個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア!   作:波間こうど

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日常回です! 曇らせなんてないけど楽しめると思います!
しばらくはそういうのが続くかも‥‥平和を楽しめる曇らせの民の皆さん愛してるよ‥‥

それではどうぞ!





★テスト前! 学生の本分は勉強!

 

「林間合宿に行きます」

「やったぁ〜!!!!」

 

なんて流れを行ってから、時は流れ、六月最終週。体育祭だの職場体験だのが最早懐かしいとすら感じるようになってきた今日この頃。教室は余裕を溢れさせるものと、絶望するものの二手に分かれていた。僕がどっちかは言うまでもない。

 

ちなみに原作通り、この期末テストで赤点を取ろうものなら合宿には行けません。まぁ、これは合理的虚偽なわけだけど、僕的にはみんな連れて行くのと、赤点を回避させるのはマストなので最大限のバックアップをする所存です。理由は曇らせのためね。

 

この試験ではこのまま放置していると数名のクラスメイトが試験を突破できない。まぁ、明らかに相性が悪い校長先生とかセメントスに攻められて負けるのは仕方ないよねって感じではあるが。ここで試験に落ちてもらうのは僕的にはとてもまず味なのだ。それはどういうことか。

 

B組いるじゃん? B組で落ちるのは物間くんだけなんだよね。そこで! A組は余裕で、物間くんだけ落ちたら滑稽極まって最高じゃない? ということである。お前は体育祭で曇らせてあげられなかったからね♡ ここで曇らせてやるよ覚悟しろよ?

 

「勉強してねぇ〜!! 体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねぇ〜!!」(20/20位)

「あははは!」(19/20位)

「確かに」(14/20位)

 

そう言って嘆いているのは最下位であるところの上鳴くんだ。釣られて笑い声を上げたのは芦戸ちゃんで、確かにと同調したのが常闇くん。

 

まぁ、気持ちはわかる。勉強する暇なかったもんね〜‥‥とは言っても、高校生の勉強なんて人生二周目であるところの僕からすればちょろいもんなんだけどね。

 

というか君たち雄英に入れるくらいには勉強できるんじゃないの? なんでこんなに点数低いのさ。なに? 中学までの勉強は出来てもここは進学校で勉強してないと置いていかれる? なるほどね?

 

「まぁ、中間と違って期末は演習試験もあるのが辛いところだよなぁ」(10/20位)

 

峰田くんがドヤ顔でそう口にする。みんなにお前みたいなやつは勉強できなくて初めて愛嬌が出るだのなんだと言われてるけど10位って半分くらいだからそんなにすごい勉強ができるってわけじゃないと思うんだよね。

 

「頑張ろうよ! 上鳴くん! 芦戸さん! せっかくだし、みんなで行きたいもんね!」(5/20位)

「うむ!」(3/20位)

「普通に授業受けてりゃ赤点は出ねぇだろ」(6/20位)

「勉強は出来る子と出来ない子に分かれるからね〜」(2/20位)

「言葉には気をつけろ!!」

 

勉強できるというのはこういう奴らのことを言うのである。出久くんは努力を怠らないし、飯田くんは委員長として点数が落ちることが許せないタイプ、轟くんは授業を聞いていれば点数が取れるタイプである。この手の奴らが勉強できるっていうんじゃないかと思うわけ。

 

僕? 僕は前世知識で勉強できるやつ。特殊な例ですね、真似しないように。あ、したいなら来世を望んでワンチャンダイブしましょう。

 

「お二人とも、座学なら私お力添えできるかもしれません」(1/20位)

「ヤオモモー!!」

 

というか僕の勉強時間は前世も含めたら普通にこの中の誰にも負けてないはずなんだけども、当たり前のようにそれを超えてくるヤオモモちゃんは何者なのだろうか‥‥人間やめてないとできなくない? 僕割と本気で勉強してたよ? まぁ、最近は曇らせの種を蒔くことに必死でしてないけど。それを差し引いても負けるとかありえないはずなんだけど‥‥

 

「お二人じゃないけどウチもいい? 二次関数の応用で躓いちゃって‥‥」(8/20位)

「俺も! ヤオモモ古文わかる?」(18/20位)

「俺も」(9/20位)

 

