個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア! 作:波間こうど
今日は早く上がれました! これからまた少しだけゆっくりになると思いますがよろしくお願いします! 感想本当に嬉しいぜ‥‥常連さんとか名前覚えちまってよ‥‥評価も高くて嬉しい。このまま承認欲求が暴走する前に手を打ちたい所存。
いや、本当にみんなから避けられるだろうなって思ってたんだよ? これについては嘘じゃない。マジのマジでそう思ってたんだけど‥‥
「舞妓、俺と組まねぇ!?」
「私と組もうよ!」
「舞妓! 組もう!」
なんか人生で1番モテてるんだけど。あれ? 気のせいかな? 1000万とか一番近くに置いておきたくないと思ってたんだけど‥‥もしかしてあれか!? これが俗にいう‥‥!
「もしかしてモテ期!?」
「違うと思う」
横にいる耳郎ちゃんに頬をぶっ叩かれてしまった。なに? 僕が何したっていうのさ。
「ははーん? もしかして嫉妬?」
「は!? 違うし! 関係ないし!」
僕が茶化すと逆の頬までイヤホンジャックで打たれてしまった。ごめんて、痛いからやめてね? わかってるよ、モテるとかモテないとか関係なくただ調子に乗るなよって話でしょ? わかってるってば。
ところで関係ないってなんの話?
「で、ユズはどうするつもり? 4人で組むのが一般的らしいけど‥‥あと2人どうするわけ?」
「‥‥へ? 2人?」
はて、僕の計算がおかしいだろうか? 4−1=3だと思ってたんだけど‥‥時空が歪んだかな? 僕まだ誰とも組んでないから3人探さないといけないんじゃないの?
「そう、2人、ウチとユズ以外に後2人」
「‥‥あ、響香ちゃんとはもう組んでるんだ?」
「なに? 不満?」
「滅相もない‥‥」
いつの間にか僕のチームに1人入っていた。僕OKした覚えないんだけど‥‥心操くんに操られたりしたのかな? そう思いながら不機嫌そうな顔してる耳郎ちゃんの顔をチラリと覗き見る。そのタイミングでのことだった。
「‥‥右足の代わりくらい、させてよ」
「う゛っっっっっ!!!」
それは、僕が植えた種が、順当に芽生えた姿だった。
え!? え! 何その顔! 何その顔!! 恥ずかしさと罪悪感と申し訳なさが混じっちゃった顔! その顔たまんないよ! 何それずるいじゃん!! うわぁ〜!! 耳郎ちゃん可愛すぎない!? こんなの僕好きになっちゃうって!! 僕は恋人としてオススメできないよ!? カスでクズでゴミだから!! うわぁ〜! 何その曇らせ顔!! かっちゃんより! 出久くんよりもすごいじゃん!? 暫定一位だよ!! なにそれ!! ねぇ!? 何それぇ!! うわぁァァァァァァ!!!!!!
「ユズ!? どうしたの!?」
「ご、ごめん‥‥あまりにも響香ちゃんが健気で‥‥うん、ありがとう! 響香ちゃんの力!しっかり使わせてもらうね!」
耳郎ちゃんの手を両手で握って顔を見ながらそう言うと耳郎ちゃんがさらに顔色を変えた。なに? 真っ赤になって‥‥風邪?
「‥‥‥」
「‥‥? 響香ちゃ〜ん‥‥?」
固まっちゃったな‥‥どうしよう。何? そんなに固まることある? もしもーし?
「ゆずくん何してるの!?」
「あ、出久くん。どうしよ、響香ちゃん動かなくなっちゃった‥‥」
「そりゃ‥‥そうじゃない?」
出久くんがさりげなく僕と耳郎ちゃんの手を外しながらそう言った。え? なに? 当たり前のことのように言ってんの? 僕がおかしいわけ‥‥?
「ところでゆずくん、一緒に組まない?」
「え‥‥」
僕が考え込んでいると出久くんから申し出が来た。ふむ、出久くんと組むメリットってなんだ? 大怪我されても困るから個性は使えないし‥‥かといって出久くんを有効活用するにはお茶子ちゃんと発目ちゃんがいるよなぁ‥‥あの個性と発明品がないと完全無個性出久くんを抱えて戦うことになるし‥‥あれって普通に考えてホリー先生の完璧な采配だったのでは?
