個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア!   作:波間こうど

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お待たせ。


★最後の日常。

 

 

病院の地下、ドクターが個人的に持っている実験室に足を運んだ。足を運んだと言っても僕と弔くんをドクターがジョンちゃんで呼び出しただけなんだけどね。この感覚気持ち悪くてあんまり好きじゃないんだよね。

 

内容なんて分かりきってる。というか、当たり前のことだ。原作通りと言ってもいい。

 

「弔くんは貰えるものを貰うためにしばらく会えなくなるってことね」

「まぁ、そうなるな」

「ほへ〜……頑張ってね」

「適当だな?」

「心配してないし……」

 

破壊の権化と成り果てた弔くんが半裸で立っていた。そこに並んで立つ。……これから、ラスボス先生を移植するのだろう。四ヶ月の月日をかけて、体にラスボス先生を馴染ませて、文字通り一心同体になる。その姿を想像してどうしようもない感覚に襲われた。

 

原作の末路を知ってなお、心を震わせる不安。

 

……まぁ、それもこれも全部僕がめちゃくちゃにするつもりなんだけどね。というか原作に沿って進んでくれるでしょ。それなら何度も確認してきたしね。

 

「死柄木、お前は破壊の権化と成り果てた。これ以上、何を望む?」

「そりゃ、くれるって言うならいただくよ」

 

弔くんが自分の家族の手を見つめた。握ったそれが誰の手なのか、僕には皆目見当がつかない。子どもの手じゃないし、華ちゃんではないんだろうけど。

 

「確かに小細工は必要じゃなくなった。だけどこの力は無敵じゃない。ハゲ社長は生きてるし……ほら見ろよ、腕がズタボロだ。毎回譲葉に直してもらうつもりか? 代えを用意するのも面倒だろう」

 

手術用の服に着替えたドクターに向かって言葉を並べた弔くんがチラリと僕の方を見た。壁にもたれかかったまま首肯する。

 

「俺はもうヒーローを侮らない。譲葉……あいつらの夢を叶えるために、俺は強くなるよ。オールマイトの残滓をすり潰すんだ」

「相手の嫌がることに全力か! 師が師なら弟子も弟子だな!」

 

その無邪気な少年のような瞳からは想像できないようなオーラ。このオーラだけで子どもは泣くだろう、ヒーローは恐れ慄くだろう。そう思わせるだけの実態を伴ったオーラだった。そんなオーラを受けてドクターは笑う。しかし、僕はどうしても笑顔になれなかった。

 

そのオーラの奥に見える悲しみがわかっているからだろうか。

 

「……弔くん」

「なんだ?」

 

僕の声に反応した彼がこちらを見てくれる。それに対して瞳を合わせた。彼の瞳に曇りなんてない。……それは悲しいほどに。

 

わかっている。エゴだ。

 

彼の曇った顔が見たいのはまぁ、本心だけど! それを差し引いても、彼にこの先に進んで欲しくないって気持ちがある。……それももちろん、そうはいかないんだけど。

 

メインルートなんてどこかで外れると思ってたけど、そうもいかなかった。だから、この先が訪れる。

 

あの美しい『崩壊』は彼のものだ。お前のものじゃないだろう。そう、未来を睨みつけた。

 

彼を救うのは僕だ。

 

鏡のような、彼を救うのは────

 

「強くなって帰ってきてよね。それまで、ボスは任せて」

「あぁ、頼むぜ。総指揮作戦総括参謀」

「それ、16とかそこらの子どもが名乗るには仰々しすぎる肩書きじゃない?」

「いいじゃないか。そもそも、お前みたいな16がいるか」

「実は弔くんより年下なんだよね〜、ところでどう? 20歳って身体痛かったりする? “老い”感じてますか?」

「よし、全部終わったらお前から相手してやる」

「こわ」

 

ヘラヘラと笑い合う。そして最後に口を開いた。

 

「おやすみ、弔くん」

「あぁ、後でな、譲葉」

 

最後の説明を聞く前に、僕は実験室を後にした。それ以上話す必要なんてなかった。だって、それ以上そこにいたら止めたくなってしまっただろうから。

 

「……ゆっくり寝ててね、弔くん」

 

その間に、彼の道筋は確保する。まだまだ前途多難な行く末を、僕はしっかりと見据えている。僕の満足する道を、僕だけが楽しい道を用意して、その中に彼が少しでも過ごしやすいと思えるような道を用意すること、それが僕の仕事だから。

 

 

  × × ×

 

 

「…………流石に僕ってば仕事できすぎだろ。怖いんだけど?」

 

寮に転移してきた僕は自身の机の上に置かれた「僕へ」という手紙を読んで唖然としていた。中身は僕がいなかった何日間でどんなことがあったのかということ。というか、その際ついでに調べたのであろうA組のみんなの会話だったり、情報なんかもまとめてある。ここ数日での完全記録帳だった。頭おかしいんか?

