個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア!   作:波間こうど

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メリクリ。

挿絵閲覧注意ね! グロなので!


★勝ち気な兎と舞い散る血痕。

 

 

年も明けて、みんなでお鍋を食べたすぐ後のことだった。外の寒さが体を刺すみたいで、肌寒いとか、そういう言葉は似合わない。ほんと、寒すぎて頭が悪いんじゃないか? って感じてしまうような、そんな寒さが常に肌に張り付いている冬の日。マジで頭悪すぎるだろ、死ぬって。寒波で死ぬのダサすぎて笑えちゃうぜ。

 

僕はいつも通っている病院の前にまで来ていた。

 

ヒーロースーツを着込んで。

 

「な〜んで僕がこんなとこにいるのかなぁ……あと超絶寒くないですか?」

「諦めろ。お前が優秀なのが悪い」

「ひどくないです?」

 

僕の独り言に相澤先生が言葉を重ねた。なんて事言うんだよ。いいだろ、僕が優秀だってことくらい。許してくれよそれくらい。まぁ、七割くらいはただの作戦だけども。だから僕は優秀ではない。は? 優秀だが???

 

「……………………前のビルボードチャートの発表の時も思ったんですけど。ここに僕いるの見劣りしませんか? 大丈夫ですか? いけます? エンデヴァーさん、ミルコさんとか当たり前のようにトップヒーローたちが集まってるんですケド……」

「お前ビルボードであんなに不遜だったのに弱気になるなよ! もっと強気でいけって! 今からヴィランぶっ飛ばすんだぜ!?」

「あ、背中強く叩かないでください」

 

ミルコに圧倒されながら周りを見渡してみる。エンデヴァーに相澤先生、マイク先生、ウォッシュ、ミルコ、ロックロック……錚々たる顔ぶれだ。原作的な意味でだけど。あとは……出久くんが教えてくれた有名ヒーローたちがチラホラいるかな?

 

まぁ、この作戦が敵連合、というか並びに弔くんの逮捕が目的だからか、それをなし得ることができそうなプロヒーローばっかりが集まっていた。なんなんだこれ、怖いって。街からヒーローが消えたとか原作で書いてあったもんね。どんだけ集めてんだよ。というか……

 

……なんか、原作より多くね?

 

「……裏切り者のヒーロー以外を一ヶ所に集める。その作戦は理解できます。というか、ぶっちゃけ正しい判断だ」

「何か不満か?」

「いえ別に……強いて言うならA組が恋しいかな!」

「お、余裕あんじゃねぇか!」

 

ミルコがまた背中を叩く。ちょ、痛いから!

 

……いや、この組み方されるんだったら僕A組のみんなと群訝山荘行きたかったんだけど。あっちだとミドナイ先生死ぬし、みんないい顔してくれるでしょ。その顔見たかったからメインプランでは群訝山荘の方に行くつもりだったのに!! 

 

というか、メインプランの通りNo.8ヒーローになっても群訝山荘に配置されるはずなんだよね。もしくは避難誘導。僕はまだ高校一年生。死亡確率の高いこっちに配置されるわけないんだよなぁ……まぁ、配置された訳だけど。

 

流石に暴れすぎただろうか……いや、うん。そんな気はしてたというか、そんな気しかしなかったというか、出久くんよりも暴れてるもんね……こんなに主人公ほったらかしにして別のキャラが活躍するとかとあるシリーズの御坂美琴じゃないんだから。

 

……クローン作られたしニアリーで僕は御坂美琴だった……?

 

そんなたくさんは作られてないけど。

 

「余裕はないですよ。ただ、覚悟はあります」

 

身体をグッと丸めた。屈伸してそのまま大きく背伸びする。

 

「皆さんを完璧にアシストしてみせます。暴れていいですよ。先輩方」

「……頼りにしている」

 

エンデヴァーから声をかけられた。それに「もちです」と口にする。そして目を大きく見開いた。

 

個性『サーチ』。

 

作中では見ている相手の個性と弱点がわかる。また、一度見た相手のことをストックして、見つけることができる。って個性だったんだけど、そのままだと便利だけど、まだ足りなかったので、そこを僕が少し弄ってある。

 

目に呪力を纏わせて強化。視力を底上げして、さらに“縛り”を行う事で一定時間の透視が可能になっている。やっぱり便利だな、僕の『不義遊戯』は。……いや、まぁ、本来の使い方ではないんだけどね! 使えるものはなんでも使えっていうじゃない?

