個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア!   作:波間こうど

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…………おい、挿絵貼らないのマジでキレそうなんだけど……
ここ最近で一番のイライラ出来事だ……んこにゃさんの絵を見せられないってことは詰まるところ“死”ってことだから……

また、挿絵が入れられるようになったら追加いたします。そのときはX(旧Twitter)でお知らせいたします。 ですので、そのときまでお待ちください。

んこにゃ様の挿絵を楽しみにしていらっしゃる皆様申し訳ございません。挿絵の追加までお待ちください。

波間こうどTwitter : https://x.com/Namima_kodo
んこにゃ様Twitter : https://x.com/Nkonyasabu

6/30 挿絵を追加いたしました!! ご覧あれ!!


★餌付け、知覚

 

「そこでゆずくんが暴れるの?」

「そ、僕の目的は言ったでしょ?」

「劇的な裏切りだよな? いい趣味してるぜ、最悪だ!」

「だから、今回裏切る相手はヤクザ。大体、僕がマグ姉の死を腕一本で許してやるわけないじゃん」

「そうだけど……」

「このタイミングで雄英は裏切らないのか?」

「まだかなぁ、ここで裏切るとまだ取りたいカードが取れなくてね」

「ゆずくんと早く一緒に暮らしたいんだけど……」

「あはは、ごめんって。あと、2人ともちゃんと舞って呼んでよ?」

「当たり前だろ? 絶対呼ばねぇ!」

「任せて! 仁くんにも言い聞かせるから!」

「相性抜群だね」

 

闇夜に潜む声が、作戦を示し合わせる。

 

それは物語の崩壊が、ゆっくりと、その足音を響かせて、迫りつつある音だった。

 

「それじゃあ、派手に、暴れようか」

 

月に照らされ、髪がたなびく。

 

その足音はゆっくり、ゆっくり、だけど、着実に、その距離を縮めていた。

 

「…………楽しみだよ、本当に」

 

そう呟く天女の顔には歪な笑みが張り付いていた。

 

 

  × × ×

 

 

「ゆずくん……」

「んぐ……なに? どうしたの?」

 

みんなで晩御飯を食べてる最中、出久くんが僕の横でボソボソと呟くように僕のことを呼んだ。その顔には何やら暗い色が浮かんでいる。まぁ、十中八九壊理ちゃんのことだろう。

 

出久くん見ってる〜? 君が救いたかった壊理ちゃんは昨日僕と一緒に寝て「あのね、舞お姉ちゃんね、いい匂いするね」って辿々しく言われました〜! 僕を殺して……早く……このままだとお姉ちゃんになってしまう……退け! 俺はお姉ちゃんだぞ! とか言い出す前に殺してくれ……

 

でも、殺すなら殺すでみんなの前で、できるだけ派手に、だけど汚くない、体が残る、みんなの顔がよく見える殺し方をしてほしい。みんなのことちゃんと見て曇らせないといけないって仕事があるんだからさ。そうだなぁ心臓貫きとかどうだろう。しばらくは息あるとか何とか聞くよ。

 

いやね? 別に、壊理ちゃんが僕のことを女の子だと勘違いしてるのは別にいいのさ。なんだったらそっちの方がお得まである。性別が逆なら僕だってわからないだろうし。だけどね? それはそれ、これはこれじゃん。わかる? この気持ち。わかってくれる? 誰にも言えないけどさ。

 

あのあと、弔くんとオバホくんで交渉(と言っても一連の流れは先に伝えていたけど)したらしく、原作通りのトガちゃん、トゥワイスさん、それから僕がアジトに残ることになった。といっても僕は他のお仕事もしてるので条件的に、大きな山の日までに数日滞在する、程度のものだけどね。ちょっと違ったのは原作であった将棋についてのあれそれがソフトに勝つ僕に鍛えられたせいもあって弔くんがオバホくんに完勝したことくらいかな?