 

「なんで自分のことが分身だってわかりながらこんなことできるんだ……仁くんは相当苦労してたのに。人格破綻してんのか?」

 

君は分身で〜す。曇らせ作ってくるからその間留守番してね! しておいても仕事してくれるとか物分かりがよすぎだろ。まぁ、この手紙読んでる感じ分身くんも分身くんでそれなりに曇らせ補充してたみたいだけど。……それ事細かに書いてあるところ見るに相当摂取してるな? 暇だったのかな……?

 

「……ま、人格破綻なんて今更か」

 

手紙をライターで燃やして燃え滓をゴミ箱に入れてからグッと身体を動かす。インタビューの授業は分身くんが対応してくれたみたいでなんか上手い具合に曇らせて終わらせたみたいだし。僕のこれからの仕事は決まっていた。

 

「楽しみだなぁ、これからが」

 

ドアを開けて部屋を出る。すると同じタイミングで部屋を出た部屋着の出久くんとばったり遭遇した。

 

「あ! ゆずくん!」

「出久くん。早起きだね?」

「これから走りに行くんだ! ゆずくんもどう?」

「んにゃあ〜……ごめん、僕今日朝ごはん当番で」

「そうだった……! 今日のご飯は!?」

「ん〜……冷蔵庫に何が残ってたっけ? まぁ、適当に作るよ」

 

楽しみにしててね、と言いながら出久くんを送り出す。日課の体力作りなんて偉いことこの上ないよね。僕なんて最近はトレーニングサボってるのに。まぁ、それでも雄英生の半分以上よりはしてるだろうけど。

 

身体を伸ばしながらキッチンに降りる。適当な有り合わせでご飯を作りながら起きてリビングたる共有スペースまで降りてきたみんなと顔を合わせて挨拶をする。いつもの光景、いつもの風景。インターンに行ってる子もいれば、出久くんたちのように少しの間帰ってきてる子もいる。そんな、日常。

 

──もうすぐ、儚くも消え失せる、温かな日常。

 

「みんなご飯美味しい?」

「うん! 舞妓のごはんが1番!!」

「おかわり!!」

「おい爆豪米山盛り盛るな!!」

「うるせぇ! 早いもん勝ちだクソが!!」

「インターンしてるとすごくお腹空くよね……」

「ユズ、もうだし巻き卵ない?」

「あはは、ないよ」

 

みんなの笑顔が、この温かな日々が、その全てが壊れるのだ。そう思うと心苦しい。心苦しくて仕方ないよ。

 

「ゆずちゃんのご飯は天下一品だね!」

『こんなゴミを作るな』

「舞妓と同じクラスでよかったわ、ほんと」

『お前みたいなのがいるからダメなんだ』

「あ! 俺の冷奴返せ!!」

『お前の物なんか存在しないから』

 

ずっと、

 

『死んでしまえばいいのに』

 

ずっと、

 

『死ねよ、×××』

 

ずっと、ずっと、

 

ずっと、ずっと、ずっと、

 

ずっと、ずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっとずっと。

 

ここ最近、ずっと頭に流れ出す記憶がある。

 

頭の内側を埋め尽くす、満たす、そんな絶望の記憶。ありし日の狂ってしまうほどの絶望。

 

『お腹空いたよ、ねぇ、××ちゃん』

 

「みんなたくさん食べてね!」

 

ぐちゃぐちゃの吐瀉物、血潮、身体中の骨が軋む感覚、向けられる冷たい目、破られた手紙、果たされない約束、崩れ去る期待。

 

その全てを、思い出した。

 

その全てを、憶えている。

 

だから、本当のことを言うと、心苦しくなんてないんだ。

 

だって、だってこれは──

 

「ほら、今日は授業だよ! 頑張ろ!」

 

これは僕が一番幸せになるための物語だからね。

 

 

  × × ×

 

 

【相澤side】

 

「もっとスピード出せないのか」

「うるせーな、落ち着けよ」

 

