個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア!   作:波間こうど

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遅くなって申し訳ございません。作者は学生とバイトとバンドの三足の草鞋を履く男でして、なかなか大変なのです。だけど小説を書くのは好きなのでできるだけハイペースで進めて行きたいと思っております。みんなの感想を摂取しないと生きられない体になってるんだ‥‥もうダメだぜ俺は‥‥


ヒーローネーム考案と曇らせがいのある男

 

「結局、詳しいことは分からなかったんだな」

「はい、志賀丸太先生のお墨付きです」

「個性研究の世界的権威か」

 

体育祭が終わった後、束の間の休みを過ごした僕は職員室にまで体育祭で使った黒閃辺りの話について説明をしに来ていた。そりゃ個性として登録しているのは『不義遊戯』だけであって打撃力の上がる黒閃は登録していないし、調べる義務が教師側にはある。そしてその調査に協力する義務が僕にはあった。拒否するのは怪しすぎるしね。

 

「でも、僕の個性が発現してからまだ一年にも満たないですから‥‥特殊な個性なんじゃないか、とは言われました。時間をかけて溜め込んだものの可能性もあると」

「‥‥診断書にもそう書かれているな、わざわざ朝早くに呼び出してすまなかった」

「いえいえ、義務ですから」

 

わざわざ病院まで行って診断受けてきたからね、診断書は本物だし、嘘は言っていない。ただ、診断してくれたのが敵連合の親玉であるところのラスボス先生の側近ってだけで。

 

他の誰も知らないだろうけど僕はラスボス先生に説明した限定的な未来予知(ということになっている原作知識)で志賀丸太がAFOに付き従う腹心であるドクターだということを知っている。それをラスボス先生に知らせ、個性についての診断をでっち上げてもらうことにしたのだ。黒閃についてはあっちで興奮したドクターに根掘り葉掘り聞かれたけど受け流しました。僕だってまだ詳しくわかってないもんね。

 

「体育祭で見せたあの打撃が使いこなせるようになればお前に不足していた決定力は増す。早くものにしろよ」

「はい!」

 

まぁ、その程度の説明しかないよね。というか僕の現状をあまり誰も気にしていないだろう。轟くんみたいな個性二つ持ってるみたいなパターンだってあるし、それこそ原作で出久くんが黒鞭使い始めた時もヌルッと流されていたイメージがある。そのことを考えれば僕のこの黒閃についてガイガイ言われることはないと踏んでいたが‥‥

 

ラスボス先生のこと思い出して欲しいよね。個性を与えられる人間がいて、個性がなかった人間がいきなり個性に目覚めたんだぜ? まだ現時点で限りなく白に近いグレーだとしても疑うべきだと僕は思うけどなぁ‥‥まぁ、死んだと思われているのならおかしくもないのか?

 

「それじゃあ失礼しますね」

「あぁ、朝早くからご苦労だった」

 

相澤先生に挨拶をして職員室を出る。そのタイミングでトゥルーフォームのオールマイトと鉢合わせた。あ、すごい苦い顔してる。まぁ、オールマイトはここ数日大変だったろうしね、主に僕のせいで。

 

というのもオールマイトは僕に抱きついたところをしっかりと写真に収められてそれが大々的にネットに出回ったばっかりに女子顔の男が好きって認定を受けてるんだよねぇ‥‥ちょっと渋ったのがそれっぽさを増してたとかなんとかで、僕が煽ったのもデキてる伏線とか言われてた。この歳になって結婚したって事実もないオールマイトのこういうのはいいネタになるのだろう。嫌な顔も映えますね? 平和の象徴。

 

「あ、先生。おはようございます」

「あ、あぁ‥‥おはよう、舞妓少年」

「なんか嫌そうな顔ですけど僕と会うの嫌ですか?」

「いや! そんなことはないさ!」

 

お、おもしれぇ〜! すっごい顔で否定するじゃん‥‥!  シュバシュバ動く腕が一生懸命言い繕おうとしてるのを見せつけてるみたいで最高に滑稽だ。僕のことを否定したくないのはわかるけどそこまで反応するとオールマイトってことバレるよ? 僕にはもうバレてるんだけどそんなことは全く知らないだろうオールマイトとしては隠したいところじゃないの?

