個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア! 作:波間こうど
エッッッ
泥花市街戦再臨祭より一週間経過。
平穏な街で起きた悲劇。犯人はヒーローに恨みを持った20名の男女グループで、計画的犯行であり、偽の情報でヒーローを街の外へ誘導し、街を襲撃。突然の災禍に見舞われた泥花市民が結託し、抗戦。
20名は全員死亡したと見られているが、詳細は不明。他にも不明な点は多く捜査は続いている。しかし……
「いや〜、雨降って地固まるとはこの事だね」
「お前ほとんど何もしてなかったろ」
「ハハ、誰がマキア連れてきたと思ってんだ」
「荼毘、寿司食わねぇなら貰うぞ」
「あァ、魚嫌いなんだ。……って、ちょっと待て。魚以外は寄越せ」
「うぅ……トガちゃん、ごめんなァ……トガちゃんが血を分けてくれなかったら今頃トガちゃんは……」
「それやめて下さい。私が生きてるので嫌です」
その事件の真相が20人どころかたった数人の犯行だとは夢にも思わないだろう。街の三分の一を消し飛ばした攻撃を行ったのはたった一人のヴィランであるなど誰も分かり得ないだろう。それもそのはずだ。この情報は全て、操作されたものだからである。
解放軍に用意された一室で敵連合の中核メンバーたる荼毘、Mr.コンプレス、スピナー、トゥワイス、トガが寿司を食べながら話をしていた。その寿司はどれもネタが厚切りで、魚はキラキラと輝き、一口のサイズが計算され尽くされ、わさびは別置きで、誰でも食べられるものかつ、皆の好みに合うようにネタが準備された極上のものになっていた。誰が作ったのかは語るに及ばないだろう。
「時間だ、来い」
「うるせー! まだ寿司食ってるでしょうが!!」
スケプティックがドアを開けて部屋に入る。何やら敵連合を呼びに来たらしい。ごちゃごちゃと一悶着ありつつも、屋敷の隠し扉を通って、地下室へと向かう。ここ数日で少しの口論はあるものの、殺し合いをした敵同士としてはあり得ない友好関係を構築しているようだ。
地下にあったのは大きな空間だった。マキアもすっぽり入り、それでもなお多くの人間を収容できるほどの大きな空間で、大きく反り返った壁のような壇上に車椅子に座るM字ハゲがトレードマークの男が異様な存在感を醸し出している。横に置かれた王座に座る死柄木弔はこの状況下においても動じていなかった。
本人は大きなファーがついたコートで首元がチクチクして嫌そうな顔をしているのだが、まぁ、それすらも絵になっているのだから別に構わないだろう。
段下にはぎっしりと鮨詰めのようになった解放軍の戦力がいる。数にしておよそ八万人。
……原作では十一万人から十万人になった人口の減少が、八万人になっていることから、どれだけ敵連合が多くの存在の命を奪ったのかは語るまでもない。その割合としては荼毘が一万人、トゥワイスが五千人、死柄木が五千人、舞が千人、トガ、コンプレスが五百人、スピナー八百人、残りが乱入したマキアによる殺害であった。
一人を殺せば殺人犯、十人殺せば殺人鬼、千人殺せば英雄、だなんて言葉は、彼らを見れば当てはまらないことがわかる。血に塗れた道を進んだ彼らはその足元に転がる死体の山を礎や、尊い犠牲だなんて思っていない。
そう、彼らは殺人なんてできることならしたくないなんていう善性の人間なのだ。ただ、仕方ないから殺す。目の前に立ったから、邪魔だから、危害を及ぼすから殺す。そこに優しさや、英雄的な感情など持ち合わせていない。
彼らを英雄だというのならきっと神様というやつは人の作り方を間違えている。
「解放軍戦士諸君!! リ・デストロである!! これより、異能解放軍は生まれ変わる!!」
