個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア!   作:波間こうど

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さて、林間合宿が始まりましたね‥‥意味わかるかい?
曇らせへのカウントダウンってことさ♡
今回も、んこにゃ様による挿絵がございます! お楽しみに!
それではどうぞ!


★林間合宿開始!

 

「ついた〜」

「やっと着いた‥‥? 危なかった‥‥もう少しでリバースするところだったよ」

「おしっこおしっこ‥‥」

 

一時間後、バスから降りると新鮮な風が僕の肺を満たした。うーん‥‥自然の恵みだ‥‥素晴らしい‥‥今最高に生きてるって感じがするよ‥‥吐き気が段々と抜けていくぜ‥‥

 

「つかここパーキングじゃなくね?」

 

誰かが疑問としてそんな言葉を口にする。いやまぁ、どう見ても見晴らしのいいだけの崖の上だもんね。

 

「何の目的もなく、では意味がないからな」

 

相澤先生が意味深げにそんな言葉をつぶやくと、バスの近くに停めてあった車から二人の女性が降りてきた。出久くんと遊ぶことが多く、ヒーローについて詳しい僕としても、前世で見たことがあるから知っている僕としても見覚えのあるえちちなお姉さんヒーローたちである。

 

「煌めく眼でロックオン!」

「キュートにキャットにスティンガー!」

「ワイルド・ワイルド・プッシーキャッツ!!」

「今回お世話になるプッシーキャッツの皆さんだ」

 

相澤先生が紹介してくれなくても自己紹介してくれたんだしよくない? なんて思いながら二人のことを眺める。うーん、いつ見ても三十路には見えない‥‥エッチがすぎませんか? 適齢期で焦らなくても恋人の一人や二人くらいは入れ食い状態にできるでしょ。

 

出久くんがペラペラと彼女たちのことを後付け紹介しているのを聞きながら体を伸ばす。そして、ゆっくりとみんなから離れるようにして相澤先生の近くに寄った。

 

「‥‥‥なんだ、もう勘付いたのか」

「いや、流れがいきなり過ぎますもん。みんなも薄々勘づいてるんじゃないですかね」

 

相澤先生が驚くように見てくるけど、この流れでヤバいことが起こらないと思う方が危機管理能力の欠如だと思うね。

 

「ここら一帯は私らの私有地なんだけど‥‥あんたらの宿泊施設はあの山の麓ね」

「遠っ!」

 

マンダレイが山の麓を指差しながら結構ヤバいことを口にした。いや、田舎で物価が安いからって私有地広すぎでしょ。ちょっとした資産だよ? それ。

 

「‥‥な? 早くバス戻ろうぜ?」

「ダメだ、早く戻ろう」

「早ければ12時前後かしらん‥‥?」

「バスに戻れ! 早く!」

「12時半までに着けなかったキティはお昼抜きね!」

 

バスに戻ろうと駆け出したみんなを見ながら無駄なのになぁ‥‥なんて思ってしまう。

 

セメントス先生の個性が市街地最強なら山間部最強の個性は紛れもなくこの人だろう。ピクシーボブ、個性『土流』。正直、戦いたくない相手の一人である。

 

「悪いね、諸君。合宿は始まっている」

 

ドバーン! という音とともに土の大波がみんなのことを飲み込んだ。おぉ〜‥‥みんなが面白いくらいに流されていくな。‥‥というか、その個性流石に反則すぎませんか? 個性の規模が本気の轟くんのそれじゃん。しかもデメリットほとんどなしでしょ? 強すぎない?

 

「私有地につき個性の使用は自由ね! 今から三時間で自分たちの足で“魔獣の森”を抜けてきなさい!」

 

マンダレイの言葉を聞きながらぼけーっと森の先を眺める。‥‥これ三時間は普通に厳しいものがあるのでは‥‥? 元からさせるつもりがないの丸わかりでは? 地平線じゃん。

 

「おい、お前も行くんだぞ」

「あ、やっぱりですか? えぇ‥‥酔いがやっと醒めてきたところなんですけど‥‥」

「酔いながらじゃなくてよかったな」

 

相澤先生にゴスゴスと押されて崖側にまで追いやられる。そこでくるりと振り返ってプッシーキャッツのお二方に目を向けた。

 

「すいません。お昼、用意しておいてくださいね。すぐに抜けますので」

「‥‥‥へ?」

「それじゃあ!」

 

ぴょーんと崖から飛び降りる。‥‥この高さってもしかして怪我するのでは? ピクシーボブの個性がないとクッションがなくて死なない?