 

「おい舞妓、まだこんなところにいたのか。もうホームルーム始まるぞ、さっさと教室に行け」

「あ、はーい。それでは先生また!」

「あ、あぁ‥‥」

 

見かねた相澤先生に職員室を追い出されて1年A組の教室へと向かう。オールマイトの姿のことについては教師陣は知ってるけどあんまり知る人を増やしたくないんだろうね。まぁ、ナチュラルボーンヒーロー、平和の象徴たるオールマイトがこんな姿ってわかったら信頼度ガタ落ちだろうし無理もない。

 

まぁ、ヴィランの僕は知っちゃっているわけだけど。作中を通して甘いよね、雄英高校の危機管理。大体二人もラスボス先生の手先が潜り込める時点でダメでしょ、ガバガバじゃん。

 

だから僕の曇らせのための種をもう既に何箇所にも蒔かれるんだよ。

 

 

  × × ×

 

 

「みんなおはよう」

「お、舞妓おはよ! つか聞いてくれよ! 俺今日めっちゃ声かけられてさ!」

「私も〜! なんかめっちゃ恥ずかしかった!」

「俺なんてドンマイコールされたぜ? それに比べて舞妓とかめっちゃ声かけられたんじゃねーの?」

「舞妓ぉ‥‥オイラはお前を許さねぇ‥‥許さねぇよ‥‥」

 

僕が教室に入るとみんなは学校に来るまでにたくさん声をかけられたということを自慢ではなくて戸惑いや驚きとして語っていた。まぁ、高校一年生がいきなり周りの人に声をかけられるようになったらびっくりはするよね、気持ちはわかる。一人僕のことを絶対に許せない化け物がいるんだけど、怖いよ。

 

「僕は少し早めに学校に来たからあんまり声かけられなかったかな? 個性について書類出しに来ててさ」

「そうじゃん! お前のあの黒い雷なんだよ! あれいつでも出せるのなら俺の役目ないって!」

「あれは電気の個性とは違ってちょっとしたエフェクトみたいなものみたいだから‥‥」

「舞妓ぉ‥‥聞いてるのか‥‥?」

 

僕のことを下から深淵を宿した目をしつつ語りかけてくる峰田くんから目を逸らす。怖いよ、本当。何が君のことをそこまでさせるの? 確かに既読スルーしてるのもちょっとブロックしてるのも悪かったなって思ってるけどそこまで怖い反応しなくて良くない?

 

僕がしたことなんて男は僕一人で他は女子のハーレムメンバーでご飯を食べたことくらいじゃん。

 

重罪すぎる‥‥世が世なら死刑じゃん。ここが武士の世だったらハラキリさせられてるレベル。まぁ、だからと言って峰田くんをあの中に入れるのは抵抗があるけども‥‥

 

みんながガヤガヤと思い思いに言葉を話す。いいね、なんか最高に青春って感じがする〜。こういう瞬間をもっと集めたい。その後の絶望が色濃くなるし。

 

もっと仲良くしてね、みんな♡

 

「おはよう」

 

そんなみんなの会話が相澤先生の到着とともにぴたりと止まる。なんか相澤先生の機嫌を取るということに関して段々と手慣れていってない? ちょっと怖いんだけど‥‥

 

「相澤先生包帯取れたのね、よかったわ」

「婆さんの処置が大袈裟なんだよ」

 

そうそう、相澤先生の包帯取れたのはいいことだよね。これで相澤先生の曇った顔も見られるってものだ。相澤先生もなかなか曇ってくれるからな‥‥最高の曇りを届けてくれ‥‥僕のために‥‥

 

