個性『不義遊戯』でいく! 僕の曇らせアカデミア!   作:波間こうど

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あの日泥まみれで夢見た夢のこと。

空へと叫んだ夢の続きを。


★空に歌えば

 

僕たち、雄英高校1年A組にとって、この場所はとてつもないトラウマを孕んだ場所だった。

 

僕たちにとっての決別の場、僕たちにとって一番大事だったものがなくなった場所、元から壊れていたその解れが目の前に現れて、ひび割れて、どうしようもなくなってしまった場所。僕たちにとって、雨が降り注ぐ曇天のあの、曇天に満ちたこの廃教会こそが、トラウマそのものだった。

 

そこの主人は、もう、僕たちの大事な友達ではなくて。

 

「おいおいどうしたヒーロー!! そんなもんか!!」

 

そこで大きく口を開けて笑っているのは、死柄木だった。敵連合の長で、僕たちの敵で……ゆずくんが愛した相手。

 

死柄木の拳が梅雨ちゃんのことを弾き飛ばした。圧倒的なまでの力は、瓦礫の山を吹き飛ばして、梅雨ちゃんに再起不能の怪我を負わせる。

 

「この領域内は形を保ってるだけで特別な効果は付与してない。でも、俺の身体能力が上がるのと、それと黒閃が出やすいってところか? あとはまぁ……俺はまだ入れ替えが確定じゃないからな。この領域では必中みたいだが……」

 

グッパと拳を開閉しながら死柄木はニヤリと笑った。まだまだ自分の力になっていないその個性を握りしめるようにして拳を固く閉じる。

 

「即興で作ったからこんなもんか。まだオートで発動できるほど不義遊戯を使いこなせてないのが問題だが……その程度お前らを処理するには関係ないな」

 

死柄木の手がしなる。うねって、パンッ! と強く両の掌が打ち付けられた。そこで瓦礫と障子くんが入れ替わる。

 

「オォッラッ!!」

「……!?」

 

その拳を複製腕を生やして対処したものの。そのまま瓦礫を転げるようにして吹き飛ばされていく。だけど誰も障子くんには駆け寄れない。

 

目の前の死柄木がゆずくんに重なる。強い、あの幼馴染に重なる。

 

「おいおい。この程度かよヒーロー。譲葉よりも個性を使い慣れてない俺相手にそんな体たらくでいいのかよ。譲葉にどんだけボコボコにされてたんだ?」

 

それはNo.8ヒーロー。

 

それは雄英高校ヒーロー科1年A組。

 

それは僕たちの希望。僕たちの夢。僕たちの象徴。

 

「負ける気がしないぜ」

 

舞妓譲葉に。

 

「負ける気しないとか!! 後で負けたら恥ずかしいぜ?」

「ねぇから気にすんなよ切島鋭次郎。お前みたいな暑苦しい美学持ってねぇんだ」

 

切島くんの攻撃を紙一重で避けた死柄木は半身で彼の頭を掴んで地面へと叩きつけた。硬化している体に打撃を与えるのは打撃を与える側が不利、それなら地面なんかの硬い場所に攻撃を肩代わりしてもらうのが一番有効な方法だろう。そういうところも全部ゆずくんが重なる。

 

「おい、この程度か?つまんねぇなぁ……この程度でまさか……」

「勝てるなんて思ってない!」

「悪いけど、そこまで馬鹿じゃないんだよね!」

「……不意打ちって。やっぱり譲葉ってお前らに余計なことばっかり教えてたんじゃないか?」

「それを決めるのは、舞妓で!!」

「お前じゃない!!」

 

芦戸さんと尾白くんの連続の打撃と飛び散る酸を全て避けて、死柄木は拍手を一つ残した。そのまま瀬呂くんと入れ替わって、八百万さんの脇腹に蹴りを捩じ込んだ。その衝撃に、黒い稲妻が走る。

 

「あガッ……!」

「ほぉうら!! 吹き飛べよッ!!」

 

瓦礫に飛ばされた瀬呂くんをゲラゲラと笑いながら死柄木は手を叩いた。その拍手では誰も入れ替わらない。有頂天の死柄木のガラ空きの背後を撃とうと飛び出したのはミルコだった、それを軽くいなして死柄木は拍手で場所を入れ替える。

 

入れ替わったのはねじれ先輩、目の前には通形先輩だ。

 

「……ッ!」

「いいね!! 反応すんのかよこれに!! 流石はNo.1に一番近い男!! ギャグセンが低いこと以外は高水準ってか!?」

 

空を切った死柄木の腕が引き戻されて掌が叩かれる。通形先輩の反撃の拳は青山くんの頬を強く殴りつけた。

 

「あぁ……! 青山くんごめんよ!!」

「つまらねぇ……くだらねぇ……なんだよこれ。なんだ? この程度か? そりゃ譲葉も個性が手に入ったら全てが手に入ったような万能感を覚えるわ。上がこんなのばっかりだったら絶望でしかないだろうな。無能だったはずなのに個性を手に入れてさ……そうすれば全部が手に入るんだから」

