ヒナとの戦いはかなり疲れた。呪霊を使った近接戦はよかったが私自身はともかく呪霊の損害がかなり出た。低級とはいえ、呪力で強化しているにもかかわらず200体近く倒された。
・・・これ以上呪霊をやられるのは困るので降参したのだが、ヒナはどうやら満足しなかったらしい。
「なんで、途中で戦うのをやめたの。」
「・・・私の実力を示すテストならこのくらいで十分だろう。」
「そうだけど・・・。」
どうやら彼女にとってこの戦いは楽しいものだったらしい。だが、私としてはあまり戦いたくはなかった。
「・・・また、いつか戦うときはあるだろう。それより、テストの結果を教えてほしい。」
「合格・・・。というより、あなたは今日から私が副委員長に推薦していい?」
は?と思った。彼女の望みがそこまで通るものだろうか。
「いや、副委員長ではなくていい。私は私で自分の力でヒナ・・・あなたの隣に行く。」
そう言えば彼女は安堵の表情を浮かべて笑った。
「ありがとう。」
そこから数か月呪霊を取り込み、不良を倒し、書類仕事をする。前世の関係なのかこれがあまりきつい仕事だとは思わなかった。
そして今日はめずらしくヒナと食堂にいた。
私は食堂にきたとき、基本的に同じものを頼む。今回もそれを頼む。
頼んだものきて勢いよく食べていく、すると、ヒナが言う。
「あなた・・・それ濃くないの?ずいぶんと味の濃いものばかり食べているけど・・・。」
どうやらこの世界ではこの料理は味の濃いものらしい。・・・そんなに濃いとは思わなかったけどなあ。
薄くはないけど普通って感じな気がする。それこそ、ヒナが食べているものはかなり味の薄いものだった。
「まあ、あなたがいいならそれでいいけど。」
食堂ではこの後も楽しい会話が続けられた。
祓う、取り込む、倒す、片付けるその繰り返し。何、そんなにきついことではない。ただ、毎日この日常が続くだけ。どうやら最近では風紀委員は私とヒナの二強であり、二人さえいなければ大したことがない、と思われているらしく。私やヒナ以外はなめられているのが現状だ。実際には風紀委員として8割近くはヒナと私が補っている。
残り2割は他の風紀委員が行っているも失敗することの方が多いのだとか。
街を歩けば、みな騒ぐ。最近流れてる噂のせいだろう。
いわく、二人は最強。いわく、一度狙われれば逃げられない。いわく、単独でも最強。
最強が二人いればより強いものとなる。そして私は最近、素の近接能力を高めている。やはりゴリラ力は必要なのだ。私は銃を使わないからね。
街の路地を歩き、呪霊を見つけ取り込む。キヴォトスでは呪霊の数がかなり多い。まあ、銃がはびこっているため当然といえば当然なのだが。
とくに用のなくなった路地を去ろうとしたとき、声が聞こえた。
「あ・・・ありがとうございます。」
それはすずめの鳴き声よりも小さな声で、力のない言葉だった。
振り向けば、小さな子供がいた。
私はその子に近づき言う。
「ねえ、あそこに飛んでいるあれ、見える?」
そう言えばこくりと頷く。
あれとは害のなさそうな呪霊である。まだ取り込んでいないやつだ。
「見つけた。君のような人がいるのを待っていたよ。おいで、私が保護してやる。」
子供は泣きながらこっちに走ってきた。
しばらくは私の家で一緒に暮らした。ヒナなどの風紀委員にも紹介した。毎日があぜ道だった状態から道路になり、お店ができた道のようだった。少なくとも、この日常を楽しいとそう思うようになった。
だけど、幸せは長くは続かない。
留守番をさせていたとき、呪霊に殺された。
呪力で体を守るように訓練をさせればよかった。呪霊の護衛をもっとつければよかった。後悔が出て涙が出る。あの子を殺した相手は特級呪霊。
「はやくー。あそばォーーー!」
そういうこの呪霊は醜かった。
それを見る私の顔も醜いものだったのだろう。
私は呪霊を使わず、徹底的に攻撃した。後悔を力にのせて。
呪霊はいつの間にか祓ったらしい。その間の記憶はない。
ヒナが私を見た時、それはもう驚いたらしい。
また、私の道はあぜ道となった。最近は呪霊玉が不味く感じてきた。あまり取り込みたくはない。
転生したときの私だったらこの状況になっても大丈夫だったのだろうか。夏油スグリとなってからどんどん前世から離れていくように感じる。