「今日のヒーロー情報学はちょっと特別だぞ」

 

ゴクリ、とみんなの喉が鳴るのがわかる。いや、正直な話をすると僕は知ってるんだけどね。このときのことを10年間で多分総合すると二週間はぶっ通しで考えてるから、タイミングを忘れるわけがない。

 

「コードネーム、ヒーロー名の考案だ」

「胸膨らむやつきたァァァァァァ!!」

 

相澤先生が髪の毛を逆立たせながら威嚇しているのにみんなが静かにするまでに時間がかかるくらいにテンションがぶち上がってしまっているようだ。まぁね、気持ちはわかるけどね? 僕だってかっこいいヒーローネームにするために色々考えてきたもん今まで。少年の憧れだもんね、わかるよ。

 

‥‥嘘です。本当はみんなのことを全力で曇らせるためにいい名前を探してました。そして一つの答えに辿り着いたから今日は特大の曇らせの手腕をご覧に入れよう。というか曇らせの種だね。

 

「これもプロからのドラフト指名が関係してる。今回はA組が全体の九割を占める例年全く見ない異常なほどの指名だったが‥‥舞妓、お前なんかしたか?」

「みんなの頑張りですよ、僕関係ないです」

 

なんで相澤先生は僕が悪いんじゃないかって疑ってくるかな? 僕がそんなことしかけるわけないじゃん。

 

‥‥まぁ、間違いなくA組で上位20名を占めたことが関係してるだろうけど。他の生徒はB組を含めて、全くと言っていいほど目立たなかっただろうし。これでA組とB組の確執は原作よりも少しばっかり深いものになっただろう。その一端が自分にあると知った鉄哲くんはさぞかしいい顔してくれるんだろうなぁ‥‥君が調子こいてるとか言ったから僕の標的にされたんだぞ♡ その君も騎馬戦で無様に僕に負けてるしね、愚の骨頂ってやつだぜ。

 

「A組とB組でバラけて‥‥そこからさらにバラけるのが普通なんだが、今年は3人に偏った」

「舞妓4000件!?」

「1位が3位にまで落ちてんじゃん」

 

ありゃ、予想よりも偏ったな? 僕が4000数件、轟くんが2,000件、かっちゃんが1,500件といったところだろう。まぁ、かっちゃんよりも僕と轟くんの方が目立ってたのは事実だもんね。僕、全体通して1位、1位、2位だし、しかも義足が壊れてなかったらおそらく1位だっただろうなってことはみんなわかるような負け方だったからなぁ‥‥この指名の数も納得なのかな? かっちゃん以外はだけど。

 

「まぁ、表彰台で拘束されてたやつはこえーよな」

「ビビんなやプロが!」

「ビビるビビらない以前に態度が悪いんだろ」

「あ゛ぁ゛!?」

 

おー、怖いね。かっちゃんとは決勝戦から話せてないんだよなぁ‥‥もう少し話したかったんだけど。あ、でもでも! 決勝戦の後VTR見たけど最高だった! 僕に勝っちゃったのがたまたまなんだってことに気づいて! さらに手加減されてるってことに気づいてからのかっちゃん本当に最高! 気絶した僕に近づいて、僕のことを何年振りか名前で呼びながら切なげで、可哀想な顔したのも本当に最高だったよ! この感謝は伝えてあげたいけど伝えたら君はきっとキレ散らかすんだろうなぁ‥‥その顔は好きじゃないんだよね、無様で、可哀想な曇り顔こそ君の真骨頂なんだよ! いじめっ子なんてやめて曇り顔ずっとしてればいいんだ!

 

‥‥話が逸れてしまった、なんの話してたっけ?