 

オバホくんがガチ動揺したらしい。見たかった。

 

ちなみに今エンデヴァーがインターンを持てないので、僕はドクターを上手に使って、定期検診を活発に行う時期だから病院で寝泊まりをする日があるってことにして外出許可を貰ってます。ちなみにカメラも改竄しているので、僕がいると先生方は思ってますね。このために昔から勉強して作り上げたプログラムだから最初から疑ってかからないと校長先生にも突破できないんじゃないかな? ラブラバとかなら何時間とかでやられそうだけど。

 

「ゆずくんはさ……目の前に、助けを求めている女の子がいたらどうする……? どうしても助けられない状況だけど、その子を助けちゃいけないんだけど……助けを求められたら……」

「え? そんなの決まってるじゃん」

 

ここで君が曇っちゃう答えはこれだろ?

 

「助けるよ。僕ならどんな状況でも助けられる。腕や、足や、命を投げ捨ててでも助けてやる。それがヒーローでしょ」

 

出久くんの顔が曇ったのがわかる。いや、こんなことで曇ってくれるの本当に簡単で助かるぜ……愛してるよ、出久くん♡ あぁ〜、そんな顔しないでよ。いや、して欲しいんだけどそうじゃなくてさぁ……その顔されたらたまらないだろ? 僕がぐちゃぐちゃに喰らいたくなる。僕好きな食べ物食べるとき食べ方が汚くなる自覚があるんだよね。それを指摘したのも君だったっけ? 出久くん。

 

「鋭次郎とお茶子ちゃん……梅雨ちゃんも? そんな顔しないでよ。どうかした?」

「いや……言えねぇ……」

「???」

 

敢えて本当に何もわからないという顔をしておく。これが演技だってバレたらここにはいられないけど、流石に僕の演技がそう簡単にバレるわけがないからね。

 

「まぁ、元気だしなよ。あ、アップルパイでも焼こうか?」

「アップルパイですか?」

「ヤオモモ、ステイ」

 

僕の右側で耳郎ちゃんとヤオモモちゃんが何やら騒がしいけど気にしない。聞いてみるも4人ともいらないそうです。あ、その代わりにチーズケーキがいい? リクエスト制なんだ? いいけど……はいはい、すぐ作るね?

 

「大体、僕らはヒーローだぜ? 救えるものは全て手を伸ばすべきさ」

「でも……」

「でももヘチマもないよ。僕らが助けないなら、誰が助けるんだよ。何? ヴィランが助けてくれるの? ハハハ、お笑い草だね」

 

いい伏線の打ち方したな……やっぱり僕は天才なんだよね。いや〜、参るね! これで僕ってヴィランが壊理ちゃん救ってるって知ったらどんな顔してくれるのか楽しみで楽しみで仕方ないよ。

 

それにさ。

 

例えば、世界に嫌われた子がいたとして。

 

「誰のことだって助けるのがヒーローだろ」

 

そんな子にも手を伸ばすのがヒーローだろ? なぁ、出久くん。

 

「だから、目の前で救い逃したのなら今度は必ず救わなくちゃ。君のその腕はなんのためにあるんだい? ヒーロー」

「うん……ゆずくんの言う通りだ……」

 

出久くんが拳を握りしめた。この子が拳を握りしめるときは決意を固めるときだけど……なんでなんだろ? そんな描写原作であったかな?

 

「ま! 辛気臭い話しててもご飯が美味しくなくなるだけだしね!!」

 

食器を片付けながらそう締め括る。このくらいにしておかないと辛気臭くなりすぎて寮内がお香の匂いがするようになっちまうぜ。

 

それはそれでいいんだけど、それでご飯美味しく食べられないのはなんか嫌なんだよねぇ……あとはまぁ……なんだろ、その曇らせ顔はつまんないや。最近曇らせの味にもうるさくなってきたかもしれない……

 

「よっし! ここは一つチーズケーキでパーティするか!」

「やったぁ!」

 

芦戸ちゃんが跳ね上がってくれるのを見ながらエプロンをつける。さてさて、この物語はどう動いていくのかね〜、なんて思いながら、僕は料理に取り掛かった。

 

 

  × × ×

 

 

【出久side】

 

手際よく料理を作る彼の姿はもう随分と見慣れたものなんだけど、その姿が新鮮に見えた。曇ったガラスを拭きあげたような、そんなクリアな視界だ。

 

「……緑谷もいつもすごいと思うけどよ」

 

