TS転生悪役令嬢、仮面のヒーローになって無双する~婚約破棄されたけど気にせず闇落ちルートを回避しつつ成り上がります~   作:折本装置

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「スキルと形態と変身条件」

「ええと、まずヴェーセル様が使われるヒールは、王国が保有している『仮面』の一つです。他の仮面騎兵と言われている人たちもみんな『仮面』を一つずつ所持していて、『仮面』に選ばれた者だけが仮面騎兵に変身できます」

「ええ、そこまでは知っていますわ」

 

 

 『仮面』が仮面騎兵に変身するために必要な道具であるということはヴェーセルも知っている。

 一週間ほど前、王城で厳重に保管されていた『仮面』がヴェーセルのもとに飛来して、頭部に張り付いて取れなくなったのだ。

 歴代の仮面騎兵もヴェーセルのように、『仮面』に選ばれて仮面騎兵になるらしい。

 そこからすぐに婚約破棄、ゴレイム討伐と色々ありすぎたなと改めて彼女は思う。

 また仮面騎兵はヒールだけではないことも、知っている。

 何なら、知り合いに一人いるのだから。

 

 

「では、スキルツリー、開放についてはご存じでしょうか」

「スキル、何ですって?」

「スキルとは、ええと、場所を変えませんか?ここでお話しするのはちょっと」

 

 

 他に誰もいないとはいえ、確かに図書館などで騒ぐのは一般的にマナーのいい行動ではない。

 三人は、改めてヴェーセルの私室へと移動した。

 

 

 ◇

 

 

 ヴェーセルの私室には、移動式の黒板がある。

 主に、家庭教師兼メイドであるジニーが、ヴェーセルに教えるときに使うものだ。

 今この瞬間も、そのための役割を果たしていた。

 ジニーは、黒板にまず「スキル」と書いた。

 

 

「スキルというのは、仮面騎兵が使う技のことです。各形態に応じて、技も当然変化します」

「ああ、なるほどね」

 

 

 黒板には、スキルという文字の横に「形態・追加装甲」という言葉が足された。

 形態というのは、『兎』などのことだ。

 あれ以外にも、バリエーションがあるのだろう。

 スキルというのは、『兎』を装着した際に使っていた『Meadow hopper』や『Moonsault heel』などのことだろうとわかる。

 さらに、ジニーは「形態」の横に「条件」と書き添えた。

 

 

「各形態、すなわち追加装甲は、条件を満たすと解放されます」

「ああ、それは間違いありませんことね」

 

 

 実際、『兎』が解放されたときにもアナウンスがヴェーセルの脳内に流れてきた。

 未だ使っていない他の形態にも、同様に条件があるはずだ。

 すでに解放されながら、未だにヴェーセルが使っていない形態もいくつかある。

 ぶっつけ本番で使うには少々心もとない。

 ゆえに、検証は必要だろう。

 

 

「今ここで使ってみるのもいいですわね」

「ヴェ、ヴェーセル様!」

「大丈夫ですわよ、別に何かを壊したりはしませんわ」

「あ、いえ、そういうことではなくて」

 

 

 ヴェーセルは、ベルトを顕現させて、『仮面』を右手に握りしめる。

 

 

「――変身」

 

 

 ヴェーセルは、『仮面』をバックルに装着して変身をしようとして。

 

 

『Set――Error』

「え?」

 

 

 できなかった。

 『仮面』はバックルにつけられず、したがって変身もできなかった。

 再び、『仮面』を体内から出現したバックルにセットする。

 

 

『Set――Error』

『Set――Error』

『Set――Error』

 

 

 何度か変身を試みたが、できない。

 

 

「あの、この『仮面』壊れているのかしら?」

「い、いえ。正常です。ヒールも含めた仮面騎兵は、ゴレイムが近くに、十メートル以内にいなければ変身できません。それは、龍神が造りたもうた、大地の悪魔たるゴレイムを倒すためだけの兵器ですから」

「ああ、そうだったのですわね」

 

 

 そういえば、初めて変身した時には目の前にゴレイムがいた。

 だが、今は当然いないわけで。

 そもそもが、仮面騎兵はゴレイムを倒すためだけの兵器。

 それ以外に理由で使えないよう、プロテクトがかかっていると見るべきか。

 

 

「ち、ちなみに、周囲にゴレイムがいなくなると自動的に変身は解除されるそうです」

「そうだったんですね」

 

 

 納得、と言わんばかりにルーナがうなずく。

 ヴェーセルは自動的に変身が解除されたことがなかったが、そういうものかと考えた。

 

 

「…………」

「あの、ヴェーセル様、どうかされましたか?」

「も、もしかして私の解説に不満が?」

「いえ、そうではなくってよ。ただ少し引っかかることがあって」

 

 

 何か違和感があるような気がする。

 それが何かはわからないが。

 

 

「いえ、別にいいわ。説明を続けて頂戴」

 

 

 引っかかっているのが何かわからなかったが、まず話の腰を折るほどでもないだろうと判断した。

 

 

「え、ええと、スキルツリーについて説明しますね」

「ええ、お願いいたしますわ」

 

 

 ヴェーセルの様子に戸惑いつつも、ジニーは説明を再開した。




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