長生きしたいけど、生来魔術のせいで生き残れるか怪しい私です。   作:スラム街のオーク

12 / 13
ふうまとの合同戦線になる件

 ハロハロ、メリークリスマスイヴ! と言うわけでこんばんはこんにちは、ツクヨさんです。

 

 私は現在、横須賀付近が米連勢力下の基地に奇襲をかけて、やっこさんの最新装備ことバスターシューターを強奪したところです。

 血液を燃料に飛ぶファンネル……恐らくは私のブラットマテリアルと同じ原理でエネルギーを生み出してるのかな? と興味が湧いて思わず奪ってしまいました(テヘペロッ

 

「解析と改造施して誰かに配備しよーかなー……およ?」

「動くな!」

「ありゃ、生き残りがいましたか……っと」

 

 指を鳴らしてシールドを錬成、浮遊させてこちらの死角に滑り込ませます。 ギャリって音を立てて弾かれるのはカービン弾。

 

「勇気と蛮勇は履き違えられる忌々しい美学ですよねー。 スナイパーの方が死角から私を狙う手筈なのでしょうが、私を仕留めたければ光速の弾丸を用意してくださいな」

 

 言いながら私は生き残りの兵士に錬成した神経毒を撃ち込んで昏睡させ、スナイパーには波紋(ゲート)から射出した20の鉄槍で串刺しに。

 うん、やっぱ‘王の財宝’をモデルに空間魔法を使うのは爽快感と全能感に満たされるから楽しいです。横須賀の制圧戦はこれで終了かな? と、この(・・)私が意識を保っていたのはその瞬間まででした。

 

 米連の持つ対地ミサイルでは現代でも一線級の旧世代の性能を誇ってるわけだけど、これって……気化爆弾じゃん!? それを基地に打ち込むとは米連も相当追い詰められてるんだろう。その日、横須賀から米連の基地が1つ消えました、まる。

 

 ☆

 

 月夜が目を醒ます。 彼女の所在は限定空間域《私だけの箱庭》である。

 ゴポリ、コポリと培養液の中で目覚めた彼女は単純な魔力操作により容器を変形させて破壊、外に出る。

 バチャバチャと培養液を撒き散らしながら、口の中を満たしていた液体を吐き出してからなんとか口を開いた。ぜぇ、ほぅと大きく呼吸しながら胃に溜まった培養液もおろろ、と吐き出す。呼吸そのものは一時的に止めていた

 

「ごほっ、ぐぅ、おえぇぇ……はぁ……マズっ……はぁ、はぁ……」

「ツクヨ、お帰りなさい。大丈夫なの?」

「んー……やっぱホムンクルスの器じゃオリジナルに匹敵できないかぁ……どーしよーかなこれ。あ、うん。ただいま、レベッカ」

 

 タオルを持って肩にかけてくれたのは彼女の腹心となりつつあるレベッカだった。全裸で箱庭を歩き、魔力を依り代に普段の白衣と衣服を錬成して着直す。1つの容器の前に来ると、回収した魂魄……生命エネルギーをその容器に注ぎ込んだ。

 

「改造値はもはや十分。 これまで何人殺し続けたワケだか、もう数えんのも馬鹿馬鹿しいなぁ」

「大丈夫よ。ツクヨは基本的に悪人や裏切り者しか手にかけないじゃない」

「命を弄しているのに違いはないさ。ま、私にとって探求をやめろってのはもう死ねって言われてるようなもんだし」

 

 敵対者、魔族、人間問わず彼女に魂を差し出した。 賢者の石を用いてそれらを濾過し、純粋な生命エネルギーへと変換されたそれを肉体に取り込ませ続けている。

 

 それは禁忌、《不老超克》の獲得を意味する挑戦。

 

「人間換算にして3万5069人分の生命力を注いだ。それを貪り食い続けた私は魔女、罪深い紅蓮に焼かれるべき災厄の魔女扱いされても文句は言えないかな? どこで道を踏み外したのなんか考えても意味ないか」

「でも、それは貴女の挑戦でしかないわ」

 