ミラーに映った顔が険しい。俺もマイクも、もう冬だっていうのに顔に汗を浮かべながら眉間にシワを寄せながら車に揺られていた。

 

「USJで戦った、そんな素ぶり微塵も……」

「趣味が悪いにも程がある」

 

苛立ちが体を蝕むのがわかった。こんな苛立ちはウチの問題児が誘拐されたとき以来だ。ハラワタが煮えくり返って吐きそうだ。

 

『黒霧は脳無で、その素体に君たちの学友、白雲朧が使われている可能性がある』

 

その報告を聞いた頃には、俺も山田も一も二もなく飛び出していた。この後のヒーロー基礎学はオールマイトさんに任せて、車でタルタロスへと向かう。身体中が熱を持っているみたいに熱く、冷静でいられない。

 

山田にできる限り車を急がせる。

 

タルタロスに着くと、車の鍵を閉めることもしないで塚内警部に案内されるままにタルタロスに入った。そこで詳細な説明を聞く。

 

しかし、聞いた上でなお、ハラワタが燃える感覚も、血が沸騰するような感覚も、変わらず残り続けていた。むしろボルテージを上げるようだ、身体が焼けるように熱い。

 

「こいつが口を割れば大きな進展に繋がる。プレゼント・マイク、イレイザーヘッド。白雲朧の執着を呼び覚ましてほしい」

 

拘束された黒霧の対面に座る。目の前の相手は眠っているのか首を前に倒して項垂れている。

 

息を吐く。少しだけ吸ってから目を見開いた。

 

個性『抹消』。

 

個性を使って視た相手の個性を消すことができる個性。

 

『その個性ずっこくないですか! 瞬きするまでは抹消しっぱなしができるとかやばい個性じゃないですか! 僕『サーチ』も『不義遊戯』も使えなくなったらただの少年ですよ!』

『お前以外もそうだわボケが』

『いや、僕は少年だけどお前は違うだろ何? ウニとかになるの? トゲトゲしやがって。お母さん泣くぞ。あ、思春期ですかぁ〜?』

『ぶっ殺してやるわ死ねボケェッ!!』

『アハハ! 相澤先生ー! 個性消して!』

『何やってんだお前ら』

 

白雲。お前に話したいことが死ぬほどあるんだ。

 

『先生! 見て見て! 捨て猫!』

『…………………………返してきなさい』

『顔超絶険しいですよ???』

 

山田と先生やっててさ。墓前で話したけど、お前聞けてなかったんだろ? なら、またいくらでも話してやるから。聞いてくれよ。

 

『相澤先生!』

 

お前みたいな────

 

お前みたいな生徒が、いるんだ。

 

「おや? 雄英襲撃以来ですかね……珍しい客だ」

 

首を起こした黒霧が口を開いた。あまりにも普段通りと言うように、その口を動かした。その口調は全く白雲に似ていない。丁寧な口調はどこか取ってつけたような不気味さがあった。

 

「死柄木弔は……舞は元気ですか? 捕まったりしてませんか?」

「知っらねぇよ!!」

「そう……残念です」

 

黒霧の言葉にマイクが叫ぶように返答した。その顔には苛立ちが滲んでいる。

 

白雲朧は──

 

「俺が、拾えないとやり過ごした子猫を、迷わず拾ってくるようなやつだった」

「話が見えませんね、何をされにここに?」

「中途半端で二の足を踏んでばかりだったそんな俺を、いつも引っ張ってくれた」

「ここを教会か何かと勘違いなされている」

「お前はいつも明るくて、前だけ見てた……後先なんて考えず……! 死んじまったら、全部終わりだってのに……!」

 

声が震える。自分の声がどうしようもなく揺れているのがわかる。目の前の相手を重ねる。

 

「俺、生徒に厳しく当たってきた……!」

「…………」

「今年、お前みたいな生徒が入ってきたんだ。前ばっかり見て、いつだって明るくて、クラスのみんなを引っ張っていく、そんなやつなんだ」

「相澤……」

「お前みたいに後先考えないで行動するやつなんだ……! アイツを見てるとお前を重ねるよ、白雲……! アイツには長く生きてほしいから、ヒーローとして、お前みたいにみんなを引っ張っていってほしいから……!!」

 

涙は、もう流し尽くしたと思っていた。

 

「このままじゃ生徒に追い越されちまう……! お前がまだそこにいるなら! なろうぜ! 三人で! ヒーローに!!」

 