 

死柄木がヒーローたちに手をかけていく。わざと僕を除いて、他のヒーローたちを。

 

僕が走って追いかけても、死柄木は拍手一つでそれを軽く避けてヒーローたちを殴りつける。ただ、ニヤニヤとした顔に、その悪辣な顔に、悪意だけを蓄えて、ヒーローたちを殴る。

 

蹴る。

 

痛めつける。

 

そうして、しばらくの間、僕の手から逃れて逃げながらヒーローたちを処理していた死柄木は、シンリンカムイの頭をラリアットで吹き飛ばして……多くのヒーローを再起不能にしてぴたりと止まった。そして瓦礫の山の上で大きな欠伸を溢す。

 

「はぁ〜〜ぁ……余裕すぎて欠伸が出るぜ……緑谷も含めてその程度でヒーロー名乗るのやめたらどうだ? お前たち程度が倒せるほど、俺は甘くねぇよ……譲葉もな」

「黙れや!! それでも勝つんだよ!!」

「…………お前、どんだけ頑丈なんだよ。一回殺した上にそのタフネス……馬鹿は死んでも治らねぇよなァ」

 

かっちゃんが両手に爆炎を纏って突撃した。その体をクラスターの煌めきが覆う。瓦礫ごと死柄木の体を爆破の衝撃が貫いた。

 

「で、お前は何がしたいわけ?」

「チッ! なんで避けんだよ雑魚が……ッ!」

「痛そうじゃねぇか。俺痛いの嫌だしさ」

 

ヘラヘラと、まるでなんとも思っていないような顔で死柄木は両手をヒラヒラさせながら笑う。……何もかもがゆずくんに重なって見えるのが嫌になってくる。

 

「痛い思いなんて散々してきたから、これからはそういう思いしたくねぇんだよな」

「あガッ……!?」

「悪いが、レベルが違いすぎるよ」

 

飛びかかったかっちゃんの鳩尾に膝を捩じ込んだ死柄木は退屈そうに、唾液と吐瀉物を吐き出しながら肩で息をしてうずくまるかっちゃんを眺めた。そうして、その指がかっちゃんへと伸びる。

 

「させねぇよ……!」

 

そうして氷が死柄木を襲った。それを回避するように手を打ち鳴らすと、死柄木と青山くんの位置が入れ替わる。

 

「危ねぇじゃねぇか」

「……崩壊を使わないのは手心でも加えてんのか?」

「荼毘の弟……どうかな? 俺には不義遊戯しかもう残ってねぇのかもよ」

「お前が色んな個性持ってねぇのとか、舞妓がAFOを連れて行くって言ってたことを考えたらお前から持っていかれた個性はAFOだろ。「崩壊」は制御外……違うか?」

「賢いじゃん。……崩壊を出したら領域まで壊れちまうってだけさ。伝播させると特にな」

 

轟くんに返答しながら死柄木は手のひらを見つめた。……五指で触れれば全てを破壊させられる個性。崩壊、破壊の象徴にして、敵の、ヴィランの親玉然とした個性。

 

「この個性は制御が利かなくてな。俺はこの個性で父も母も、姉も……手に掛けてる」

「!」

「でも人を殺す、壊すのに向いてはいてもヒーローたちと正面切って戦えるような個性じゃないからな。本来なら対人には強くても組織戦だと十把一絡げ……要するにあんまり使えねー個性だったわけだ」

 

グッと握りしめた拳には、青筋と、無数の生傷が残っていた。どこまでも戦うための、戦ってきた男の手。

 

「それを開花させたのが神野だな。その気になれば地面に触れて1ヶ月もありゃ日本を丸々……上に乗ってるもん全部まとめて海の底にまで沈めてやれるぜ?」

「……そんなことさせない」

「させるさせないじゃないさ。やるやらないだし、できるできないだ」

「お前の手を地面には触れさせねぇよ……日本はやらねぇ」

「お前らが? もう半分は潰したけど、まだ足りないのか?」

 

ギロリと周りを見渡す。そこにはさっきまで勇敢に立ち向かったものの、死柄木一人に無惨にも倒されたヒーローたちが転がっていた。有象無象、何の価値もない何者かであると言われているかのように、路傍の、石のように。

 

「それでも、僕たちが止める……!」

「この個性を覚醒させてから譲葉は俺と戦いたくねぇ〜っていつも言ってたぜ? 負けるかもしれねぇからってな。ま、結局決着ついたことはなかったが……引き分けだ」

「舞妓くんの個性とお前の触れるものを崩壊させる個性では、舞妓くんの方が有利だろう!」

「あ? あー……そりゃそうだな。あいつは触れられねぇ、自分のエリアに踏み込ませないってことに関していうならずば抜けてるからな。ただ、触れるってだけならそうだよ」

 

飯田くんの質問に死柄木がつまらなさそうに答える。本当に楽観的に、興味がないとでもいうようにそう口を開くと。そのまま流れるように続きを紡いだ。

 

