個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア!   作:波間こうど

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やぁ、曇らせの民。僕だよ。
もう既に黒星がついてる? そういうことだよ。

挿絵表示してから見ましょう!!

それではどうぞ!!


★曇らせの楽園に種を蒔く。

 

飯田くんと出久くんよりも軽傷で済んだ僕と轟くんは入院生活を数日で終えて、退院するや否やエンデヴァー事務所に挨拶をしに向かった。監督不行届きで二ヶ月かそこらくらい教育権を没収されるとかなんとかなので一応頭下げておかないとね‥‥いや、その分ヒーロー殺し逮捕の功績を与えてるからまぁ、許してくれよ、って感じなんだけども。

 

ちなみにこのエンデヴァーがヒーロー殺しを捕まえた新聞では『エンデヴァーの顔に曇りが』と書いてる様子を見ることができます。原作知識の豆知識ね。

 

エンデヴァー事務所ではエンデヴァーを始め誰かに何かを言われることもなく、エンデヴァーに関していうと「構わん」とだけ口にして早々にパトロールに出ていっちゃったんだけどね‥‥なんか子供と距離感を測れてない親みたいだな‥‥ちょっと面白いかも。そのうち「最近‥‥どうだ?」とか言い出すのかな‥‥不慣れすぎて笑っちゃうぜ‥‥

 

まぁ! 一応書類の処理とか! 雑務は押し付けられたんだけどね! エンデヴァーの教育権がなくなったことでサイドキックが多いエンデヴァー事務所では少しゴタゴタしてるようで、その辺りの雑務は片付けておいてほしいと頼まれたのだ。まぁ? 僕と轟くんはエリートなので、簡単だったんだけど‥‥量が多くて気がつけばこんな時間になってしまっていた。もう時刻は六時前である。ちゃんと定時じゃん。

 

「なんだかんだみんな笑って許してくれたね」

「あぁ、もっと怒られるかと思ってた」

「焦凍が面構署長に啖呵切ったみたいに?」

 

そう返すと轟くんがすごく嫌そうな顔をした。原作でもあった流れである『ヒーロー殺しを倒したのは自分達であると公表して世間からの賞賛と罰を受けるか』『ヒーロー殺しを捕らえた功績をエンデヴァーに引き渡すことで自分達が得るはずだった賞賛を手放すか』という二択を突きつけられたとき、轟くんは案の定怒りながら面構署長に詰め寄った。なんなら出久くんも半ばイラついてたので僕が止めることになったんだよね。

 

あ、出久くんも気が弱いけどイラついてるな、みたいなときあるよ。そういうときは多少目つきが悪くなるし、ムスッとする。不機嫌なだけかもしれないけどね。最近だと女子会パーティしたときに自分とかっちゃんだけが呼ばれなかったことを知ったときもムスッとしてた。構ってもらえないワンちゃんみたいで可愛いね。

 

「でもまぁ、出久くんとか飯田くんとかの行動が悪いとは言ってないんだし、もう少し待ってからでも良かったけどね」

「冷静じゃなかったのは悪かったと思ってる」

 

まぁ、あれって感情を発露するようになって轟くんの人気が高まってきたのを象徴する場面でもあるわけだしね‥‥彼の中でのヒーロー像を見据えたセリフだとも取れるわけだ。ルールに縛られて友達を助けられないヒーローはカッコ悪いもんね。言いたいことはわかるよ。

 

いや、ヒーローなんて大抵遅れてきて友達も家族も他人も助けられない存在なんだけどね!

 

「まぁ、焦凍が言いたいこともわかるけどね。あ、この後どうする? ご飯食べたいんだけど‥‥ここら辺あんまり来なくてさ、いいお店知ってる?」

「‥‥なら提案があるんだが、いいか」

「お、いいね〜! 蕎麦屋でも僕は全然OKだよ!」

 

携帯を弄る轟くんの横で体を伸ばしながら人通りの少ない住宅街を闊歩する。エンデヴァー事務所は駅からちょっと遠いんだよね。まぁ、住宅街の近くにはあるんだけど駅に向かうには住宅街を横断して行かなければならないのだ。ちょっと面倒。

 

「‥‥舞妓さえ良ければうちに来ないか」

「‥‥んぇ?」

「姉さんが友達連れてこないかって、舞妓が嫌なら全然いいんだが」

「嫌なわけないじゃん! むしろいいの!?」

「おぉ‥‥喜ぶと思う」

 

なんか轟くんからまさかのお誘いが来たんだけど‥‥そっか、職業体験の時点である程度の好感度があったらもうお家に誘ってくれるんだ! こんなの一もニもなく飛びつくに決まってるんだよなぁ‥‥! こんなチャンス滅多にないし!