リ・デストロが慣れたように、人々の心を掌握したその演説能力を以て泥花市民、ひいては解放軍戦士たる八万人に声をかける。その後ろでは敵連合軍が「弔くん残ったお手手顔につけてトレードマークにするつもりだね」や「その辺りみみっちいよな」など、自身のボスたる死柄木弔のことを必要以上に恐れたりせず、どこか茶化しながら待機していた。
それもこれもいつもの日常。
人を山のように殺した彼らは、それでも誰もが正気を保ち、いつも通り、毎日を生きていた。おかしな話だ。破綻者ではあるが、破綻し切っていないのだから。
「敵連合は我らの障害になる……あの日まで私はそう信じていた!! しかし! 私の目は狭窄であった! 教えに縛られていたのだ!! 私はあそこで真の解放を見た!! これは降伏ではない!! この死柄木弔こそが真の解放者であると畏敬の念に打たれたものであり!! 必然の譲渡である!!」
声高らかに演説するリ・デストロの言葉は解放戦士の胸に響く。
「死柄木弔を最高指導者とし、再臨を果たした我らは新たな名を冠する!! 考案は私、リ・デストロと連合スピナー!! さぁ、その名を! 死柄木弔!!」
人の声が、消える。それは、どうしようもなく蓄えられ、彼が持って生まれてしまったカリスマ故に。
「超常解放戦線」
死柄木が手にしたメモを読み上げる。どこか間抜けな様子すら、信者と化した戦士には輝いて見えた。
「又、壇上の9名を行動隊長に任命し、傾向別に部隊編成を行う」
荼毘、トガヒミコ、スピナー、Mr.コンプレス、トゥワイス、リ・デストロ、スケプティック、トランペット、外典。壇上の9名が命を受ける叙任式。そこまでは原作と変わらない。
そして、同じだったのはそこまでだった。死柄木弔がニヤリと不敵に笑う。
「そして、最高指導者は俺、死柄木弔。また、総指揮作戦統括参謀に俺の右腕、舞を置く」
壇上に、また1人の人影が立った。どこから現れたのかわからない、その人物は一つ拍手の後、いきなり現れて──
それは、天女のようだった。
白い絹のような髪、目鼻立ちは整い、紅い瞳が下にいる人間を見下しているように細められる。息を呑んでしまうほどの美貌。男も女も関係なく、体の奥底から震えが襲う。それが、美の形を見たが故の歓喜から来るものなのか、底知れぬ闇を抱えた瞳を見た故の恐怖なのかは誰にもわからなかった。
「まァ、名前なんてこれと同じだ。好きにやろう。……おい、No.2。気の利いたことでも言えよ」
「……弔くんすぐそうやって無茶振りする〜」
その凍える視線に見合わない間の抜けた声がした。そして息を吸い込むとニコリと微笑む。
「やぁ。ここで出逢うことができたことに喜びを感じてるよ。はじめまして。元敵連合No.2。この度、超常解放戦線でもNo.2として総指揮作戦総括参謀に任命された舞だよ」
炎のように燃え上がり内側から熱くなるようなリ・デストロの言葉や、氷のように、背筋が冷えてこの男について行こうと思わせる死柄木弔の言葉とは違う。横にいてくれるような、まるで旧知の友人であるかのような安心感がある声だった。敬語でもなく、まさに優等生と言わんばかりの言葉がかけられる。
「ボスの命令だから少しばかり話させて貰おうと思う。君たちからすればなんだあのガキって思うかもだけど聞いてくれたら嬉しいな」
声を張り上げてるわけじゃない。なのに、不自然なほどによく声が通った。胸に、響く。
また、息を吸う音。
「個性だろうが異能だろうが構わないよ。俺たち虐げられてきた弱者は社会に抑圧され、雁字搦めにされてきた。息苦しかったろう。生きにくい世の中だったろう」