 

「病床の患者、また、無関係な看護師、医師を全て捕捉、数は500と少し、捕捉圏内でヴィラン、さらに脳無はなし、件の……院長も捕捉しました」

 

ドクターは一応腕が立つ医者として僕の足を治療してくれている人ってことにしてるからね。かかりつけ医みたいなものだね。少し顔を曇らせる。これで僕の無実味が増すだろ? 実際、流石に出来すぎだから疑った方がいいしね。まぁ、外の読者のみんなはどうかわかんないけど、ヒーローが僕を疑うかというと怪しい部分がある。みんないい子ちゃんだからなぁ。

 

「いつでもイケます。突入の許可を」

「……こんなことを言うのもなんだが、『サーチ』はお前にだけは与えるべきではなかったな」

「ハハ、僕もそう思いますね」

 

相澤先生の言葉に同意を返しておく。まぁ、どこからでも入れ替えが飛んでくるとかヴィランからすれば堪ったもんじゃないよね〜……ま、そのうちヒーローからしたらたまったもんじゃないってことになるんだけどね〜!!

 

「……死柄木を捕縛する。建物への被害は最低限にしろ」

「さっさとしろ! 始めようぜ!」

「皆さん血気盛んですね〜」

 

周りのヒーローの士気が上がっていく。面倒なことこの上ないな……? これ、僕が適当に調整しないとすぐに終わっちゃってヒロアカここで終わるんじゃ……? それはすごく困るんだけど……

 

ま、なんとかなるか。なんたって、僕と弔くんが組めば最強だもんね。

 

「それじゃ、いきますよ! 捕捉レンジ固定! 個性最大出力!」

 

手を大きく開いて打ち付けていく。ヒーローたちが次々に入れ替わっていく。……絵面がすげぇ地味だな!!

 

「は?」

「え? 病室は?」

「事情はあとで説明します! お医者様、看護師様は患者さんのケアお願いします! 一応機器も一緒に飛ばしていますが、まだ必要なものがございましたらご一報ください!」

 

ヒーローたちを送り込みながら、入れ替わりで転移させられた患者さんやお医者さんに向かって叫ぶ。うぉ、頭痛くなってきた……流石にちょっとはしゃいで個性使いすぎたかな……? ここまで連続で個性使用するのなんて雄英入試以来だもんね……頭痛い!

 

「敵連合が病院に潜伏! 避難と目標捕縛のため強制的に個性にて運び出しました! ごめんなさい! 数名のヒーローを護衛として残しますので、後のことは最寄りのヒーローにお願いします!」

 

避難とヒーローの突入をクリアしてから僕も病院に走って入っていく。そのタイミングをまるで計ったかのように院内が大きく揺れた。

 

「んぉ!?」

 

少し立ち止まる。そのすぐ後に耳につけたインカムからミルコの声が聞こえた。『エンデヴァー! 動いてるぞ!』の言葉。……なるほど、もう地下にまで行ったのね。……早くない? え? 早い早い、困るって! 弔くんに追いついちゃう!

 

「ミルコ! 状況をお願いします!」

『地下に潜入! 脳無の活動を確認! 進行を阻害してくる! こんな狭いところでエンデヴァーたちは個性を十全に使えねぇだろ! お前が来い! ユズ!』

「了解! ミルコ、適当な脳無を一体蹴り飛ばしてください!」

 

全力で走ってエンデヴァーの横を通り過ぎた。後ろを振り返りながら飛び上がる。

 

「脳無、一体こっちに送ります! 対処、よろしくお願いします!」

 

手を叩いた。視界が入れ替わる。先程までの明るく、清潔の象徴である白い壁から一転して脳無まみれの薄汚れた洞窟のような場所に転移した。えぇ、病院の地下こんなに改造するなよ。理には適ってるかもしれないけど別にジョンちゃんいるから地下じゃなくてもよかったろ。そう考えたらドクターって馬鹿なのか……?

