個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア!   作:波間こうど

64 / 83

ダビダンスってなんかデカダンスと似てるよね。あとガイダンス。


★ダビダンス

 

 

「ぁ……………………」

 

それは一瞬、本当に一瞬の出来事だった。

 

死柄木弔は自身を救った存在が目を閉じて落ちていくことを呆然と眺めていた。刹那的に、ただ、体の奥底から拒絶反応が登ってくる。わかる。分かりやすく、それは怒り、そして。

 

分かりやすい紅い殺意だった。

 

「エンデヴァー!!」

 

身体から赤い蒸気が上がる。血が蒸発している。心臓が高速で血を送り出し、それに体が耐え切ることができていない。あまりの怒りに身体機能がバグを起こしている。

 

声は、咄嗟に飛び出していた。いつの間にか全身を巡った怒りが、ここまで届いて、喉を震わせて、響く。

 

イレイザーヘッドに見られている。そのせいで無個性だ、体が、悲鳴をあげる。それでも、前に進んだ。

 

グッと前に進む。怒り、それが体を支配する。

 

拳がエンデヴァーを掠めて地面を抉る。風圧だけで、人を殺める力を持った拳。

 

まるで、オールマイトの力だ。

 

「……ッ! なんだその力は!!」

「イレイザー!!」

「個性は消している! 今のやつは純然たる無個性だ!!」

 

違和感。

 

それがあった。

 

脳に負荷をかけて、個性を複数植え付ける、それには肉体の強化なくては耐え得ないのだ。体が悲鳴をあげる、地獄の苦しみを生き抜いた、鼻歌を歌いながらどんな風に遊ぼうかなんて考えていた死柄木弔には与り知らないところではあるが。

 

身体は着実に器へと至る道中を歩んでいた。

 

舞妓譲葉の言うところの原作、それ以上の器に昇華しつつあったのだ。

 

「無個性でこの力……!」

「そんなの、オールマイトじゃないか!!」

 

拳一つが地面を抉り、天を裂く。

 

全盛期オールマイトのような無理無体。

 

デタラメといってよかった。

 

ヴィランが、オールマイトを恐怖の象徴としたように、オールマイトが世間から平和の象徴とされたように、ただ、純然たる暴力。漠然と、全て“彼”一人でいいのではないかと思われるような力の奔流。

 

それが今の死柄木だった。

 

「あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!」

 

白目を剥いて拳を振るう。その拳が当たり所が良くても人の命を刈り取る死神の鎌となってヒーローを襲った。緑谷が、爆豪が、エンデヴァーが紙一重の攻防を繰り広げるが、それも長くは続かない。

 

まさに暴力の嵐、理不尽の風。

 

被害が続いた。多くの血が流れた。暴れ回る死柄木弔によって数名のヒーローが帰らぬ人となった、数名のヒーローが現役引退を余儀なくされる大怪我を負わされた。

 

そして、その狂った瞳がイレイザーヘッドに向けられる。

 

実際、無個性の状態でここまで戦えているが、怒りで我を忘れている死柄木でも、今の状況は納得し難いものがあった。好きに暴れることができない。カゴの中の鳥のように、飛び立つこともできない。そのなんたる不自由なことか。

 

次の瞬間には、白い悪魔は突撃した。

 

「チッ!」

「おい! 絶対にイレイザーに傷一つつけさせるな!!」

 

凶暴な狼のような白い影が舞う。その白い影が個性を使えるようになれば、終わりだってことが、全員わかっていた。その拳がイレイザーヘッドに迫る。

 

「死柄木ッ!」

「ゔぁぁ!!」

 

言葉にならない鳴き声のようなものが死柄木から溢れる。イレイザーを守った緑谷は、死柄木の拳を受け止め、空へと蹴り上げた。

 

死柄木の瞳に、一瞬、光が宿る。それも、すぐ、別の怒りで掻き消された。

 

「……! 緑谷ァァァ!!」

「死柄木……!!」

 

二人の継承者がぶつかり合う。ここで、原作でいうところの個性のぶつかり合い、記憶と人格に干渉した対話が行われるのだが、それが何故発生したのかはわからなかった。

 

原作であればAFOの個性が発動して、『ワン・フォー・オール』と共鳴するような形で綱引きが行われるのだが、そうはならなかった。

 

それは何故か?