 

「まぁ、指名の有無関係なく、職場体験ってのには行ってもらう。そのためのヒーローネームだ。適当な名前をつけると後悔するぞ」

「ここでの名前がそのまま認知されることも多いからね!」

 

ミッドナイト先生が入ってきて早々にそんなことを口にする。そうそう、そんな話してたね。まぁ、ヒーロー名変える人あんまりいないみたいだし重要だよね。そんなにポンポン変えられるものじゃないんだろうけど。一応公務員だしね。

 

ミッドナイト先生直々のお話から15分してみんなの名前を発表するフェーズに入る。しばらくは大喜利だもんね、僕も雰囲気とかに乗っていた方がいいかな? 青山くん(英語の短文)と芦戸ちゃん(映画の化け物)の名前の後、本来なら梅雨ちゃんの名前が入るタイミングで僕が声を上げた。こういうふざけなさいみたいな雰囲気結構好きなんだよね。

 

「あら舞妓くん、決まったの?」

「はい、まずはこんなのはどうかなって‥‥」

 

僕は教壇の前にまで行ってからフリップを前に出して自己紹介してやった。そう、曇らせのためにね!

 

「ワンフォーオール・オールフォーワン!」

「お前も短文!?」

「助けを呼ぶために叫ぶには長いって!」

「思想が強い教師みたいになるぞ‥‥!」

 

みんなから反感の声が上がった。というか思想の強い教師ウケる。この世界にも「一人はみんなのために! みんなは一人のために!」とかほざいてる教師がいるのは確認してるんだよね。確かにあいつら思想強いよな‥‥わかる。

 

ちなみに僕たち一人(無個性)のためにみんな(個性持ち)がいじめを行うのが日常茶飯事でしたがその点に関してはどう受け止めるんですかね? 僕と出久くんは結構その手の被害にあったんだけど? この世界民度低すぎるんだよね。ちなみにヴィラン堕ちしたらその辺りの全員に復讐するつもりです。そうしたら堕ちた理由に説得力増すでしょ?

 

「‥‥‥その名前はやめとけ」

 

思わぬタイミングで相澤先生からストップが入る。はて、この名前がダメだと思うのはオールマイトくらいのものだと思ってたんだけど‥‥あぁ、そのオールマイトがあの姿になった理由くらいは雄英教師なら聞いてるか。流石に誰にやられたかも言わないでって言うのは合理的に考えてよくないもんね。

 

まぁ、最強ヴィランだったラスボス先生の名前が入ってるのはヒーローとしてはちょっと困るか。わざわざ相澤先生が止めに来るあたりガチ感出ていい伏線になっただろう。

 

これで僕にとってラスボス先生こそがヒーローなんだよってことを伏線にできたし、良かったとしようか。

 

「え〜‥‥いい名前だと思ったんですけど」

 

嘘つけ〜! この大喜利の雰囲気に乗っただけだろ! というみんなの心の声がひしひしと届いてくる。失礼な、大喜利がしたかっただけじゃなくてちゃんと曇らせの種を蒔いたよ。僕がたった一つの目的のために動くわけないじゃないか。いや、別に全然動くんだけどね?

 

「仕方ないなぁ‥‥って言っても、もう決まってるんですけどね」

 

僕はその場でカキカキとフリップを書き換えて名前を書く。たった数秒しかかからないような作業だ。ヒーローネームをつけるってなった時から僕はこの名前をつけるって決めていたのだ。

 

最高の曇らせのためにね。

 

「ユズ」

 

僕の出したフリップにみんなが注目する。うんうん、みんなちゃんと僕の名前を覚えててね、これは大きな種なんだからさ、二度と忘れられない言葉にしてあげるから。

 

「いいわね! それは名前から?」

「はい、呼びやすいでしょ? それに、僕のこの名前は‥‥ヒーローなんだって言ってくれた子がいるから」

 

出久くんと耳郎ちゃんに目を向ける。そしてウインクしてやった。いい名前だと思わない? 呼びやすくて、覚えやすいでしょ?

 

そして、それでいて名前ごとヴィランになったときにとても絶望できると思うんだよね。「敵連合のユズだよ」とか最高に曇れるでしょ? さっきまで友達だったのが一気に遠くに行った感じがしてくれていいと思うんだよね!