 

「僕の個性これでよかったな‥‥」

 

地面につく前に適当な小石と位置を入れ替える。森の中だし、入れ替えられるものが豊富すぎるね。ほとんど僕の独擅場じゃん。

 

地面に降り立つとみんなが少しバラけているのが見えた。どうやらもう既に戦闘が始まっているらしい。状況はわかっているけれど一番近くにいた芦戸ちゃんに敢えて状況を確認してみる。

 

「あ、三奈ちゃん。今どうなってる?」

「どうなってるも何もないよ! 土の魔獣が出てて緑谷たちが何とか対処してくれてる状況!」

「土の魔獣‥‥あぁ、あれか」

 

目の前で暴れるそれを見ながら体を少しだけ動かしてみる。うん、文句なし。通常運転だね。少し頑張りますか。

 

「みんな〜! 集合〜!」

 

僕が声を張り上げると、ゾロゾロとみんなが集まってくる。なんか学校の先生が号令をかけて集まってくるみたいでかわいいね。

 

まぁ、一人僕の号令を無視して土の魔獣相手に暴れてる子もいるけどさ。あ、かっちゃんね。

 

「ん〜‥‥みんなお昼ご飯食べたい?」

「食いたくないわけないだろ!」

「そりゃそうだよね〜‥‥食べ盛りだもん」

 

切島くんの言葉にうんうんと頷いてからかっちゃんと戦っている土の魔獣に目を向ける。ふむ、強さはそんなにだけど再生が面倒なタイプって言われてたっけ? 攻略自体は今時点の出久くん、かっちゃん、轟くんと飯田くんでもできる‥‥常闇くんもいけそうか? ならまぁ、あんまり問題はない。

 

「みんな僕の作戦聞いてくれる? みんなが一丸になってくれるのならお昼には着けるよ」

「え? 元からお昼には着くんじゃないの?」

「それはキャリア12年のプロヒーローチーム『プッシーキャッツ』なら、だね。今のままなら着くのは6時前とかじゃない?」

「昼飯抜きは聞いてないって!」

 

悲鳴を上げる男子高校生たちに向かってチッチッチッと指を振る。まだそう悲観するのは早いぜ? 僕だってお昼ご飯抜きはごめんだからね。

 

「だから作戦があるって言ったでしょ? 僕たちが力を合わせれば余裕で攻略可能だよ。考えてみな? いくら僕たちがヒーローの卵だからって20人もいるのに4人に負けると思う?」

 

そう。普通に考えてそんなわけがないのだ。こと戦闘において、プロヒーローは抜きん出た戦闘力を持っている。それは疑うまでもない真実だ。一対一なら僕以外はまだ敵いっこないだろうね。

 

だけどいつの時代だって数が多い方が強いに決まっているのだ。それを技術とか作戦でひっくり返すことができるとしても、ある程度を超えると限界がある。オールマイトやラスボス先生、それから個性が多数を相手に有利すぎる僕くらいのものだ。

 

ましてや今回はRTA企画のようなものだからね。みんなの力を合わせて突破できないわけがない。

 

それでは僕の作戦指揮能力の高さをお見せしよう。これも実は特大の曇らせの種になるんだよね。最近種ばっかり植えてるな僕‥‥農家か?

 

「爆豪! そのまま前線保っておいてね!」

「誰に指図してんだボケが!!」

「え? 無理なの? 仕方ないなぁ‥‥代わろうか?」

「俺一人で余裕だわボケが舐めんなやクソがァァァァァァ!!!!」

 

チョロいなあいつ‥‥と、みんなに作戦を告げよう。

 

「それじゃあみんな。難しいことは何もないからよく聞いてね‥‥」

 

これはストラテジーゲームだ。戦略を組み立てて、みんなを駒として扱うゲームである。

 

作戦を告げるとみんなはおぉ、と感心したような顔をした。逆にそんなに上手く行くのか? と不安そうな顔をしている子もいる。そんな子は安心して欲しい。僕はゲームなら一家言あるのだ。

 

「さぁ、ゲームを始めよう」

 

僕はニヤリと微笑んだ。

 

 

  × × ×

 

 