「いつも譲葉が俺とやりたくねぇって言ってたのは俺の『崩壊』が、あいつの領域を破壊できるからだよ。あいつにとって一番相性の悪い個性が俺だったわけだな」

「それがなんだってんだよッ!!」

「……お前さっき顔擦りおろして、鳩尾に深いの入れたよな? 何でそんなにタフなわけ?」

「死ねェェェェェ!!」

 

死柄木が拍手できない一瞬の隙にかっちゃんが爆撃を加える。それでも、死柄木には傷一つつけられない。

 

「お前ら頑丈だなぁ……アイツみたいに部位を指定した入れ替えができればお前らの頭がすげかえれていいんだけどな。楽でよ」

「それはパーツごとの入れ替えができないってことだな!?」

「常闇か。ま、そう思ってくれていい。つーか、普通に考えてあれ練度高すぎるんだよな。エンデヴァーのヘルファイアーでギリギリティッシュ燃やさないようにするとか、そういう出力調整だぞ。事実、あいつたまにしか使ってねぇんだよ。脳無とか相手にだけだよ」

 

ダークシャドウを軽くあしらいながら死柄木は語る。

 

「個性の練度も」

 

拍手の音が鳴る。続いてその長い足が峰田くんのことをサッカーボールのように蹴り飛ばした。

 

「扱いも」

 

次の拍手の後には尾白くんの顎が肘で打ち上げられていた。体が地面から浮き上がるのと同時に浮き上がった無防備な鳩尾に裏拳が振り下ろされる。

 

「分析も!」

 

次の拍手では死柄木の拳は飯田くんの右頬を打ち抜いていた。そのまま流れるようにそれを止めようとした上鳴くんと入れ替わってその近くにいた青山くんの鎖骨に手刀をねじ込む。

 

「全部全部譲葉未満のお前たちに!! あいつが本気なんて出してたと思うか!?」

 

その攻撃の全てが被る。

 

 

【挿絵表示】

 

 

『差を見せてあげよう』

 

にこやかに笑った彼の姿に被る。死柄木の全てが、彼の一挙手一投足に、ゆずくんを、重ねてしまう。重ねられてしまう。

 

それほどまでに、彼のすべての行動が、彼のすべての言動が重なってしまうのだ。

 

「むしろ一年間一緒にいておいてこれだけしか育ってねぇのかよ。何見て育ってきたんだ? お前らみたいな甘ちゃんが譲葉と一緒に過ごしてたって考えると虫唾が走るぜ……やっぱり俺たちと一緒にいるべきだった」

「それは…………」

「うるさい!!」

 

僕の言葉に被せるようにして、横から声がした。……声の主は目を赤く晴らして。身体中が汚れて、服は破れて、返り血や、自らの血で汚れて、泥だらけで、それでも、折れても、なんとか自分の気持ちと、思い出を杖にして立ち上がってるような、そんな満身創痍でも、ヒーローであり続ける少女。

 

「あんたがどう言おうが! ユズがA組にいた時間は! 間違いじゃなかったんだ! ウチらとユズが過ごしてきた時間そのものは嘘じゃなかったんだ! そうだって! 何度だって言い続けてやる!! ウチらは!! アイツといてよかったんだって!!」

 

彼女の遠吠えは、確かに領域を揺らした。その視線は、何度も負けて、折れて、揺れて、屈して、泣いて、喚いて、苦しんで……それでもなお、それでもなお輝く、光を携えている。

 

そんな彼女に臆したのか……それとも別の理由からか、死柄木は数瞬考えてからあぁ、と手を打った。

 

「長え耳たぶ……耳郎……あぁ! 負け犬!」

「……は?」

「トガに負けた哀れな失恋者だろ? 俺が言うのもなんだけど狙う相手が悪いって。あいつらマジで人目すら忍ばずにイチャイチャイチャイチャ……飽きもせずよぉ……知ってるか? あいつら同じベッドから出てくるんだぜ? 俺としては譲葉の寝相の悪さ知ってるからよくもまぁ毎日一緒に寝れるもんだと……」

「黙れ……」

「特に酷いのは夜でさぁ……ギシギシギシギシ……ガキでも作んのかってくらい毎晩毎晩……俺らのこと待たせてそんなことするんだぜ? タチ悪くね?」

「黙れって言ってるんだけど……!」

「第一お前も残念だよな。アイツは死んだし……それに、そもそもそれ以前から負けてたみたいだし」

「黙れって……」

「災難だよな? 負けヒロイン? 譲葉の運命の女はお前じゃねぇよ」

「黙れぇぇェェェェェェェェェェッ!!」

 

耳郎さんが地面にイヤホン=ジャックを突き刺す。そしてそこから地面すら割るような大音量で、不協和音が鳴り響いた。濁りに濁って、全てを飲み込む濁流の音。

 

「おいおい、元気いいじゃねぇか。なんかいいことでもあったか?」

「黙れって言ってんだよッ!」

 