そうやってみんながヤオモモちゃんという一番勉強できる人に集まっていく。でもこれってつまりヤオモモちゃんは自分よりも点数の低い何人も教えながら勉強するってことだよね‥‥助けてあげた方がいいかな? この手のイベントは積極的に関わった方が美味しいことを知っているからね。

 

「百ちゃん。僕もいいかな? 筆記は別に大して苦じゃないからみんなのお手伝いできると思う」

「本当ですか? しかし舞妓さんの手が煩わされてしまうのでは‥‥」

「あはは、誰が今まで出久くんに勉強教えてたと思ってんのさ。それに、お菓子くらいなら用意するぜ?」

「お願いいたしますわ!!」

 

ヤオモモちゃんを懐柔するのは簡単だ。とりあえず餌付けした成果を見せてあげればいいからね。チョロカワ。

 

「うん、みんなもいいかな? 僕もお役に立てると思うけど」

「むしろユズのこと拒んだりできないでしょ‥‥中間だってヤオモモとの差10点とかでしょ?」

「舞妓勉強も運動もほとんど完璧だもんな‥‥」

「まぁ、努力は積み重ねてるからね」

 

ドヤ顔で腰に手を当てて胸を張ると、後ろからいきなり抱きつかれた。この感触、この慣れ親しんだ感じ‥‥! 葉隠ちゃんだな‥‥!

 

ここ最近葉隠ちゃんが当たり前のように僕に抱きついてくるようになったのである。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ね! 私も参加していい?」(17/20位)

「僕は構わないよ、あと当たってるって」

「当ててるんだよ! ゆずちゃんなら怖くないもんね」

 

この子、職業体験明け位から僕へのボディタッチめちゃくちゃ激しいんだよね‥‥そんなにわからされたいか? 僕的には別にいいぞ? 今は泳がせてあげてるだけで機会があれば全然乗るからな? 僕は、いいんだぞ???

 

「葉隠、離れたら?」

「え〜? だって居心地いいんだもん」

 

何やら僕を挟んでバチバチと視線で火花を散らす二人に挟まれながらヤオモモちゃんの方に顔を向ける。これは多分、最近多めの僕が関わったら後々面倒なことになるやつだね。理由はあんまりわからないけど僕が何を言っても怒られるやつである。理不尽だよね。

 

「それでいいかな? 百ちゃん。もちろん百ちゃんの勉強も邪魔しないからさ! 二人の方が教えるの早く終わるし、自分の勉強にも時間割けるでしょ?」

「ありがとうございます! ところでお菓子って何を作ってくれるんですの?」

「ふふっ、食いしん坊だね」

「んなっ‥‥」

 

ここまでしっかりと食いしん坊キャラにまで出来たの僕すごくない? 僕のお料理天才的すぎるでしょ‥‥

 

「うーん‥‥SNS映えができる様なカップケーキとかでもいいけど‥‥百ちゃんの家はお紅茶だからクッキーとかの方がいいかな? パイとかでもいいよ」

「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥アップルパイがいいです」

「めっちゃ悩んだね。うん、了解」

 

よしよしと頭を撫でてあげる。可愛いなぁ〜。僕にもこうやって作ったデザートとかを喜んで食べてくれるような妹とかいればよかったんだけどなぁ〜‥‥我が家はなんでも喜んで食べるけど感想いつも一緒だからね‥‥ここまで望んでくれると作りたくなるじゃん? こういうのがいいんだよ、こういうのが。

 

「ゆずちゃん。何ヤオモモになでなでしてるの?」

「いててて! 別に良くない!?」

 

なになに? 嫉妬? と言うとさらに締め上げられてしまった。遺憾の意を示すのはわかったから力で示さないでほしい。脳筋が過ぎる。

 

「じゃあ参加は百ちゃん、響香ちゃん、透ちゃん、三奈ちゃん。それから範太に電気に猿夫、それから僕でいい?」

「なんか女の子に囲まれてるみたいでテンション上がるな!」

「上鳴俺らのこと完全に忘れて楽しみにしてね?」

「気持ちはわかるけどね」

 

なんかテンションがぶち上がってる上鳴くんに向かって瀬呂くんと尾白くんがそう呟いた。うん、人数的には合コンみたいなもんだしね。まぁ! 勉強漬けで地獄を見てもらうけどね!