「嘘でしょ‥‥?」

「あ、ピクシーボブ! ご飯できましたか?」

「‥‥信じられない。いくら何でも早すぎる」

 

僕たちが森を抜けると、そこにはもう既に先に到着していた先生たちが見えた。まぁ、妥当だな。みたいな顔をしている相澤先生と驚きを隠せない表情をしているピクシーボブの対比が美しいね。

 

「お腹空きました。ペコペコなんですよ〜‥‥」

「余裕そうだな」

「まぁ、みんなで力を合わせましたので」

 

相澤先生の言葉にそう返事をする。まぁ、みんなの力を合わせたって話は嘘ではない。むしろ無理矢理合わすように誘導したって方が正しい気がするけど。

 

「この森抜けるのに三時間ってのは私たちならって意味だったんだけど‥‥どんな魔法?」

「魔法は使ってませんよ? 知恵と個性です」

 

頭をトントンと指で叩きながらそう言うと原作よりは疲れていないものの、随分と疲弊した様子のみんながヘトヘトの体を引きずるようにして森から出てきた。

 

「舞妓‥‥お前なんで‥‥まだそんなに元気なんだよ‥‥」

「ゆずくん体力お化けだからね‥‥」

 

昔から体力には自信があるんだよね。重点的に鍛えてたからかな? 僕の曇らせメインプラン的に途中から体力ないとしんどい思いするのが目に見えてる箇所があるからね〜‥‥

 

「‥‥土魔獣の攻略自体が早い、あとみんなの動きが淀み無さすぎる。とても高校生の動きじゃない」

「すごいですよね、みんな。プロの素質があると思います」

「そして何よりも‥‥作戦が良い。作戦を考えたのは君?」

「はい、まぁ‥‥」

 

作戦を突発的に考えるのも得意だけど、僕の本領は長いスパンで見た作戦か、長期的に考えて導き出した作戦だ。この二つに関して言うのなら僕は多分ほとんど誰にも負けないだろう。

 

今回のこの魔獣の森を抜けるまでの作戦だって随分と前からこうなることを見越して考えていたものだからね。色んなアニメだったり創作物の作品から相性の良さそうなものをピックアップして応用したり、みんなの個性の限界をしっかりと調べた上で利用したりして完璧なプランを作り上げたのだ。僕じゃないとできないね。

 

「土魔獣に対してアタッカーを数人に絞って配置、その後真ん中に補給などが得意なメンバーと疲れ始めたメンバーを配置して後ろに索敵要員‥‥アタッカーを真ん中の子達と入れ替えながら常に集中力を上げさせて戦闘‥‥」

 

なんかめちゃくちゃ分析されてるな‥‥やってることといえば原作でも攻撃の判断が優れていると言われていた出久くん、かっちゃん、轟くん、飯田くんと、そこに常闇くん、切島くん、青山くんを加えたメンバーをオフェンスとミドルで切り替えながらゴリ押しで進んだだけである。

 

他のみんなに余計なことをせずにサポートに回ってもらうことで文字通りクラス一丸となって森を突き進んできたのだ。例えばヤオモモちゃんに水なんかの補給物資を作ってもらったり、耳郎ちゃん、障子くん、口田くんなんかに索敵をお願いしたりしながらひたすら突き進んだだけである。何度考えてもこれが一番効率よくて‥‥

 

「それで戦線が崩れたりしたら君の個性で場所を入れ替える。君がどこで誰が何をしているのかを把握しきっているから誰も大した傷を負うことなくここまで効率よく辿り着いたってわけね‥‥」

 

感心したようにピクシーボブがそう口にした。なんか作戦をめちゃくちゃに褒められるの恥ずかしいな‥‥

 

「将来有望! 三年後が楽しみ! ツバつけとこー!!」

「‥‥‥あの人あんな感じでしたか?」

「焦ってるのよ、適齢期的なアレで‥‥」

 

ピクシーボブが飛び付いてくるのを緩やかに避けて彼女の腰に手を当てた、グイッと引っ張り、まるで社交ダンスでも踊るように僕の方に引き寄せる。そして目を合わせてからゆっくりと微笑みかけた。

 

「美人なお姉さんがそんなことしちゃ勿体ないと思いますよ?」

「‥‥‥‥‥‥‥‥へ?」

「ゆずちゃん!」

「ユズ! 油断も隙もない!」

 