考えてみれば僕、耳郎ちゃん、出久くん‥‥個性の組み合わせが悪くない? いや、僕と組み合わせのいい個性ということならヤオモモちゃんか峰田くん辺りがベストかな‥‥でもまぁ、女子がいる状態で峰田くん選ぶのは論外、最悪僕の印象がマイナスになるし、さらにいうのならヤオモモちゃんはもう轟くんが確保したっぽい。さてさて、どうしようかなぁ‥‥
ん? 待てよ? 僕と出久くんが組めばかっちゃんが負けた時に最高の顔してくれるんじゃないの?
閃 い た 。
「よし、出久くん。組もうか」
「ほんと!? やった!」
これで僕と耳郎ちゃんと出久くんの3人パーティになったわけであるが‥‥これで後入れたいのは‥‥
「お茶子ちゃん、一緒に組まない?」
「え! 私でいいの!?」
「もちろん、やってみたいことがあってさ‥‥まだ組んでないならどうかな?」
「うん! 仲良い人とやった方がいい!」
あら、お茶子ちゃん的には僕のこと仲良い子認定なんだ。嬉しいねぇ‥‥それとも出久くんに対しての言葉なのかな? まぁ、どっちでもいいんだけどね。
「じゃあ、出久くんが真ん中で響香ちゃんとお茶子ちゃんが左右挟む感じにしようか。僕が上でいいかな? 僕の個性は両手使わないといけないから土台は向いてないし」
「うん、そうした方がいいよね。麗日、ウチ右側貰っていい?」
「うんいいよ!」
ふむふむ、というか正直な話僕1人で片がつくっちゃつくんだけど‥‥ただ、それでつけるとつまんないからね、B組をしっかりと曇らせるためには僕も本気出さなくちゃいけないし。
原作読んだ頃から思ってたんだよね、B組の物間くん。彼すっごい魅力的だなってさ。あんなに生意気で曇りが似合うのそういないよ。
それと、ここで少しは縁を作っておかないと後々可哀想なことになりそうな子にも声をかけようかな。
「ねぇ、そこの普通科の人」
「‥‥なんだ、俺と組んでくれるわけ?」
「まさか、もう『洗脳』の個性で味方は捕まえたんでしょ? 発動条件は声をかけて受け答えすること。だから先に僕から話しかけたわけ。そこに猿夫もいるし、友達を好き勝手使われるのはなんだか癪だからさ」
「!?」
「あれ? 発動条件図星?」
心操くんが面白いくらいに後ろに飛び退いて僕を警戒する。さっき轟くんにも控え室で同じ反応されたな‥‥いや、A組に宣戦布告して、障害物競走で人のことを洗脳して上に上がってきた相手なんてそりゃ見られてると思いなよ。見てなくても知ってる僕は少し例外だけど。
「君が僕たちを研究してたように、僕もみんなのことを観察してたからね。‥‥厄介な相手だと思ったし、コンタクトくらい取っておこうかと思ってさ」
「‥‥なんだ? お前は俺のことが嫌いなのかと思ってた」
「あはは、当たり前じゃん。好きじゃないよ」
僕の言葉に動揺が目に滲む。なるほど、純情少年め、分かりやすすぎるでしょ。嫌いって言われるのは堪えるか?