 

AFOの、死柄木弔に宿る『個性』の形が変質していたからか。

 

それとも、彼にかけられた、『呪い』のせいか。

 

それらの考察の全て、どれが正解なのか定かではない。しかし、これが彼のいうところの「原作」からズレた物語であることはこれにて確定した。……件の彼は今生死の縁を彷徨っていたが。

 

ヒーローだって馬鹿ではない。むしろ、舞による個性のサポートがなくなって、彼の攻撃が殺意にまかせた、駆け引きのない攻撃となりつつあるのを理解していた。

 

『個性』の綱引きで弾かれた死柄木、そしてAFOに隙ができる。

 

この隙を逃す、ヒーローたちではない。

 

「ハウザーインパクト!」

「赫灼熱拳ッ!!」

「デトロイトスマッシュ!」

「ねじれる洪水!!」

 

攻撃が、交錯する、炸裂する、逃がさないと破裂する。死柄木の体に押し寄せた攻撃の数々が、彼の行動を縛りつけた。

 

だから、だからこそ、この攻撃は通るのである。

 

「バニッシングフィスト!」

 

エンデヴァーの、No.1ヒーローのとびきりの拳が、必殺技が死柄木弔の腹を穿った。ただでさえ満身創痍だった死柄木弔の目から正気が失われる。灼けた肌は白すぎる髪と肌に比べて不釣り合いなほど黒く、焼け焦げていて、とても生きているとは思えない。身体のいたるところに傷を持ち、痛々しいまでに傷つき、顔は割れ、手は裂け、腹は灼け、足はひび割れている。

 

満身創痍、五体不満足、死に体だ。

 

ヒーローの、勝ちの目が見えた。

 

死柄木弔は個性を使えず、ヒーローは満身創痍といえど未だに数を揃えている。トップヒーローもその拳を温存し、ヒーローの金の卵たちもその場に居る。身体から血を流し、焦がし、壊れかけた死柄木を見ながら、誰もが勝利を確信したタイミングで──

 

 

ギガントマキアが、現着した。

 

 

死柄木弔と、身体を痛めた舞を掬い上げたギガントマキアはその巨大な腕を一振りすると、参戦していたヒーローたちを弾き飛ばした。

 

「おいおい死柄木! 大丈夫かよ!?」

「舞ちゃん!!」

 

最早死に体と言っても過言ではない二人をトガヒミコとスピナーが抱き抱える。息は荒く、血を流しすぎている。両方、体を覆う火傷のおかげで血が無理に止まっていて、何とか生きながらえているような、そんな状態だった。

 

「死にかけじゃねぇか……!」

「どうしよう……!?」

 

敵連合側も慌てていた。要ともなる死柄木と舞、その両方が戦闘不能となり、地に伏している。勝利は絶望的、この状態で勝つことは困難を極める、逃げることすら危ぶまれるそんな状況において。

 

一人、この男だけは笑っていた。

 

「まぁ、落ち着けって。二人とも生きてる。こんなところで死ぬような奴らじゃないことはお前らもわかってんだろ? 俺らのボスはこんなとこじゃ死なねぇよ」

「それはそうかもだけど! 脈! 弱くなってるんだぞ!?」

「安心しろって、そう簡単に死なねぇよ。お前らは死柄木と舞が約束破ったの見たことあるか? あいつらが俺らを置いて死ぬか?」

 

荼毘が手を広げて鼓舞する。その姿は誰かの生き写しのようだった。

 

「安心しろ。俺がいる。死柄木や舞ほど強くないが、俺がNo.3だ。強さだけで見たらな」

 

彼には自負がある。彼には胸に受けた使命がある。

 

『弔くんと僕を除いたら君が一番強いんだ。頼りにしてるよ』

 

それは、彼にとって、自身を認めてくれた言葉だから。

 

それがたとえ、計略で、策略で、彼に何か裏の思惑があったとしても、それでいいと思えた。彼の目的を果たしてあげることこそが俺たち部下の、飼い犬の、仕事であるとさえ思えた。

 

だって、こんなにもホワイトな企業はない。したいことをしていい、そのためのバックアップをしろ、強さを示せばそれでいい。それに、給与だって豪華だ。なんたって最高の言葉がプレゼントされるのだから。

 

『──くん』

 

あの声で、呼ばれるならそのために死ねる。

 

『荼毘。お前はうち一番の火力だ。頼りにしてる。俺たちに万が一があれば、好きに暴れろ』

 

あの声で、頼られるのならそのために尽くせる。

 

その上で二人揃って俺の夢を、野望を、復讐を、笑って肯定するのだ。そして、声を揃えて。この荒唐無稽ともいえる野望を、復讐劇を、笑顔でこう言うのだ。

 

『『やっちまえ!』』

 

そう、言ってくれるのだ。

 