 

 

  × × ×

 

勉強会が決まったその日の昼食、食堂に集まったのは僕、出久くん、飯田くんに轟くん、女子メンバーはお茶子ちゃん、梅雨ちゃん、葉隠ちゃんに耳郎ちゃんだった。耳郎ちゃんここ最近僕の右が定位置になってて可愛いね。これからも僕の右横で曇った顔見せてね。

 

各々がランチラッシュのご飯に舌鼓を打ちながら話すのはもちろん期末試験の話である。うん、やっぱり学生としては期末試験の内容は気になるよね、わかるわかる。

 

「演習試験って何するのかな‥‥」

「突飛なことはしないと思ってるんだがなぁ‥て」

「まぁ、正直筆記はなんとでもなると思ってるから、あとは演習試験を突破するだけだしねぇ‥‥例年通りならロボ演習らしいけど」

「なんでそんなに余裕あるんや‥‥」(14/20位)

「譲葉ちゃんたちは勉強得意だものね」(7/20位)

 

お茶子ちゃんによる尊敬を通り抜けて最早畏怖すら感じるような視線が届く。そんなことに気づかない様に梅雨ちゃんがお味噌汁を啜った。ハハハ、僕がズルしてるからだけど? 普通に勉強時間は君たちの倍以上あるからね。点数取れないとおかしいくらいなんだよね。

 

「あイタ!」

「おっと、頭が大きいから当たってしまった」

 

僕たちが優雅に学生らしくテストの話をしながらご飯を食べていると、出久くんの頭に誰かが当たった。そう、原作をご存知の皆さんは知っていることだろう、物間くんである。

 

彼はすごい人間だ。僕の曇らせを逃げ切った男なのである。いや、実際に一人しかいないから本当にすごいと思うよ? ただ、まだまだチャンスは山のように転がってるってだけで。

 

その一回が今日なんだけどね。

 

「怖いなぁ! A組が持ってくるトラブルで僕たちにまで被害が及ぶかもしれない!!」

 

さて、当たり前のことではあるが僕がこのように物間くんと出会って曇らせないわけがない。準備をしてきたし、あとはそれを彼にぶつけて、彼の情緒をめちゃくちゃにしてしまえばおしまいの楽なお仕事である。

 

わいわいと騒ぎ立てる物間くんに視線を合わせる。そしてわざとらしくハッと鼻で笑ってあげた。そこで物間くんの眉がピクリと歪む。

 

「頭でっかちはどっちだい? プライドだけ肥大化した姿は無様だね? 第三種目にまで誰も上がってこれない癖に対等だと思えてるのは中々に浅はかだ」

「なに‥‥?」

「おいおい聞こえなかったのか? 眼中にないから消えろって言ったんだ。下がれよ飯が不味くなるだろう?」

 

お箸でご飯を口に運びながらそう言い放つ。お! いい感じに曇ってくれるじゃん! まだまだ序の口だよ?

 

だって、ここからが口撃だからさ。

 

「さっきトラブルに巻き込まれる云々って言ってたっけ? お前はヒーローになりたいんじゃないの? そのトラブルを解決するのが仕事だろう? それがなんだっけ? 怖いって? 笑えるなぁ‥‥」

 

お箸を突きつけるのは行儀が悪い行為なんだけど、あえてそれをしてあげる。これで相手も宣戦布告されているということがわかってくれたはずだ。まぁ、宣戦布告というより敵対宣言の様なものだけど。

 

「天哉のお兄さんは怪我をしてでも誰かを守り、天哉は怪我をしてでもヒーロー殺しを捕まえた‥‥君はブルブル震えながら救助を待てば? ヒーロー目指す資格やっぱりねぇよ。こんなのが頭ってなったらB組は所詮A組の劣化かな?」

「言わせておけば‥‥‥!」

「普段の発言を顧みろって僕の言葉の意味もわかんないならさっさと退学してよ。人使辺りがヒーロー科に来やすくなるだろ? 退学したら? 向いてねぇんだよ」

 

物間くんがすごい顔で僕に近づいてくる。これは自分が罵倒されてるってよりも友人が罵倒されたことに対する怒りかな? そこはヒーロー適性あるんだ? 可愛いね! 君は体育祭で曇らせてあげられなかったからさぁ! その時から思ってたんだ!! 絶対に曇らせてあげるって! 絶対に! 君のことをめちゃくちゃに曇らせてあげるって!! わかる? この言葉の意味がさ!! まだまだこんなの序の口だからね? もっと曇ろうね! アハ! 曇りながら怒る顔は無様だね!! 最高に滑稽だぜ‥‥‥!