 

あと弔くんヒーロー名付けても、多分それで呼んでくれないし。僕のことを名前で呼ぶのが癖づいてるからね、その点ヒーロー名を僕の名前にしてしまえば嫌でもこいつはヒーローなんだということを理解できて名前を呼ぶたびに曇ってくれるだろう。二兎を追って二兎を得てから巣まで見つけて家族も食うレベルの天才じゃねぇか‥‥

 

「うん、僕はいい名前だと思うよ!」

「ありがと、出久くん」

 

出久くんが褒めてくれるのでありがたくお褒めの言葉を頂戴しておく。二人で照れるみたいに見つめ合っていると次つっかえてるから早くしろと相澤先生に叱られてしまった。

 

トボトボと席に帰りみんなの名前を聞いていく。みんなヒーロー志望ということでしっかりと自分の名前を考えてきている子が大半だった。そりゃ言い出しにくいよね三連続も大喜利があったらね、ごめんね?

 

「フロッピー」

「烈怒頼雄斗!!」

「イヤホン=ジャック」

「テンタコル」

「セロファン」

「テイルマン」

「ピンキー!」

「チャージズマ!」

「インビジブルガール!!」

「クリエティ」

「ショート」

「ツクヨミ」

「グレープジュース!!」

「‥‥!」

 

口田くんだけアニマって書かれたフリップボードを見せるだけで名前を言わなかったけど他のみんなは言ってる感じだね。原作では表現できなかったところだなぁ‥‥みんなセンスが光るぜ‥‥眩しいくらいだ。これ全部曇らせていいとか今世最高すぎだぜ!

 

そんな中かっちゃんがズンズンと歩いて行きフリップを立てた。そこに書かれていたのは‥‥

 

「爆殺王」

 

あ、これダメだ、覚悟してたけど面白すぎる‥‥! 馬鹿の考えじゃんか、どうやったらそんなにヴィランっぽい名前になるんだよ‥‥!

 

かっちゃんが保留になって次はお茶子ちゃんが「ウラビティ」という名前を掲げた。グラビティからGを取る(無重力にする)ことと麗日をかけてウラビティなの一番洒落てると思うんだよね。

 

お茶子ちゃんの次に飯田くん。その後にはついに主人公たる出久くんの名前が発表された。

 

「僕にとっても嫌いな名前だったけど‥‥最近、この名前の意味を変えられて、それが衝撃で‥‥僕はヒーロー『デク』です!」

「うん、いいじゃん。木偶の坊じゃないってこと見せてやらないとね」

 

出久くんの名前は素敵だよね、嫌なニックネームを意味を変えてくれたヒロインによって再構築されて使うって王道って感じするし、なかなかエモい展開だと言えるだろう。堀越先生最高だぜ!

 

 

みんなの名前が決まると早速職業体験のためのヒーロー事務所を決める作業へと取り掛かることになる。僕と轟くん、それからかっちゃんは馬鹿みたいな量の資料を読み取るところから始めないといけないのが億劫だよね‥‥

 

「あ、エンデヴァー事務所」

「はぁ!? エンデヴァー!?」

「えぇ!? ゆずくんすごいや!」

 

あのおじさん僕にあそこまでコテンパンにされたのに声かけてくるとか相当なマゾなのか? いや、あの人は歪んでるだけで息子や娘への愛情自体は持ち合わせているから息子の友人だとして啖呵を切った僕のことが気に入ったとか? 個人的には渡りに船だし、乗ってもいいけど‥‥

 

「舞妓、あいつから指名来てんのか」

「え、あぁ‥‥うん。まぁね」

 

僕たちの周りのざわつきを聞いて轟くんが接触しに来た。まぁ、気持ちはわかるよ、なんの心情の変化なのかわからないけど轟くんは僕のことを友達だと認めてくれてるみたいだし、いつのまにかエンデヴァーと縁を繋いでたんだって話になってるだろうからね。あの人基本的に炎系の人しか呼ばないし。僕が呼ばれるのは異例だろう。