 2人が容器を撫でてつぶやきながら、それを見つめる視線の先には眠るツクヨの肉体があった。原初にして罪の原点、オリジナルの加持谷月夜がそこにいた。

 

「興味と好奇心しかもう私には残ってない。 心赴くままに命を、人を弄ぶのはまだ抵抗あるけど、その感覚も薄れてるかな? 時間の経過って本当に怖いねぇ」

「大丈夫よ、その時は私も外道に落ちてあげるから」

「なら、私はそんな未来を否定しないとね♪」

 

 [死にたくない]と、その想いが彼女を突き動かす。 他者の存在など道端の石ころ同然。 己の眷属やここまで面倒を見てくれた上官のアサギ、元たいまにん(誤変換にあらず)と言う組織に残った忠誠心。それこそが今のツクヨを作る心。

 

「老いるのが嫌ならそれ以上に生命力を得ればいい。 我ながら暴力的な持論だよ、全く。 ま、反省はしないけどね」

「ふふ、らしさを失っていないなら……」

 

 そっと、レベッカはホムンクルス体のツクヨと唇を重ねる。身長的に彼女が背伸びしなくてはいけないが、それを避ける事なくツクヨは受け入れる。

 

「私は強欲なの。貴女の幸せも、私たちの貴女への愛も全てを私のものにしたいくらいには」

「わかってるさ。君たちのためにも私は死なないんだよ」

 

 自嘲の笑みを浮かべてツクヨは魂を腐らせる七罪を他者に渡した。色欲はとある赤いロリ巨乳に、暴食は自称とある傾奇者の末裔、強欲はレベッカ、怠惰はキリン、嫉妬はリディーナ、憤怒はキシリア、傲慢をアイナに渡していたのだ。

 

 七罪を得た彼女らは時間の停滞を経験することとなる。 ツクヨがこの世に存在する限り、全盛期にまで肉体は戻る。 青天井の成長能力を与えられる。

 

 赤いロリ巨乳及び、傾奇者のツクヨとの出会いについては緊急時につき、割愛させてもらう。

 

「頃合いといえば頃合いかな? そろそろオリジナルに私を戻さないとねぇ」

「でも、まずはやらないとダメなことが一つあるわよね?」

「もちろん。さぁ、みんなのもとに行こうか私のレベッカ」

 

 身を翻し、ツクヨとレベッカは箱庭を後にする。 全ては、同盟のふうまを救うために。

 

 ☆

 

「オッケー、みんな集まってるね」

 

 私設武装部隊月の奇術団(ムーンキャンサー)の面々が円卓を囲うように立って待機してくれていた。

 

「んじゃ今回の作戦、まず先に言っておくとふうまとの合同戦線になるよ」

 

 みんなを席に付かせて私はブリーフィングを開始する。

 

 東京キングダムにて見つけたふうまの頭領は記憶を取り戻し、私に時子さんから力添えの訴えがあったので支援すると伝えたら「一応、感謝はしておく。 勝手にしろ」という言葉をもらったので……勝手にしてやろうと思います。

 

「まず、アイナさんに配備したバスターシューター改。 これについては量産も視野に入れてデータ採りをお願いね」

「ああ、任せな。 責任持ってこいつは酷使してやるよ」

「んで、まりちゃんとキリン、前田さんで陽動をお願いするよ。 ふうまの頭領の拠点から逃げ出したクローンアサギの対処は私とキシリア、アイナでなんとかする。 正直、前回よりも強くなってる可能性が高いけど、問題ないよ」

「わ、わかりました! みなさんとは初任務ですが足を引っ張らないようにがんばりますね!」

「某も皆の衆とは初の戦さ場。何卒、ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたしまする」

 

 対魔忍より、引き抜きをしてしまったが。赤い対魔忍スーツを纏う金髪巨乳の子は篠原まり。ウチでは最年少ではあれど、超人クラスの怪力ならびに卓越した土遁の使い手で支給した装備の対魔ブレードを展開できるトンファーには彼女の忍法を封入した小さな巻物を爆破する巻物弾を試験的に使っていたらしく。

 