 

「来たな! ユズ!」

 

ミドルレンジ脳無を蹴り飛ばしながらミルコが勝ち気な笑顔を見せた。好戦的に顔を歪めると壁を経由して飛び上がった脳無を地面に踵落としで叩きつける。はっや。あとちょっとえっちだと思います! なんかこう、足を上げすぎないで欲しい!! こちとら(肉体的には)健全な高校生なんだぞ!

 

「呼ばれたので。それで、ミルコ。僕を呼んだ理由は?」

「手伝いだよ、面倒だったからな!」

 

量が多いとよ! と口にしたミルコがまた一匹の脳無を蹴り飛ばした。まぁ、見えるだけでもそれなりの量がいるもんね〜。

 

「なるほど、じゃあ、好きに暴れてください。その綺麗な身体には傷一つつけさせませんから」

「口説いてねぇでしっかり仕事しろ!」

 

手を叩く。ミルコが脳無の一体と入れ替わる。どこに移動させられるのかなんとなく察していたのか、ミルコはすぐさま地面に手を付くと足を回転させるようにして周りの脳無を蹴散らした。そのまま身体を飛び上がらせ、距離を取るようにしたミルコに迫る脳無と僕の場所を入れ替える。

 

「背!!」

「はいはい」

 

体を丸めるとミルコが僕の背中を踏み台にして高くの脳無を蹴り飛ばした。吹き飛んだ脳無を尻目に見ながら着地のタイミングを待ち構えている脳無の群、その真ん中にミルコを転移させる。

 

美しい三日月が咲く。それは脳無の頭を吹き飛ばすようにして壁にめり込ませた。……局所的に見たら威力はエンデヴァーみたいなもんか。むしろ僕としてはあのスピードでミルコが飛んでくる方がエンデヴァーよりごめん被りたいね! 近接であんなのとやりたくないし!

 

「ユズ、お前最高だな!!」

「褒めてくださるのは嬉しいですけど! 前見て前!!」

「誰にもの言ってんだ!」

 

ミルコが右足を軸にして脳無を蹴り飛ばした。……え? ノールック? と思ったけど、『サーチ』を持っていて、かつ原作知識も脳内補完されている僕からしたら彼女のそれがその超常的な聴力による物だとすぐにわかる。

 

個性『兎』。

 

言うなれば梅雨ちゃんの上位互換だろうか。まぁ、適材適所であるとは思うけど。彼女の凄まじいところはその判断能力、野生の勘とも言えるそれが凄まじいことだ。

 

大体、うさぎなんて草食動物だろ。なんでそんなにぴょんぴょん飛び回って蹴り飛ばすんだよ。おかしいんじゃないの? って思わざるを得ない。いや、その点で言えばカエルは両生類なんだけどね? 梅雨ちゃんも大概おかしいな……

 

……スタミナ、タフさ、運動神経。ただの天才じゃない。

 

個性、それから自分と向き合い続けた努力の果て。

 

曇ることなんて一切ない、諦めない努力の人。

 

僕の天敵で、今回のターゲットだ。

 

「さて、盛り上げていきましょうか」

 

声が脳無の声で掻き消される。僕の笑みが砕けた。

 

最後の仕掛けが始まる。

 

 

  × × ×

 

 

【ミルコside】

 

足が軽く感じた。普段も羽のように軽いが、それよりももっと軽い。

 

それもこれも今私のことをサポートしているヤツのおかげだと理解していた。

 

「ユズ!」

「はいはい、右三十度!」

 

身体を地面に沈める、そして飛び上がると同時に視界が切り替わった。先程まで視線の先に捉えていた脳無とかいうデカブツの一匹と入れ替わる。対処し損ねたデカブツの首を蹴り折れば、その次はさっきまで私がいた場所にまで飛び上がって私と入れ替わった脳無を地面に蹴り落とした。

 

「お前、雄英卒業したら私のサイドキックになれよ! 事務作業がなくて楽だぞ?」

「それは貴女が事務所も持たずに飛び回ってるからでしょ。多分実績があるからなんも言われてないだけで本当は山ほどありますよ!」

「なんだ、バレてんのか!」

 

頭も回る。個性も汎用性に優れてるし、私の動きに合わせて個性を使用する上、どう動けばいいのかも指示する器用な面も持ち合わせている。

 