 

轟一家とは曇らせ適性の高い一家だ。曇らせヒロインエンデヴァーに始まり父親嫌いを隠そうともしない夏雄、家族愛に飢える姉である冬美、息子に熱湯を掛けるほど精神を病む母の冷に曇らせ一家を見て育った焦凍。最高に曇らせがいのある一家なのである。こんなの関係を持たないのが損というものだ。

 

ちなみに荼毘くんは家族に入れてない、お葬式されちゃったしね。仕方ないよね。

 

「それじゃあ‥‥行くか」

「是非是非お邪魔させてよ! 楽しみだなぁ〜」

「あ、なんか嫌いなもんとかあるかって」

「ないない! なんでも食べれるよ! あ、菓子折りとか買って行ったほうがいいかな‥‥!」

「いらねぇだろ」

「いるでしょ! ちょっ! デパート行くよ! 焦凍! お姉さんたち何が好きなの!」

「‥‥‥そういや知らねぇな」

「バッッッカじゃないの!? ほら! じゃあ焦凍も選ぶの付き合って!」

 

轟くんの腕を引いて駅前のショッピングモールへと急ぐ。彼の説明だとどうやら家までも大した距離じゃないようなので買い物に少しだけ時間を使ってしまおう。ここは好感度をガッツリ稼ぐことのほうが大事だからね‥‥待ってな轟一家‥‥! 僕が心の奥底にまで入り込んでやるぜ‥‥!

 

 

  × × ×

 

 

「おかえりなさい〜! 焦凍のお友達もお忙しい中よく来てくださいました〜!」

 

轟くんのお家は一般家庭とは乖離した日本家屋だった。すっごいデカいね‥‥ヤオモモちゃんのお家もおっきかったけどさ‥‥やっぱり雄英の推薦入試に受かるような人間は金がないとダメなのか? その上こんなに美人なお姉さんまでいるとか‥‥ムチムチじゃん? 曇らせ似合うじゃん? 僕的にはドストライクなんだよね、しかも女教師だぜ? ダメだろ。個人的な話をさせてもらうならナガンの次くらいに好き。

 

「ただいま」

「お邪魔します! 焦凍の友達の舞妓譲葉というものです! 本日はお招きいただきありがとうございます! お姉さんお綺麗ですね! こちらつまらないものですがどうぞ! 本日はよろしくお願いします!」

「元気良すぎねぇか?」

 

それが取り柄だからね! と轟くんに言ってあげる。お姉さんはクスクスと笑いながら僕からの手土産を受け取ってくれた。いい笑顔だぜ‥‥曇らせてぇなぁ‥‥

 

「わぁ! ここのプリン美味しいやつだ!」

「そうなのか」

「まぁ、自信を持ってオススメできるものだね。焦凍もあとで食べてみな? 飛ぶぞ?」

 

お菓子作りの参考になるし、美味しいしでデパ地下的なデザートは結構頭の中に入ってるんだよね。女の子と仲良くなるのにこれ以上ないくらいの武器だぜ? 轟くんも覚えた方がいい。‥‥まぁ、君は顔があればイチコロだろうけどね!

 

「それじゃあご飯ももうできるから上がって上がって!」

「お邪魔します!」

 

スタスタと前を歩くお姉さんについて行くようにして歩いていく。うーん‥‥お尻のラインが完璧だな‥‥これはタッパとケツがデカい女だ‥‥これで女教師は性癖歪めまくるのでは? 小学校の先生? 堀越先生よくないですよ!