「僕たちがヴィランを撃退してどんな気持ちだったのかってことを分からないのに教室にまで押しかけてきた‥‥その浅慮が少しでも胸にあるのなら僕は君にヒーローを目指して欲しいと思えない」
「‥‥‥」
「ただ、君の個性はきっと、役に立つ個性だ。ヴィランよりヒーローに向いてる」
「は?」
心操くんが信じられないものを見るように僕の方を見た。ウケる。そりゃそうだよね? 相手はA組に宣戦布告しに行った時に自分にブチギレて、今もヒーローになって欲しくないなんて宣った相手だ。そんな言葉が出てくるなんて思いもしなかっただろう。
今までヴィランに向いてる個性って言われてきたこと、ずっと苦しかったんだろ? 解放してやるよ。その代わり、僕が抜けたときに最高の曇り顔見せてね♡
「ヒーロー? この個性が? 冗談だろ」
「は? 冗談なんて言わないよ。君の個性は人を救える。‥‥ただもう少しだけ、人のことを考えてあげるといい。君に操られた人間はどう思うのか、君が助けようとしているのはどんな人間なのか。それがわかるだけで随分良くなる‥‥もし、何か思うことがあるなら僕のところに来なよ。話くらいは聞いてあげる」
こんなこと言ってくる相手、初めてでしょ? ほら、心に入り込んであげるから。安心しな? ちゃ〜んと忘れられない相手になってあげる。
「君のなりたいもの、なんだろうね」
僕はそれだけ言ってから振り返って出久くんたちの方へと歩き出す。心配した顔をした出久くんがお出迎えしてくれた。だから主人を待つ犬かって。
「ゆずくん‥‥? 普通科の人だよね? どうかしたの?」
「んーん、気にしなくていいよ。あ、お茶子ちゃん準備できた?」
「もちろん! これでいい?」
「うん。十分だよ」
お茶子ちゃんに準備してもらったものを手に取ってポケットに入れた。さて、これから楽しくなるぞ〜。差し当たっては‥‥‥
「まず、狙いはB組だね」
× × ×
「準備できた? 響香ちゃん、お茶子ちゃん」
「ウチはいつでもいける」
「私も!」
「なんで僕には聞いてくれないの!?」
「出久くんは本番になったら強いタイプだから」
「めっちゃ見透かしとる‥‥」
僕は鉢巻を額に巻いた状態で騎馬の一番上に座っていた。さてさて‥‥周りの視線が痛いでござる。まぁ、1000万ポイントだもんねぇ‥‥気になるか。取らせたりしないけど。
「それじゃあ、気楽に行こう」
「そんなこと言えるのゆずくんだけだよ‥‥見て? あのかっちゃんの顔」
「おぉ‥‥トイレ我慢してんのかな爆豪」
「怖いもの知らずにもほどがない!?」
怖くないでしょあんなの、可愛いじゃん。プライドが高くて、傲慢で、その癖折れたら立ち直るのに時間がかかる。グズグズと1人で自分の中で問題と向き合うタイプで、人のことをよく馬鹿にする‥‥僕の嫌いなタイプだよ。だからこそ自尊心も何もかも壊した究極の曇らせをしてあげたいのさ。一番のターゲットだからね。
ちなみに二番目は君なんだよ? 出久くん。暫定三位は耳郎ちゃんです。さっきのが良すぎた。可愛すぎるよね。四位は曇らせヒロインことエンデヴァーです。
『スタート!!!!!!』
そんなことを思っていたらスタートの火蓋が切られてしまった。2回連続で油断してスタート切られてる人がいるってマジ? 僕のことじゃねぇかいい加減にしろ。
「ゆずくん! 正面からB組!」
「ユズ! 右後ろからは爆豪チーム!」
「左もB組! めっちゃ狙われてる!」
「了解」
とりあえずこうかな? と手を叩く、B組の騎馬隊の位置が入れ替わる。いきなり視界が変わったらびっくりして足が止まるでしょ、んで、かっちゃんは‥‥こうかな?
「‥‥‥あぁ!?」
かっちゃん単体をこちらに呼び出す。その代わりあっちにはそこら辺で拾った石をプレゼントした。目の前に僕がいきなり来たからびっくりした? 残念。移動したのは君だよ。
「よッ!」
「ガッ!!」
思いっきり拳をかっちゃんの顔にぶち込んであげる。するとかっちゃんは面白いくらいに吹っ飛んでいった。腰入ってないんだけどなぁ‥‥というか騎馬戦で腰入れた拳なんて打てるわけねぇよ。
「おい爆豪! 無事か!」
「ンのクソ女男がァァァァァァ!!!」
瀬呂くんにテープで回収されながらかっちゃんが雄叫びを上げる。元気良さそうで何よりだぜ、それにしても僕が至近距離に来た瞬間に固まったのなんでなの? 反撃来ると思ってたのに。僕に見惚れちゃった!? BLってことかな!? 勘弁してね!