切島くんがドカッと僕の座っているソファの横に腰掛けた。そしてまるで感心するように息を漏らす。

 

「ことヒーローっていう一面で見たらあいつちょっとズバ抜けてるよな。本当にタメか?」

「ゆずくんのあのヒーローとしての出来上がり具合はなんなんやろ……」

「少し大人びすぎよね、譲葉ちゃん」

 

切島くん、麗日さん、梅雨ちゃんの順番で言葉を口にする。その言葉は今の僕でも答えが出せないものだ。

 

彼はいつも僕の背中を押してくれて、カッコよく道を示してくれる。そんな彼は少なくとも小学生の頃には今のヒーロー観を持っていた。ヒーローとは万物を救うもの、つまるところヴィランを倒すことだけが大事なのではなくて、人を助けることが仕事なのだと、彼は常々言っている。

 

「おい爆豪! お前チーズケーキ食わねぇの? 甘いものはお口にあいまちぇんかぁ〜?」

「んだテメェ食うわ死ね!!」

 

……今かっちゃんのことを揶揄ってケタケタと笑っている女の子にしか見えない彼は、いつだって僕の一歩先をいっているのだ。

 

「…………」

「デクくん……」

 

拳を眺めながら俯いている僕を見て麗日さんが声をかけてくれた。そんな彼女を安心させようと精一杯の笑顔を作ってみる。

 

「大丈夫。元から助けるつもりだったし、彼女のことは僕が助けなくちゃ……いけないんだ」

 

決意を固める。右手の拳を握りしめた。彼に、ヒーローと呼んでもらっている。彼にヒーローであると背中を押してもらっている。たった一度、たまたま、助けたのが僕だっただけなのに。僕の方がよっぽど助けられてきたのに。

 

『出久くん。爆豪のことしばいてこよ〜か?』

 

……

 

『……いや、違うんだよ? 僕から手を出したわけじゃなくて……ほら、取り巻きうざかったからさ。喧嘩売ったら買ってきて……血塗れにしただけなんだよ! あっち個性使ってきたし正当防衛じゃん! こちとら無個性だよ!?』

 

…………

 

『うるさいなぁ。無個性に劣ってる雑魚どもが偉そ〜に。個性以外でお前らが僕に勝ててるところどこだよ馬鹿が。個性あるのに無個性とか、酷いねぇ〜? あ、酷いのは頭か。悔しかったら全国模試で一桁取ってみようね♡』

 

………………いや、助けられた分巻き込まれたことも多いけど。それでも、

 

 

『出久くん。大丈夫?』

 

 

1人で泣いてる僕に手を差し伸べてくれた彼が、僕をヒーローと呼んでくれるのなら、僕はNo.1ヒーローにだってならないといけないのだから。

 

エリちゃんの居場所が分かって、死穢八斎會と戦闘になるという連絡が来たのはこの日の深夜のこと。

 

僕たちは、作戦決行日、どうしようもない運命と遭遇することになる。

 

それは、赤くて白い、見慣れた微笑みに死を添えた。

 

巨悪の顔をしていた。

 

 

  × × ×

 

 

「やぁ、壊理ちゃん。いい子で俺のこと待ってたか?」

「舞お姉ちゃん! 今日のご飯は?」

「ふふふ……今日はなんとハンバーグだぜ……渾身の出来だから喜びな……」

「ハンバーグ? 初めて。楽しみ」

 

ドアを開けて部屋に入ると待っていましたと言わんばかりに壊理ちゃんが僕に抱きついてきた。可愛いね〜♡ こういうのは普通に可愛いと思えるだけの感性はあるからね! 子供は可愛いね♡ ただ、それはそれとして曇らせるんだけど。は? 曇らせは古今東西老若男女全てに適用されるステータスだろ舐めるなよ?