 

「焦凍、お姉さん美人だね!」

「そうか? 普通だろ」

「お前の目はなんのためについてるんだ‥‥? ところでお前自分が美形な自覚はある?」

「び‥‥?」

 

こしょこしょ話を轟くんにしてみると、?マークを頭に浮かべながら首を傾げたので頭を叩いてみる。すると本気で訳がわからないという顔をし始めたのでため息をついてしまった。なんだこいつ‥‥あの両親から生まれてブスな訳ないだろ‥‥

 

「それじゃあ座っててね! もうすぐできるから!」

「え! お手伝いしますよ! 何作ってるんですか?」

「譲葉ちゃん料理できるの?」

「はい! 一通りは! あ、焦凍は座ってていいよ!」

「‥‥‥?」

 

あまりにもスムーズに自分が座らされて僕が台所に向かったものだから困惑しているのであろう轟くんのことを放置して台所に向かう。うーん‥‥古き良き日本家屋の台所って感じがするな‥‥この造形美嫌いじゃないぜ‥‥

 

「あ、普段の焦凍ってどんな感じなの?」

「うーん‥‥クールですね。基本群れず‥‥みたいな? 一匹狼って感じです! でも最近は友達もできましたし、結構話にも参加するようになってますよ!」

「へぇ〜! そうなんだ! ところでどう? 譲葉ちゃん、焦凍顔も整ってるし浮気も絶対にしないタイプだと思うよ?」

「え? あ〜‥‥う〜ん‥‥そうですねぇ‥‥僕か、彼の性別の染色体が両方Xになれば可能性がありますかね?」

「へ? ‥‥‥うっそ、男の子なの!?」

「やっぱりわかってない上での譲葉ちゃんだったんですね???」

 

豆腐を切ってお味噌汁の中に落としながらお姉さんとお話を続ける。なんかやけに轟くんのこと推してくるなと思ったよ。でも僕が男ってことは体育祭で‥‥あ、ジャージだったか。ボーイッシュな格好が好きな女の子かと思ってた? ハハハ、しまいには泣きますからね?

 

というか少年のことをオールマイトがハグ!? みたいなのテレビとか雑誌でしこたま流れませんでした? 教師だったらそこまでたくさん読んだり見たりしてる暇ないか。まぁ、一応納得かな。どちらかというと僕が男だって信じられなかったって方が強そうに見えるけど。誤字に見えた? やば、お味噌汁しょっぱいな‥‥塩入れすぎじゃない? あ、涙か‥‥

 

「そっか、男の子かぁ‥‥」

「‥‥なんです? こっち見て」

「‥‥ほんとに?」

「本当ですよ、あ、お米炊けましたよ」

「じゃあそのチークはなんで?」

「男の子でもメイクするでしょ、多様性の時代ですよ?」

「いや、それレディースブランドのだよね? 私も同じの使ってるもん。お味噌汁はそのまま保温ね!」

「黙秘権を行使しまーす」

 

二人で話しながらお料理を作ること数十分、お話が弾む中で次々お料理作り続けてたらなんか思ったよりもたくさんになっちゃったな‥‥まぁ、お兄さんも帰ってくるだろうし、最悪エンデヴァー用に取り置きしておこう。育ち盛りが3人もいれば食べれるでしょ。いや、お兄さん大学生だけども。

 

「焦凍〜! お皿持って行って〜!」

 

轟くんに声をかけてご飯を食卓に並べてもらう。うんうん、パーティーを開くぐらい豪華になっちゃったな‥‥やっぱり前言撤回、作りすぎだわ。

 

「‥‥すげぇな」

「ね、作りすぎたわ」

「いや、お前誰とでも仲良くなれんのか?」

 

轟くんの発言はどうやらお料理じゃなくて僕に対しての言葉だったらしい。お姉さんと話す声が台所から聞こえてきて仲良くなったのがわかったのだとか。そんなにヌルッとわかるもんなの?

 

「お姉さん教師だから気を遣ってくれたんじゃない?」

「‥‥ちげぇと思う」

 

轟くんの横に腰を下ろす。目の前の豪勢な食事にカメラを構えると、玄関のドアが開く音が聞こえた。どうやらお兄さんが帰ってきたらしい。

 

「ただいま〜! 姉ちゃん腹減った!」

 

ドタドタと廊下を走る音が近づいてくる。ピシャン! と引き戸を開けるとそこには白い髪をかきあげた筋肉質のイケメンが立っていた。おぉ〜、爽やかな笑顔、曇らせたいねぇ‥‥

 

「夏兄おかえり」

「お邪魔してます!」

 