『ヤベェェェェェェェ!!!! 主席舞妓! B組の騎馬二つと爆豪の騎馬を当たり前のようにいなしたァァァァァァ!! センスが光り過ぎだぜ!!!』
『あの一瞬で爆豪のような目にあうのも、急に視界を切り替えられていいように弄ばれるのも警戒しなくちゃいけなくなった。これは他のチームは舞妓チームからハチマキとるの苦労するぞ』
馬鹿なことを考えていたら、先生方が僕のしたことを簡単に説明してくれた。これで他のチームは簡単に僕たちに手を出せなくなったね。
ここまでが下準備。それじゃあ‥‥はじめよっか。
「それじゃあ、こっからさらに攻勢が激しくなると思うけどよろしくね」
「ゆずくんの無茶聞くの久しぶりだな‥‥うん、いいよ!」
ポンポンと出久くんの頭を撫でてからそう言うとなんか考えてもない返事が返ってきた。無茶振りしたことあるっけ? 何したっけ‥‥
「覚えがないかな!」
「ひどいや!」
ポケットの中から小石を取り出して少しだけ宙に放る。そして、個性を発動。するとあら不思議、B組の騎馬隊のハチマキが全部僕の手元に現れたではありませんか。これを必勝法と言います。ズルくね?
『おいおいおい! 舞妓がまたやりやがった!! 物間以外のB組の騎馬隊からハチマキを強奪ぅぅぅぅぅ!!』
会場がざわつく。うんうん、気持ちいいねぇ。さてさて‥‥皆さんの反応は?
「返せよ! それは俺のだぞ!」
鉄哲くんが突っ込んできた。まぁ、それが普通だよね、でもまぁ‥‥冷静さが足りないなぁ‥‥
「いつでもクールに、ヒーローになるなら覚えてなよ。それから、相手への配慮を大切に、これもヒーローとして生きていきたいなら大事なことだよ」
仕込みとしてお茶子ちゃんに無重力にしてもらった小石を思いっきり空に向かって投げる。お茶子ちゃんが個性を解除するまで、あの小石は上に上がり続ける。鉄哲くんの騎馬が近づいてくるが、本当に冷静じゃないな。だから足を掬われるんだ。
手を叩く。すると鉄哲くんのいた場所にお茶子ちゃんの個性を使った小石が、鉄哲くんは僕が空高くまで投げ飛ばした小石の位置に転移した。小石はコロコロと騎馬である骨抜くんの頭の上を転がり、地面に落っこちる。
「うぅぅぅぉぉぉぉぉぉぉぉ!?!?!?」
『なんだァァァァァァ!? 鉄哲が空に浮かび上がったぁ!!』
ヒーローになるならこれくらいの逆境は超えて欲しいものだね。‥‥とはいえあれで落ちたら怪我じゃ済まないよね‥‥怪我させるのは不本意だし、降ろしてあげるとしよう。
個性を使って地面に落ちた小石と鉄哲くんの位置を入れ替えてあげる。これで鉄哲くんは騎馬から落ちてしまったけど、まぁ、空から落ちてくるよりはマシだろう。
「常に冷静でいなよ、上を見るのも大切だけど、足元が不安定なんだよね。ヒーローとしての素質がねぇわ。だからこんな風に落っこちちゃうんだよ」
騎馬戦を脱落した鉄哲くんを見下ろしてからもう一度手を叩く。次は鉄哲くんたちの騎馬と轟くんのところの騎馬を移動させて、轟くんの氷を使った個性を強制終了した。最近気づいたんだけど放出系の個性は使ってるタイミングで転移させたら強制キャンセルされるっぽい。だからエンデヴァーとか轟くんの個性はこうやって強制的にキャンセルさせることができるというわけだ。便利すぎない? 僕の個性。
「そんな大技、警戒するに決まってるじゃん。焦凍焦ってない?」
「‥‥ッ!」
歯を食いしばる轟くんから目を離して出久くんに指示を出す。次はできる限り周りを見て、移動しながら悔しそうな顔をしているB組と、かっちゃんに今から負ける物間くんを見学しに行くのだ。
原作での場面を見るためだけに物間くんのハチマキだけ残したのだから。
『残り時間も少なくなってきたぜ! テンション上げてけ!!』
まぁ、そう上手くも行かないと思ってたけどね。
「よぉ、どこ行く気だ?」
「天気もいいしちょっとお散歩かな」
轟くんの騎馬が僕の前にまでやってきた。マジかよ、さっき牽制したじゃん。しばらく大人しくしててよ。
「ちなみに電気の個性はやめておいた方がいいよ、百ちゃんが絶縁シートでも作るつもりなんでしょ? ‥‥ここにある適当な小石と入れ替えて、君たちが電撃を被りたいならおすすめだけど」
「お前たち相手にそんなことできると思うか?」
「そりゃ買ってくれてるねぇ」
ジリジリと寄ってくる轟くん騎馬から距離を取る。今、耳郎ちゃんが索敵してくれてて他に僕らを狙ってるチームがいないことは理解してるんだけど‥‥このままだと物間くんの曇らせが見れないんだが?