 

「この前話したからそれが原因かなぁ‥‥」

「あいつと話したのか」

「ん〜‥‥少しね」

 

轟くんには誤魔化して話しておく。あれを自分から説明するのはなんか恥ずかしいしね。それにあれを轟くんに説明したところで曇るかどうかと言われたら怪しいところでしょ? 曇らないなら話す価値なーし。

 

「焦凍はエンデヴァー事務所にするの?」

「‥‥あぁ、そうするつもりだ」

「えぇ〜‥‥じゃあ僕もそうしようかなぁ‥‥学べることも多いだろうし、友達がいる方が心強いし‥‥」

 

なんて言っているけど実際のところ僕は保須市の事件に乱入したいので、エンデヴァー事務所の方が都合がいいという話なだけなんだけどね。他にも東京の事務所からも声はかかってるけど、折角なら乱入が確定してるエンデヴァー辺りにしておいた方が不確定要素は潰せるし、何よりエンデヴァーの曇らせが見られるしね!

 

「ま、もう少し考えるけどさ」

「俺はお前がいた方が嬉しいけどな」

「ガチで頭打ったか? 焦凍???」

 

なんか轟くんが僕に異様に好意的なんだけど‥‥なんでだ? いや、そりゃ原作での出久くんへの感情の大きさを考えたらこうなるのもおかしくないか、特に僕は轟くんにも体育祭までの時間含めて絡みに行ってるし、少しは好意的な感情を持ってくれていたんだろう、それが一気にプラスに転じた感じかな?

 

言うなれば猫が懐いたみたいな‥‥これ、僕らでBL描かれそうでなんかあれだな! この話は無かったことにしてください!!

 

 

  × × ×

 

 

「舞妓、いるか」

「あ、普通科の」

 

放課後になると何やら心操くんがA組にまでやってきた。そしてこの後びっくりすることが起こる。

 

「ちょっと話がある。‥‥その前に、尾白、青山この前の体育祭では悪いことをした。改めてごめん」

 

なんと、心操くんが尾白くんと青山くんに頭を下げたのだ。悪びれもしないと思っていたんだけどな‥‥いや、僕が人の気持ち考えろとかなんとか言ったからそれが刺さってたのかな? 本当に根はいい子なんだよね‥‥顔怖いけど。

 

「体育祭の後も謝ってくれたろ、俺はもういいよ」

「ボクも」

 

おぉう、なんだ。和解してんのか‥‥そこまで話進んでるとは思わなかった。心操くんとしてもそれなりに心境の変化というものがあったのだろう。少し目のクマも落ちてどこかスッキリしているように見えなくもない。

 

「それから、A組のみんなも、ごめん。ヴィランに襲撃されたこと、よく考えもしないで宣戦布告した。自分のことしか見えてなかった。必死だった‥‥って言えば聞こえがいいけど、ただ自己中心的だった。だから、ごめん」

「‥‥‥へぇ」

 

なに? 僕の言葉でそこまで考えてくれたの? まじかよ、将来有望すぎない? 流石に凄い変化だ‥‥僕の啖呵とか全部含めて心操くんの心を動かすに足り得たって感じかな? A組のみんなも多少は動揺するものの心操くんの謝罪を受け入れたようだ、心が広いね!

 

それからうん、心操くんはヒーローになるいい顔だ。曇らせたくなるね!