 

曇らせが好きな重病患者なんて多分その気になれば最高なんて言わなくてもそこらのモブの曇らせ顔摂取して生きていける。ただ、僕レベルのオタクで、僕レベルのグルメだといいものを最高のものを、最高の鮮度で、最大量摂取したいんだよね。これを世の人はオーバードーズだとか、ドカ食い気絶部とか言います。

 

話が逸れたね。

 

死穢八斎會に一日に一回くらい行くようになってから数回目、今日は命をかけた決戦が行われる日だ。僕の情報網、経験則、盗聴の全てが今日であると物語っている。いや、ほとんどの割合を盗聴が占めてるんだけどね。昨日の夜中原作と同じく出久くん、お茶子ちゃん、梅雨ちゃん、切島くんの4人が集合してるところ見たしね。

 

というかハンバーグ楽しみってどんだけカスな飯食わしてたんだよ。こんな育ち盛りに。殺すぞカス組が。ヤクザなんて名ばかりの児童虐待施設じゃねぇか。今すぐに滅ぼしてやろうか? 何? 領域? 領域る?

 

壊理ちゃんにハンバーグを食べさせながら携帯をつけてみる。現在時刻から考えて……そろそろ集まり始めてるかな?

 

「……壊理ちゃん」

「?」

「壊理ちゃんは俺のこと好きか?」

「うん。好き」

 

寸分の迷いもなく俺の顔を見てそう言った彼女の言葉を聞いてクスリと笑ってしまう。よくもまぁ、ここまで心に入り込んだもんだ……なんなの? 僕。自分で言うのもなんだけどさぁ……普通にヴィランの適性があり過ぎる。

 

「じゃあ、俺と約束してよ」

「いいよ……?」

「いいの???」

「うん……」

 

この子将来悪い男に騙されそう……そうなったら曇ったところ見てからその男殺すから教えてね♡

 

「今日、これから君の人生が大きく変わる瞬間が連続して目の前に現れる。そのときに……手を伸ばして、自分から掴んで。何を掴むのかは君が決めていいからさ」

 

訳がわからないという顔をしている壊理ちゃんにクスクスと笑いながらもう一言付け加えてあげる。ここで、種を埋めてあげるのはとても良い効果が望めるからな。

 

それにしても美味しそうに食べるなこの子……作り甲斐があるね。

 

 

【挿絵表示】

 

 

口元の汚れを拭いてあげながら壊理ちゃんに目を向けた。今はその顔見えないんだけどね。

 

「君は救われるべき人間さ。必ず、君を救うヒーローが現れるよ」

「……? 舞お姉ちゃんじゃないの?」

「俺はヒーローじゃなくてヴィランだよ」

 

ゆっくりと立ち上がると同時にドアが開いた。そこにいるのはもちろんオバホくんだ。

 

「おい、舞。仕事だ」

「ん、来たね」

 

体を捻ってパキパキと音を鳴らした。う〜んと伸びていると壊理ちゃんが僕にぎゅっとしがみつく。ん〜、オバホくん嫌われてますねぇ……

 

「壊理、来い」

「…………」

「大丈夫だよ壊理ちゃん。途中まで一緒に行こうか」

 

壊理ちゃんと手を繋いでオバホくんの方へと歩く。オバホくんに今ちょっと目が見えてないことバレたら何されるかわかんないしね〜。ここは壊理ちゃんにちょっとお手伝いしてもらおう。

 

「壊理ちゃん。ちょっと僕のこと引っ張ってよ。お姉ちゃん疲れちゃって」

「いいよ」

 

もうお姉ちゃんって自分の口から偽ることにも慣れ始めてる自分がいる。なんだろ……悲しくないというと嘘になる。仮面の中は水でいっぱいだからね……だけどまぁ、必要な犠牲というやつだ、やむなし……やむなしなんだ……

 

手を引かれていると覚えのある気配が二つ、左右に分かれているのがわかった。うん、オバホくんと部下くんじゃないこの感じ……

 

あの2人だね。

 

「それじゃ、壊理ちゃん。僕らはここまでだ」

「ぇ……」

「大丈夫、すぐに追いつく」

 

壊理ちゃんと手を離してから手を振る。僕の言葉に少しだけ躊躇ってから「約束だからね」と呟いた彼女はそのままスタスタとオバホくんと適切な距離を取って歩いて行った。もう反抗期? いやまぁ、反抗期で済むなら安いものなのかもしれないけど。

 

「精々働け。下っ端」

「はいはい。それじゃあ、まぁ……頑張りますか」

 