原作と同じく飯田くん、ヤオモモちゃんに上鳴くんとのチームアップ‥‥誰かが僕のせいで抜けたりしてるわけじゃないし、轟くんが声をかけたメンツは原作と変わらないってことかな? 厄介極まってんね‥‥飯田くんの隠し技が特に嫌だわ。
「さてさて、出久くん。簡単にでいいから切り抜ける案出しお願い。僕と響香ちゃんで迎撃するから、お茶子ちゃんは出久くん支えながら左側をしっかり見張ってて、決まるなら一瞬だ」
ジリジリと距離を把握する。レシプロが本当に嫌だからな‥‥一足で飛ばれる距離だと流石に取られちゃう。使うならギリギリ、僕の個性だと取り返されるのは一瞬だから取り返すのは本当にギリギリだろう、そこまで待機してる‥‥のがセオリーだろうけど、轟くんなら僕とすれ違うついでに片手を凍らせて個性使えないようにするくらいしそうなんだよなぁ‥‥
面倒だなぁ‥‥これで物間くんの曇り顔見れなかったらどうしてくれるわけ!?
「ゆずくん、ジワジワと追い込まれてる。できるだけ八百万さんのいる左側から旋回して場外から離れよう。上鳴くんの個性なら即座に発動くるけど、八百万さんのは少しだけラグがあるから」
「よく見てんね、了解。お茶子ちゃん、できるだけ左の方に移動してね」
「わかった、やってみるね」
うーん、本当にジワジワした戦いだなぁ‥‥これが雄英体育祭の舞台か? 地味すぎて子供泣くぞ。
「轟くん、一度しか使えない、獲れよ!」
飯田くんがそう叫んで地面を踏み締める。それは必殺技の合図。レシプロが来る。
「‥‥総員右に回避!!」
そう僕が声を上げるが、気づいたときには頭のハチマキが取られていた。早すぎるでしょ、なんなの? 僕はすかさずに取られたハチマキを確認する。頭のやつだ。
「危ねぇな」
『轟チーム!! 舞妓に一矢報いた〜!!』
『飯田の必殺技か? 目で捉え切れなかった。あれを避けるのは知らねぇと無理だぞ』
先生方は解説してないで得点ボード見た方がいいんじゃない? と思いながら得点のハチマキを確認する。うん、やっぱりね。
「ゆずくんごめん! 反応遅れた!」
「いいよ、あんなの天哉の必殺技でしょ。リスクがあるはずだしここで使わせたのは大きいね。それに‥‥別に1000万は取られてない」
僕が轟くんの方を振り返るとそこには苦い顔をした轟くんが。まぁ、君が取ったのは僕が頭に巻いてるやつでしょ? それ、鉄哲くんのだよ。さっきの拍手は鉄哲くんへの牽制だけじゃなく、僕の首にかかってるB組のハチマキと僕の頭にあるハチマキを入れ替えるためのものだったってこと、誰も気づかなかったかな?
「対策してないわけないじゃん。念には念を入れてるよ」
ヘラヘラと笑いながら轟くんたちに向かい合う。それじゃあ取られたやつを回収しようかなと手を打とうとして‥‥‥
『終了〜〜!!!!!』
終わりの合図が駆け巡った。
「あ」
え? ということは何か? 物間くんの曇らせ顔が見れなかったってこと!? ふざけんなよ! おい! 僕の楽しみを奪いやがって!! 轟焦凍ぉぉぉぉぉ!!!!
ま、まぁ? 今回は油断していた僕が悪いってことで手を打ってあげるよ。僕は優しいからね‥‥!
