個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア!   作:波間こうど

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カァイイね!!!!!!


★敵連合とトランプ

 

「敵の襲来に備えるための合宿で襲来。恥を承知でのたまおう。“敵活性化のおそれ”という我々の認識が甘すぎた」

 

林間合宿での雄英高校完全敗北から一日明けたその日。雄英高校では早々に対策会議が開かれていた。内容は言うまでもなく先日に襲われた林間合宿での一件についてである。

 

「オールマイト以降組織だった犯罪は淘汰されていましたからね‥‥」

「要は知らず知らずのうちに平和ボケしてたんだよ俺らは。備える時間があるって認識だった時点でな」

「己の不甲斐なさに腹が立つ‥‥! 彼らが必死に戦っていた頃‥‥! 私は半身浴に興じていた‥‥!」

 

雄英教師も務めるプロのヒーローたちが各々の所感を述べる。意見を交換する中で出て来たのはやはりと言うべきか『今後の対応』それから『裏切り者』についてだ。

 

「今後の対応として記者会見は開かなければならないな」

「内通者を洗おうぜ! この際徹底的に!」

 

白熱する議題は次第に『内通者』について向かっていく。教師陣に、そして可能性は低いが生徒に、次第に向かっていく。

 

「誰がシロか、と言うことを証明できない以上、内通者探しは不毛だ、焦って行うべきじゃない」

 

‥‥‥実際は舞妓譲葉というこの世に生まれ落ちた最大のイレギュラーによる犯行なのだが、それが現在わかる人間はいない。それに、彼には疑いの視線は向けられないだろう。

 

USJの一件で右足を無くし、今回の一件で誘拐された。雄英が守れなかった一番の被害者である彼を疑おうとする者はいない。それが彼の術中にハマっていることを示すとしても。

 

会議は踊り、されど進まず。皆の話が弾んだとしても事件解決の手立ては一向に見つからない。

 

その最中、会議に、そしてこの現状に対して、一筋の光が差す。

 

『敵連合の居場所、突き止められるかもしれない』

 

それは警察官の塚内からの通話だった。この一本の通話によって、事態は解決への足掛かりを得て、急発展していくことになる。

 

「奴らに会ったらこう言ってやるぜ‥‥私が、反撃に、来たってね」

 

それ自体が“彼”の、掌の上だということにも気付かずに、時間は進む。

 

 

  × × ×

 

 

「ふわぁ〜‥‥よく寝た‥‥」

「あ! ゆずくんおはよう!」

「‥‥‥ヒミコちゃん。朝早いねぇ‥‥」

「睡眠時間は短くしてます! 逃げ延びる術です!」

「すごいなぁ‥‥確かにヒミコちゃんみたいな可愛い子が寝てたら危ないもんねぇ‥‥」

「多分トガはヒーローから逃げるための術の話してるぞ」

「相変わらず寝起きはポヤポヤしてんな」

 

トガちゃんと荼毘くん、それから毎度お馴染み弔くんに見守られながら体を起こす。ゆっくりと伸びをしてからソファで寝たせいで固まった体を鳴らすように捻ってポキポキと鳴らすとなんだか一日が始まった感じがするね。僕だけだろうか。

 

「あれ? マグ姉たちは?」

「買い出しだよ。俺たちも大所帯だからな、一気に買った方が効率がいい」

「買い出しならヒミコちゃんが行った方がいいんじゃ? 個性的に」

「私はゆずくんの寝顔を観察していたので!」

「そのイカれ女はそういう理由で同行を拒否したんだよ」

「じゃあ荼毘くんは?」

「俺のこの爛れた体は変装じゃどうしようもねぇだろ」

「そんなことないけど‥‥僕がバッチリメイクしてあげよーか?」

 

黒霧さんに出してもらったミルクを飲み干して口の周りを拭きながらそう尋ねると考えておいてやるよ、とだけ口にして荼毘くんは視線を手元の文庫本に戻した。‥‥君、気が抜けすぎじゃない? 明らかに心を許した相手への態度だけどあの演説そんなに効いた? そのつもりでやったけどさ。

 