「さて、虐げられてきた諸君。狼煙をあげよう。我らがボスはこの歪な世界を一度平定し、地平線を作ると約束してくれた」
「意味がわかるか? この世界を壊すんだよ。一度、全部無かったことにして、リセットするんだ」
「弱者が生きやすい世界を作るんだ。本来ならば強者である俺たちが、生き残る、本来の世界。弱者共存? お涙頂戴はごめんだね。弱肉強食、それが世界の理だ、そうだろう?」
言葉は荒唐無稽かもしれない。それでも、そう成せる力があって、それを当然のように手にするだけの知略があるんだなと、八万人に、思わせるだけの力があった。老若男女を虜にする、心を蝕む毒のような甘い蜜。
「さっき弔くんが言ってたろう? 好きにやろう。全てが終わって、地平線が作れたらそこからはもう、自由さ。好きなように生きよう。そのために……」
一息おく。段下にいる誰かの喉が鳴った。
「仮初の平和を、偽善の使者を根絶やしにしよう。力を貸してよ。我らが同志よ」
手を伸ばした。ゆっくりと、ものでも掴むように握りしめる。それは、ありふれたポーズだ。それでも、その手のひらに収まるサイズに地球を幻視してしまった。そこに、地平線を、想像してしまった。
寸分違わず同じヴィジョンを、八万人に共有させた少女は笑う。
「手に入れるために、壊そーぜ。一度、全てを」
ドッ! と八万人が歓声を上げた。どこからか「舞! 舞!」とコールすら聞こえてくる。それに対応するようにひらひらと笑顔で手を振る舞の姿はまさにファンに対応するアイドルのようだ。
「こわ、ここまでしろとは言ってない」
「あ〜あ。舞ちゃんが見つかっちゃった」
「舞はいつもあぁなのですか?」
「人の心の掌握に関しては……いや、それ以外もだけど、化け物だよ。心奪われないようにゆめゆめ気をつけることだな」
「流石は死柄木弔の奥方!」
「あ? おいハゲ。それ誰から聞いた?」
「ゆ、舞ちゃんは私のです!!」
舞の後ろでワイワイと話しながら席を立つ超常解放戦線の幹部たちの声を聞きながら、舞は「弔くんは後でシメる」と心に誓っていた。
火は、燃ゆる。ヒーローがのさばる地上の遥か下に根差した悪は、その萌芽の瞬間を待ち侘びている。
深い、深い、深い水面の奥底で。泡すら立てず、息を潜めて────
× × ×
【ホークスside】
やられた。
ホークスは熱気に包まれた集会の中で一人、冷や汗を流した。
なんだこれは。どうなっている。平静を装った表情の下で問答する。周りの人間はどう少なく見積もっても五万人近くの人数がいる。下手をすれば十万人? いくらなんでも多過ぎる。物量だけでもこの数が統制が取れて襲いかかってくるなんて考えるだけでもゾッとする。
ただでさえインターネット会社の役員、サポート会社、ハイエンド脳無。役満もいいところなのにこの数が世に放たれたらと思うと……
(明らかに遅かった……!!)
歯を噛み締める。目の前の現状は最悪といっていい。
このヒーロー溢れる超人社会で、死柄木は、舞は、ヒーローたちと同等かそれ以上の力を持ってしまった。
演説の中で猛る周りの超常解放戦線構成員を見てもわかる。人々の心をここまで掴む仕草がどうしてもあのヒーローチャートのユズに重なる。
『次は、君たちだ!』
あの言葉が捕まえるぞ、という意味でなく、次は君たちの時代だ、という言葉にすら聞こえてくる。圧倒的な成長。目の前で困ったように笑いながら手を振る彼女が、ユズのクローンとして限りなく近く、そして対極にある性質を持っていることがわかってしまった。
(……これ以上相手の勢力を拡大させるわけにはいかない。ここからは、後手に回るとその瞬間に日本が大変なことになると思え……!)