悔しい気持ちを歯噛みで我慢しながら僕たちの騎馬戦は幕を閉じた。
× × ×
騎馬戦が終わってすぐ後、後悔している人や喜ぶ人が溢れる会場にプレゼントマイク先生の声が響き渡った。
『エビバディ! まずは1位から発表していくぜ! まず1位は1000万死守じゃ物足りなかったか!? B組からハチマキ強奪しまくっての1位!! 舞妓チーム!!』
まぁ、そうでしょうね。B組に本来渡るはずだったのを完全に奪い取ってるわけだし。まぁ、元からB組は上に登れなかったはずだから問題ないけど。
『続いての2位は! その舞妓チームから一本ハチマキを強奪してる!! 早すぎるぜ委員長!! 轟チーム!!』
これも想定内。というかそうならないと困るんだけどね。僕からハチマキ奪うのは百歩譲って許してあげるけどさぁ‥‥物間くんの曇り顔見れないのは良くないよぉ‥‥
その分君で代用してもいいよね?
『続いて! 3位! 物間チームから最後の最後にハチマキを強奪!! 爆豪チーム!!』
かっちゃんのチームもかっちゃん、切島くん、芦戸ちゃんと瀬呂くんって感じか。原作と変わらないかな? さて、ここが肝心だ。誰になったんだろ‥‥
『4位! こいつらに関しては騎馬戦じゃねぇ!? だが堅実にハチマキを守り!! この位置を確保!! 峰田チーム!!』
ありゃ、心操くんじゃないのか‥‥というか峰田くんのとこ? 障子くんと梅雨ちゃんだっけ?‥‥4人以内だから3人でもいいけど次のトーナメント的には都合悪くない?
『さて! 以上4チームが決勝トーナメント!! ガチンコ対決に駒を進めるわけだがちょっと待ってくれ!! トーナメントは16人制!! 後1人出る枠が残ってやがるぜ!? ということで5位!! 葉隠チーム!! お前らのところから誰か1人出場しろ!!』
え!? 心操くんここにもいないの!? 個性使ったら一発でしょ。個性使わなかったとか‥‥? そんなはずないよな‥‥じゃあなんでだ? これじゃあヒーロー科に編入するかわかんないじゃん。ここで編入しなかったら僕すごく困るんだけど。曇らせ顔が見れないじゃん。
「やったねゆずくん! これで決勝トーナメント出場決定だよ!」
「ん、みんなお疲れ様。すっごく助かったよ」
ひょいっとみんなの上から飛び降りると耳郎ちゃんもお茶子ちゃんも嬉しそうな顔してる。いや、耳郎ちゃんは喜びよりも安堵かな?
『さぁて! 残りの一枠はじゃんけんの結果! 常闇に決まったぞ! おいおい決勝トーナメントに出るのはA組のやつだけだぁ! 舞妓の言う通りじゃねぇか! 本当に台風の目! おいイレイザーお前どんな教育してんだよ!』
『知らん。舞妓がなんかしたんだろ』
何もしてませんよ。
‥‥葉隠ちゃんとじゃんけんってどうやったんだろ? じゃんけんしようにも見えなくない? あ、手袋つけてやったのか。なるほど? というか元は出久くんと組むはずだった常闇くんは僕が出久くんとお茶子ちゃんを奪っちゃったから僕(砂藤くん)と耳郎ちゃんが抜けた葉隠ちゃんのところに入ったって形だったわけね。理解。
「これでいいのだろうか‥‥」
「じゃんけんに勝ったんだしいいんじゃない? 運も実力のうちだよ、踏陰。ダークシャドウもそう思うよな?」
自分の右手を見つめながら自問自答してた常闇くんの肩を組んで励ます。うんうん、そういうこともあるさ、切り替えていこーぜ。というかこんなしょうもないことで曇らないでくれる? もっと重いので曇って。
「というか舞妓くんズルだよ〜! あの個性騎馬戦のための個性じゃん!」
「透ちゃん? まるで僕が体育祭のために生まれてきた男みたいにいうのやめてくれない?」
僕が常闇くんと肩を組んでいると葉隠ちゃんが後ろから抱きついてきた。ちょ、いい匂い! あと柔らかいの当たってるから! あまりにもあまりすぎるって! 出久くんなら死んでるよ!?
「あと、透ちゃんみたいに可愛い子が抱きつくのは良くないと思いまーす。僕男だよ?」
「またまたぁ〜。私のこと見えてないくせにぃ?」
ヘラヘラとしている葉隠ちゃんにムッときたので体から力を抜いて葉隠ちゃんのバランスを崩させてから後ろを向いて抱きしめてあげる。原作を見てきた僕からしたら大体体のラインを把握してるからね、どうなってるのかもわかるよ? ここが腰でしょ。
自分からこんな格好してるから理不尽だと思うかもしれないけど! 僕は女の子みたいな扱いされるの好きじゃないの! 必要とあらばこの見た目も利用するけど! 男の子として見られないのはなんかこう、嫌! 後恋愛対象は女の子です!
