風がなびく暗闇の時。
額に縫い目のある人物がいる。
この体の名はユメ。
元アビドスの生徒。昔に死亡したとみなされていたものの生存が確認された存在。
「・・・始めようキヴォトスで最大の呪い合いを。」
この世界の呪いを知りたくて。神秘を知りたくて。
ただ、この世のことを知りたいという探求心のみで行動する。
それが彼女の行動原理。
彼女の後ろにはゲマトリアと呼ばれる人物がいる。
もちろん、彼女もその一人なのだが。
「くれぐれも先生は殺さないでくださいね?」
と黒いスーツの男が言う。
「それはわからないさ。全ては先生次第さ。」
ゲヘナ事変・・・開幕
________________________________________
ゲヘナを何かが覆う。
もちろん、それをすぐに反応したクロノス学院の生徒が取り上げる。
『一体ゲヘナで何が起ころうとしているのか?!我々は徹底的に調べます!』
この"結界"は外からは誰でも入ることができる。
だが、中からは出ることはできない。
ヘイローを持つものの場合のみ。
ヘイローを持たない場合はいつでも出入り可能となっている。
その"結界"の近くに一人の生徒がたつ。
夏油スグリ。
最恐と恐れられる生徒。
その実力は単独でキヴォトスを転覆可能である。
その人物が"結界"を見て悔しそうな顔をしながら内部に入っていった。
________________________________________
私はゲヘナに異変を感じた。
だからこそ急いだ。
するとそこにはゲヘナ地区のほとんどを覆うほどの帳があった。
「やられた!」
ここまでの呪術テロだ。
おそらくあの額に縫い目のあるあいつが関係しているのだろう。
すぐさま帳の内部に入る。
そこは濃い呪いの気配で覆われていた。
さらに言えばいつも騒がしいゲヘナなのだが、心なしか銃声も増えていた。
「そこのお前!夏油スグリだな!」
と話しかけられる。
振り向けばそこにはなぜか呪力を扱うゲヘナ生徒が大量にいた。
「なるほどね。仕込まれてたってわけか。」
なぜ本来扱えない呪力を扱っているのかなどは関係なかった。
「私の前に銃をもって現れたんだ。覚悟はしてるよね。」
相手が銃を構えるとともに駆け出す。
たとえ、呪力を扱えたとしても多少の身体能力が強化されるくらいなら私の動きを完全にとらえることすら厳しいだろう。
拳で攻撃すれば基本的に一撃だ。
「・・・君たちがどんな気持ちで私を殺しに来たのかわからないけど。弱いやつが多少強化されたとしても弱いんだよ。」
相手を投げる。
銃弾が当たったとしても私に傷はできない。
「これで終わり。」
最後の意識がある生徒に攻撃する。
「やっぱり中央に行くにつれて呪いの気配が濃い。」
早くこの帳を閉廷しなければ、私にはそんな考えしかなかった。
中心部に行けばそこには見覚えのある人物がいた。
「やっと来たかい?夏油スグリ。」
「・・・お前を殺す。」
「怖いね。因果に関係のない人物である君が。」
やつの言葉はいまいちよくわからなかった。
だが、小鳥遊ホシノには悪いけど今ここでこいつを殺すことしか私の頭にはなかった。
この人物は今後生かしておけば、いづれ最悪の状態になるそんな状況にさせてはいけないと消えたはずの前世の人格が叫んでいた。
私はすぐさま駆け出す。
圧倒的なフィジカル。
それに通ずる、格闘技術。
それはこの世界で培われたもの。
少なくとも私のフィジカルを超えるものはいない。
「は?」
次の瞬間には私の視界には地面が大半を占めていた。
「君のフィジカルは呪力というものに依存している。それに対しても技術は確かに高いけど私がそんな君と真正面から戦うと思う?そもそも、君は周りが見えてなさすぎるよ。いつもの君だったらこんなことは起きなかっただろう。」
私はすぐさま後ろに下がる。
そして呪霊を繰り出す。
ワーム型の呪霊。
原作でも似たようなものを使っていた気がするが関係ない。
だが、ワーム型の呪霊はすぐさま払われた。
いや、祓うとは違う。何かが違った。
「・・・祓うというより消滅?」
「ご名答。私は真正面から戦わない。君であるならなおさら。最強に対して何も対策しないわけがないだろう。」
そういうやつの後ろには何かが現れた。
私は深呼吸をする。
いつも通りにやればいい。
焦るな。
そもそも、私がここまでやつに殺意をもつ理由がなんだ?
わからない。
だけど、やらなければならない。
そんな気がする。
ただそれだけだ。私はそれに従うだけ。
私は笑顔を無理矢理作る。
「楽しくなってきたね。」
そう言った。