地面が揺らいで、死柄木の足元が崩れたその一瞬をついて、死柄木の腕が押さえられた。ガチリと伸び切って固まる。

 

「あ?」

「今!!」

「いい判断ですわ葉隠さん!」

「葉隠? あぁ! 透明人間の……」

「ゆずちゃんは……! 確かに私たちのことをなんとも思ってなかったのかもしれない……」

 

ガコンッ! と音がして、その駆動音の先では八百万さんが轟くんが作り上げた氷を土台として大きな砲身を向けていた。

 

「なんだよそれ。カッケェな? 譲葉が喜びそうだ」

「超電磁砲ですわ……大体音速の三倍のスピードの砲弾は、コインすら戦車を貫通する弾丸へと変えられる優れものですのよ?」

「マジで譲葉が好きそうだな?」

「えぇ……これは舞妓さんに教わったものですもの」

 

甲高い音が響いて、狙いが死柄木に向けられる。

 

「よく狙えば? その程度が避けられないほど……」

「拍手もなしでどう避けるつもりなわけ?」

「……」

「逃がさねぇよ!」

 

もう片方を耳郎さんが、足元を轟くんの氷が覆い尽くして、死柄木の五体が動かなくなる。その隙間を縫って倒れそうな、よろけそうな超電磁砲をA組のみんなが支える。

 

「いいねぇ……この程度で俺を止められると思ってる愚かな頭がさァ!!」

 

体を揺らす。死柄木の指が無理矢理氷に触れた。掠める。

 

今の彼にとってはそれだけで十分だった。それだけでその氷は、

 

「爆ぜろ」

 

崩壊する。

 

「みんな離れて!!」

 

そしてその崩壊は伝播することを僕たちは知っている。即座にみんなが離れていくのを見て死柄木が忌々しそうに足を払う。壊れていく氷を蹴り崩して、氷が輝いて散っていく。

 

「超電磁砲!! 行きますわ!!」

「…………はぁ、来いよ」

「……ッ! FIREッ!!」

 

青い輝きが、一条の光となって死柄木へと殺到した。それは確かに僕たちは目ですら追えないようなスピードで、人なんて当たればそれだけで死んでしまうことがわかっているような、そんな圧倒的な煌めきで、空気が灼かれていく。灼けてチリつく音が聞こえている。

 

誰だって撃ち抜いて、人以外の、戦車なんかすら軽々しく破壊する光線が地面を這うくらいの低弾道で死柄木へと向かっていった。飛び出した銃弾は死柄木へ向かい。

 

彼はその右掌をそっと開いた。

 

「チッ……ミスったな……これなら入れ替わりで誰か殺しておけばよかった……でもまぁ……」

 

死柄木はため息交じりにそう言って煩わしそうに手を振った。その手の平に、指先に、光の粒子がチラついて消える。

 

 

「絶望させられるなら安いもんか?」

 

 

せせら笑う。悪魔は、僕たちのことを嘲笑っている。馬鹿にした笑みは僕たちのことを揶揄う彼みたいで。そして、その圧倒的な強さは……

 

『次は君だ』

 

彼、みたいな。

 

「……音より速い弾丸を……“崩壊”させた……?」

「不義遊戯じゃない、俺本来の個性はこっちだからな。こっちの扱いなら悪いけど譲葉の不義遊戯の扱いと同等だぜ? 目に見えない酸素だって崩壊させられる……ま、それするとお前らだけじゃなくて俺にも悪影響出るからしねぇが……」

 

死柄木がつまらなそうに言う。その顔に深い笑みが刻まれていく。

 

僕たちの絶望に、みんなの絶望に、呼応するように、死柄木の顔が歪んでいく。

 

「いい面だな……? 戦うしかない俺たちに見せるには勿体無い顔じゃねぇか? なぁ、ヒーロー共……譲葉が生きてたらこの光景が見たかったろうなぁ……」

 

顔を歪ませて、笑顔をその顔に滲ませて、死柄木は地面を踏みしめた。

 

「お前たちの顔が歪むと嬉しいよ。俺たちが今まで顔を歪めてきた分。その分だけ釣り合いを取ろうときている感じがしてさぁ……」

 

ギラリと輝く死柄木はそのまま手を叩いた。八百万さんを呼び出して後頭部に強く手刀を叩き込む。次に耳郎さんに、葉隠さんに、笑いながら傷を負わせていく。もう二度と起きてこないように、二度と起きられないように、気絶させていく。最初から、そうしておけば誰も対抗できなかったであろう攻撃で、意識を刈り取っていく。

 

助けようと僕が足を踏み出す。それを避けて周りの、僕の仲間の意識を刈り取っていく。

 

その地獄のような時間は、僕以外のすべてのヒーローの意識を刈り取って、ようやく終わった。

 

「さぁ……最後はお前だけだよ。緑谷」

「…………なんで、僕だけ残した」

「正直そんな気してたんだろ? 俺を倒せるのは……お前だけだ。お前を殺せるのは……今となっちゃ俺だけだよ。それ以上でも以下でもない。お前のさっきの演説薄ら寒かったわ……他のやつなんて価値あるか? お前以外に、価値あるのか?」