「時間は稼いでやる。だから、お前らは死柄木と舞を起こせ」

「は!? 一人で行く気かよ」

「馬鹿。作戦があんだよ」

 

ポーチから出したハイパー洗髪料落とし液のスプレー缶をシャカシャカと振りながら笑う。その顔には人生最大最高の楽しみを蓄えた笑みを見せていた。

 

「おーういたいた! こっから見るとどいつもちっさくて! お!? 焦凍もいんのか! こりゃいいや!」

「あ???」

「荼毘!!!!」

 

マキアの上からヒョイっと顔を出したのは荼毘だった。巨大化したマキアの上から下を見下ろしながら、何故だか嬉しそうに口を大きく開けて笑っている。ボスである死柄木弔や、参謀である舞がダウンしているとは思えない顔だ。

 

「酷いなぁ! みんなはそんな名前で呼ばないでよ!!」

 

しかし、それもそのはずだった。彼にとってこれは、復讐劇だったのだから。頭にスプレー剤を振りかける。染めた髪の毛の色を落とすように振りかけるとそれをポイっと地面へと放った。

 

「燈矢って立派な名前があるんだからさ」

 

時が止まる。

 

「顔はこんなになっちまったが……身内なら気づいてくれると思ったんだけどなぁ」

 

誰もが息を呑んだ。誰もが時を忘れた。

 

それは、あまりにも酷な、事実だったから。

 

嘘であるとしてしまいたい出来事だったから。

 

否、本当はわかっていない人間だっていただろう。それでも今起きている出来事の異常性については誰もが理解していた。

 

エンデヴァーの異常とも取れる反応のせいで。

 

息が荒くなる。瞳孔が開いて、身体が疼いた、どうしようもなく身体が震えて、寒くなんてないはずなのに歯がガチガチと鳴る。

 

No.1ヒーローの、異常な反応。

 

それはヒーローたちに伝播して。

 

「でも俺は忘れなかった。言われなくてもずうっとお前を見ていた」

 

荼毘は笑いながら手を叩いた。注目を集める方法として、拍手を鳴らす。

 

「皆が皆清廉潔白であれとは言わない。お前だけだ。No.1のお前だけは清廉潔白でいなくちゃいけないよなぁ!!」

 

その言葉はまるで呪いのように、エンデヴァーを蝕む。事情を知る者を捉える。どうすることもできない否定の産物。

 

復讐の炎は、咲いた。

 

ここに、日本の崩壊とともに、

 

フクシュウノホノオが、成った。

 

「事前に録画しておいた俺の身の上話が今全国で流れてる! これはアイツのアイデアなんだ! 良いこと考えるよなぁ!! 最低のクソ野郎だぜアイツは!! 愛してる!!」

 

声が荒ぶる、猛る。まるで焔が上がるように、声が上擦っていく。

 

「いけねぇ! 楽しくなってきた!」

 

笑顔とともに復讐の焔は焔を上げた。

 

「お前が嫌がることをずぅぅぅぅっと考えてた!」

 

蒼い焔、それは、愛しい姫君に褒められた焔。

 

『暖かいねぇ、君の焔は破壊の象徴だ』

『だから、僕たちの前を照らして、道を開け』

『君が僕と弔くんの次に強いんだ』

『期待してるね? 燈矢くん』

 

だから、本当は嫌いなこの個性も、今は愛おしくて愛おしくて仕方ないんだ。

 

彼らの道を開く焔だから。

 

「自分がなぜ存在するのか分からなくて! 毎日夏くんに泣いて縋ってたこと知らねぇだろ! 最初はお前の人形の焦凍が大成した頃に! 焦凍を殺そうと思ってた! でもそんなのじゃ生温いって言われたんだ!!」

 

焔は、舞う。

 

踊るように、まるで舞い落ちるように、狂った人生の全てを煌めかせて、笑って、踊って。

 

「家族との絆を感じさせろ! 世間からの称賛を目一杯受けさせろ!! その後!! 同じ場所にまで堕としてしまえ!!」

 

それが彼の生きてきた理由。

 

彼にとってのオリジン。そして、彼にとって譲れない存在理由。

 

「未来なんてゴミだ!! 暗闇の中だ!! 初めてだろう!? 絶望は!! 底無しの地獄は!!」

 

その言葉は、彼の人生を。

 

「知らねぇようだから教えてやるよ!!!」

 

いや、“彼ら”の人生を示している。

 

「いいか!? ヒーロー!!」

 

だって、その傷痕は残り続けているから。

 

 

「過去は消えない!!!!」

 

