悪友ふたり。   作:藍繕なつき

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悪友ふたりのエピローグ。
参加したAISへの感謝も含めて、イベリア陣営の皆と一緒に打ち上げをしたいと思い書いたもの。


ほろ酔いの夜に。

「お疲れ様でした!」

 人工海を臨むホテルの一室にイベリア出身のオペレーター達が集っていた。ソーンズにウィーディ、ウィスパーレイン、アズリウスにグラウコスにインディゴ。そして僕、エリジウムね。それぞれがグラスを掲げて、テーブルを囲んで賑やかなグラスの音を響かせる。乾杯!

 アーミヤの取り計らいもあって、僕達イベリア出身のオペレーター達は社員旅行とでも言うべき余暇を過ごしていた。人口海に面したビーチで二組に分かれてバレーをしたり、スイカ割りをしたり。訪れた海の家のサイダーで喉を潤した後、かき氷を食べたり。夜になった後は、海風の吹き抜ける浜辺でソーンズの用意した花火を楽しんだ。

「今回の旅行、楽しかったね。」

 ウィーディがコップに入ったオレンジジュースを眺めながら、テーブルの皆に向けて言う。

「私、行楽目的の外出なんて殆どして来なかったから。すごく新鮮だった。」

「はい。私も、同じです。」

 朴訥な口調で熱心に返すグラウコス。

「とても、楽しかった。私の中で輝く思い出が、また一つ増えました。」

「私も、またこうして皆で集まれる機会があることを願いますわ。」

 アズリウスも微笑んでそう言う。

「アズリウスさんにグラウコスさん、ウィーディさんにウィスパーレインさん。そして、エリジウムさんにソーンズさん。皆さんがいるここは、とても暖かい。光で満ちています。」

 いつもの穏やかな口調でそう言うインディゴ。

「ウィスパーレインは?どう、楽しかった?」

 ウィーディが静かにお酒を嗜んでいるウィスパーレインに声を掛ける。ウィスパーレインは自身の記憶の脆さゆえに人を避けがちでいるから、そんな彼女を皆の輪の中に入れてあげようという、ウィーディなりの気遣いなのかもしれない。

「ええ……楽しかったです…。」

 ウィスパーレインは俯いたまま答える。

「あの…皆さん。後で…写真を撮りませんか?この思い出を、形にして残しておきたいんです…。」

「良いね!そう言えば集合写真撮ってなかったし、皆で撮ろうか。」

 僕が同調して、テーブルを囲んだ皆も頷いてくれる。

「早速ここで一枚撮るとして。もう夜だしさ、集合写真、明日の明るい時にも一枚撮りたいよね。明日宿を出る際にも撮ろうか。ブラザー、逃げないでくれよ?」

 僕はソーンズにわざとらしくウィンクする。

「写真は苦手なんだが。」

 酒をあおりながら渋い顔をするブラザー。

「そんなこと言わないでさ。ブラザーも今回の旅行、楽しんでたでしょ?ビーチバレーとかも張り切ってたし、手製の花火も皆に渡してくれたしさ。」

「そうなんですか?ソーンズさん。」

 グラウコスがソーンズに視線を遣り、皆の視線が彼に向く。

「…好きに解釈してくれ。俺は知らん。」

 むすっとした様子。あ、照れてる。僕は笑みが漏れてしまう。自分の研究や効率重視のあいつでも、同郷の仲間との繋がりは無下に出来ないみたいだった。

「それじゃ、誰のカメラで撮ろうか。僕の端末に付いてるやつでもいいけど。」

「私のでいかがかしら?作ったスイーツをSNSに上げる用に、良い物を使っていますわ。」

「いいね。それでいこう!それじゃ、皆、そこに集まろうか。」

 アズリウス、グラウコス、インディゴが並んで座ってる辺に集まることにして、三人の後ろにウィーディとウィスパーレイン、その二人の外に気乗りしない様子のソーンズと僕が寄ることにする。

「リーフ、窓を閉めて来てもらえる?」

 立てかけたカメラが風で倒れないように、ウィーディがサポートロボットに指示出しして開け放していたホテルの窓を閉める。窓が閉まり、窓から吹き込む海風が止まる。海風の匂いがまだ室内に残っていることを感じる。

(僕達は、海の見える国からやって来た。)

 窓を隔てた外に見える昏い海。僕達は皆、故郷であるイベリアに対して複雑な想いを抱いている。失われた栄光、海からの脅威…。

 故郷を同じくする僕達は、ロドスという方舟で巡り会った。そして、少しでも世界をより良くする為、皆で尽力している。

 だから、笑うんだ。僕達はこうして、温かい場所をつくることが出来るのだと。僕達を取り巻く世界がどんなに冷たくても、僕達はそれに抗いたい。

「おっけ、皆寄ってー!」

 僕は固定したカメラのタイマーをスタートさせ、身を寄せ合った皆の中に僕は駆け込み、皆でカメラを見詰める。

 きっとこんな温かさが、これからも続いていくことを願って。

「はい、チーズ!」 

 

 

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