「ゆずくんゆずくん! 今日もたくさん遊んでくれる?」

「もちろん! 少しお仕事のお話はするけどそれ以外はフリーだからね!」

「やったぁ! 私ゆずくんのメイクしたい!」

「お、なら僕もヒミコちゃんのメイクさせてよ! もっと可愛くしてあげる! いや、今でも可愛いけどね!」

「男ってメイクすんのか?」

「最近はメンズメイクってものがあるんだよ! いつも僕してるよ!」

「だからお前可愛いのか?」

「荼毘、譲葉はいつも可愛いぞ」

 

弔くんの言葉にまぁね! なんて言葉を返す。

 

‥‥誰だよこいつら。原作と全く違うんだけど? 何? まぁ、僕がここまで育てたんだけどね♡ 僕のこと大好きな子にしておいた方が後々美味しいからね。こうなるのは仕方のないこと、予定調和だったんだよ。ちゃんと曇ってね♡

 

「ゆずくんはいつもどんなチーク使ってるの?」

「ん〜? 僕はいつもこれ使ってるよ!」

 

僕がアジトに置きっぱにしているお泊まりセットから予備の化粧ポーチを取り出して、中にしまっているチークを取り出すとジッとそれを見つめたトガちゃんが何やら思案したような顔をしてから僕の方に視線をあげる。

 

「それレディースブランドじゃ‥‥」

「あ、黙秘権を行使しまーす」

「ゆずくん本当に男の子なの?」

「本当に男の子だけど? 証明は難しいけど」

「簡単です! パンツ脱いでください!」

「ヒミコちゃん! 君すごいこと言うな!?」

 

シュバっとトガちゃんから離れてバーの椅子に座りながら資料を眺めている弔くんに隠れる。すると弔くんがなんだよ、みたいな目で見つめて来た。いや、ちょっと貞操の危機でして‥‥へへ‥‥

 

「大丈夫だよ! 何もしないから!」

「嘘だ! じゃあなんでヒミコちゃん今ナイフ取り出したの!? 裂く気でしょ!」

「ちゃんと服だけ裂くよ!」

「ちゃんとの意味知ってる!?」

 

僕が個性まで使いながらトガちゃんから逃げているとアジトのドアがガチャリと開く。そこにはどっさりと買い物袋を手にした買い出し組の姿があった。

 

「まぁ、なんで譲葉ちゃん追いかけられてるの?」

「マグ姉! 助けて! 僕服破かれそうなんだ!」

「何!? 大変だな! 頑張れよ! 応援はしないけどな!」

「舞妓譲葉がいるとここも賑やかですね‥‥」

 

ギャーギャーと喚きながらドタバタ走り回ると黒霧さんがそんな言葉を溢した。おい、僕が悪いみたいに言うのはやめてもらおうか。酷い話がすぎるだろ。僕今貞操の危機なんだよ?

 

「帰ったか。なら飯にしよーぜ。材料は買って来たんだろ?」

「えぇ、ですが調理に時間がかかりますよ?」

「じゃあ僕も手伝うよ!」

「お前料理できるのか‥‥」

「スピナーくんはできないの?」

 

弔くんと黒霧さん以外はたった数時間の付き合いだ。まぁ、僕からしたらみんなのことは詳しく知っているのだけど、お互いに知っているってわけじゃないからね。付き合いという面で見たらたったの数時間だ。ちょっとお話ししてちょっとゲームをしただけの関係なんだよね。それでもここまで入り込める僕の人心掌握術天晴れだぜ。

 

買って来た食材を調理してみんなでいただく。こうやってみんなでご飯を食べることができる時間とかって結構少ないからね。まぁ、僕が合流する時間が短いからなんだけどね。

 

「おい舞妓! これ死ぬほど美味いぜ! 生き返るほど不味いけどな!」

「やだ、本当に美味しい‥‥」

「ん〜!! 最高だよゆずくん!」

 

みんなからの感想にそれはよかった、と返してから、僕も自分の分のご飯をつつく。うん、案外いい感じじゃん。

 

「いいなぁ〜、弔くん。ゆずくんのご飯今までもたくさん食べて来たんでしょ?」

「たまにな」

 

「おい舞妓、俺はきのこは好かん」

「好き嫌いしたら大きくなれないよ? スピナーくん」

 

「これも美味いな! 死ぬほどまずいけど!」

「お前は大人しく食えないのか?」

 