僕のことを目に止めたお兄さんが目をぱちくりと動かす。そんなに驚くようなことかな? いやまぁ、はじめましてだしね、自己紹介くらいしておこうかな。

 

「初めまして! 舞妓譲葉です! 本日はお食事にお招きいただきました! 焦凍とは公私問わず仲良くさせてもらってます! よろしくお願いします!」

「そっかぁ‥‥焦凍もとうとう女の子を家に連れ込むようになったのか‥‥」

「男だぞ」

「え」

 

轟家全員一旦僕のことを女の子だと思うのやめてくんないかな‥‥そのままお姉さんの横に座ったお兄さんを見送ってから写真の許可をもらう。ついでなので皆さんにも映ってもらって、これをクラスグループに送りつけた。うん、余は満足じゃ。速攻で既読つけて「呪」と個別のメッセージを送りつけてきた峰田くんについては見なかったことにして、目の前のお二人と話を続ける。

 

いや、怖い怖い。めっちゃ携帯のバイブレーションが反応してるんだけど? 怖すぎるって‥‥なに? 何が君をそこまで突き動かすんだ峰田くん‥‥!

 

談笑を続けながらみんなとご飯を食べる。まるで家族の一員になったみたいな気がするぜ‥‥心の内側にまで入り込んでるってことね!

 

「それで焦凍なんて言ったと思います? 『ハンドクラッシャーみたいな‥‥』って言ったんですよ! 僕信じられなくて!」

「舞妓」

「焦凍が友達連れてくるようになるなんてなぁ‥‥しみじみとしちまうよ‥‥」

「夏兄も連れてきたことないだろ」

「残念! 俺は親父と鉢合わせさせたくないから連れてきてないだけなんだわ!」

「え? 私は夏雄もいないんじゃないかって思ってたよ?」

「轟一家友達少ないんですか? 僕で良ければ友達になりますよ‥‥?」

「哀れんだ目を向けるのやめろ! 彼女だっているわ!」

「僕にはいないのに!!」

「彼女作りてぇのか?」

「人並みにね!!」

 

轟一家と談笑しながらご飯を食べる。話の流れで家族の込み入った話に入ってしまわないように雰囲気を見て回避することを繰り返せばあっという間に懐に入り込めてしまった。この世界の人たち世間からのDVを受けすぎて優しくされたらイチコロだからな‥‥特にこの家では家族の話題を出さないで身内の話で盛り上げつつ得意なこと、好きなこと、食べ物の話を振ればいいですね。攻略チャートにもそう書いてある。まぁ、ただの僕のメインプランなんだけどね。

 

ちなみに会話の流れで僕はお泊まりする権利まで手に入れました。天才的な人心掌握術だね‥‥我ながら惚れ惚れしちまうぜ‥‥

 

そうやって会話を続け、そのままご飯を食べ切り、夏雄お兄さんが一人暮らしの家に帰らないことが決定したのでみんなでトランプとUNOをして、お風呂に入り、明日が早い冬美お姉さん、夏雄お兄さん、僕たちの順番で床につきました。もちろん僕は轟くんの部屋で寝ました。お前がエンデヴァー事務所の備え付けの部屋が違うってわかってホッとしたのわかってんだからな、逃がさないぞ♡

 

布団はアホほど離されました。ウケますね。

 

 

  × × ×

 

 

その日、僕は運命の分かれ道に立たされていた。

 

「アッハッハッハッハッハッハッ!! マジかよ爆豪クソだせぇぇぇぇ!!!!」

「何笑ってんだ女男テメェ‥‥!!!」

「お前の髪型見て笑わないやつのがいねぇよ!! 馬鹿にしてんのか!!」

「馬鹿にしてんのはお前だわ‥‥! ぶっ殺すぞ‥‥!」

「やってみやがれ8:2坊や!! ヒィ〜!!」

 

8:2の髪型に変えられてしまったかっちゃんを見て大爆笑してしまう。あまりにもおもしろすぎる‥‥! 僕はここで笑いすぎてかっちゃんと大喧嘩になってもいいようにメインプランいじってあるんだよね。それくらいにはこのバカすぎる髪型で笑いを堪える自信がなかったのだ。ベストジーニスト天才すぎるだろ、なんだこれ! この髪型間抜けすぎるだろ‥‥! 似合うやついないよ!!