なんかやると思ってましたよと言わんばかりに飛び出してきた数人に僕が羽交締めにされる。そこまでしなくてもよくない? 君たちさっきまで疲労困憊だったじゃん。もう元気ないはずじゃん。何でそこまで元気に僕のこと拘束するのさ。

 

ヤオモモちゃんが創造した拘束具でぐるぐるに拘束された僕は縛られて地面に転がされる。これは流石にあまりにもあまりだと思わない? 誰が簀巻きにされて喜ぶんだよ。

 

「適齢期といえば‥‥その子は誰かのお子さんですか?」

「あ、違う違う。この子は私の従甥だよ。洸汰! 挨拶しな!」

 

ズカズカと歩いてきた目つきの鋭い少年が僕たちを睨む。うーん。いつだかの弔くんと同じような目をしてからに‥‥その目をするには流石に早くないかい? 齢一桁のガキんちょがして良い目じゃないよ。

 

「あ、えと、僕は雄英高校ヒーロー科の緑谷出久! よろしくね!」

 

出久くんが中腰になりながら手を差し出した。おぉ、流石はヒーロー志望。子供相手への対応が堂に入ってるね。このクソガキが相手じゃなかったらだけど。

 

自己紹介が終わると、出久くんの挨拶を無視したガキンチョは何も警戒していない出久くんの股間に右ストレートをねじ込んだ。こっわ‥‥何だこいつ‥‥めっちゃ腰の入ったストレートだ‥‥

 

「きゅう‥‥」

「おいコラ! 出久くんのちんちんに何すんだ!」

「お前その状態でそこ心配すんの‥‥?」

 

上鳴くんがドン引きしながら僕の方を見る。いやさ、だってさ? 出久くんのちんちんだよ? 幼馴染で、一緒にお風呂に入ったこともある僕としては見慣れたそれをどこぞのガキンチョが殴ってたら腹立たない? いや、見慣れたって言ってもここ10年くらい見てもないけどさ。最後に入ったのいつだよって感じだし。お風呂に入ってもちんちんそんなにまじまじ見ねぇよ。

 

なんならあっちは僕から視線を外そうと必死だからね。ハハハ、泣くぞ。

 

「昼飯は準備してないから握り飯でも食え、それが終わったら荷物をバスから運び入れて、基礎トレ。その後晩飯にする」

「そりゃないっすよ先生! 俺たち腹減って死にそうなんすけど!」

「腹が減ってる時でも動けるようにする訓練だと思え」

 

悲しいね‥‥元から用意されてなかったか‥‥まぁ、原作では五時半とかについたのに「早かったね」なんて言われてたもんな。五時間近く早くつくとは思わないかそりゃ。

 

「舞妓くんがご飯用意しとけとか言うから流石にあり得ないなんて思いながらお米だけ炊いておいたからね。自分でおにぎり作って食べて!」

 

マンダレイが出久くんのちんちんを殴った甥っ子を叱るためかそうとだけ言い残して小走りで駆けて行った。まぁ、いきなりあんなことしたら普通は謝罪案件だもんね‥‥

 

「じゃあお昼食べよっか。」

「そうだな〜‥‥腹減って死にそうだよ‥‥」

「うんうん食べ盛りだからね‥‥あれ? 誰も僕のこと解放してくれない感じ? ねぇ? ちょっと? 流石に両手両足拘束された状態からは動けないんだけど? ねぇ? 聞いてる? もしもーし‥‥」

 

みんながバスから荷物を下ろして旅館の中に入っていくのを縛られたまま眺める。みんなが施設に入っていってしまってからはそこには縛られた僕と相澤先生だけが残された。

 

「‥‥お前、軽はずみな行動は慎めよ?」

「僕悪いことしましたかね‥‥?」

 

風に相澤先生の「さぁな」って言葉だけが流されていった。

 

 

  × × ×

 

 

「いただきます!」

 

わいわいガヤガヤと盛り上がる大部屋でご飯を突く。疲れた体に染み渡るな‥‥この晩御飯‥‥。

 

あのあと結局僕たちはおにぎりを食べて(僕が食べれたのは出遅れたせいもあって数個だけ)から基礎トレと称してプッシーキャッツの皆さんプラス相澤先生との一対一のガチ戦闘を行い、ボコボコにされてから晩御飯となった。おい、基礎トレって何だよ。

 

「美味しい! 米美味しい!!」

「五臓六腑に染み渡る‥‥! ランチラッシュに匹敵する粒立ち‥‥ッ! いつまでも噛んでいたい‥‥ッ!」

「土鍋‥‥?」

「土鍋ですか!?」

「うん。腹減りすぎて変なテンションになってんね」

 

みんな変なテンションになっててウケる。まぁ、ご飯自体は美味しいけども‥‥それよりも世話を焼くのは今日までって話聞いてたのかな? 今日までらしいんだけど‥‥みんなわかってんの? え? これ明日から僕が料理する感じ? ご飯作るのは良いんだけど20何人分一人で作るのは流石に骨が折れるんだけど?