ガヤガヤとみんなで喋りながらご飯の時間が進んでいく。うん、敵連合のみんながこうやってアジトにいるのはなかなか感慨深いものがあるね。それもこれもあと数日の命なんだけども。アジトは三日後には無くなってるしね。

 

「‥‥‥‥」

「なに、弔くん。ノスタルジーに浸ってるの?」

「うるせぇな、ほっとけよ」

「そんなこと言わないでよ、僕も同じ気持ちだからさ」

「‥‥‥‥」

「大きくなったね。敵連合」

「‥‥‥あぁ」

「弔くんよくこのメンバースカウトしてくれたよ。良い子ばっかり! これなら世界だって狙えるね!」

「‥‥‥だろうな」

 

弔くんが昼間からカクテルを煽りドンチャン騒ぎを眺める。いや、丸くなりすぎだろ。この時期の君ってもっとイライラしてるはずだろ。なんで親戚の子を見てるおじさんみたいな酒の飲み方してんだよ、君まだ20だろ。

 

「‥‥‥‥譲葉」

「ん? なぁに?」

「俺たちは正しいよな」

「君だけはそれを信じててよ、間違いなく僕たちが正しいよ」

「‥‥‥だよな」

 

弔くんがカクテルのグラスを置く。そしてゆっくりと上を見上げた。どこか上の空といった顔をしながらこれまたゆっくりと息を吐く。

 

そしてスイッチのオンとオフが切り替わるように部屋の空気が変わった。ピリッと肌を刺すような刺激。そのことにどんちゃん騒ぎをしているみんなも気づいているらしい。ふざけてご飯を食べながらもどこかこちらを伺う雰囲気が出ている。

 

‥‥‥このメンツに雰囲気を伺わせるのどう考えても王の素質ありすぎない? というか今の雰囲気の変え方かっこよすぎだろ。僕もやりたいな‥‥やり方わかんないけど。

 

僕がそんなことを考えていると弔くんが顔を上から前に戻した。その髪に隠れた視線には止まらない狂気が宿っている。ヴィラン過ぎるね、君。

 

「‥‥‥譲葉」

「うん、じゃあ、始めよっか」

 

パンパン、と手を叩く。するとみんなが話すのをやめてこちらに視線を寄越した。弔くんの横に立って、みんなに目を向ける。その一人一人と視線を合わせてから、ゆっくりと口を開いた。

 

「それじゃあ、今後の作戦を説明するよ? 準備はいいかな?」

 

みんながどこか緊張した面持ちで喉を鳴らした。うんうん、オンとオフを切り替えられる人間ってのは貴重だから嬉しいね。みんなは貴重な人間なのにここに集まってるってこと? すごい確率じゃない?

 

「あ、その前に、僕の目的を先に言っておこうか。みんなの目的は知ってるのに僕の目的をみんなが知らないのはフェアじゃないからね」

 

微笑みかける。できるだけ大袈裟に、そして笑みの奥に目的をちらつかせる様に、口を開く。

 

「僕はみんなの好きなことを手伝う代わりに、僕のこの“したいこと”を手伝って欲しいんだ」

「舞妓の目的‥‥?」

「うん。僕が最初に聞いたでしょ? みんなはなんのために敵連合に来たのかってさ」

 

スピナーくんの疑問の声に返事をする。そして、ゆっくりと口を開いた。これはみんなに僕の存在を印象付けてほしいのと、裏切ったらこうなるからってことを端的に示すためのものだ。みんなが裏切らないってことは知ってるけどね。

 

「僕の目的はただ一つ、裏切られたから、今度は僕が、劇的に裏切ってやりたい‥‥」

 

手を何かに向けて伸ばすように、前に出してからゆっくりと握りしめた。そしてそのまま横に振り払う。

 

「裏切る。一番嫌なタイミングで、一番劇的なタイミングで、裏切る。そのために、一番心の深いところにまで潜り込んで、傷になったら治らないくらいに‥‥僕を植え付ける。それが僕の目的」

「だから、みんなにも協力してほしいんだ。その代わり、君たちの目的だって手伝うよ。‥‥まぁ! 僕もうみんなのこと好きだし! 友達で仲間だと思ってるからさ! 好き好んで協力させて貰うけどね!」

 

僕がウインクしながらそう言うとしばし、数瞬の無言が続いた、そのあとボソリと荼毘くんが声を絞り出す。

 

「‥‥‥こいつが一番ヴィランだろ」

「俺もそう思うよ、荼毘」

 

何か弔くんが共感してたけどとりあえずそっちは無視しておこう。君は昨日の「こわ」についての分も後で何かしら仕返ししてやるからな。具体的に言うならお昼ご飯は君の嫌いな玉ねぎでも料理に使ってやるよ‥‥!