 

死柄木がそう言い切る。その言葉には意思があった。固く、固く、誰よりも固く固まった意思が。

 

「分かってるんだろ? お前も……俺も分かってるんだ」

「この戦いを終わらせる方法を、この戦いを終幕へと向かわせる方法を……」

 

足音が大きくなる。近づいてきていることが、視覚だけじゃなくて、聴覚でも理解できる。

 

「どちらかが死ぬことだ。俺たちのどちらかの息が絶えるまで、この、AFOの意思が乗った戦争は終わらない」

 

理解していた。心のどこかで納得していた。彼の言うことが正しいことがわかっていた。だって、彼は正しい。

 

僕たちのどちらかが死ななければ、この戦いは終わらない。本当の意味での幕引きは訪れない。

 

オール・フォー・ワン。

 

ワン・フォー・オール。

 

この二つの個性のどちらかがこの世界から消えなくちゃ、このいがみ合いの輪廻に終止符を打たなければ、この戦いは終わらないんだ。僕たちは終われないんだ。だって僕たちは、この戦いに意味を見出さないといけない。

 

昔からのしがらみだけで、大事な人を亡くしただなんて、思いたくないから。考えるだけでも、苦痛だから。僕と、死柄木のどちらかは死なないといけないんだ。

 

止まれないから。

 

この戦いに意味を見出さないと、きっと、僕たちは壊れてしまうから。

 

それでも、僕は目の前の相手を見定めて……勝てるだなんて思えなかった。

 

勝てそうな兆しすらも見えない。僕の全てを懸けても、僕の全てを焚べてもきっと一歩……いや、二歩も三歩も届かないだろう。

 

最強だ。死柄木は最強になった。

 

全盛期のオールマイトのように、僕たちにとっての……僕にとってゆずくんのように、輝きそのものの、憧れそのものの存在になった。

 

「どうすれば……」

 

そんな悪の親玉を呑み込み、ゆずくんすら認めた最強に。僕はどうすれば勝つことができるだろうか。僕のこの個性で、どうすれば死柄木を倒すことができるだろうか。僕は、どうすれば、みんなを救えるのだろうか。

 

『九代目』

 

どうすれば死柄木弔を倒せるのか、そう考えて頭の中をひっくり返しながら自問自答している脳裏に声が聞こえた。ヴィランたちを討ち取り続けたあの頃に、僕を励まし、叱り、そしてずっと背中を押し続けてくれた人たちの声。

 

『僕らを使って』

「皆さんを……?」

『そもそも四ノ森の時点で溜め込む力が限界なんだ。俺たちの力を燃料にして死柄木に打ち込めばお前の体から個性は消えるかもしれないが……』

『アイツは止められる』

 

歴代の個性を、燃料にする。ただ、右の拳に込め続けるエネルギー、それを燃料にして、放つ。

 

そんなことが可能なら、確かに、死柄木を討ち倒すことができるほどの力になるかもしれない。

 

でも、それは皆さんのことを使い潰してしまうってことで……そんなこと。

 

『いいか、九代目。俺たちはもう死んでいる。AFOに殺された身だ』

『それに、お前にしかできねぇんだろ?』

『アイツを倒せるのは、止められるのはお前だけだ』

『……打ち込め』

『お前にしかできないんだ』

『頼むよ、緑谷くん』

 

うちで声がする。その声が消えていく。焚べられていく。

 

『お願い緑谷くん……』

 

七代目の、志村七菜さんが祈るように……両手の指を絡ませて、涙目でそう言う。その瞳に、ヒーローとしての、オールマイトすらも焦がれた輝きはない。それでも、そこには、母親の、親としての強さが。

 

『あの子を、止めて』

「…………分かってますよ。七代目」

 

僕の声に、少しだけ微笑んだ七代目の影が薄れていく。僕は周りを見渡して、そして胸をグッと握りしめる。

 

これは、僕の戦いじゃない。先代たちは間違えているんだ。

 

「これは……僕たちの戦い……だよね? みんな」

 

目の前の死柄木を睨みつける。相手はなんら変わらない顔で僕のことを見つめている。

 

「死柄木!! 決着をつけよう!!」

「覚悟は決まったか? 緑谷」

「そんなもの……」

 

決まってる。元から、もう、とうの昔から。

 

決まっていたんだよ。

 

グッと地面を踏み締める。倒れている飯田くんの横を駆け抜ける。轟くんを、峰田くんを、梅雨ちゃん、青山くん、芦戸さん、そうやって倒れているみんながいたから、僕は戦えているんだ。僕はここにまだいるんだ。

 

拳を握りしめる。左の拳を振り下ろすが死柄木には当たらない。まるで予知していたかのように手のひらで逸らされる。着地した足を軸にした回転蹴りも当たらない。

 

わかってる。わかってるさ。

 