雨が降り注ぎ、雷が鳴る夜。私は風紀委員を通じて話をきいた。
ヒナが瀕死の重傷をおったと。
彼女は強い。それこそ、私は彼女より強い人を見たことがない。
調べれば、いるかもしれないが少なくとも彼女は私の中で最強であるのだ。
そんな彼女が瀕死?ありえない。どうやらヘイローを攻撃されたらしい。壊れはしなかったものの壊れそうなほど攻撃されたのだとか。
彼女がそんな攻撃を受けるとは思えないと思っていたのだが、どうやら風紀委員をかばって受けたらしい。
弱いのは罪だ。
弱ければ何もできない。
弱ければ、強いものに迷惑をかける。
弱い、醜い。同類の死。友の大怪我。
雨粒がどんどん大きくなっているなか、私は外にでる。
ヒナがやられたという噂はものの数時間でキヴォトス全域に通じていたらしい。ヒナがやられれば、次は私だと思ったのだろう。私のもとには外に出るななどの言葉がモモトークに流れていた。
ヒナに大怪我を負わせた奴のアジトにつく。呪霊を全てだし、命令する。下す命令はもちろん鏖殺だ。卑怯とは言わせないさ。戦いに卑怯もくそもないのだから。
叫び声が聞こえる。銃で撃たれるも呪力で身を守った私にダメージをいれることはこいつらにはできない。
仮に私にダメージを負わせることができたとしても私は反転術式を覚えている。回復などは容易だ。
しばらくして声が聞こえなくなった。
「そこを止まれ!」
突然、声が聞こえた。この声は風紀委員のイオリだったか。
「風紀委員に伝えておけ。・・・いや、ゲヘナ全域にだ。」
「スグリさん?!」
「私はこの学校を去る。捕まえれるものなら捕まえてみるといい。ヒナには・・・そうだな。楽しかったとでも言っておいてくれ。じゃあね。」
去ろうとする私に銃を向ける風紀委員。
「待て、この行為は見過ごせないぞ。」
「・・・君たちでは私を捕まえることなどできないさ。」
呪霊を出す。さすがに、今殺すつもりはない。低級を少しだけ出した。
「じゃあね。私はやるべきことがわかったんだ。」
私は闇の中に消えていった。
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「はい?」
「だから、夏油スグリがお前に怪我を負わせた人間を一人残さず殺し、ゲヘナを去った。」
「聞こえてますよ。だから、はい?って聞いたんです。」
ヒナの病室ではピリピリとした空間となる。
この病室ではヒナが退院するまでヒナのすすり泣く声が聞こえたのだとか。
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誰もいない。屋上に一人の少女が座っていた。
その少女には額に縫い目があった。
「夏油スグリ・・・これでようやく彼女を孤立させられたね。もうすぐだ。」
その後ろから男性のような黒い人が出てくる。
「あなたも趣味が悪いですね。」
「黒服か・・・。君に言われたくはないさ。」
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後書き的なやつ。
さて、縫い目の少女は誰なんでしょうかね。
アビドスや先生は次回あたりに登場すると思いますのでお楽しみに。
ちなみに、近接戦においてパワードスーツみたいなのがない限りは夏油がキヴォトスで一番強いです。やばいですね。どこぞの隕石女とも戦ってほしいですけど。
ではまた次回会いましょう!
誰を曇らせたい?
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夏油スグリ
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空崎ヒナ
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先生
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アビドスの方々
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全部曇らせようや
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そんなことより百合しようぜ