 

「じゃ、作戦について説明しようか。まずは‥‥平和の象徴に折れてもらおう」

 

真面目に話を聞いてくれるみんなに作戦を説明する。それは原作通りではなくて、少しだけ改変を入れてアレンジした、僕なりの『神野事変』。

 

「‥‥‥これで良いよね? 先生」

『あぁ、文句ないよ』

「ごめんね、先生を危険に巻き込むことになっちゃうけど‥‥」

『なに、構わないさ。僕が今まで君にさせて来た危険と比べればお釣りが出るよ』

「そんなこと言ってさぁ〜‥‥僕の危険なんてそんなにないじゃん」

 

うんうん、ラスボス先生も協力的だ。まぁ、協力的にならざるを得ない理由があるんだけどね。それもまぁ、まだ伏せておこう。

 

「それじゃあ‥‥弔くん。ボスは君なんだから、空気、締めて」

「‥‥‥お前は毎度無茶を言うなぁ」

「覚えがないなぁ」

「嘘をつけ」

 

弔くんがバーの椅子から立ち上がる。僕はそれに伴って後ろに一歩下がった。僕の前に弔くんが居て、僕がその後ろに控えるような構図を作り出す。

 

「お前ら、期待してる‥‥言いたいことは全部譲葉がもう話してくれてるから、俺からは一言だけだ」

 

そう言って腕を翼のように広げる彼はまるで今にでも飛び立つようで‥‥

 

「偽りの平和を、壊してしまおう」

 

その姿は完全に、ヴィランのボスに相応しい姿だった。

 

‥‥‥その顔も必ず曇らせてあげるから待っててね♡

 

 

  × × ×

 

 

「こうやって対面で話すのは久しぶりだね」

「そうかな? ‥‥‥あぁ、この前一緒に将棋をして以来だ」

「それも随分と前のように感じるね‥‥三ヶ月ほど前かな?」

「雄英の入試の前だからそのくらいになるかな」

「あのときはどっちが勝ったんだっけ?」

「老いぼれるにはまだ早いでしょ、先生。それとも嫌がらせ? 一手差で先生の勝ちだったじゃん」

「僕は君の人生の何十倍も生きてるんだ、遅いくらいさ」

「それも個性で抑えてるんでしょ?」

「まぁね」

 

暗い部屋、そこで僕はチューブに繋がれたラスボス先生と相対していた。目的はたった一つ、文字通り『個性』を譲渡してもらうためだ。

 

「それにしても限定的な未来予知。その能力は素晴らしいね。個性に起因しないから僕が奪えないのが残念だ‥‥」

「先生が使わなくても僕が先生に優位になるように使うってば」

 

まぁ、本当は先生に優位になるように、と言うよりは僕に優位になるようになんだけどね。この人は嘘は見抜けるけど人の心が読めたりはしない。だから僕は嘘はついてないけど本当のことでもないこと、を主軸にして会話をしてる。

 

「さて、契約の二つ目を果たすけど‥‥構わないね?」

「もちろん」

「それじゃあ『サーチ』を君に譲渡する。君の許容量は超えないとは思うが下手をすると廃人になるからね」

「覚悟の上だよ」

「そのときは君を素体として脳無を作らせてもらうがいいかな?」

「良いけど‥‥あ、弔くん専用個体にしてよね」

「わかった。弔もそう言うだろうからね」

 

先生が手を伸ばして僕の頭に触れる。それに伴って僕は目を閉じた。そしてゆっくりと僕の体に個性を下ろした。

 

‥‥‥んだと思う。たぶん。あんまりそんな気がしないけど。

 

「譲葉、聞こえるかい? 目を開けてご覧」

「‥‥‥おぉ、これは思ったよりも“見えすぎ”ちゃうな」

 