 

「どうした? 道化は笑うものだろファントムシーフ。笑って魅せろよ」

「お前ッ!」

「物間!」

「ゆずくんも落ち着いて!」

 

ピリッとした雰囲気が辺りを包み、今にも物間くんが殴りかかってきそうになったところで制止が入る。‥‥ちぇ〜、もう少し曇らせてあげたかったんだけどなぁ‥‥ここで無個性の僕にボッコボコにやられたらメンタル死ぬかなってさ。多分個性使わずとも片付けるのは容易だし。

 

物間くんを抑えるようにしている拳藤ちゃんに向かって声をかける。この程度で終わらせてあげるわけないじゃん。

 

「‥‥拳藤さん。物間だけじゃなくてB組に言っておいて。喧嘩なら買うから、まとめてかかってこい。僕一人で相手してやるよって」

「ごめん! ほんとこっちにはA組と喧嘩したいとかそういう考えはこれっぽっちもない! ただちょっと燻ってるやつがいるのは確かで‥‥」

 

ふむ、まぁ、そりゃそうだよね。僕が物間くんを曇らせるためだけにB組完全に空気にしてるわけだし‥‥むしろこの状態で劣等感が重ならないと言う方がおかしな話である。なら、僕が少しはサポートしてあげたほうがいい。

 

そろそろA組だけじゃなくてB組にも曇らせの手を伸ばしたいところだしね。

 

「うん。僕たちがいい意味でも悪い意味でも目立ってることは否めない。その点では申し訳なく思ってるよ。でも、君たちが友達を馬鹿にされて腹が立つように、僕だって友達を馬鹿にされたら腹が立つ。だから、正当な評価で僕たちを超えてよ」

「‥‥‥気を悪くさせたよね。ごめん」

「いいよ。拳藤さんも苦労してるみたいだし。委員長は大変だよね」

 

拳藤ちゃんの謝罪を受け取ってから、携帯を差し出した。簡単に言えばナンパである。

 

「ま、もしこれから何か困るようなことがあったら連絡してきてよ。僕でよかったら相談に乗るからさ」

「いいの?」

「なんでダメなの? 敵意がないってわかった以上はヒーローを目指す仲間じゃない?」

 

ウインクしてみせると僕の頭を後ろからイヤホンジャックがしばいた。うーん、これは正確性と不意打ちのコンボが凶悪。

 

「ユズ、あんた油断も隙もないね‥‥?」

「僕が何をしたって言うんだ‥‥?」

「ゆずちゃんっていつもそんな風にナンパしてるの?」

「人聞きが悪い!」

 

ナンパしてるのを当てられたので、びっくりした様子を見せると「ふぅ〜ん?」と言うようなどうにも疑ってますよ、という視線が届く。ハハ、邪な気持ちでのナンパじゃないんだから許してくれないかな‥‥峰田くん的なアレじゃないぜ?

 

曇らせたいってだけなんだ! ‥‥ん? そっちの方がダメでは? 全然恋愛とか性欲由来のナンパの方が理解できるのでは? 頭ヴィランかよ。

 

「物間や鉄哲みたいにヒーローの資格がない人間ばっかりってわけじゃないのを知れたのは嬉しいことだからね、ちょっとしたお節介だよ。もし気に入らないなら削除してくれていいからさ」

「削除なんてしないよ! ありがと!」

 

おぉ、いい笑顔である。これは曇らせがいのありそうな子がまた出てきてくれたな‥‥

 

「‥‥‥」

「痛い、ちょ、痛いよ響香ちゃん。イヤホンジャックで叩くのやめて?」

「‥‥‥‥」

「透ちゃん? それ僕の足、マイフットOK? 踵で踏まないで?」

 

何やら抗議してくる女子面子に白旗を振りながらご飯をかき込む。この後の授業を真面目に受けて、さっさとテスト対策をしていかないとだね。

 

 

  × × ×

 

 

 

「ヤオモモの家でけぇぇぇぇぇぇ!!」

「お嬢様なんだろうなとは思ってたけどこれほどとは‥‥」

「相変わらずの豪邸だよね」

「なんでだろ‥‥一回しか来てないのに見慣れてるウチがいる‥‥」

 

初めてヤオモモちゃんの家に来た上鳴くんと尾白くんが驚いた声を上げる。それに付随する様に僕と耳郎ちゃんが言葉を付け加えた。まぁ、家の中に公園があるもんね。普通に一般家庭とはかけ離れていると言っていい。普通の家の庭に森はない。

 

もう勝手を知ったるなんとやらというもので、さっさと森を抜けてヤオモモちゃんの家に到着すれば、みんなをヤオモモちゃんが案内していく。ちなみに僕だけメイドさんに連れられてキッチンに連行されました。あんまりじゃないかなぁ、と思うんですが? 人権の方はどこに落としましたでしょうか?