 

「ゆずくんあんなに笑うことあるんや‥‥」

「いや、僕が見た中でも1、2を争うくらいに笑ってるよ」

 

僕がどのくらい笑ってたかというとバトルヒーローの元で目覚めたお茶子ちゃんが僕の笑い声に素に戻り、出久くんが冷静に分析し、先に笑っていた切島くんと瀬呂くんが笑い止み、この前の通話があって少しだけ照れてる耳郎ちゃんが呆れるくらい笑ってた。笑いすぎだろ。

 

「あ〜〜‥‥おもしろ過ぎる‥‥ベストジーニストに専属スタイリストになってもらえよ‥‥!! プッ!」

「よぉ〜〜し、テメェ殺されてぇんだな?」

「どうやって殺すの? 体を8:2に分離させたりしてくんの!?」

「爆殺じゃボケがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

あまりにもあまりに煽りすぎたため、流石に我慢の限界が来たかっちゃんが両手を爆破しながら僕に近づいてきた。それを切島くんたちに止められる。あ〜、面白かった‥‥今年一年分くらい笑ったわ。

 

「はぁ〜‥‥疲れた。笑い疲れたし帰っちゃダメかな‥‥」

「いいわけないでしょ」

 

いつの間にか隣に来てた耳郎ちゃんが僕にツッコむ、チラリとそちらに目を向けるとフイっと顔を逸らされた。えぇ‥‥照れるのはわかるけどそんなに露骨に逸らしたりする‥‥? ほら、めっちゃ峰田くんが見てくるんだけど‥‥

 

 

【挿絵表示】

 

 

「‥‥‥ヤった?」

「実、流石に擁護できないくらいにダメじゃない???」

 

峰田くんの頭にチョップをぶち込んでから耳郎ちゃんの方を見る。ほら、耳がいいから聞こえてんじゃん。今のヤッたって言葉で耳まで赤くしてるじゃん可愛いね! 想像しちゃった? なんかごめんね!

 

「ところでよぉ舞妓‥‥昨日のあの写真はなんだ‥‥?」

「ん? あぁ、あれは焦凍の家でご飯食べた写真」

「じゃああれは轟姉‥‥?」

「そうだよ、冬美さん。美人だよね! めっちゃ優しいんだよ!」

 

峰田くんの言葉にすかさず返す。これ以上下ネタで攻められたら流石の僕も困っちゃうからね‥‥僕の中の男子高校生が暴れ出す前に止めてあげないと僕のキャラクターが悲惨なことになっちゃうぜ。

 

それにこの話には乗っておいた方がいい。今から始まるヒーロー殺し系の話題は僕たちヴィラン連合が全部持って行った形になっているし、弔くんの話題が出ることはほとんど確定事項だ。ついこの間耳郎ちゃんの泣き顔を見たところなんだからそんなに何度も曇らせを見たら過剰供給で死んじゃうし、曇らせは期間を空けて熟成させることが大事だからね。たわいもないやり取りに興じることにしよう。

 

そうやってみんなでワイワイと話していると後ろから声をかけられた。というより乗り掛かられたという方が正しい。もっというなら飛びかかられただけどね。

 

「やっぱりあの料理はゆずちゃんが作ったの?」

「コラ、透ちゃん乗らないの。あと半分は僕だけど半分は冬美さんね。台所借りたからさ。‥‥ゆずちゃん?」

 

そう言うと「へ〜」なんて間延びした声の後にぎゅっと抱きしめる強さが少し強くなる。ちょいちょい、当たってる当たってる。すっごい押し付けられてるから。僕君の体つき知ってるんだよ? よくないって! 流石に興奮しちゃうって! 僕は清廉潔白な聖人君子じゃないんだぞ! むしろ逆だわ。悪辣非道を地でいくヴィランである。みんなは知らないだろうけどね!

 

「いいなぁ、私もまたゆずちゃんの作ったご飯食べたい」

「また今度作ってあげるよ?」

 

未だに乗っている葉隠ちゃんに降りるように言いながら返事をした。いやね、さっきからめっちゃ当たってんのよ。ダメだよ? こんなことしちゃ。僕も男なんだよ? わかってる? わかってない? ハハ、この子は。いつか痛い目見せてやるよ。

 

HRまでの数十分をみんなと談笑することに使う。まぁ、原作では描かれてない部分の職場体験の話についても聞きたいしね。できる限り知識は入れておいて損はない。どれがどのタイミングで曇らせに使えるかわからないから、情報収集は入念に、これは僕のいつも変わらない考えである。

 

そうやって日常は過ぎていく。友情を培い、土壌を肥やす。種が芽吹くまで、丁寧に行わないとね! 農業は土壌が大事だからさ!