「ユズ!」

「次右後ろ、女型を捕捉!」

「個性は!」

「炎を確認、あとはなんかわかんないけどレーザー出ます! ……かっこいいですね! 優雅みたい!」

「男の子してんな!」

「男の子ですからね! 女の子に見えますか!?」

「見える」

「真顔で言わないでくれます!?」

 

優雅ってのが誰なのかは知らないが、クラスメイトだろうか? まだ高一、子どもらしいところもあるようだった。まぁ、まだガキだしな。

 

揶揄っても面白い。ギャーギャー騒ぎながらも適切に脳無を処理していく。

 

まるで烏のようだと思った。

 

飛び上がるような個性じゃない。身体強化の個性でもない。なのに、目の前の敵に対して適切に、迅速に、軽やかに刈る。時には私のサポートさえこなしながら脳無を無力化する。

 

「なんなんだコイツ」

 

天井を足場に地面にまで突っ込む。勢いは殺さない。目的の脳無を蹴り殺せば、いいタイミングでユズが回収する。背中に自分よりも小さな背中を合わせて、私は口を開いた。

 

「キリがねぇな!」

「ですね〜……死柄木か、例のドクターってのを捕縛しないと話にならない……ってことは」

「あぁ、ということは」

 

ユズと二人揃って奥の扉を見る。

 

距離にして50メートル程度か。

 

その奥にはきっと──

 

「僕の“眼”が言ってますね。います。死柄木」

「はっ! 大当たりってことか、じゃあ!」

 

地面を踏みつける。ユズの手を握って投擲した。

 

「えっ」

「強行突破!」

「うっそでしょ!!」

 

ユズが何やら悲鳴をあげた気がするが気にしない。グングンと加速する私の足は今、人生で一番軽かった。

 

「見つけたぞ!! テメェは本物か!?」

 

見つけたジジイに向けて言葉を吐く。そして足を振り切って扉を試験管に叩き込んだ。

 

「ぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 

目の前のジジイが泣き喚く。コイツが本物かどうかは蹴ればわかる。

 

「ミ゛るゴ……! 酔った! 酔ったから!」

「はぁ? 腑抜けたこと言ってんじゃねぇッ!」

 

グッと足を踏み込んでジジイを蹴り飛ばそうと足を振り切る。後ろで嗚咽を漏らすユズの言葉を無視して蹴りを繰り出した。

 

その私の動きに反応するようにして一つの小さな脳無が現れジジイに飛びつくと。

 

ずるり、とジジイの体が溶けた。

 

「!?」

「二倍持ちか……!」

 

ジジイを間一髪で逃してしまってつい舌打ちが出る。

 

「奇跡じゃ……自分の意思で脳無が個性を使ったことなんてなかったというのに……! ワシを守ってくれたんじゃな……!」

 

ジジイが何やらボタンを押す。

 

それが合図だった。

 

「……!? ユズ!!」

「へ?」

 

ユズを片手で吹き飛ばす。飛び出してきた黒い脳無の手が私の頭と足に衝撃を与えた。

 

「〜〜〜!!」

 

壁にめり込む感覚。右足に目を向けると膝から下が綺麗に消し飛んでいた。

 

「……はッ! いいね、あったまってきたところだ……!」

 

瓦礫と化した壁から顔を出しながらニヤリと不敵に笑ってみせる。奥に逃げ延びたジジイがぴこぴことパソコンを弄っている音が聞こえる。

 

勝機は、ここにしかない。

 

私はユズの横に飛び降りた。

 

 

  × × ×

 

 

「ミルコさん大丈夫ですか!?」

「死にゃしねぇよ」

「そういう問題じゃなくないですか???」

 

この人ひょっとして、というかひょっとしなくてもお馬鹿なのではないだろうか? という視線を向けてみる。すると彼女はヘラヘラと笑いながら自分の足をコスチュームの切れ端で縛って無理やり止血した。脳筋すぎる。

 

現在僕たちは大量にいる脳無のハイエンドを前に突っ立っていた。無理矢理超加速宙ぶらりん飛行させられたせいで酔っていてミルコさんに迷惑かけたけど元はと言えば貴女のせいだということを言っておきたいね。僕は悪くないからね?

