TS転生悪役令嬢、仮面のヒーローになって無双する~婚約破棄されたけど気にせず闇落ちルートを回避しつつ成り上がります~   作:折本装置

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「回・転・起・動」

『猿』の一撃ならば再生能力など関係なく、一撃でコアを砕けるという確信があった。

 逆に、それをしなければ、絶対に勝てない。

 あの炎がもしも、コアすらも再生できるのであれば、一撃でコアを破壊する以外の行動はすべてが無意味となってしまう。

 とはいえ、このままでは勝てない。

 何しろ、ゴレイムは足で地面を踏みしめながら暴れまわっており、足止めをしつつ、隙を作って一撃を決めなくてはならない。

 

 

「そのためには、まずは」

 

 

 体勢を崩すことだ。

 ヴェーセルは仮面に触れた。

 

 

『Form change――Horse chainsaw』

 

 

瞬間、『猿』の覆面と手甲が消失し、『馬』の面とチェーンソーが出現する。

 まず、足を斬り落として機動力を完全にそぐ。

 その後で、間髪入れずにイクシードスキルを使って倒す。

 チェーンソーが、ゴレイムの左足を捉えた。

 がりがりと、回転する鋸刃が足の鱗を削っていく。

 骨を、断ち切る。

 左足を切り落とす。

 

 

「キシャアアアアアア!」

「は?」

 

 

 しかして、ゴレイムは倒れない。

 右足一本で、立っている。揺らぐことなく、そこに立ち続けている。

 

 

「炎の、上昇気流か!」

 

 

 炎は、あくまでも孔雀ゴレイムの身に作用している。

 他者を燃やすことは出来なくても、炎は孔雀ゴレイムにだけは作用する。

 ゆえに、炎が生み出す上昇気流に乗ってゴレイムは体を浮かしている。

 飛ぶことはできないようだが、足一本失っても行動に支障がないらしい。

 

 

「ぬ、う」

 

 

 バランスを崩せなかった。

 そして、動きが止まっている間に、ゴレイムの足は再生する。

 そして、それだけではない。

 

 

「羽根の矢……面倒な」

 

 

 再生能力に加え、攻撃手段もあったらしい。

 これでは、倒しきれない。

 ヴェーセルは飛んでくる羽の矢に対し、防御態勢で耐えようとして、

 

 

「ウォーター・ウォール」

 

 

 声とともに、水の壁が攻撃を阻んだ。

 声の方を見ると、そこには。

 

 

「騎士団の、方々」

 

 

 避難誘導に当たっていたはずの騎士団員たちがそこにいた。

 

 

「避難完了しました!」

「ヴェーセル・グラスホッパー殿。どうか協力させてください」

「ええ、喜んで!」

 

 

 騎士団には攻撃手段がない。

 彼らの剣はゴレイムを切れず、魔法はゴレイムの表面ではじかれる。

だがそれは、何もできないというわけではない。

 防御は出来るし。

 

 

「グラビディスタンプ」

「「「グラビディスタンプ」」」

 

 

 魔術による拘束が可能なのだ。

 重力を操作する魔法によって重量が増し、二本の足が地面に食い込み、ひび割れている。

 だが、足は砕けない。

 砕けないまま、動けずにいる。

 むしろ、砕けないからこそ足がそのまま地面にめり込んで動きを封じている。

 

 

「その頑強さが、逆に仇となっていますのね」

 

 

 どうやら重力の影響を受けてはいるらしい。

 まあ、そうでなければこうして地の上に立っていられないはずだろう。

 

 

『Form change――Rapid rabbit』

 

 

 さらに形態を切り替える。

 脚力重視した『兎』は、重力場の中でも歩くことが可能であり。

 

 

「はあっ!」

 

 

 ゴレイムの足を、さらに尾羽を砕いた。

 重力と足、攻撃器官の粉砕によって、孔雀ゴレイムは手も足も出なくなる。

 

 

「ここからが、悪役回転劇場ですわ!」

『Form change――Exseed charge』

 

 

 形態を脚力重視から、腕力重視の猿へと切り替える。

 仮面を取り外し、右手甲へと装着する。

 すでに、コアの位置が割れている。 

 相手は行動できなくなっている。

 ならば、仕留められない道理はない。

 

 

『Gong Kong』

 

 

 左手甲が左手から外れて、右手甲と合体する。

 すべての攻撃力を、破壊力を。

 ただ一本の右腕に込めてうち放つ。

 見よ、これこそは世界すらも震わせる一撃。

 

 

「せいやあああああああああああああああっ!」

 

 

 全力で殴りつけて、孔雀ゴレイムの肉を、骨を打ち砕き、貫いて。

 

 

「ア、アナリスト」

 

 

 コアを粉砕した。

 直後、コア以外の肉体が崩壊し、炎を吹き上げた。

 否、爆発した。

 孔雀ゴレイム以外に干渉しない炎の光が、ヴェーセルたちを照らした。

 

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