 

そんなことを考えて気が気じゃなくなりながらご飯を食べ進める、ご飯を食べ終わって数十分。とうとうそのときがやってきた。

 

「おいバカ! 目を閉じろ!」

「目を開けるのはシャンプーとコンディショナー! ボディーソープの場所を確認する時だけだぞ!」

「舞妓の方を見るな!!」

「お前ら‥‥‥‥」

 

そう、お風呂である。‥‥‥お風呂である。

 

「僕もみんなと普通にお風呂入りたいんだけど‥‥おいコラ、何目を逸らしてんだ電気」

「お前! タオルを! 巻け!!」

「どうやって巻いてないの把握してんの‥‥? 鋭次郎、どう思う?」

「できれば胸まで巻け!!」

「お前もか」

 

男子メンツはギャーギャーと喚きながらさっさと僕から距離を取り始めた。何だこいつら‥‥ホント失礼だな‥‥マジで歪ませてやろうか‥‥?

 

「舞妓、お前タオル巻いとけ」

「焦凍まで‥‥そんなに僕の方見にくい?」

 

轟くんまでガチトーンで言う僕はどれだけ女の子の体つきしてるんだ‥‥そんなことを考えていると僕に背を向けた峰田くんが仁王立ちをしながら男湯と女湯を遮る壁を見ながら口を開いた。

 

「‥‥舞妓がいるせいで男湯で目を開けられないんすよね‥‥だったら女湯に行けば良いんじゃないすか‥‥?」

「余計ダメでしょ。バカなのか‥‥?」

 

バカなことを当たり前のことのように口にする峰田くんにため息をつく。何だこいつ、最早面白いだろ。どこまで女体に執着してんだ‥‥流石は相澤先生に「一人性欲の権化がいる」って言われるだけあるぜ‥‥失礼だけどその通りだと思います。

 

「やめたまえ峰田くん! 覗きは君も女性陣も貶める恥ずべき行為だ!」

「うるせぇ! 壁とは超えるためにある! Plus Ultra!!」

「校訓を汚すなよ」

 

峰田くんがモギモギを使って登っていくのを見ながらため息をつく。このあと洸汰くんが落ちてくるからね‥‥今のうちに手を空けておこう。

 

「ヒーロー以前にヒトのあれこれから学び直せ」

「クソガキィィィ!!」

 

洸汰くんに手で押し飛ばされて峰田くんが降ってくる。それを受け止めるついでにパンと手を叩いて手元の桶と峰田くんの位置を入れ替えた。馬鹿だなぁ‥‥ほんと‥‥

 

「大丈夫? 実」

「何でオイラはお前から目を離そうとしてお前を見なくちゃいけないんだよぉぉぉぉぉ!!」

「僕もそろそろキレるぞ?」

 

そいっと峰田くんを温泉の湯船へと投げ飛ばしてから洸汰くんを見る、すると丁度洸太くんが女湯の方を見て落ちてくるところだった。出久くんがそれをキャッチする。

 

そういえばあの子はあの子でA組の裸を見て脳を焼かれた子なのか‥‥くわばらくわばら‥‥普通にレベル高いから将来的な性癖に問題が起きそう。

 

「ごめーん。次から覗きする奴は僕がとっちめるから許して〜」

「え? いいよ! なんならゆずちゃんもこっちこない?」

「行けるわけなくない???」

 

いくら僕の精神年齢が高めだとはいえ体は少年だぞ? 余裕でムラムラするわ。これ困るよね。頭では冷静にならないとって思ってるんだけど思春期の性欲がそれを超えてくるんだよなぁ‥‥

 

「ゆずくん! 僕洸汰くんをマンダレイのところに連れていってくるね!」

「うん、お願いね。‥‥目を瞑っていくと危ないから開けておきな?」

 

‥‥君は僕の裸見慣れてない? いや、最後に入ったのは随分と前だけどもさ。それでも流石にね? ね? 僕そんなに女の子過ぎるかな? ねぇ、ねぇってば!