 

彼は嗤う。自業自得を突きつけて嗤う、嗤う、嗤う。

 

だって、これは愛しの姫と同じ理由だから。

 

「そうだろ!! なぁ!! 舞!!」

 

荼毘が飛び降りる両手を掲げて、技名を叫んだ。

 

それは、怒りと恨みと皮肉を込めて。

 

父と同じ技の名前を──

 

「赫灼熱拳……!!」

 

炎が上がる。そこからは、混沌だった。

 

正義と、悪と、復讐と絶望と、その他にも色々なものを混ぜて、蓄えて、揃えた。

 

混沌が広がっていた。

 

 

  × × ×

 

 

そこには混沌が広がっていた。

 

いや、僕目を瞑ってるからわかんないんだけどね? でもまぁ、かろうじて耳に届く情報から推測するにマジで地獄みたいな混沌が繰り広げられているらしかった。って言っても原作も似たような地獄だったんだけどね〜。ヒーローがあんだけ死んでA組での死者ゼロなのえぐいよね。一応僕も死にかけてるんだが?

 

No.3ヒーロー、死んだはずのベストジーニストの参戦。心の折れたエンデヴァー、狂うほどの悲鳴、絶叫、心踊る倒錯に、血の匂い。灼けた肌の音。

 

戦場は、綺麗事など吹けば飛んでいく渾沌と化して、運命を舐めた。

 

そんな音を、僕は聴いていた。リアルASMRである。ここがASMRだ。

 

ありえないほど、素晴らしい、マイ、ルームである。

 

カスみたいな翻訳だな?

 

さて、僕は一応エンデヴァーに腹を貫かれて死にかけているわけなんだけど、一応今気絶せずに起きているのには理由がある。というか結構切実に起きていないといけなかったんだよね。いや、これが結構原作からの大幅ジャンプのために必要な工程だったというか……舞妓譲葉、舞、その両者の前線からの撤退って絵面が欲しくてね? だから弔くんと僕が入れ替わってわざとダメージを受ける必要があったわけですね〜。

 

って言っても、元の計画ではこんな感じでダメージ受けるつもりじゃなかったんだけどね。なんか弔くんがクレバーすぎたから僕がちゃんと注意力を削ってあげるためにも、傷ついてあげる必要があったわけだ。

 

(…………反転を回せば少しはマシかな? 薄目開けてもいいよね? ダビダンスは流石に見たいんだよね)

 

皆が真面目に戦っている中、僕が何をしていたのかと言うと。気絶した……フリをして反転でなんとか呼吸器官だけを繋いで、無理矢理息をしていた。トガちゃんに一応回収されて、乗り心地の悪いマキアの背中の上で、トガちゃんの柔らかい身体に包まれるようにしながら下を眺めた。目をなんとか小さく開ける。それさえできれば、僕の『サーチ』の性質上ちゃんと確認することができるからね。

 

 

【挿絵表示】

 

 

目を見開いた。エンデヴァーを見下ろす。

 

そこには一人の壊れた男がいた。

 

あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!! さいっこうすぎるんだけどなに!? 僕おじさんの顔も範囲内なの!? なんでもいけるじゃん雑食性の高いハイエナとかでもこんなことにならないよってこの話いつだかもしたような気がしないでもないな!! というか!! いくつか要素をサポートしたとはいえ荼毘くんそこまでするなんて最高すぎてびっくりなんだけど!! 頭の中がおかしくなっちゃうよ!! そこまで最高なものを見せられちゃったらさぁ!! 見て見て、筋骨隆々で、妻子持ちで、社会的地位だって高い、高額税金納付者であるところのNo.1ヒーローであるエンデヴァーが!! 死んでしまったと諦めてしまっていた息子が地獄から帰ってきて、さらにその息子が今までの自分の罪の具現として突きつけてきた内容に絶望して膝を折っているの!! 最高に!! 最高に!! 最高に興奮するよね!? これって本来だったら効かないんだよ!! 轟くんが反抗期真っ盛りで、改心して「綺麗なエンデヴァー」じゃなければ嘘をつくなって荼毘くんに殴りかかってるはずなんだよ!! それでも今!! この半年が!! この一年があったから!! エンデヴァーはここまで精神的ダメージを受けて揺れているんだ!! こんなに素晴らしいことはないと思わないか!? これこそが種まきをして回収する曇らせってジャンルの一つの最高到達点!! 『ヒロアカ』って作品が読者である曇らせマニアのみんなの性癖をこじ開けた最高にいい場面だ!!

