TS転生悪役令嬢、仮面のヒーローになって無双する~婚約破棄されたけど気にせず闇落ちルートを回避しつつ成り上がります~   作:折本装置

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「軍隊蟻」

「ガンドック様、この方たちは?」

「ああ、俺の部下ですぜ」

 

 

 彼らは、迷彩服を着ていた。

 彼らは、蟻の頭部を思わせるような奇妙なヘルメットをかぶっていた。

 彼らは、胸にオリーブ(・・・・)のバッジをつけていた。

 そして、彼らは全員マシンガン(・・・・・)を持っていた。

 この剣と魔法の異世界で、だ。

 仮面騎兵ならまだいい。

 あれは異質な存在だから。

 だが、仮面騎兵でないものまで銃を所持しているのはどういうことか。

 そもそも、仮面騎兵でないものが、どうやってゴレイムにダメージを与えているのか。

 

 

「ど、どうやってゴレイムを倒したんです?」

「ああ、仮面騎兵オリバロッソの能力だ。弾薬を生成できる(・・・・・)。そして、俺はそれを俺が認めた他者に譲渡できる(・・・・・)

「!」

 

 

 ヴェーセルは、自分の顔が引きつるのがわかった。

 とんでもない力である。

 仮面騎兵が抱える唯一にして、最大の問題点の数が足りないという欠点を、簡単に解決してしまえる存在だ。

 仮面騎兵には、それぞれ特色がある。

 ヴェーセルは使うヒールは、チェーンソーを使ったりしていることからもわかるように、前衛だ。

 対して、ローグの使うローゼイドは魔法使い、後衛に当たる。

 

 

 そういったゲームのロールで彼を測るのであれば、オリバロッソは生産職(・・・)である。

 動きを見るに、近接戦闘能力はヒールほど高くないようだが、彼には圧倒的な手数と物量がある。

 ましてや、銃弾を譲渡できるのであれば、個人ではなく軍隊として動くことができる。

 これならば、ヴェーセルが出る幕すらないのではないだろうか。

 

 

「そうして譲渡した弾丸を、オリバロッソの模倣品(レプリカ)である銃とともに部下に持たせて軍団として配置する。それが、俺の作った組織――『軍団蟻』でさあ」

「なるほど……」

 

 

 これは、すさまじい。

 少なくとも、ゴレイムへの根本的な対応が変わるはずだ。

 仮面騎兵は四人しかいない。

 ゆえに、同時多発的にゴレイムが出現した場合は対応しきれないというのが今のシステムの根本的な弱点だった。

 各都市にいる騎士団が魔術で拘束するのが精いっぱいであり、そもそも優秀な魔法の使い手は王都以外ではそう多くはない。

 だからこそ、アルのように故郷を壊滅させられる事例が後を絶たないのだ。

 ちらりと、ヴェーセルは三人のメイドを見る。

 彼女達が何を思っているのかはわからない。

 けれど、彼女達に降りかかったような悲劇をなくせるとしたら。

 

 

「今は、まだ実験的に運用している段階ですがねえ、いずれはあらゆる都市に軍団蟻を配置していこうと思っているんでさあ」

「ええ、本当に素晴らしいですわね」

 

 ヴェーセルはうんうんとうなずく。 

 

 

「まだお礼を言っていませんでしたわよね、ありがとうございますわ、ガンドック様」

「ん、ああ、大丈夫ですぜ。本来、アンタも自衛くらいできるはずですからねえ、お礼なんて言われる必要はねえでさあ」

 

 

 個人的には、素の口調の方が話しやすいのだが、まあ無理を言うこともないだろうと思った。

 何より、これだけの戦果をあげてくれたものに対して難癖をつけていいわけがない。

 

 

「それにしても、彼らは貴方の部下なんですの?」

「ああ、俺っていうか、ファイアフライ侯爵家の私兵ですぜ。傭兵と言い換えてもいい」

「なるほど」

 

 

 ファイアフライ侯爵家については、ヴェーセルも知っている。

 騎士団にも多大な影響力を持つ、武門の家系だ。

 多くの騎士を輩出し、治安維持に貢献してきた功績があって、侯爵に至ったらしい。

 

 

「ガンドックは、ガンドック家ではどういう立場なんですの?」

 

 

 ヴェーセルは子供を産めなくなったことで愛想をつかされて、グラスホッパー家の当主からは半ば勘当状態である。

 一方、ローグは当主として扱われている。

 これは、先代当主である彼の父が亡くなっているからだ。

 余談だが先代当主には兄弟がいるため、血筋が途絶えることはない。

 

 

「ん、ああ、俺はそもそもファイアフライ家の血筋ではなかったんですよ」

「え?じゃあ何で」

「婿養子でさあ。転生者だからってことで結婚して、子供もできて、仮面騎兵オリバロッソに選ばれたのはその後ですね」

 

 




遅れてすみません!
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