 

「もう一つ奥の壁の向こうに死柄木がいます」

「みたいだな。なんかカタカタ聞こえっけどジジイがなんかしてやがんのか?」

「さぁ? どうでしょう。なんにせよ行ってみたらわかることですね」

 

グッと体を伸ばす。脳無は流石に二度の不意打ちが通じないことがわかっているのか攻めてこなかった。いや、まぁ、そりゃ攻めてこないよね。漫画の展開的にね。

 

「強さは……まぁ、ミルコさんの足と体を消し飛ばすレベルね」

「体は残ってんだろ」

「そういう問題じゃないでしょ……舐めてたらやられるね」

「あぁ、だから」

「目標を最優先!」

 

ミルコの足を見て手を叩く。片足を義足にした。

 

僕、この一年で足を無くすこと都度3回なんだけどやばくない? USJと、舞と、これ。いや、今回のは僕から義足を渡してる形なんだけどさ。

 

「とりあえず、片足は義足だったって事象と、ミルコの足がないって事象を入れ替えました。そこそこ使い物になるとは思います」

「おぉ、お前の個性便利すぎねぇか? やっぱりウチにサイドキックしに来いよ」

「バカ言ってないで、やりますよ」

 

グッと拳を握る。片足で立つのも僕からしたら慣れたものだ。なんたって半年以上片足だったんだぜ? ふふふ、義足嵌めてようが嵌めてなかろうがあんまり関係ないんだよなぁ。

 

「じゃ、ミルコは……」

 

右足を少し振って血を飛ばしてから顔を上げる。すると顔の歪んだミルコの顔と視線が交差した。

 

はぁ〜?♡ やっぱりいい顔するじゃん! というか想像以上だよ!! そうだよね? 鉄の女! 君は僕、弱い人を助けるための存在だもんね! 自分のことがどうなろうとどうでもいいけど、僕に傷が行くことは耐えられないよね!? 他のヒーローじゃなくて! 僕っていう! 高校生が!! 子どもが傷つくところは見てられないもんね!! 君の顔を曇らせるためにはこれをするしかないなぁって思ってたんだよ!! いやぁ〜!! いい顔見れたぁ〜!! 僕の想定の範囲外だよ!! 超いい顔してくれるじゃん!! やっぱり僕のことを満足させてくれる顔をするのは普段曇らない顔を曇らせる方が効くもんなぁ!!

 

「……? ユズ?」

「……変な顔しますね。ミルコ」

「あぁ!?」

「似合わないですよ。その顔」

 

頬に滲む血を指で擦って伸ばしてあげて、笑う。僕って存在がわかりやすい敵の象徴となるために、目の前の彼女に。優しく、強く、美しいヒーローにとっての太陽になるとしよう。

 

「じゃ、五体不満足経験コンビで」

「ミッションコンプリートするか!!」

 

ごちん! と拳を合わせたミルコの補助として手を叩く。雌型の脳無と入れ替わった彼女の蹴りがデカブツ脳無に突き刺さった。

 

「よっし!」

「そのまま!」

 

脳無を蹴り飛ばしたミルコを見る。しかし、そのまま、戦っていたミルコに覆い被さるように飛び出した脳無に、反応が遅れてしまった。続いてミルコの左足も持っていかれる。あまりにも一瞬の出来事だった。まぁ、原作より動かせるハイエンド多いからね、仕方ないね。

 

「……チッ!」

 

ミルコが顔を顰めて落ちてくる。それに右足だけで対応しようとして──

 

そんなミルコを見て僕は手を叩いた。視界がブレる。そりゃそうだ。

 

足がなくなったんだから。

 

驚いた顔をしたミルコが脳無を蹂躙する。まぁ、急に左足生えてきたらびっくりするよね〜。僕なら何事? ってなるもん。

 

「……!? ユズ! お前!」

「僕の足は今いい!! 目的を最優先して! 行けッ!! ミルコ!!」

 

両足を無くして地面に倒れる。血が流れていくのがわかる。いいね。じわじわと足がなくなった実感が体を襲う。この感覚はいつになっても慣れそうにないなぁ。

 

ん? 舞含めたら三回目じゃね? 足無くなるの。ウッソだろ。僕ってば何本足があるんだ……馬鹿みたいだな! 馬や鹿じゃねぇんだぞ! 馬や鹿でも四本だよ! あと一本で全部無くなっちゃうね♡

 

馬鹿なのかな?