 

「それで舞妓。少し話がしたい。いいか?」

「え? あぁ、うん。構わないけど‥‥じゃ、場所変えよっか」

 

みんなに一言断りを入れてから心操くんと一緒に教室を出る。そしてスタスタと歩いてたどり着いたのは中庭‥‥のような場所だった。ここあれかな? 心操くんが相澤先生に稽古つけてもらってたところかな。そこについて、少しだけ間を空けてから心操くんが口を開く。

 

「舞妓の言ってたこと、考えた」

「うん」

「‥‥ヒーローに向いてるなんて、今まで言われたことがなかったからさ、ヴィランに向いてるって言われてきた」

「‥‥‥」

「俺のなりたいものについて、考えてみたんだ。‥‥俺はヒーローになりたかった。この個性でも、憧れたから」

 

振り返って僕のことを見つめるその瞳は、曇っていた体育祭の頃の憂いについて払拭したヒーローの顔。

 

‥‥‥いいね、最高に曇らせがいのある男の顔だ。

 

「俺はここから真っ当に、ヒーローを目指しに行く。だから、改めて宣戦布告だ」

「‥‥あはは! いいじゃん! うん! 僕のライバル足り得るって認めてあげる!」

 

心操くんの胸にドンと拳を当ててあげる。まるで少年漫画(この作品は週刊少年ジャンプ連載の漫画だけど)の1ページのように、胸に響くものにしないとね。

 

「改めて、僕の名前は舞妓譲葉。よろしくね」

「普通科、心操人使。よろしく」

 

まるで少年漫画だな、いや、ジャンプだけども。後これ主人公出久くんなんだけど? 僕が主人公みたいになってない? ‥‥というか今更だけど出久くんが個性の幻影見ないのって今後に影響しないよね? 一応それなりに考えた上で、心操くんが落ちてもいいようなプロットも組んではあるけど‥‥それでもなんか心配になってきたな、どっかのタイミングで出久くんに幻影が見えるくらいに痛めつけよ。曇りはしないだろうけど勝てない親友兼ライバルって感じで読者に印象付けられるでしょ。

 

「じゃあこのまま人使は職員室行こっか。将来有望なヒーローの卵。担任に紹介させてよ」

「‥‥‥いいのか?」

「むしろ騎馬戦にまで残ったんだから少しくらいはいいことないとじゃない?」

 

それに今後心操くんが入ってこないとたたないフラグもあるしね。そのことも考えると一応相澤先生だけでも通しておく方が都合がいい。

 

「じゃあ、行こっか」

「‥‥‥舞妓、めちゃくちゃ見られてるけど俺なんか悪いことしたかな?」

「‥‥‥僕も気づかないようにしてたんだけどなぁ」

 

校舎の影からA組のみんなが覗いてる視線が僕たちに絡みつく。まぁ、あんな風に呼び出されたらBLの波動を感じちゃうよね? だからってそんな今から友達が告白します! みたいなノリで見なくて良くない?

 

「‥‥僕今から告白でもされると思ってんのかな?」

「あぁ‥‥そういう‥‥」

「いっそのこと付き合っちゃう? みんなにドッキリしちゃう?」

「いや、俺ノーマルだから」

「僕もだよ!?」

 

心操くん! もしかして僕のことをしっかり男として見てくれてるの!? 最高にいい子じゃん!! ヒーローの素質しかない!! よっしゃ僕が責任を持ってヒーロー科に転入できる準備と曇らせの準備進めてあげるからね! 待ってるんだよ!!

 

僕たちはA組のみんなの方に向かって歩き出す。心操くんについてみんなに紹介してから職員室に向かうことにした、うんうん。こういう風に縁を繋げるのは大事だと思うよ、本当にね!

 

将来の曇らせのために、強固なものにしていこうね!

 

 

 

 

 





心操くんについてはそこそこ悩みました。まぁ、それが原因で遅れたわけではないんですけども。前書きでも書きましたがなかなか忙しい生活を送ってて‥‥趣味の一つとしてこの小説を書くということは続けていきますがチラホラ書けないみたいな時期も出てくると思います。そんなときは許してください。

どうせすぐ帰ってくるので、承認欲求モンスターは不死身です。
皆さんの感想、評価に応援‥‥全てを受け止めに帰ってきます‥‥楽しんでくれている皆さんに幸がありますように!

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