「どうした!? 黒鞭も! 煙幕も! 発勁も!! 何も無しで俺に勝てるのかよ!」

「勝つ!!」

「ハッ!! やってみなァァァァァァ!!」

 

殴り合う。お互いの息がかかるほどの距離で、お互いの体を殴りつけ合う。僕の拳が死柄木の体に、顔に当たらないように、死柄木の手のひらも僕をつかめない。

 

「あ゛ァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

お互いに死に体だ、お互いに死にかけだ、それでも、一歩前へ。

 

僕の拳が死柄木の顔の横を通過した。そこにカウンターを合わせるように死柄木の指先が僕の顔を掠める。顔が崩れる感覚、それを受けてなお、僕はまだ溜めたままの右の拳を握りしめた。

 

「お前の拳じゃ届かねぇよ!!」

「今のは!!」

 

踏ん張れ、握りしめろ。そして打ち抜け。僕の全力で、目の前の敵を打ち砕け。

 

「腰が入ってなかったからね!!」

 

狙いは顔なんて小さな的じゃない。狙うは、その体。

 

「SMASHHHhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhhh!!」

 

拳はガードをすり抜けて、そのまま死柄木の拳に叩き込まれる。そのまま腰を捻るようにして、拳を奥に捩じ込んだ。万感の思いを込めて、違和感を塗りつぶして。

 

「緑谷出久ゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!」

「ぅ……ッつ、ぁぁぁぁ゛ぁ゛ァァァァァァッ!!」

 

拳を振り切る。

 

自分の中の巨大な炎が力を失って消えていくような感覚がする。僕の体から灯火と呼べるものが消え失せていくような感覚がする。僕の全てが消え失せて、灰へと変わっていくような、そんな感覚がする。それは、右の拳から全身の外へと噴き出して。

 

次いで、当たっていたものが吹き飛ぶ感覚が伝わってくる。

 

僕の意識はそのまま一瞬ドロップアウトした。

 

 

  × × ×

 

 

「う……うぅ……」

 

頭を押さえながら立ち上がった。身体中が痛む。その上、体をずっと纏っていた全能感が消えていったような感覚がした。僕の体を貫いていた一本の大事なものが抜け落ちてしまったような感覚。虚無感。

 

「……ワン・フォー・オール……」

 

それが何故なのか、僕は分かっていたけれど、今はそれどころじゃないとかぶりを振る。

 

膝に手を押し当てて無理矢理立ち上がった。領域はもう瓦解していて、その残骸や、残滓すらも残っていない。ただ、ぼんやりとした薄暗闇……曇天だけが世界を覆い尽くしていて、それ以外は何も残っていなかった。

 

僕は周りを見渡して、すぐに目的の人物に目を向けた。それは、僕とそう遠くない……5メートルも離れていない場所で仰向けに寝転がっていた。目は開いている。光沢を失っていない瞳は、生きていることを象徴していた。僕はそこで理解する。

 

もう、助からない。

 

死柄木はそこでまるで優雅な昼下がりに、日向ぼっこでもしているのではないかと思うほど自然に両手を広げて大の字に寝転がっていた。……その左脇腹から胸にかけての部位を欠損して、血すらも流せないままに。きっと、崩壊で血を止めたのだろう。それでも綻びから血は溢れている。傷を転移させないのは左の肘から先が消し飛んでいて拍手ができないから、「不義遊戯」が使えないんだ。

 

「よぉ…………緑谷。元気そうじゃねぇか……」

「…………………………なんで」

「何がだよ」

「なんでだよ……!」

「……だから何が」

 

分かってるくせにしらを切る死柄木を睨みつける。僕は、分かっていた。これは勝利じゃない。どこまでいっても苦い苦い、僕にとってはどうしようもないほどに固まってしまった敗北だ。だって、手を抜かれてしまっているんだから。

 

「なんで最後受けたんだ!!」

「…………」

「お前なら避けられたはずだ!! 僕の拳なんてゆずくんよりも遅かった!! ゆずくんとやり合えるのなら!! 僕の拳なんて……!!」

「……ハッ、飽きたんだよ。このゲームに」

「嘘だ! 死柄木……!」

「俺は死刑だろ? どのみちさ」

 

その言葉に喉が締め付けられたみたいに声が出なかった。

 

死柄木弔は、志村転孤は、どんな裁判を経たところで死刑だろう。それは変わらない。変わることのない事象だ。その事実が変わることはあり得ない。心神の喪失であったり、操られていただとかそういう事情もあるだろう。AFOに生まれたときからその全てを支配されていた哀れな道化として、そう扱われる可能性もゼロじゃない。死柄木の背後にいた悪の帝王を思うとそうなる可能性もあり得る。

 

だけど、今の日本がそういった判決を下すとは思えない。そこまでの余裕があるとは思えない。必ず死柄木を死刑に持っていくだろう。なんとしてでも。

 

