目の前にずらりと並んだ屋台...?まぁ露店がひしめき合い、奥のデカい切り株のステージでは民族味あふれる音楽をたくさんのエルフが楽しそうに演奏していた。
「ほっほっほ、こやつらは祭りが大の好物でして、こうして何かあるたび理由をつけて祭りを開くのですよ、ささ、御使い様は特等席へどうぞ行ってらっしゃいませ。案内は任せたぞ、ウルシエット。」
江戸っこみたいな感性してるな。
「行きましょう御使い様、ショーが始まってしまいますよ!」
ウルシちゃんにされるがままに引っ張られ連れてこられた特等席、ちゃっかり手に入れたお好み焼きっぽい謎の粉物は通り過ぎた露天の店主が俺に投げてくれたものだ、
味といえばソースの代わりにケチャップもどきかけたらお好み焼きと言ったところか、うん、悪くないな、祭りっぽい味してる。
「御使い様、今から始まるショーの簡単な解説をしますね、
まずお話の最初は今より何千年とも何万年とも言われるほどの昔、神と魔王の戦いから始まります。
なんやかんやあって勝利を収めた神ですがあまりの負傷の大きさに神も倒れてしまいます、亡くなる寸前にこの世界に施した加護、それは魔王の復活を防ぐための装置とそれの担い手の召喚です。
そして今から始まるショーは魔王の復活を防ぐ担い手の冒険を元に作られたものです。」
うん、解説ありがとうウルシちゃん、ごめんだけど後半ちょっとついてけなかったわ。
「まぁ簡単な予備知識です、大事なのはショーですからそっち見ましょう!あとその粉焼きはどこで?」
「なんかもらったやつ、そこそこいけるね。」
「私たちの間じゃ老人しか食べないですけどねそれ、まずいですし。」
「!?」
衝撃の事実に固まっていたのも束の間、あたりの照明が消え、夜本来の暗闇が訪れる。
「始まりますよ、御使い様...!」
なんかウルシちゃんかわいいな、
暗転による辺りのどよめきが収まり、皆がショーの始まりを確信し、静まり返った瞬間、
待ってましたと言わんばかりに眩いスポットライトが中央のステージを照らす。
そこに居たのは竪琴を持って耳の長い青年、聴く人を幻想へと誘う歌声が糸を弾く音と共に紡がれる。
「混沌の時代、絶望の時代。希望は無く、あるのは殺戮と飢餓。
魔の王は嗤い戦場に惨たらしい死を求めた。
人々は死に、亜人も死に、死に死に死んで、産まれる者の先暗く、生きる者の道はなし。
しかし降臨せし神が視線を向けると、その先は緑が生え、怪我人は癒えた、神が腕を薙ぐと魔の者たちは死に絶えた。
やがてあい見える魔の王と神、互いに引くことなく魔の王は常に嗤い、神は憤怒に身を奴し魔の王を殺し続けた。
5度目の朝日が昇る頃、神は魔の王を討ち倒し、魔の王は詛を残し嗤いながら死に行く。
そして神は2度日が昇る前にお隠れになる、我らに神の御使いと封印を贈って。」
一通り終わったのか青年は立ち上がり一礼、周りは有らんばかりの拍手を贈った、かく言う俺も存分に見入っておりスターディングオベーションであった。
もうね、現代のコンサートと同じくらい鳥肌立ったね。
八割方何言ってるのか分からなかったけど、うん、雰囲気すごかった。
「何度みても飽きませんね、どうでしたか御使い様?」
お目々きらっきらのウルシちゃん、前...世界?俺の元の世界での立ち位置がよく分からないけどそっちではあまり劇場とか行かなかったからとても新鮮な気持ちで楽しめた、今度からは劇団を見る趣味もできそうだ。
宴もたけなわ、劇によって最高潮まで上り詰めたこの宴もそろそろ終盤だろう。
今のうちに屋台の料理を食い漁っとくに限る。
ウルシちゃんと一緒に買い集めた屋台料理を食い漁って居ると長老...名前何だ?
「ほっほっほ、お楽しみ中すみません、因みに私の名前はフランキーでございます、どうぞファンキーGとお呼び下さい」
「!?!?」
心読まれた!?てかなんだファンキーG!?
「長老、失礼ですよ。」
「ほっほっほ、冗談です、私はウルヴァリと言う名前ですが、もう歳ですので、気安く長老、とお願いします。」
「ああいや、別に大丈夫ですけど、俺の使命?とかに関する話ですかね?」
「そうですね、歓迎も喜んでもらえたようですし、そろそろお話いたしましょう、私としてはもうちょっと飲みたいのですがね?」
「うわばみじじい...」
おっふ、ウルシちゃんの蔑みボイス、なかなか貴重なのでは?よくやった長老、俺もどうかとは思うけど。
そして3人で料理をつまみながら長老は語った