 

……これ、身体が反転間に合わなくて再生できてないから暴れなかっただけで全然暴れる可能性あったな? あんな名画みたいな顔してるエンデヴァーが悪いんだけどさ……そんな顔してるってことは僕に興奮してくださいってことだもんね? 馬鹿でもわかることじゃん。流石は曇らせヒロイン。しゅきしゅき!♡

 

さて、この戦いも大詰めに向かってきてるみたいだな? 弔くんじゃなくてラスボス先生に体乗っ取られてるっぽいし、そろそろ身体が出来上がってないことも相俟って離脱になるのかな……さて、どうなるんだろ……。

 

頭が回らない。さっき興奮して急激に酸素を使っちゃったからな……記憶が途切れ途切れで朦朧としてくる感覚。なんだか、いつだかにもあったような気がするけど、いつだったっけ? 割と最近な気もするし、もっと昔な気もする……。

 

このままだと気絶してしまうと直感で理解できた。思考回路だけじゃなくて多分術式が制御できてない。感覚としては徹夜明けのようなバッドステータス。これが術式を活用しまくって、反転も回しまくった上で致命傷になり得る傷を受けた反動か……よくよく考えたらこんなの普通の人なら死ぬもんね。一応僕今日足何回か取れてるんだよ???

 

というか、気絶する前に幾つかのことについて考えておかなければならない。

 

今後の展開について……は、オールグリーン。次に起きて、ちょっと準備したら最大の曇らせに向けてスタートを切れる。そしてその後も曇らせをいくつか回収して……って形になるだろうからね。最高の曇らせ、と言うか僕にとって『ヒロアカ』のエンディングまであるんだけど、そこまではもう舗装が終わってるから問題ない。

 

それから次に危惧しなくちゃいけないのは原作通りになるかどうか。今の浮遊してるところから見ても原作通りにならないわけがないから、原作通りにはなるだろうね。だからこっちもクリアー。

 

続いてラスボス先生に僕が気絶してしまっている間で個性を奪われてしまわないかってこと。

 

今の僕の利用価値は大きい。だからラスボス先生も僕から個性を奪わないだろう……というか奪えないだろう。僕から『不義遊戯』を奪えばラスボス先生的にはデメリットの方が大きいだろうし……ともすれば彼は今僕の原作知識からなる『限定的な未来視』って個性を、『不義遊戯』に紐づけられている力だと思っている節がある。

 

『不義遊戯』が、手を叩いて場所を入れ替える、黒閃を出す、身体強化をする、そして未来予知をする、なんていうような効果を持っていると邪推しているようだ。それなんてワン・フォー・オール? 僕のこと化け物だと思ってるってこと? そうならラスボス先生的には困るはずだ。

 

予知をする能力は使い所が難しい。ナイトアイも個性を使ってみたらその未来が確定するなんていう風に言ってたし、もし間違えて個性について把握する前に使用して下手に自分が負けるとこなんて見ちゃったら嫌だろうから奪えない。奪っちゃいけない。嘘を見抜く個性は持っていても、心を読む個性は持っていないから、このブラフは大事にしてくれるはず。それに、僕って動けるコマを無くすのも手駒が少ない今のラスボス先生からしたら困るポイントだろうからね。

 

ふわりとマキアが揺れる。原作で見れば、とても印象に残っている扉絵のシーンだ。

 

“君が救けを求める顔をしていた!”

 

あの見開きのページを僕はよく覚えている。

 

緑谷出久の異常性を表していて、さらに、僕にとって苦手なシーンだ。

 

だって救けを求める顔をしても、誰も救ってなんてくれないから。

 

あぁ、嫌な夢を見る気がする。

 

今寝ると良くない気がする。

 

そうは思う、だけど、今一度、向き合わなくてはいけないことだとも感じていた。

 

だから個性を切って、薄く開けていた瞳を閉じる。そして、ゆっくりと深く、暗い夢へと堕ちていった。

 

 





んこにゃさんは絵を送ってくれていたのだけど僕が気づくのめっちゃ遅れてしまって投稿1日空きました……すまない。ここで一度連続投稿は打ち止めにして年始にでも出そうと思ってます。区切りがいいので。

みんないつもありがとうね……みんなの感想ちゃんと全部読んでるよ……スピナーくん書き忘れてごめんね……

たくさんの人の感想と評価が僕をここまで連れてきました。いつもありがとう。これからもよろしく。良いお年を!

映画編を入れるかどうかのアンケートをさせてください!

  • 入れたのが見たい!
  • 本編だけ追いかけるのでOK!
  • アンケート結果が多い方で!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。