原作をなぞるだけだしそんなに大した手間じゃないからね。それなりに楽しめれば御の字だ。

 

どうせ最後は最高に掻き回すからね。

 

「期待してるよ。ヒミコちゃん、トゥワイスさん」

「任せて!」

「バッチリだ、台無しにしてやる!」

 

2人をバックに従えてポケットに手を入れる。さてさて……楽しくなってきそうだね? こんなに楽しくなってきたのは神野事変以来かな? 本当にワクワクするよ……

 

「なぁ、お前もそう思うだろ? 緑谷」

 

ボソリと天井、その斜め上を見ながら口を開いた。これを拾ってくれたら謎の仮面少女が敵側に、敵連合にいるって伏線になってくれるでしょ、それがあれば十分だ。僕はこの章の後半ですごく掻き回すのだからね。

 

あぁ、いいね。世界を壊す、その第一歩だ。曇らせのための、前哨戦だね。

 

本当に期待してるんだよ、みんな。

 

僕に、最高の顔を見せてくれ。

 

ドアが突破される音を聞きながら、僕は体を伸ばしてそう口にした。

 

 

  × × ×

 

 

「ゆずくん。これ、いつまでやるの?」

「ヒミコちゃん。今は舞、ね?」

 

体をブラブラと動かしながらトガちゃんと体を任せあってストレッチを行う。念入りに体の筋を伸ばしてほぐせば、トゥワイスさんに目を向けた。

 

「準備はいい?」

「もちろんさ! できてねぇよ!」

「おーけーおーけー、いい感じね」

 

首をゴキッと鳴らしてからゆっくりと体を伸ばす。そして2人に聞こえるような、だけど他の誰かに聞こえないような声を出した。

 

「作戦は問題ないね?」

「うん。舞ちゃんの作戦は全部覚えてるよ!」

「お前ここまでドンピシャで予想してて気持ち悪いわ! 尊敬するぜ!」

「なんでヒーローが突入する時間までわかったの?」

「ん、それは内緒。聞いてもわかんないよ?」

「ううん、舞ちゃんの言うことならなんでも聞きたいの」

「あはは、いいね。照れちゃうぜ」

 

まぁ、ただの原作知識だけどその辺りをダラダラと話す必要もない。そこ話しても意味ないしね。それとなく話を遮ってから、指をパキッと鳴らした。

 

「それじゃあ……手筈通りに」

「うん!」

「了解!」

 

体を動かす。さてさて、暴れて帰ってもらおう。敵連合として、名前を刻んでもらわないとね。

 

2人が駆け出して行ったのを見てから逆方向に歩き出す。大体、このアジト自体が一種の蟻地獄になってるから困るんだけど、僕の目的はここじゃない。

 

僕という存在をほのめかすのに最高のやり方を考えた時に、一番かっこよくて、何者かわからないけど、強い敵って演出ができるのはここだと思ったんだよね〜。

 

一生懸命地下迷宮を走り回るみんなを見つける。切島くんとかファットガムがいないところを見るとその辺りはもう戦い始めてるのかな? そっちもベストバウトだから見たいけど……切島くん1人の曇り顔より種を撒いたほうが効率よく曇らせを摂取できるからね。

 

それじゃあ一丁やりますか! 僕は瓦礫の上で手を叩いてみんなの注目を集めてから身軽に飛び降りた。拍手と僕が結びついてる状態なら最高の伏線だろう?

 

「やぁ、ちょっと止まってくれる?」

「……! 敵!」

「資料になかった……! 外部の人間か!」

「そんなにガヤガヤしなくていいよ。俺は少しだけみんなとお話したかっただけだから」

 

入中さんに入れてもらって迷宮の中に入る。トガちゃんとトゥワイスさんが今は周りで待機してくれているのだろう。その前に、僕の存在を前だししてあげないとね。

 

「お、スーツの人いるじゃん。いいね、同じくスーツの者同士お話しませんか?」

「……君のそれは喪服だろう。黒ネクタイも喪服の装いだ、私のスーツとは用途が違う」

「ありゃ、すぐバレた」

 