 

 

  × × ×

 

 

‥‥‥うん。轟くんのこの前の反応からそうなるだろうなぁ‥‥とは思ってたよ? 思ってたんだけど‥‥

 

「僕今から祭り上げられるの? なんで僕の布団が真ん中に鎮座しててみんなの布団が壁際に並べられてるの? いじめ?」

「お前と一緒に寝たら取り返しつかないかもしれないだろ!」

「はい、只今、実の布団に入ることは決定しました。次、今名乗りあげたら添い寝だけで済ませてあげるよ?」

「ホント勘弁してくれ!」

「鋭次郎は僕がぎゅーしてからウィスパーボイスで愛を囁いてあげるね? 次、誰かいる?」

「マジで良い加減にしとけよ!?」

 

何やらもうみんなが僕のことを女の子扱いしてくるので本気で性癖を歪めてやろうと画策していると、洸汰くんをマンダレイの下にまで送り届けた出久くんが帰ってきた。

 

「どうしたの? みんな」

「おい緑谷! あいつ止めてくれ! 俺たちの性癖をめちゃくちゃにしようとしてくるんだ!」

「人聞きが悪いなぁ‥‥僕は普通にしてたら大人しく寝てたよ? ただみんなが酷いことするから‥‥」

「それはみんなが悪いね‥‥」

「緑谷お前モンペかよ!!」

 

ガヤガヤと盛り上がるみんなとはしゃいで時間を潰す。もうそろそろで約束の時間だからね。

 

「あ、僕トイレ行ってくるね! その間にお布団直してなかったら‥‥わかるよね?」

「はい! 直させてもらいます!」

「だから何卒ご容赦を‥‥!」

 

切島くんと峰田くん、上鳴くんが謝罪してくるのを見届けてから大部屋を出る。そしてトイレに行くふりをして階段を登って屋上に出た。携帯を開いて電話帳を開く。そのついでに携帯型の盗聴防止電波を流す端末のスイッチを入れた。

 

何度かのコール音の後に目当ての人物が出てくれる。それは、僕のターゲットにして友人の男の子だ。

 

『そろそろだと思ってたよ』

「や、弔くん。元気してる?」

『林間合宿の場所の提供。感謝するよ。結局お前が前に予測した場所と寸分違わず同じ場所だったな』

「まぁね。そうじゃなきゃ敵連合作戦参謀なんて名乗れないよ」

 

原作知識で知ってただけなんですけどね。とはとてもじゃないけどいえた状況じゃないなぁ‥‥なんかごめんね? 騙してて。

 

「それで? データは貰ったけど‥‥良いメンツが揃ったみたいだね?」

『まぁな。決行は3日目、それでいいな?』

「もちろん、そういう作戦だしね」

 

夜風が肌を撫でる。夏とはいえここまで森の中だと空気は澄んでいて冷たく、どこか心地いい。

 

『作戦まで後いくつかのピースが足りないが‥‥そっちで用意出来そうか?』

「誰に言ってんのさ。そっちだって血の気が多いの集めたんでしょ? ちゃんと手綱握ってよね」

『こういうのは得意じゃないんだがなぁ‥‥』

「最近の弔くんなら余裕でしょ?」

 

幾つかの会話を済ませる。テンポがいいね。ここまで楽しく会話ができるのは弔くん含めて数人だけだから嬉しいや。

 

曇らせるその瞬間が今から楽しみである。

 

「じゃあ、弔くん。そろそろ怪しまれる前に戻るね?」

『あぁ、おやすみ。愛してるぜ、譲葉』

「こちらこそ、愛してるよ、弔くん」

 

 

【挿絵表示】

 

 

さて、決行は3日目。その瞬間まで、僕は暗躍を続けるとしよう。みんなの曇り顔をより良いものにするために、じっくり、ゆっくりとね。

 

‥‥ところで、僕が言い出した手前止めるのもなんかアレだなって思ってるんだけどさ。弔くんと「愛してる」言い合うのそろそろキツいものがあるんだけど? 黒霧さん辺り目の前で見てるだろうから止めてくんないかなぁ‥‥

 





どうでしたでしょうか? 楽しんでいただけましたでしょうか?
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