっ働きしていただきますよお。
既にわたくし、今回のアトラクションにぴったりの衣装をご用意してますから。」
ぴったりの、衣装?
「イノちゃん!」「あいよー。」
(…!!)
イノリの突き出すアイテムに、サファイアさん顔面蒼白。
「何を持ってきてるんだ、お前らあーーーっ!!」
紙袋(目出し)。
「既に牧子たちセンニン科は閂港から乗船済み、昨日からお客さんのアテンド、そしてこの後はシージャック犯の兵隊役ですよお。
せつにゃ様もこいぬ様もいますよお。どうぞ、サファイアさんもおひとつ。」
「ラ…ライカっ、お前ええええっっ!!」
11:23 JST
ダイビート基地 ジェットヘリ 機内
日本出国まで 00:07
「…サファイア、それ…」
ばたん。
座席上の収納スペースに、ルビーちゃん一式(圧縮済み)を収めるサファイア。
着ぐるみはぺったんこだが、膨らみを支えるつっかえ棒がはしごのように伸び、これはコンパクトにできない。
さらにバッテリーファン2個と予備バッテリーをケースに収め、無言でロックを掛けて座席に腰掛ける。
11:30 JST
ダイビート基地 ジェットヘリ 定刻通り出発
(…。)(……。)(…うう…っ…!!)
早朝からの撮影による、寝不足と疲労の蓄積。
ライカ・イノリ・サファイア…3人とも漏れなく、平等にやられていた。
14:30 JST 日本から南へ約1000km
カレンダー撮影班 あとらんてぃっく・のあ号へ着船
「…サ…サファイア…なの?」
「…アカリ…」
ヘリを出迎えたアカリの前に姿を現した3人。
「ラ…ライカちゃん?」「ライカちゃんってダレデスカ-?」
「…イノリちゃん?」「うぶっ…げぷっ。」
魂が抜けきったあまりにも沈痛な面持ちのサファイア。
おみまいされた表情を見せまいと、早くもラスボス紙袋のライカ。
そしてイノリはヘリ酔い。
三者三様にやられながらも…
「ククク…死なばもろとも。サファイアさんにおみまいを果たし…一片の悔い無し。」
「行くぞサファイアー、吐くときは一緒だぞー…うぷっ。」
(お…お前ら…!)
自分よりへコむ心中相手がいることに気力を支えられる主役たちであった。
【十一月】
「それじゃあルビーちゃん、バカンスらしく笑って笑ってー!」
改めてルビーちゃん(ハワイアンな腰蓑とパレオを装備)、クルーズ船・デッキのプールサイドでビーチチェアに寝そべり、カクテル片手にバカンス満喫の絵ヅラ。
「あ…あははっ…。」
本物のエスカ・ルビーも横に陣取り、苦笑い。
じゃこっ、じゃこっ、じゃこっ…がしゃこん。
「…ルビーちゃん、腹ばいに寝そべって! 悩殺ポーズとか欲しいんですけど!」
(……。)ごろんっ。
「『《…っ!!!》』」
指示されるまま、ポーズを取るルビーちゃんだったが…グラビア定番の、胸の谷間や上乳を強調するポーズはでっかい頭で封じられた。
取れ高は、ただうなだれるルビーちゃんだけ。
「ルビーちゃん、諦めないっ! 腕立て伏せで胸を見せる! さんっハイ!」
「や…やめてえええっ!?」
自らの分身が辱められる様子に悲鳴を上げる(本物の)ルビーだったが…
ぐぐぐっ…べしゃっ。「ぶっ…!!」
頭があまりに重すぎて、ルビーちゃんはシャチホコのごとく前のめりに卒倒。
「…ゴメン、あたしのディレクションが間違いでした。」
カメラマン、反省。
【十二月】
「それじゃラスト、皆さんポーズいただきます!」
「こ…コレ、ホントにカレンダーになるんですか?」
「当然ですっ!」
まずはエスカレイヤーとルビーが、ルビーちゃんを両脇から囲む。
「勝利のポーズで行きましょう! はいっ、チーズっ!」
がしゃこん。
続いてはハルカとエクシールが混ざり、レジェンド3人とルビーの4人でルビーちゃんを囲む。
ギリギリまで寄って、アップで…
がしゃこん。
「はいっ、オールオッケー、クランクアップです! 皆さんありがとうございましたあーーっ!」
【終了】
「ククク…これで臨時収入、たんまりゲットなのだっ! 2024年は出だしから懐ほくほく…ダイビート、バンザあーイっ!」
「…ライカ。これ、任務。報酬はお給金にコミコミ。」
「イノリちゃ~ん、そうはいくまい。
何しろ写真はすべて、このライカちゃんの著作物。それを使ったポスターで頭領がひと儲けとあらば、あたしに見返りが来るのは必然っ!