モヤが形を少し崩して、晴れた。

 

そこに、忘れもしない。白雲の顔が映った。

 

「し、ショショ……」

「頑張れ……! 白雲!」

「病……院……」

「おい……!」

 

一瞬、黒霧のモヤが暴走するように荒れて、元の形に収まるとカクンと首が折れた。

 

「……目、大丈夫か」

「……乾いてしょうがねぇよ」

 

上を見上げた。電球が眩く光る。

 

その輝きに、一人の生徒の姿が重なった。

 

 

  × × ×

 

 

「出久くんたちがいないとどうしても静かだねぇ」

「まぁ、爆豪がいないとね」

 

椅子に座りながらそう言うと横にいた耳郎ちゃんが返事をした。まぁ、どちらかといえばうるさいのはかっちゃんの方ではあるか。休み時間につき一回は「死ねぇ!」が飛ぶからね。普通に怖すぎるだろ。本当にヒーロー科か?

 

出久くんとかっちゃん、轟くんは何やらインターン関係でエンデヴァーの所に行っているらしい。らしい、というのも僕はインターンに参加していないからだ。まぁ、一応参加しようと思えば参加できたんだけど辞退したんだよね。ちょっと本当に今更だけど派手に暴れすぎたからさ、バランスを取ろうかと思って……

 

まぁ、あとは漫画的に最近出番少ないな? って思われたら後での裏切りに繋がって伏線になるかなって思った、っていうのもある。普通に忙しいって理由もあるんだけどね。この前まで泥花してたんだぞ。普通に結構な綱渡りしてるんだからね? 僕。スケジュール的にはめちゃくちゃタイトなんだから。

 

「インターンなぁ、僕も行きたいところだったんだけどね〜」

「検診じゃ仕方ないんじゃない?」

「僕もそう思う」

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

耳郎ちゃんの言葉を聞くように体を動かして僕はそう答えた。

 

インターンをサボる口実は身体検診ってことにしたので問題ない。こういうときに足がないと便利だよね。まぁ、不便なことも多いけど最近は慣れてきたんだよなぁ。階段登るのとかめっちゃ大変だったんだよね。片足の重さバグってるし……

 

インターンに行っていないメンツと休み時間を過ごしていると教室の前のドアがガラリと開いた。髪の毛がいつも以上にボサボサに見える相澤先生がヌッと顔を出す。

 

その顔エリちゃんが夜中見たら泣くと思う。いや、あの子結構強い子だし「こんばんは」くらい言いそうだな。流石は殺され慣れてるだけある。

 

「舞妓、少しこい」

「味付けがですか?」

「は? なんの話だ」

 

「少し来い」を「少し濃い」って聞き間違えるお茶目なミスをして、僕は相澤先生に呼び出される。何々? と近づいてみると、そのまま踵を返した相澤先生が離れていく。どうやら職員室に行くらしい。

 

「あ、ちょっと行ってくるね?」

「うん、いってらっしゃい」

 

耳郎ちゃんたちに手を振ってから相澤先生についていく。何やらその背中には重苦しい空気が見て取れた。なんだろ、何かしたっけ僕。心当たりあるか……? 最近したこと……えぇ? なんだろ、物間くんと少し小競り合いしたことしか覚えてねぇ〜! いい顔してくれるよね〜。まぁ、彼の場合はウザさがあってどうしてもいじめすぎちゃうんだけど。……その件か? とうとう親御さん呼ばれたとか? なくはないな……

 

「何のご用ですか?」

「着いてから話す」

職員室をスルーして辿り着いたのは校長室だった。はて? と首を傾げているとその扉が開かれる。相澤先生に続いて頭を下げてから僕も入っていくとそこには校長先生と、目良さんがいた。

 

「どういう組み合わせですか?」

「まぁ、積もる話もあるのさ!」

 

答えになっていないような答えを返しながら校長先生が笑った。いや、思ったより事態は深刻そうだな? 笑ってるように見えてちゃんと笑えてないし。

 

「舞妓くん、いや、ヒーローユズ。君にお願いがあります」

「?」

 

首を傾げてみる、するとその目良さんの言葉に追撃するように校長先生が手を上げた。

 

「君にヒーローミッションの依頼が来てるのさ」

「ヒーローミッション?」

 

ヒーローミッション。確か雄英の授業でやったな……なんだっけ? あ〜……あ、そうそう。

 