心を新たにする。ヘラヘラとした顔をした自分の奥底で、冷静になった自分が考える。自分はどうすることが最善なのか。最速のヒーローとして、スパイとして、ヒーローのNo.2として。
「なんだ、嬉しそうじゃないか、ホークス」
「!」
いきなり肩を組まれる。横にいたのはいつの間にか降りてきていた舞だった。ヘラヘラとした俺の横で彼女は俺の方を見つめる。
「荼毘くんが紹介したいからこっちに来いって言ってたぜ?」
「マジで? 紹介してくれるの嬉しいわ」
「もちろん。すぐに幹部の座なんかはあげらんないけど……それでもま、すぐに登ってこれるでしょ?」
「嫌だな。お前の基の方が今は最速だから皮肉に聞こえるわ」
「……良い面の皮だ」
ボソリと彼女が何やら口にしたが、その言葉は聞こえなかった。ヘラヘラとした顔が見える。可愛らしい八重歯が煌めいた。
これ以上後がないヒーローの首筋に突き立てるみたいに舞が笑った。
深く深く、引き摺り込まれるような魅力的な笑顔で。
× × ×
「さて」
外を見ながら一人、ボケッと空を眺めてみる。
空は青く、澄み渡っている。このアジトもお気に入りだ。広いし、綺麗だし。敵連合時代のズタボロプレハブみてぇな場所に比べたら大抵の場所がいい場所なんだけどね。
「敵連合も超常解放戦線になったし。そろそろ本格的に近づいてきたなぁ〜。なんかこの辺りまでで半分って感じするよね」
吹き抜けの階段を登ってみると雲が少し近づいた。アジトにはヒーローが常駐しているおかげでヒーローネットワークから情報が回ってくるし、正規のヒーローが入ってこないようにしてるし、さらに情報系はスケプティックがなんやかんやしてくれて僕の情報は出ていかないようになってるし、外に出てても問題ないんだよね。ヒーロー科に入ってから……というか寮に入ってから初めて一人で歩いてる気がする。
「……さて、これからどーしようか……最後の思い出作りとして敵連合のみんなと関わってあげるかなぁ〜。この後ろくに時間ないだろうし」
どうせ、もうしばらくは一緒に居るわけだけどね。そろそろメンケアしてあげないと依存状態にしておいて距離取るとか薬物の売人みたいなことしたら流石に寝覚めが悪い。いや、曇った顔してくれるなら大歓迎なんだけどね♡
「あ、トゥワイスさん!」
「お! 舞妓! 元気してるか! 俺は吐きそうだぜ!!」
「それ逆ですらなくない?」
建物の屋上に行くとトゥワイスさんがタバコを吹かしていた。タバコを吸うときは包んでいない。だから常に二つ以上の人格がこんにちわしていた。しかし、今はそれすらも落ち着いて対処できるようになっているみたいだ。それもこれも全部今回の事件で乗り越えたからだけど。敵として成長しすぎだろ。普通にヴィランとして嫌すぎる。
「煙草タイム?」
「あぁ! お前も吸うか? は!? ガキに吸わせるかよ!!」
「む、僕もうガキじゃないんだけど……?」
ムッとしたのでポケットから100円玉を取り出して手を叩く。トゥワイスさんが持っていたタバコの箱から一本タバコを抜き取って入れ替えると代金としてとっといてよ、とだけ口にしてタバコを口に咥える。すると慌てた様子のトゥワイスさんがわちゃわちゃと手を振った。
「お前! こんなところ死柄木に見られたら俺死ぬだろ! 殺されても良いのか!?」
「馬鹿だなぁ、この程度で殺さないって……というか僕たちヴィランだよ。ルールなんて無視で結構って人種じゃん」
口に咥えたタバコを動かしていると、それでもなお動揺した様子でトゥワイスさんがハラハラとこちらに目を向けた。なんだろう、まだなんか言いたいことがあるのだろうか?
「だってお前! お腹の子に障ったらどうすんだ……!!」
「お? 戦争か? いいぜ? 受けてたってやろうか……???」
ポキポキと指を鳴らしてみるとトゥワイスさんが少し笑いながら悪い悪いとライターを取り出してくれる。……というか今どこから出した? ケツから出さなかった? 気のせいかな???
「というかオイル勿体ないよ。それでいい」
彼と顔を近づけてタバコの先端を燃えた先につける。シガーキスってやつだね。息を吸うと煙が肺を満たした。なんだろ、この感覚、味わったことあるようなないような……気持ち悪い感じするな……息を吐いてみると爽やかな香りが口を満たした。その後にどっしりとした重い……これがタールってやつだろうか? 咽せなかっただけ上出来かな?