「まりちゃんにはこれ、そのストレージに巻物弾を装填しておけば対魔粒子を使う代わりに複製できるようにした簡易複製機(フェイク・スクロール)を預けとくよ。壊さないでね?」

「は、はひ! がんばりますね!」

「それから前田さん、穀蔵院一刀流って型がないんだよね?」

「うむ、某の一族に伝わる戦法であり型は存在せぬ。開祖たる前田利益もまた、獣の如き速さと膂力を持ってして決して縛られぬ‘雲の彼方’を顕さんとするほどに自由な戦法であったと聞く。千手院村正は我が手に残ったが、婆やの話では朱槍を度重なる後世の戦禍の中で失って久しいと聞いている」

 

 黒髪のポニーテールはどこか髷を連想させ、身に纏う虎の毛皮やらで装飾された派手な衣。その下にはウチの技術部が作った対魔スーツで身を固め。精悍で凛々しい顔つきは快活明朗な笑顔を絶やさない乙女。彼女は前田慶華(マエダケイカ)

 キシリアさんの紹介で眷属にした傾奇者であり、先祖代々傾奇者を貫くと言う言うなんとも……歴史ある家の生まれだそうで。ただ‘益荒男’と生まれることができなかったことを悔やんでいるらしく。

 その、えーと。子種を女子に仕込めるようにしてほしいと私に願い出てきた。ええ、今彼女にはその、アレが付いてるので……とりあえず己が胎にもなり。孕ませるもできるとあればとそれでいいと、私に忠義を誓った変わり者なのは確かだろう。

 

「その朱槍を再現してみたよ、待てる? これ大体40キロあるけど」

「誠か!? いやはや、やはり持つべきは太っ腹なお館殿だな! うむ、これならば一騎当千、どんな輩も血煙に変えてやろうぞ!」

「じゃあ、陽動は任せるよ」

 

 彼女に渡したのはとにかく重い槍。金属密度を極限まで高めて鍛えた玉鋼の穂先に同じく極限まで圧縮した鉄の芯を持つ柄に重心が偏らないように重くした石突。柄を朱色に染めた革で包んで作られた槍を彼女に渡した。

 全体の長さは彼女の身長に合わせて5.2メートルとめちゃくちゃデカいのだ。まじで長いから私じゃ使えないよこんなもん。

 

「レベッカは《三日月》五騎と《満月》二騎を任せるから、《新月》に乗ってミサイルによる飽和攻撃を残りの米連基地に叩き込んでちょうだい」

「支援が面倒なら潰すのね。古巣だけど……悪い米連にはお灸が必要だわ」

 

 采配に異議があるなら、と聞くが皆は黙り。 まぁ異議なんてあってないものか。私の背後の影が蠢いて、人が二人ここにやってきた。

 

「世話になるぞ、ツクヨ」

「この子がツクヨ? 私と同い年に見えるけど……かなり出来るみたいね」

「同盟の要請を蹴るのは私の流儀に反するし、ふうまに斃れられると困るからさ。 話は聞いてるよ、若い方のさくらさん?」

 

 そこから現れたのはふうまの頭領さん。 そして、話にあった別次元のさくらさん。若い方から、若さくらさんと呼ぶほうがいいのかな?

 

薔薇の君(イバラのキミ)の手を借りれる俺は悪運が強いのだろうな。 時子を……姉上を奪還してあのクソ親父を殺せばこのふざけた闘争も終わる。 それまで手を貸してくれ、ツクヨ」

「構いませんとも。 だって私はあなたの同胞よ?」

 

 違いない、と頭領さんは笑う。 彼の手を取り今宵、私達は動き出す。

 

「んじゃ、トドメを刺しに行きましょうか……ふうま弾正に」

『応ッ!』

 

 私たちは作戦を開始した。 この闘争にケリをつけて、平穏を取り戻す大事な戦いが始まる。さぁ、ここからはショータイムだ!




 皆様、評価つけられる場合一言くらいはほしいかなと思います。あと無名評価とか言うイタズラは滅べばいいと思います。
 付け逃げって言うよくわからない事されると何が不満なのかこっちは首捻るしかないので……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。