視界に映るラスボス先生が規格外の存在であることがよくわかる。なんだこいつ‥‥原作でこの体になってストックが減ったとかいってなかった? それでも普通に数十の個性を当たり前に持ってるのなんなの? 化け物じゃん。本来なら弱点も見えるはずなんだけどちゃんとお互いの弱点を補強し合うように個性が組み込まれてるから‥‥うん、今の僕だと勝つのは不可能じゃないにしても難しいかな。

 

そりゃオールマイトだけしか勝てないはずだよ、結局は筋肉が全てを解決するんだよなぁ‥‥

 

「それにしても先生、これ。本当に貰ってもよかったの?」

「君の目的のために必要なんだろう? 僕も欲しかったが‥‥君に良いことを聞いたからね、その分のお代だと思ってくれたら良い」

「ほんと先生大好きだよ!」

「ははは、ありがとう」

 

この個性オンオフできないのかな‥‥常に目の前に個性の情報、位置と弱点が見えるのって結構邪魔なんだけど‥‥まぁ、なんとかできるか。個性は身体能力らしいし、消せるかどうか練習すればわかるだろ。

 

「‥‥‥譲葉、しばらくの間、弔を頼むよ」

 

僕が目を細めたり逆に広げたりしながら個性をシャットダウンできないかと試行錯誤していると、ラスボス先生からそんな言葉を投げかけられた。

 

理由は言うまでもなく明日以降の展開についてだろう。うん、僕の作戦上、彼はオールマイトの最後の残り滓の力を全て引き出させて負ける。そして一度収監されることになる。

 

もちろん自分で抜け出そうと思えば抜け出せるのかもしれないけどそれでも収監される先が日本一の監視体制を持つ『冥界』タルタロスである以上は全盛期でもないラスボス先生には厳しいものがあるだろう。助けに来ることがわかっていても嫌なものは嫌だと思う。

 

僕ならあんな風に拘束されて銃口を二十四時間365日突きつけられてる生活なんてごめん被るが‥‥それでもラスボス先生を説得する方法ならいくつかあった。その全てを使って先生を説得した結果、OKを出してくれたというわけだ。まぁ、先生自体このプレゼンが無くてもOK出してくれたっぽいけど、捕まってください! って悪の親玉に言う以上はそれなりにメリットも示さないと後が怖いしね。

 

「先生、何言ってんの? これからもだよ。僕は弔くんの親友だからね!」

 

僕はピースを先生に向ける。すると先生は「そうだね」と感慨深そうに呟いた。‥‥ここだけ見るとすっごい良い人なんだけどなぁ‥‥この先やろうとしてることも含めて見ると完全にラスボスなんだよなぁ‥‥

 

 

  × × ×

 

 

ラスボス先生のところから帰ってくると、まるで僕のことを待ち構えていたのかという様にトガちゃんが僕に後ろから抱きついた。おい、当たってるぞ。葉隠ちゃんと同じ匂いがするだろーが。やめてくれ、その技は僕に効く。あ、ちょ、ほっぺすりすりするな! 柔らかいんだよ!! ちょっと待って? 匂い嗅いだ? ねぇ? ねぇ???

 

 

【挿絵表示】

 

 

「ゆずくんゆずくん! 遊ぼ!」

「いいよ〜。トランプでいい? ここゲームとかなくてさ」

「ううん! 私トランプ好きだからいいよ!」

「ならトランプしよっか‥‥マグ姉、コンプレスさん、黒霧さんも一緒にしない?」

「お、おじさんを誘ってくれるとは嬉しいね」

「やだ、そんな風に誘われたら嬉しくなっちゃうじゃない」

「構いませんが‥‥」

「スピナーくん! 仁くんも一緒にしよ!」

「おいおい俺のこと誘ってくれるのかよ! 好きになっちまうぜ!? 嫌いだけどな!」

「‥‥‥‥トランプとかいつぶりだ?」

「そうだ、この際みんなでしょーよ。荼毘くんと弔くんもやろー! 暇でしょ?」

「‥‥‥俺はいい」

「俺も仕事してるのが見てわからないか?」

「へぇ〜? ま、自信ないみたいだし? あの二人は除外して敵連合最強を決めよっか!」

「おい舞妓、さっさと配れ」

「譲葉、9人分だぞ」

 

ガヤガヤと机を囲む。こういう時間も案外悪くないよね。というか年齢層で見たら15歳〜30代までが同じテーブルに腰掛けてトランプしてるってことでしょ? 最高に仲良しじゃん、尊いね。

 

というか君たち二人は成人済みなんだからもう少しマシな反応したほうがいいと思いまーす。

 

「ババ抜きでいいよね?」

「難しいの言われてもルールわかんねぇよ」

「おじさん最近のゲームわかんないからねぇ」

「コンプレスさんそんなに歳じゃないでしょ」

 

トランプをみんなに配る。この大人数ですると誰が一番最初に上がるのかわかんないなぁ‥‥最下位だけはないけど‥‥まぁ、何事も楽しむことに全力を出さないとね!