 

顔を上げる。目の前のミルコがハイエンドを踏み台にして高く飛び上がったのが見えた。

 

「僕なら届かない! それでも!!」

 

僕の声がミルコにどう届いたのかはわからない。それでも、両足を再び手に入れたウサギは地面と壁を踏み締めて飛び上がる。ハイエンド脳無を蹴り飛ばして、地盤を踏み潰した。それはまるでウサギというよりは蝶の舞みたいだ。そう見える。舞踊でも踊るみたいに、敵を蹴り潰して踊る。

 

敵ながら、綺麗だなと思った。

 

「貴女なら届くッ!! こっちは僕一人で事足りる!!」

「はッッ! お前! 最高だなァッ! ユズッ!!」

 

道の先に飛んでいくミルコを見つめる。さて、このまま彼女は原作通り弔くんの入った試験管をぶち壊してくれるだろう。それで、物語は軌道に乗る。……それでいい。

 

「……よし、どーしようかな」

 

目の前で蠢くハイエンドを見ながら一人ゴチる。両足欠損、相手の数は二十。ヒーローとして、味方はいるけどこっちに手を回す暇もないだろう。

 

だから、丁度いいね。

 

「ここなら昏睡になっても納得してくれるでしょ」

 

体を上半身だけ起こして血まみれの足を見る。おぉ、池みたいになってるねぇ〜。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「オ前ヲ、殺スゥ……!」

「え? 誰が?」

 

きょとんと首を傾げてしまった。勘違いしているみたいだな? 君たち量産型のゾンビ風情が僕を殺す?

 

「あの、勘違いしてるみたいだね〜?」

「オ゛?」

 

手を叩いて脳無の頭を全て首ごと転移させて入れ替える。反抗もさせない不可視で、不可避の転移。

 

僕がこの世界のキャラに負けないって証明。

 

 

「頭が高いんだよさっきから」

 

 

こちとら貧血でふらふらするっていうのにさぁ……イラつくセリフ吐かせるんじゃねぇよ。体を後ろに倒してからぐぐ〜って伸びをする。あ、出血の量的に僕が血行良くなりそうなことしちゃダメじゃね? 

 

「まぁ、どっちでもいいけど」

 

ボケーっと上を見上げる。見える景色はカスみたいなものだけど、まぁ、うん、これから見ることになる最高の景色のことを思い描くと我慢できそうだ。

 

「おい」

「ん」

 

ヌッと一つの顔が現れた。見慣れた顔、紙面でも対面でもよくこの顔見たから覚えてるよ。そろそろダンスの時間だからかすごく浮かれてるみたいだね? コピーだけど。

 

「準備できてるぞ」

「あぁ、うん。今行く」

 

闇に、沈む。

 

彼に担がれて僕は裏口のルートへと足を踏み入れた。

 

「……ところでお姫様抱っこじゃないにしても他の抱き方ないの? 俵みたいに持つじゃん」

「足ねぇこと自覚してんのかこのボケが」

「ボケって言った……? なんかキレてない?」

「自分で考えろ」

「え? ねぇ、何で怒ってんのさ、ねぇねぇ、え? なになに? 顔見えないからわかんないって! ちょっと! ねぇ!」

 





閲覧注意ね(二度目)(遅い)

皆さんどうでしたでしょうか? そろそろ本番が近づいてきて嬉しい? 僕もそう思います。でもその本番は質落としたくないのでガチで書いてたら、んこにゃさんをふりまわすことになってしまいました。ごめん。

皆さんの評価と感想が暖かいんだ……ありがとう……愛してる……ところでここ好きも入れて♡(懇願)入れろ(豹変)

まぁ、それはともかく。皆さんの応援が僕の活動理由になりました。応援、本当にありがとうございます。感想は連続投稿が終わったら返していきます。全部返すので待っててね。

応援ありがとう! これからもよろしく!

映画編を入れるかどうかのアンケートをさせてください!

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