「特別な任務として、極秘のメンバーで行われるヒーロー活動。その任務に適性のある者を集めて、高難易度のミッションに当たらせること……でしたっけ?」

「話が早くて助かるのさ!」

 

ふむ、こんな展開原作にはなかったな……? どういうことだろ? この時期に極秘ミッションなんてしてる暇あるのか……? もうそろそろ相澤先生が黒霧さん泣きながら詰めるところでしょ。あの顔見たいんだけど流石に無理だよね〜。タルタロスに侵入はまぁ、しようと思えばできるけど。それしたら再走確定しちゃう。再走ってそもそもあるのか? この世界。

 

「メンバーはエンデヴァーを含めたトップ層のヒーローたち、君はその一員として任務に参加して欲しい。任務内容は死柄木弔の捕縛だ」

「死柄木!?」

 

目良さんの言葉に驚いた顔をしてみせるが実際のところは少し納得した。これ蛇腔病院襲撃作戦か。ふむ、なるほど。その弔くんの捕獲につけって話ね。相澤先生が詰める作業は終わっていたらしい。なんか肌感だと原作より早い気がするんだけど……まぁ、そういうこともあるか。

 

「僕がですか? 僕まだ高校一年生なんですけど」

「だが、No.8ヒーローでもある」

 

その言葉に口を閉じてみせる。できるだけ反対の意思を見せるようにしながら動揺したように瞳を動かした。

 

「その作戦がどんなものかわかりませんが、僕みたいな人間が行くと足手纏いでは? No.8だって獲ったのは実力じゃない、運ですよ?」

「そうだな。でも、今回に関して言えばお前の個性が役に立つ」

 

相澤先生が指を両手で一本ずつ、計二本の指立てた。それを入れ替えるようにクイッと動かす。

 

「君の個性、『不義遊戯』。ものの場所を入れ替える個性を使えば、病院の中の患者さんを避難させながら、ヒーローたちを送り込むことができるのさ!」

「お前はさらに『サーチ』もある。その二つが合わされば怪我人ゼロだって難しくない」

「…………」

「頼む」

 

ふむ。考えてみよう。僕がその作戦に参加するデメリットは?

 

まぁ、まずまだ時期じゃないから、出久くんたちにバレたくない。それでいて、博士と弔くんの邪魔をしまくるってのも少し気が引ける。正直なところ僕が参加していいならあんなの即座に解放できちゃうし。超常解放戦線どころか速攻解放宣言しちゃうまである。そうならないように慎重に動かないといけない。そこに神経すり減らすのが確定してるのなかなか面倒だな?

 

じゃあ、逆にメリットは?

 

…………なくないか?

 

いや、そんなわけない。考えろ、僕のIQは53万(自称)もあるんだ。ここで脳内CPUを弾けば簡単に答えが出る。

 

考えろ。どうすればこの状況をうまく利用して、曇らせられる? そして、メインプランに復帰できる?

 

頭を悩ませる。うーんと、考える動作をしながら首を傾げているとピーン! と天啓のように脳に電流が走った。

 

……あれ?

 

メインプランからズレることを考えても、もしかしたら大幅なスキップができる可能性がある?

 

そうと考えたら口が動いていた。そのままペラペラと口を動かす。

 

「……了解です。僕がその役割を受けます」

 

先生や目良さんの顔が少し明るくなった。それに一言、言葉を付け加えてあげる。このままだとなんで悩んでたんだ? とか聞かれるかもだしね。いつもの動きと整合性が取れてないと詰められると面倒だし。ボケのためのシンキングタイムだと思ってくれるでしょ。

 

「ところでそれ、公欠になりますか?」

「気にするところはそこじゃないだろ」

 

僕はあざとめの笑顔を浮かべながらそう言った。

 

 





お待たせしました。みなさんお久しぶりです。遅いんじゃって思いますか? 僕もそう思います。ごめんなさい、波間です。

さて、これからしばらくは覚悟をガン決めて、連日投稿します。僕はね、頑張ると決めたら頑張るんです。無理矢理にでも時間を作ると決めたら作るんですよ。だから皆さんに最高をお見せしますね。

みなさんの感想、全部励みになっています。みなさんの応援が、感想が、評価の一つ一つが本当に、本当に嬉しいです!! ありがとうございます!!
だから、これからもその評価に似合うような作品を書きます。これからも波間こうどと、並びに挿絵担当のんこにゃさんのこと、譲葉のこと、よろしくお願いします。

高評価待ってます(ボソッ)

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