 

そんなことを思いつつトランプを続けていると誰かがボソリと口を開いた。

 

「そろそろ林間合宿を襲撃してから一日経つか?」

「あ、そんなもんなんだ?」

「襲われたやつがこんな感じだからそんなに経った気がしないよな」

「揃いました!」

「でも僕みんなと出会ってから結構長いこと一緒にいた錯覚すらあるんだけど」

「そうねぇ‥‥譲葉ちゃんと出会ってもう何年にもなる様な気さえするわ」

「だよねだよね!?」

「お! 俺も揃ったぜ! 捨てねぇけどな!」

「それは捨てろよ」

 

そっかぁ、もうそろそろみんなと出会ってから一日が経つのか‥‥原作だとまだ出久くんも耳郎ちゃんも葉隠ちゃんも気絶してる頃かな? 後一日したら起き出してきて、その次の日にはここが襲撃されるって流れだし。

 

「‥‥‥おい、譲葉。お前今俺にジョーカー渡す様に誘導したな?」

「君が勝手に取ったんだよ? あ、僕上がりね」

「‥‥‥舞妓これで五連勝か?」

「ゆずくんずっと強い‥‥‥」

 

そろそろみんなと友好関係が深まってきたけど‥‥‥この後また離れ離れになるの残念だなぁ‥‥まぁ、チマチマと接触はしようと思ってるんだけどね。週一のペースとかでは会いたいけど‥‥難しいかなぁ‥‥さっさと個性使って遠くの場所と入れ替えられる様にしないとなんだけど‥‥‥まだ解釈を広げるのに時間がかかりそう。とはいえ黒霧さんに毎回来てもらうのも大変だしね‥‥‥

 

「おい、舞妓。死柄木に飽きたからって俺にジョーカー寄越すな」

「荼毘くんが勝手に取ったんだって!」

 

敵連合としてのガヤガヤが続く。この居心地の良い空間こそが居場所なんだって思えてくる。多分他のみんなもそうなんだろう。だからみんな笑って、感情を前に出して、たかだかトランプなんてテーブルゲームでここまで楽しむことができているのだ。こんなシンプルなゲームでずっと遊べるのよっぽど仲がいいのか、それか気まずいからトランプしてるだけのメンバーだからね。

 

「‥‥‥舞妓譲葉がいると賑やかですね」

「黒霧さんずっとそれ言ってるよね」

「おい、上がったら上がったって言えよ」

「あ、また一抜けね!」

「総合で何回一抜けすんだよ!」

 

時間は止まらず、前に進む。ただ、敵連合の絆を深め、世界を闇に引き摺り込むために。

 

というか、さっさと突撃すれば良いのに原作でも今世でもしっかりと三日くらいの猶予あるのなんでなの? 僕は普通にこっち側だから許されるけど、かっちゃんとか普通にメンタルに不調きたしてたのでは? まぁ、精神面が不安定という意味ではいつものことではあるんだけども。

 

楽しい時間は続いていく。ただ、この先に迎える曇らせと破滅に向かって、ゆっくりとその形を変えながら、じわりじわりと毒が回る様に、幸せを与えながら。

 

ここにいるみんなの傷にならないとは言ってないんだけど、そんなことには気づいてないよね♡ ちゃんと傷になってあげるから覚悟しろ♡

 





お久しぶりです! 毎度のことながら感想に励まされています! というか感想が最近100越えるんですけど正気?(感謝)
今回は日常回! ちゃんと敵連合の話でも日常回を挟まないとね、曇らせが上質なものになりませんからね♡
今回のイラストもかわいいね‥‥! あ、カァイイね!!
まだまだ神野事変編は続きますのでお楽しみに!!
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