 

 

  × × ×

 

 

その日のヒーロー基礎学の授業内容である救助訓練レースでは、出久くんのフルカウルにみんなが驚き、相変わらず僕の個性の汎用性に喚き、かっちゃんがキレる。という原作プラス僕という流れが起きて、授業が終わった。まぁ、今回のはあんまり話すこともない、原作と変わらない流れだったと思う。あ、レースは一位だったよ。あんな風にごちゃごちゃした場所は僕の個性にうってつけだからね。

 

たぶんこの授業が終わった後に出久くんはオールマイトからAFO‥‥ラスボス先生の話を聞かされるんだろう。原作と同じ展開ならここで聞かされるだろうし、さっきなんかこしょこしょと話してたから間違いない。

 

うんうん、順調に原作軸で時間が進んでるね。弔くんがあそこまで派手な動きしてるんだし、師匠としても先生としてもオールマイトは出久くんに一刻も早く話さないといけない状態になっているだろう。もちろん原作通りグラントリノが急かした部分はあるんだろうけどね。これも一応メインプラン通りだ。

 

ここで出久くんがラスボス先生について知るということは大きな意味を持つからね。僕の曇らせプラン的にはマストだ。

 

そして現在、場所は更衣室である。授業が終わったからね、コスチュームから着替えないといけないわけだ。みんな一応は雄英生なので着替えをしながらも機動力が課題だとか、どうすればいいのかとか話し合っている。仲良いし、将来を背負って立つヒーローらしくていいことだと思うよ。

 

しかし、ここで事件が起きる。

 

「なぁ、おい見ろよ緑谷! やべぇことが発覚した! こっち来い!」

「ん?」

 

そう言って峰田くんが声をあげたのだ。原作をご存知の皆さんは知っているであろう。そう、アレである。

 

「女子更衣室への穴だぜ! 先輩方が頑張ったんだろ! やばくね!」

「峰田くん! ノゾキは立派なハンザイ行為だ! やめたまえ!」

「オイラのリトル峰田はもう立派なバンザイ行為なんだよぉぉぉぉ!!!」

 

ウケる。性欲の権化が過ぎない? 葉隠ちゃんに抱きつかれても理性を保ってた僕を褒めて欲しいくらいだぜ‥‥ちなみに僕も男なのでそういう欲求はあります。なんなら前世がある分子どもの頃からあったよ。向き合うの大変だったんだから。

 

「八百万のヤオヨロッパイ! 芦戸の腰つき! 葉隠の浮かぶ下着! 麗日のうららかボディに蛙吹の意外おっぱァァァァァァ!!!」

 

欲を堂々と叫びながら穴を覗こうとした峰田くんの瞳にイヤホンジャックがぶち込まれる。おぉ、流石、出久くんに「正確性と不意打ちの凶悪コンボが強み」とまで言われるだけあるね。あの小さい穴を貫通できるのは最早才能だろ。

 

さて、ここももちろんメインプランの中に入っている場面だ。面白くて、峰田くんのポジションが割とガッツリと決まった場面だと思うんだけど、僕はここを利用させてもらうことにしている。

 

そう、女子メンバーの好感度稼ぎにね!

 

「実! バカなの!」

「おぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!! 目が潰れてるとはいえ、オイラの前に着替え途中で立つんじゃねぇぇぇぇぇぇ!!!」

「ゆずくん! ダメだよ前はだけてるよ!」

「ここは男子更衣室で僕は男子なんですけど!?」

 

みんなが僕から目を逸らすのを見ながらあえて宣言してしまう。これで僕が着替えを途中でやめて反論していることがわかるだろう。

 

「女子みんな可愛いのはすっごいわかる! 可愛い系も美人系も揃ってるもん! めちゃくちゃわかるよ! でも! みんな平等に褒めなきゃだろ! 響香ちゃんも褒めろ! 他の子も同じくらい褒めろ!」

「どうしたよ舞妓! とりあえずシャツの前締めろって!」

 