 

あとで出すお菓子の下準備をしてから舞い戻るとヤオモモちゃんが授業をしていてそれにみんなが唸っている様な状況であった。うん、そんなに唸る様な内容してた?

 

勉強会に参加してみんなの質問に答えていく、ヤオモモちゃんの説明をさらに噛み砕いて‥‥いや、ヤオモモちゃんのが切られたりんごだとしたら僕がすり潰して離乳食にするぐらいにしてあげてからみんなに無理矢理嚥下させていく簡単なお仕事を繰り返すこと四時間が過ぎた。

 

「ふむ、まず二次関数で行わなければいけないのは平方完成。ここまではわかる? だよね。ならここからしなくちゃいけないのはーー」

「古典において大事なのは1に文法、2に単語、3に古典常識、4読解! 知識を詰め込まないと始まらないぜ?」

「文法がある程度解けるようになってきたら長文だけど‥‥あぁ、マイク先生だしこの辺りが出るんじゃないかな?」

 

「ゆずちゃんが頼りになりすぎる‥‥」

「ヤオモモの説明もめっちゃわかりやすいし、さらに噛み砕いて要点を教えてくれる舞妓が居てくれるおかげでついていけてるわ‥‥」

 

どうやらヤオモモちゃんと僕の授業はなかなか評判がいいらしい。やったぜ。勉強がわからないような子に勉強を教えるのは得意である。といっても出久くんはまるっきりできないと言うわけではなかったんだけどね。これは僕がボランティアを行う中で身につけた知識だ。

 

「まぁ、これで教えられることは全部教えたし、前の平均点よりも大幅に上がるんじゃない?」

「なんか問題集の大学入試演習問題も解けるんだけど‥‥」

「僕と百ちゃんは少なくとも大学受験も怖くないだけの学力があるよ。その僕らが教えてるんだから余裕でしょ?」

 

前世では突破した試験だしね。社会は歴史が少しプラスされているし、個性についてが理科に当たり前のように現れるけどそれさえ除けば別に普通に前世と変わらない。と言ってもエピソード記憶はろくに残っていないので、断片的な知識なんだけどね。

 

「かぁ〜‥‥どうやって勉強してたらそんなに賢くなんだよ‥‥」

「こうやって、勉強を積み重ねてきただけさ。その証拠に‥‥数学の問題集のP151の(1)解いてごらん。解いたことないけど解法が浮かんでくるでしょ」

「いや、そんなことあるわけ‥‥え?」

 

上鳴くんが驚きながら問題集を両手に取って顔を近づけたり離したりしながら問題集を見つめる。今彼の頭の中では解法がゆっくりだが道標として現れていることだろう。それが勉強するってことだしね。

 

「今はできてるけど帰ったらもちろんできなくなるからノート見ながら復習ね? これを繰り返してきたってわけ」

「うわ、やば‥‥なんか感動‥‥」

「先生方もマンツーマンならこれくらいは教えられると思うよ、画一的な授業をしなくちゃいけないからみんなのことまで拾い上げられないって言うのがクラス形式の授業のダメなところだからね」

 

授業って形式取ってると落ちこぼれちゃう子が出ちゃうのは仕方ないことなのだ。だから個別指導の塾とかが台頭してるわけだしね。無論、クラス形式の授業はそれはそれでいいところがあるんだけどさ。

 

「ここまで百ちゃんが教えて、僕が教えて‥‥まだわかんないところある?」

「ウチは今の所大丈夫‥‥まだ触ってない問題とかで詰まるとかはあるかもだけど」

「俺もバッチリ! 耳郎と同じ!」

「私も!」

 

みんなが出来ました! と嬉しそうに笑う。うんうんいい顔だ‥‥例えるならそう‥‥雲一つない空である。まだ‥‥まだ実ってないぞ? 熟してない。熟したその瞬間を狩るんだ‥‥だから、まだ、まだ我慢しないとね。