それは死柄木弔というヴィランを。悪の象徴を。絶望の象徴を。模倣する誰かを作り出さないために。カリスマがカリスマとしての発言力を持たないようにするために、必ずや死柄木弔を殺すだろう。それは間違いない。僕は、反論の言葉を持たなかった。持てなかった。

 

「なら、ここでお前に殺されたかった」

「どうして……」

「罪を背負って生きろ。緑谷出久」

「…………」

「俺を殺したことじゃない。そんなことは罪ですらない。責務だ。お前は俺を殺さなくちゃいけなかった。俺はお前に殺されなくちゃいけなかった」

「…………」

「わかってるだろ? 他の誰かじゃダメだった。エンデヴァーでも、オールマイトでも、ましてや爆豪勝己なんかじゃ断じてダメだったんだよ。俺を殺せたのは、俺を殺さなくちゃいけなかったのはお前だけだ」

「……」

「そして、お前が背負わなくちゃいけない罪はそれだけじゃない。わかってるだろう? わかってるよな? だからそんな顔をしているんだろう?」

 

今から死柄木が言う言葉を、僕は理解していた。

 

読めていた。なんて言うのかなんて、僕は分かりきっていた。

 

だって、僕もそう思うから。

 

 

「お前は舞妓譲葉にはなれないよ」

 

 

ゆずくんに呪われた彼の、ゆずくんに呪われた僕への、重くて、深くて、濃い呪い。

 

逃げられないほどに、逃がさないほどに、濃い呪い。怨嗟の呪縛は、僕の体を押さえつけて、逃げられないように押し付けて、地面に縛り付けて、ただ、僕がもう飛べなくなっていくのがわかる。僕がヒーローになるその瞬間を、求めて、求めて、焦がれて、焦がれてきた僕だからこそわかる。この呪いは、きっと最後まで、僕が死ぬ……デクというヒーローが朽ちて果てるその瞬間まで重くのしかかり、僕を雁字搦めの中に閉ざす、楔で。

 

 

“呪い”だ。

 

 

「理解できたか? できてるよなぁ? 良い面だ」

「…………」

「お前らもそうさ。舞妓譲葉は二度と現れない!! 何故か!? 教えてやろう!! なぁ、世界!! 教えてやろう!! なぁ、人類!!」

 

その声はどこまでも透明で、それでいて邪悪に濁って、純粋な悪意だけが充満したこの世界で、ただその悪意だけを混ぜ込んだその声がしている。

 

「お前たちが差別をする限り!! お前たちが弱者を虐げる限り!!」

 

誰かが息を飲んだ。それは、今まで一番ゆずくんに似ていたからか? それは、今までで一番死柄木弔という存在がヴィランであるということを示したからか?

 

それとも、僕が死柄木弔を恐れたからか?

 

「無個性に生まれた善性の塊が!! 悪に堕ちる土壌が肥えている限り!! 真の意味でのヒーローは生まれてこない!!」

 

腹に穴が空いてなお、叫び続ける死柄木の声は確かに電波に乗って、多くの人の耳に届くだろう。多くの人の目に届くだろう。多くの人に、後悔と、懺悔を植え付けるだろう。それだけのものを、目の前に出し続けるだろう。

 

死する場面になっても、死柄木が提示したのは、ただ、ただ純粋なまで、純粋なまでの、愛。

 

「お前たちを虐げる強者に!! 天使も善も微笑まない!!」

 

とびきりの、そこに向かうことが当然であるだけの愛。

 

「無個性を障がいであると決めつけるお前たちに!! 正義なんてない!!」

 

カメラは見ている。死柄木弔の最期を。一生に一度の告白を。愛を告げるだけのただそれだけの様式美を。

 

「弱者だ!! 誇り高き!! 虐げられてきたものたちこそ!! 反撃の狼煙を上げる!! 俺がそうであったように!! 舞が!! 舞妓譲葉が!! そうであったように!! 純粋であり! 無垢であり!! 無力であったからこその虐げられてきた弱者だけが!!」

 

それは、誰もが目を背けた。……オールマイトですら目を背けた、事実。

 

『無個性はヒーローになれない。そこまで甘い仕事じゃない。……事件に関わりたいなら警察という手もある。あれもヴィラン受け取り係などと揶揄されてはいるが立派な仕事だ』

 

無個性には、夢も希望もない。何も与えられない。

 

生まれたときから敗者で、地面を這いつくばるしかない、そんな弱者が、声を上げた。悪としての産声を上げた。そしてけたたましいまでの地割れの音となって、善も悪も混沌のままに飲み込む津波の音となって、僕たちの元にまで現れた。それが、死柄木弔だ。それが敵連合だ。

 

そこに、ゆずくんが居たことはある種、運命だったのかもしれない。運命だったんだろうと思う。

 

『お前たちはクラス替えで『個性は何?』って聞かれたときに無個性って答えた時の周りの動物を見る目がわかるか!? 猿を見る目がわかるかよ!? お前らは俺たちが馬鹿にされてる声がわかるか!? お前たちは努力して、なんでもできるようになっても個性がないだけでスタートラインに立てない人間未満の存在の価値がわかるか!?』