無報酬などという人倫にもとる処遇が来ようものなら、あたしは法廷闘争も辞さないっ!」
「おお…ライカの銭ゲバぶりが発動。」
「あたしはダイビートを相手取るよおおっ!!」
「…ライカ。法律を出すなら、この写真はお前の著作物ではないぞ?」
「え? やだなーヒビっさん。間違いなくあたしが構図を決めて、あたしが撮ったんスよ?」
「お前…『職務著作』って知っているか?」
職務著作(著作権法15条)
「若頭領がダイビートの企画としてカレンダー発行を企画し、お前には業務として撮影指示をした。
当然、販売するカレンダーの発売元はダイビートだ。
この撮影のためにお前と若頭領が特別な契約をしたわけでもない。
するとこの写真は、著作権そのものがダイビート(法人)に帰属する。」
「…つまり?」
「このカレンダーがいくら売れようと、お前の金銭的利益に法的保護はない。」
ライカさん、またもタダ働き。
「あ…あががっ…!」
ぽんっ。
「ライカの法律知識は、いつも聞きかじりだな!」
「う…うるさいこのノロイっ!」
「大丈夫。頭領のお年玉にご期待ください。ライカー、新年も突撃だー。」
「チ…チキショーオオオっ!!」
2023年、師走。
イノリは今年三度目の航海に心躍らせ…
ライカは今年も最後まで奉仕に勤しみ…
ヒビキははじめての海外に、ちょっぴり苦い思い出を作りました…!
【エンドロール】
《出演》
カメラマン/紙袋閃忍 鈴森ライカ
ルビーちゃん(操者) 戦部イノリ(一月)
加古野ヒビキ(二月~十二月)
正月サファイア 加古野ヒビキ
侍(鬼退治) 切子瞳
斗羽大洋
内裏(桃の節句) 可南太翔
新入生(入学式) ピカ
王衣衣
クーレー・ヴィダーヒ
駄馬 ニコール・クワドリガ
鯉のぼり 春雛うらら
灰崎瑠璃
JC(かえりみち) 四方堂リコリス
鳳アカネ
織姫(声の出演) 虹村カナデ
彦星 不破竜胆
釣り人 リーマ・スハルト
ラメール・フェアバンクス
月のうさぎ 神騎カノープス
小学生(遠足) クルル・センテネラ
奉輪こもり
1024
マリア・カスタード
引率のお姉さん(遠足) 浅野アヤカ
鎖々鎌くさり
エスカ・リバース 鷹刃春霞
メイキング進行(兼撮影)フェリニア・クレアライズ
ツアーゲスト
園崎アカリ/エスカ・ルビー
高円寺沙由香/エスカレイヤー
鷹守ハルカ/閃忍ハルカ
エリス・エクシリア/神騎エクシール
《スタッフ》
ツアープロデューサー クラリス・メルクーリ(NAU)
ルビーちゃん衣装 制作協力 高円寺さやか(DIE-BEAT)
協力 NAUクルーズ社
月想館学園センニン科のみなさん
あとらんてぃっく・のあ号船員のみなさん
スペシャルサンクス
戦部トキサダ(DIE-BEAT長官/想破上弦衆頭領)
「超昂戦士と行く豪華クルーズ船ツアー」参加者のみなさん
【ルビーちゃんの使用にあたっては
ダイビートとのライセンス契約を締結し
パブリシティ権等について
権利者承諾の範囲で
使用を認められております】
制作著作 超昂どうでしょう制作委員会
筆者です。お読みいただきありがとうございました。
クロスオーバー作ということを差し引いても、お楽しみいただける人が相当限られるこのシリーズ、根気強くお読み下さった皆さまに感謝申し上げます。
次回作は現在鋭意執筆中、なるべく早くお目に掛けたいと思いますが…2つ宣言いたします。
まず始めに、次作はちゃんと超昂大戦SSです。ノークロスオーバー、純度100%・混ぜ物ナシです。
そして…今回は弊社でできるギリギリのドキドキを追求します。「勝ってもH・負けてもH」の原作には敵わぬまでも、R-15のスレスレに挑みます。
発表まで今しばらくお待ち下さい。