 

「さてさて‥‥みんなは今日勉強頑張ったね?」

「おっ! とうとう!?」

 

手を叩いてあげると頑張ったという疲労感と解けたという達成感でみんなの脳みそはたっぷりと疲れ切っているだろう。そんなタイミングで出してあげるのが大事だよね、出来立てをさ。

 

「ティータイムにしよっか!」

「やったぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

「ユズの作ったお菓子ほんと美味しいから好き!!」

「舞妓さん! 早く欲しいですわ!」

「女子からのこの圧倒的人気‥‥舞妓、お前料理に違法なもんとか混ぜてねぇよな?」

「失礼な! 市販の材料と‥‥愛情だぜ」

 

指ハートを作りながら上鳴くんにそう言ってやると上鳴くんはサッと顔を背けてしまった。お前何背けてんだよコラ。流石にその反応はおかしいだろ。何照れてんだ、そこまで耳赤くするな。

 

「‥‥コホン。それじゃあいくよ?」

 

みんなの前にお皿を並べてから手を叩く。するとそこには切り分けられたサクサクで熱々のアップルパイが到着した。ちなみに入れ替えたのはお皿の上に置いておいた小さな氷である。さっきまでアップルパイを焼いてくれていたオーブンの温度をこれで冷ましてくれるだろう。抜かりはない。

 

「うっっっっわ! 金色に輝いてんだけど!」

「舞妓のアップルパイだぁ〜!!」

「ヤオモモがリクエスト出してたね‥‥よかったね、ヤオモモ」

「‥‥‥! ‥‥‥‥ッ!」

「授業してくれてるときはあんなに饒舌だったヤオモモが言葉も発せないなんて‥‥! どれだけ美味いんだ‥‥!」

 

みんなが嬉しげな声をあげてくれるのが耳に心地いい‥‥なんでもそうだけど褒められて嬉しくないことなんてないよね。ついつい謙遜しちゃいがちな日本人は忘れてるかもしれないけど、本当に嬉しいからもっと積極的に褒め合って生きた方がいいと思うな!

 

「さて、勉強したら脳が疲れる。脳が疲れたら糖分が欲しくなる‥‥これは自然の摂理だからね! さぁ、おかわりもあるから存分に食べなよ!」

「ほんともう舞妓まじ天才!」

「うまぁ〜!!」

「うわ‥‥生地サクサクだ‥‥勉強教えながらこんなの裏で準備してたの‥‥?」

「‥‥‥‥‥ッ!」

 

ガツガツと食べ続けるみんなを見ながらつい笑っちゃう。やっぱりどんだけカッコよくヒーローしてたとしても、体育祭でカッコいいところ見せてたとしても、みんな中学生を卒業したばっかりの高校生だもんね。甘いもの食べて幸せなの可愛いね。

 

「ユズ食べないの?」

「僕が食べたらみんなの分がなくなっちゃうからね。僕はいつでも食べれるし、みんなが先にどーぞ」

 

そうやって勉強を、日常を送る日々は過ぎていく。勉強して、テストを受けて、甘いもの食べて、勉強して、テストを受けて、甘いものを食べて‥‥テストが全て終わったところまで時を進めようと思う。

 

 

  × × ×

 

 

「終わったぁ〜!!」

「すげぇよ! マジで一問も飛ばさなかった! 空白ねぇ!」

「この前のテストはなんもわからなかったのに! 二人のおかげだよ〜! ありがとう!!」

 

演習場に集められた上で、上鳴くんと芦戸ちゃんがわー! と嬉しそうな声をあげる。そんなに喜んでくれるのは嬉しいけど、君たちの努力の成果も三割くらいあるからね? 後の七割はヤオモモちゃんと僕による完璧なプランニングと試験対策授業のおかげだけど。

 

「諸君、筆記テストご苦労だった。それじゃあ演習試験を始めて行く。無論、演習試験にも赤点はあるので無様は晒さない様に」

「でも入試と同じロボ無双だろ!? 余裕じゃん!」

「キャンプファイヤー! カレー! 枕投げ!」

「あ、馬鹿。そんなフラグ立てたら‥‥」

 

誰かのそんな言葉が飲み込まれる様に、相澤先生がため息をついた。おぉう。呆れてる様なため息つくな?