腕をやれやれと出しながら足を肩幅に開く。みんなもまだ突っ込んで来そうにはない。うんうん、存分に警戒してよ。今丁度強敵の初登場だしできる限りカッコよくありたいんだよね。

 

「…………」

「俺の顔になんかついてるか?」

「仮面で何も見えないけど……?」

 

そりゃそうだ! とおでこをペチン! と叩いてみせる。うん、そろそろ出久くんが僕の声とかで気づき始めそうかな? 一応声色は変えているものの、彼ほどの分析家ならバレてもおかしくない。

 

「いや、お話ってのは簡単でさ。ちょっとしたご報告だよ」

「なんだ、やるならさっさとやろーぜ」

「おいおい生き急ぎか? ガングロ野郎」

 

ロックロックに釘を刺してから指をパチンと鳴らす。それに合わせて瓦礫が音を立てて動き、壁が出来上がり、ヒーローたちが分断された。

 

そこで響き渡るように大きい声で叫ぶ。

 

内容は、そう。

 

「俺らは敵連合! 今はヤクザと提携してます! 以後よろしくお願いしま〜す!」

 

不気味な仮面の喪服野郎により、僕ら、敵連合の存在を周知させる。本来ならトガちゃんやトゥワイスさんがみんなの前に姿を現してって感じだったんだけど……それより、僕の強さもある程度示しておきたいしね。

 

「俺の相手はお前か、ガングロ」

「見たところガキじゃねぇか。さっさとお家に帰りやがれ」

「帰っておっぱいでもちゅっちゅっできるならそうしたいぜ。お前のガキみたいになぁ?」

「……!」

 

さてさて、この人の個性は『施錠』とかだったっけ? まぁ、相性いい個性だ。だって触れられなければどうってことないってことでしょ?

 

「お嫁さん美人だったなぁ、お前には似合わないぜガングロ野郎」

「テメェ、あんまり調子に乗るなよ?」

 

怒髪天! って感じの彼が突っ込んでくるのが見えた。かっこよく、上手に、綺麗に倒す。

 

見開きで使ってくれないかな、と思いながら右腕を振るった。感覚としては、「朝のテレビで星座占いが一位かどうか」くらいの軽いもの、一位ならラッキー、違くてもいいか。

 

そんな感覚で振るった拳は、

 

黒い稲妻を伴って、ロックロックの右頬を貫いた。

 

「ヒュ〜♪」

 

いいね。調子が良さそうだ。今日の僕はもしかすると一味違うのかもしれない。僕はプラプラと手を振りながら右斜め上を見てみた。多分、そう、読者が見てるならこの角度がベストでしょ?

 

 

「次はお前だ」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

これ自体は地下迷宮を動かしてる入中くんに向かって言ってるんだけどね。トガちゃんとトゥワイスさんがちゃんと役割を果たしていたらもう散々煽り散らかしたばっかりだろーし。

 

だけど、このセリフを読者のみんなは身震いするような戦慄と共に受け取ってくれるだろう。

 

“見えてる”からね。そっち。

 

僕にとって、万物が曇らせ対象。

 

そして、万物が入れ替える、範囲の対象なんだよ?

 

そんなことをゆったりと思いながら、迷宮が崩れていくのを確認し、ゆっくりと手を叩く。

 

この後はこの後でお仕事があるからね。

 

僕は壊理ちゃんの部屋の玩具の一つと場所を入れ替えて壊理ちゃんの部屋まで移動してから、今後の展開を思い口を歪めた。





この度は見ていただきありがとうございます。お待たせしました。

面白いものを届けにやって来ました。明日の投稿も面白いものをお届けできると思います。皆さん大好きな『曇らせ』それを久しぶりに見せてあげましょう。お楽しみに。

さて、一つ感謝っときますか。
いつも見ていただいている皆さん、お気に入り登録をしてくださっている皆さん、評価をつけてくださっている方々。ありがとうございます。皆様が僕を承認欲求の獣へと育てています。いい加減にして欲しいくらいに育っていってます。そろそろ飼い慣らしたい所存。

次のお話は、少々頑張りましたので、よろしくお願いします。

映画編を入れるかどうかのアンケートをさせてください!

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