 

初めから猿なんだ。

 

猿だったんだ。だから、彼らは結託した。弱者だったから。

 

強者たる悪に立ち向かうのが正義だと、弱者のために立ち上がるのが正義だと思ってきた。そうだと、思ってきた。だからヒーローはかっこいいんだと思って生きてきた。みんなそう思ってヒーローに憧れてきた。それを覆す、あまりにも理不尽な弱者の証明。

 

初めから猿だった、僕たちにしかわからない証明。

 

ゆずくんと、僕だけしかわからなかったはずの、証明。

 

『個性っていうのはつまるところ“アイデンティティ”だろ!? それがないって、つまりキャラがたってようがなんだろうがそれだけで生きてる意味がないんだ!! 人権なんてないんだよ!! もうどうしようもなく、ゴミなんだ!! 生きてても何も始まらない!! 無個性で優れていても!! 個性ありの凡俗の方がこの世界の“普通”なんだ!! 俺はどう足掻いても普通にはなれない!! 普通以上になれない!! 劣等種だった!! お前たちは15年間!! 猿の扱いを受けて来たことはあるか!? なぁ、教えてくれよ!! 何黙ってんだよ! 俺に教えてくれよ! なぁ! おい!! 教えてくれよ!! 気持ちがわかるんだろ!? なぁ! そういう個性だったりすんのか!? ハハハハハハ!! 笑えねぇよ!!』

 

それは、僕とゆずくんが一貫して持っていた大事な共通認識。

 

『だって、無個性ってのは罪深い猿なんだからさぁ!!』

 

僕たちは猿なんだ。人じゃないんだ。無個性だったんだ。……それを、僕たちは心の奥底に秘めていた。だから、オールマイトに夢を諦めろって言われた初めは、すごくすごく悔しかったろ。なのにその日のうちにゆずくんにすら言わないで、言えないでヒーローになるって決めた時に……僕たちは、破綻していたんだ。

 

 

「俺はここで負ける! 死ぬ! 譲葉を守れなかった俺は!! ここで死ぬさ!! でも正義が勝って悪が滅んだんじゃない!! ヒーローが勝って、ヴィランが滅んだんじゃない!! 逆だ!! たった一つの巨悪で!! お前たちはズタボロになったんだ!! 意味がわかるか!? わかるよなぁ!! 脳裏では理解しているんだ!! 変えたければ叫ぶしかない!! 変えたければもがくしかない!! 変えたければ!! 変えたいなら!!」

 

死柄木は霞む視界を無理矢理開けて、そこにヘリコプターを映した。そのままよろけるみたいに、もう最後の力を振り絞るみたいに指を伸ばしてカメラに向ける。

 

「次のヒーローは誰だ? 次のヴィランは誰だ? お前らの……お前らの正義はなんだ……?」

 

あぁ、オールマイトが世界を変えた。

 

ゆずくんが世界を変えた。

 

そして、死柄木が今から世界を変える。

 

僕には、僕には、変えられない……

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

「次は、お前だ」

 

 

ニヤリと、死柄木が笑った。ゆずくんみたいに、その手が落ちる。目から光が消えて、それから世界を乾いた風が撫でた。

 

光が差していく、雲の狭間から漏れ出た光が僕たちのことを照らす。

 

それは、答えのない問題を突きつけられたような。僕たちに、ヒーローに、そしてヴィランに、どちらにもなり得る市民たちに、問いが突きつけられた。天に高らかに声を上げるようにすら、不遜にも倒れて、地に臥しながら世界中に向かって、全世界すら変えるようなその言葉は、世界の命運すらも変えることになる。

 

そんな“呪い”が蒼天に注ぐように歌われた。

 

 

そのとき、既に雨は上がっていた──。

 

 

 





二万文字くらい書いたつもりでいたけど全然15000いかないくらいで横転。あらまぁ、大したことないのねぇ〜!! それはそれとして楽しんでもらえましたか? この戦いの結末を、刮目してもらえましたでしょうか。弔くんの最期はまるで決まっていたかのように、出久くんの拳が吸い込まれる形で決着しました。そして、あの告白も、なんかそうなった感じします。

ヒーローもヴィランも、誰も彼も、自分が望む世界へと至るためには行動しなければいけないんですよ。自分が望む世界に至るためには、自分の全てを賭してでも、求めなくちゃいけないんですよ。と、作者は思ったり思わなかったりします。

今回もんこにゃさんありがとう! 「弔くんの色気がムンムンで勝ち」って言ったら「日本語なのに意味がわからない」って言われて草でした。いやでも色気えぐいし……こんなのえちえちフェスティバルじゃん?

さて、この物語も残すところあと何話? もうすぐ終わりますね。この物語のラストは美しく締めますので!! このままあと数話楽しみにしていただければと思います!! 後悔はさせませんよ!!

そして次は超ロングバージョンの掲示板回です! ラスト楽しんでくれたら幸いです!!

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