 

「例年ならそうなんだがな。今年からは違う試験にすることにした」

「それは! 教師対生徒による演習さ!」

 

相澤先生のマフラーに隠れていた校長先生がヌッと顔を出してそう宣言した。まぁ、原作通りだね。‥‥さて、この演習試験に関していうのなら教師陣がしっかりとペアを決めて苦手を克服させるつもりで演習させている描写があったことを覚えているので、僕は苦手な教師に配属されるはずだけど‥‥果たして誰になるのだろうか。

 

「二対一? ハンデが少なすぎない?」

「安心しろ。俺たちは体重の二分の一のおもりをつける。古典的だが動きは鈍るからな」

「みんなの実力を買ってくれてますね‥‥」

「相性悪かったりすれば多対一でも余裕で負けるんじゃない?」

 

みんながガヤガヤと話すがそれくらいには一年生のみんなと、ヒーローの差には開きがある。忘れてるかもしれないけど彼らは国家公務員の資格を持っている“プロ”なわけだからね。

 

ぶっちゃけここにいる中で先生相手に一対一で勝てる子はまだ一人もいないんじゃないかな?  流石のかっちゃんや轟くんも無理だと思う。理由は経験と個性の熟練度の差としておこう。二年生の後半になってきたら勝てるかもね、って感じだ。まぁ、この子達はみんなあり得ん成長してこれからの日本を担っていくので半年後にはビルボードチャートに乗っててもおかしくないほどの実力になるんだけどね。

 

あ、あと、先生に勝てる勝てないというのは僕を除きます。僕は本気になれば多分オールマイト以外の全ヒーローに勝てますので。

 

他のみんなは相性がいくら有利でも勝てないだろうね‥‥ヒーローたるもの一芸じゃ務まらない。必殺技だってたくさん持っているだろう。だから、原作の試験は明らかに手を抜いてくれているのだ。本気でやってたら多分みんな不合格だったんじゃないかな。忘れてはならない、彼らは雄英という名門校で教師を任されるほどの天才たちであるのだ。

 

そしてとうとうみんなのペアが発表される。うん、やっぱり弱点を克服させたいから基本的には原作と同じだな。僕が抜けた砂藤くんのところに入っただけである。これで演習で赤点を取ることになる切島くんを救えるね、ラッキーだ。

 

「お、僕のペアは鋭次郎か。弱点ってなんだろ‥‥僕と鋭次郎が個性の噛み合わせが悪いってことかな?」

「さぁな‥‥ただ、相手がセメントス先生だから苦戦は必至だろうぜ」

 

そりゃそうだ、相手は個性だけで見たらこの世界でもゲロ強の部類に入る相手だしね。バスで作戦考えようぜ、とだけ言ってから集合! という様にみんなを呼ぶ。するとこれから別れて試験に臨むみんなが一ヶ所に集まってくれた。なんか呼んだらすぐにくるの保育園児みたいで可愛いね。

 

「さて、わかってると思うけど、相手は格上だ。勝利条件を常に頭に置いて行動しようね。ここで生き残ればみんなで行けるぜ? 大手を振っていこーよ。林間合宿!」

「おぉ!!」

 

かっちゃん以外のみんなが声を返してくれた。なんならかっちゃんは円陣に加わってもいないです。うんうん、最近機嫌悪いね‥‥出久くんがフルカウル使い始めて焦ってるからだろうけど♡ 可愛いね♡ どれだけ無様に思い悩んでもお前は出久くんよりも下なんだってこと理解した? ‥‥あとでクラスメイトの試合のビデオ見直せないかリカバリーガール辺りに掛け合ってみよう。ここでのかっちゃんの曇り顔も最高に可愛いからね。

 

みんながバスに乗るのを見守ってから僕と切島くんもバスに乗り込む。先に乗っていたセメントス先生に挨拶をしてから二人で作戦を立てようとバスの横に座り込んだ。

 

さてさて、実技試験もしっかりと勝ち進んで終わらせようかな!

 

「おい! 舞妓! 近いって!」

「バスで横に座ってるから仕方なくない???」

「なんか甘い匂いする‥‥!」

「最近香水変えたんだよね、どう?」

「香水!?!?!?」

「声でか」

 

‥‥作戦を立てる前にちょっとくらい切島くんで遊んでもいいよね? ちょっとだけ、ね? 先っぽだけ!!

 





曇らせはないって言ったな? あれは嘘だ。サプライズの方が楽しめるでしょ?
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