上鳴くんが声を上げるが、ボタンを閉じて必死さが伝わるだろうか。否である。

 

「お前は知ってるか!? クラスのみんなが褒められていく中で『舞妓くんはかっこいいより可愛いだもんね〜‥‥』と言われることの屈辱が‥‥! みんなと同じくかっこいいって言ってよ!!」

「ゆずくんそれ小学生とかの話じゃない? 引きずってたんだ‥‥」

 

出久くんが背中を摩りながらそんな風に同情したようなことを言ってくる。いや、引きずってないけど、理由もなくここでやめろって言うのもなんかなって思っただけだけど。別に気にしたりしてないけど? ただこういう話に絡められるエピソードがこれしかなかったんだよね。

 

「男子高校生だもん! みんなが魅力的な体つきをしてることをちょっと、ほんのちょっと! やらしい目つきで見ることもわかるけど! でもダメだろ! みんな平等に褒めなきゃ! お前はそれでも紳士か!」

「うぐぅ‥‥なんでオイラは右目を貫かれた上に説教されてるんだ‥‥」

 

峰田くんが遺憾の意を表すように声を上げる。そんなの僕が君のこと利用してるからだけども。こういう高校生らしいお茶目な部分を出しておくと親しみやすいだろ?

 

「実が言わないなら! 僕が言う!」

「へ? ゆずくん?」

「響香ちゃんはまずお目目がキュートだろ! スレンダーな体型も魅力的だし! 笑顔が眩しいじゃん!」

 

胸を張りながら口にすると、男女両方の更衣室がざわつくのがわかった。男子メンバー的にはそういう話にも乗ってくれるんだこいつ、ってなるし、女子メンバー的にはよく見てるんだなって好感度上がる‥‥上がるよね? 僕女子になったことないけど褒められたら嬉しくなるもんだよね?

 

「透ちゃんは下着が浮かばなくても可愛いだろーが! その場にいるだけではちゃめちゃキュートだって!」

「百ちゃんがおっぱいだけってのは認識を改めなよ! あのボディラインがセクシーだし! 美人系なのにご飯いっぱい食べたいところも可愛いよね!」

「三奈ちゃんはスリムの中にも暴力的なセクシーさが宿ってるよね‥‥同じ高校生?」

「お茶子ちゃんはなんと言ってもうららかな表情! 時折覗かせる関西弁も可愛らしい!」

「梅雨ちゃんは口元に人差し指を当てる仕草がめっちゃ可愛い‥‥髪の毛のケアも入念にしてるのがわかるし、可愛いね!」

 

そうやって散々女子メンバーの魅力的な部分を語りながら、出久くんに促されて服を着替える。着替える間も口は止めないでおいた。元から準備してきている可愛いところを言うだけなので余裕ですね。何時間でも言えるわ。

 

着替えが終わり、外に出るとそこには顔を真っ赤にした女子メンバーがいた。‥‥え? 怒ってない?

 

「ユズはいつか刺されるから!!」

「私が刺すから!!」

「舞妓さん本当にダメですよ!」

「なんで???」

 

僕はその後、教室への帰り道、女子からお叱りを受けることになる。なんか内容はあんまり簡単に女子のことを褒めるなとかそういう内容だった。これ怒られてるってよりはみんな照れてるからなんとか矛先をこっちに向けてるだけ? それにしては火力めちゃくちゃ高いんだけど気のせいかな? 照れ隠しにしては威力高くない? 出久くんが女子メンツに同情の視線向けてるんだけどなんで? ねぇ、僕やらかしたの? やらかしてないの? 想定外の反応なんだけど、ねぇ! どっち!?





いきなりの照れ耳郎ちゃんに脳を揺らされた皆さんこんにちは。元気ですか? 私は職場で声が出て引かれましたが元気です。

これからコラボ的に! んこにゃ様のイラストを挿絵で入れることになりました! 天才的な絵が飛んできて嬉しいぜ‥‥! 皆さん一緒に味わおうね♡ 死なば諸共だよ♡ たくさん感想でコメントしてくださいね♡

んこにゃ様のサブ垢はこちら!

https://twitter.com/Nkonyasabu

是非フォローしてください! 神絵ばっかり上がってるから! ここは理想郷だぜ!

これからもよろしくお願いします!!

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