「ひゃん!?」
「見えてるか見えてないかって重要かな?」
「へ!? え!?」
「なに? それとも‥‥見られたくないってこと? そうだよね? 赤い顔見られたら恥ずかしいもんね?」
「え、あ、え、その‥‥」
僕が大体この辺でしょ、って思いながら手を伸ばすとそこにしっかりと顎があった。そしてゆっくりと顔を近づけて‥‥
「ちょっ! ユズ!?」
「なにしてんのゆずくん!?」
「ひゃ〜っ!」
おっと、どうやら周りの注目を集めてしまっていたらしい。ごめんね? いきなり透明人間口説いてたらそりゃ目立つよね?
「ふふ、今日はここまでにしておくけど。次からはもっと顧みなよ?」
「は、はいぃ‥‥」
ぺたんとその場に座り込んでしまった葉隠ちゃんから離れながらご飯食べに行こ〜と出久くんたちの方に手を振る。すると僕の頬は耳郎ちゃんのイヤホンジャックによってビンタされてしまった。なに?
「痛い! なに!? 僕が何かした!?」
「してるでしょーが!」
「ゆずくんもしかして葉隠さんが好きなの‥‥?」
「透ちゃん? 好きだよ?」
「ひゃーっ! だいたん告白や〜‥‥」
「可愛いし面白いじゃん。最高のクラスメイトだよね」
なんかゾロゾロとA組のみんなが集まってきた。いや、なに? そこまで僕なんかした?
「舞妓! いつか刺されるよ!?」
「舞妓くん! 葉隠くんのことが好きなら節度を守って行動したまえ! 今はテレビ中継されているんだぞ!」
「やだなぁ‥‥オイタが過ぎたから叱っただけだってば。本気なら有無なんて言わせずに押し倒してるよ」
「押し倒してるよ!?」
「舞妓ぉぉ!! オイラお前と当たったら容赦しないからなぁァァァァァァ!!!!」
なんかみんながワチャワチャしてるのを見ながら会場を見渡す。この後はお昼ご飯を食べてから、ガチンコの対決である。出場するのはさっきもプレゼントマイク先生が言ってた通り、葉隠ちゃん、尾白くん、口田くん、青山くんを除くA組メンツだ。偏りすぎじゃない? まぁ、僕がB組の出番を完全に奪ったんだけどね。
「あ、そういえばご飯作ってきたんだけど出久くんどう? 結構いっぱい作ってきたんだよね」
「ほんと!? ゆずくんのご飯美味しいから嬉しいな゛ッ!」
僕が出久くんのことを昼食に誘うと出久くんが弾き飛ばされてしまった。え、なして?
弾き飛ばしたのはA組女子メンバーだ。
「舞妓さん! 私もご一緒してもよろしいでしょうか!?」
「ウチも! ウチもダメ!?」
「舞妓のご飯食べたくて仕方ないんだよ! 私も参加したい〜!」
「私も! まずは味付けから覚えないとだもんね! 目指せ胃袋掴む味!」
「ケロッ、私も参加したいわ譲葉ちゃん」
ふむ。これはあれか? 餌付けしすぎてしまったやつだろうか‥‥でもまぁ‥‥
「よっし! いっぱい作ってきたし! みんなで食べよー!」
「やったぁ〜!」
とりあえず吹っ飛ばされて地面で転がっている出久くんを抱き上げて、ゾロゾロとみんなを引きつれる。まぁ、こういうのも悪くないよね。
曇らせにはありふれた日常とのギャップが必要不可欠だからね。
体育祭も残すところはトーナメントだけになりましたね。結構原作と乖離していますがお楽しみいただけているのなら幸いです。
私の都合で次の更新は不定期になりますがご了承ください。皆さんのコメント、感想などは全部目を通していて、返事も書ける限り書かせていただいております。何度も言いますがモチベーションになっています。ありがとうございます。
これからもお楽しみいただけるように頑張ります!
映画編を入れるかどうかのアンケートをさせてください!
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入れたのが見たい!
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本編だけ追いかけるのでOK!
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アンケート結果が多い方で!