「…………どうだ?」
「まずい。大人はなんでこんなの好んで吸いたがるんだ」
「アハハ!! そんなの俺がわかるかよ! うめぇからだよ!! お母さんクッキー焼いて!!」
トチ狂った言葉を話す彼に笑顔を向けてあげながらタバコを指で挟む。そして息を吐きながらトントンと指で灰を落とす。
「……トゥワイスさん」
「どうかしたか! 便所か!」
「いや違うけど……」
チラチラと周りを見ながら僕の言葉に反応してくれるトゥワイスさんに向けてクスリと笑ってみせる。なんだろう。優しさ、みたいなものなのかもしれないなぁ。
「いつもありがとね」
「……? こっちのセリフじゃなくてか? お前が謝れ!」
「トゥワイスさんがいつもみんなの雰囲気を明るくしてくれてるから助かってる部分あるからさ。そのことについて感謝しなくちゃ、失礼ってもんでしょ?」
僕は部下の活躍についても目が配れる良い上司目指してんの。と言えば、煙草の煙を吐き出す。まずいがまぁ、吸えないこともない。部下とのコミュニケーションに飲みとか煙草をメインにするやつはカスだと思ってるんだけど、使いたくなる気持ちもわからなくもないね。
「いつもありがとう。これからも頼りにしてるよ。“仁くん”」
「…………!」
ご馳走様とだけいって吸い殻を捨てる。口をパクパクと動かすトゥワイスさんに手を振って屋上から退散した。僕が屋上から出ていくその瞬間まで、彼の口から言葉らしい言葉が僕に届くことはなかった。
× × ×
階段を降りると壁にもたれかかった荼毘くんが現れた。さっきまでトゥワイスさんと一緒にいたし、次も誰かと交流でも深めようかと思ったんだけどなぁ……その前にヤニ臭消すためにお風呂行こうと思ったのに。
「なんだ、またタラしてたのか?」
「……見てたならそう言ってよ」
「はっ、どうせ気づいてたんだろ?」
「気づいてるわけないだろ? スケプティックさん辺りに映像見せてもらったの?」
「なんだ、気づいてなかったのか」
「なんでも気づくわけないじゃん。エスパーか僕は」
「似たようなもんだろーが。なんでも知ってる癖に」
「なんでもは知らないよ、知ってることだけ」
荼毘くんは何やら納得いってなさそうな顔で僕を見つめると、まぁ良いと言って壁から背中を離した。そのまま僕の少し後ろに付くように階段をついてくる。なんだ、なんか用なのだろうか……?
……いや、これがわからないほど僕も馬鹿じゃないんだけどね。
「何? 褒められたかった?」
「…………なんも言ってないだろ」
「馬鹿にしないでよね。僕だって観察眼はある方だぜ?」
そう言いながら歩く。向かう先はまぁ、自室なんだけど。歩きながら顔を後ろに向ける。バツの悪そうな荼毘くんと目が合った。
「先の戦闘での活躍。ご苦労様。これからも期待してる。弔くんと僕を除いたら君が一番強いんだ。頼りにしてるよ、──くん」
彼の名前を呼ぶ。多分漫画版だとここ黒塗りなんだろうなぁ……ま、別にさしたる弊害があるわけじゃないし、僕は名前がどうだろうと大して思うところはないから良いんだけどね。
「あ、任務与えて良い?」
「あ?」
自分の部屋のドアノブに手をかけながら後ろを見て口を開く。すると怪訝そうな顔をした荼毘くんが間の抜けた声を出した。そんな声出さなくてもいいじゃん。
「今から扉開けたら僕がお風呂から出るまでちょっとの間悪戯ネコ連れて外出てもらえる? あと、覗きの護衛」
「お前相手に覗きって怖いもの知らずすぎねぇか……?」
彼の言葉が言い終わるよりも前にドアを開ける。するとタオル一枚を纏ったトガちゃんが飛び出してきた。それをするりと避けて「じゃ、任せたよ」とだけ口にしてドアを閉める。まぁ、ヴィラン相手にドア一枚なんてなんの意味もなさないので、とりあえず閉めただけだけど。
『むぅ、ゆずくんって意地悪だと思わない?』
『……お前、ずっと中でなにしてたんだ』
そんな声をドア越しに聞きながら服を脱いだ。シャワールームに入ってノブを捻る。まだ温まってない冷水を浴びながら髪をかきあげる。
「さ〜て、あっちはどうなってるかな?」
トゥワイスさんに増やされて、未だに雄英高校に残されている“僕”と、みんなのことを考えながら楽しげに鼻歌を歌った。
鼻歌が反響して、浴室にメロディが溢れる。
束の間の休息はまるで砂時計のように時間を刻んでいった。
刻一刻と。
ッッッッッッロ!!!!!!!!!!!! くないですか!?!?
性癖壊れた皆さんこんにちは。煙草は大人になってからにしましょうね。
百害あって一利もないので。
さて、これからも更新頑張っていくので、応援よろしくお願いします!!
映画編を入れるかどうかのアンケートをさせてください!
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入れたのが見たい!
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本編だけ追いかけるのでOK!
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アンケート結果が多い方で!