ネフィリム・ホロウ〜無類の機械好き、ロボゲーに挑まんとす〜   作:煌天

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ここから一つの節目となるお話に入ります。気の赴くままに書いていきますので、これからも気長にどうぞよろしくお願いします


第十二話 相棒

僕の視界に光が戻った。

昔のゲームから場面転換の常套手段として使われ続けてきた暗転は、どうやらVRゲームでも引き継がれ、根を張り続けているらしい。ただし、気絶の体験に慣れるかどうかは別問題だ。

それはともかく、ライセンスの取得テストが宣言されて間髪入れずに、視界が無くなるのはいささか不親切だと思う。

 

辺りを見回すと、何もなく広がっている白い空間にいるらしい。しかし、無限に広がっているかと思えば、数百メートル先からは一面の闇が広がっていてあまりよくわからなかった。

 

 

『ただいまよりライセンス[ネフィリムライダー]取得テスト、及び【レスキュー】入隊試験を開始します。』 

 

「あれ、さっきは[ライセンス]のテストだけじゃなかった?」

 

そう、直前には[ライセンス]のテストのみが宣言されていた。しかし今回のアナウンスでは二つのテストを同時に受けるかのような文言となっている。

アナウンスはスカーの疑問に答えるようにこう続けた。

 

我が社(ネフィリム・カンパニー)ではレスキュー隊入隊希望者がライセンス[ネフィリムライダー]を取得していない場合、入隊試験とライセンス試験を兼ねた特別なテストを受けていただきます。もちろんライセンス取得テストより入隊試験の方が難易度は高いので、結果としてこのテストも高難易度となっています。』

 

世界観的にはしっかりとした技能をもつ者を隊に迎えたいということなのだろうけど、メタ的にはチュートリアルその二だ。この状況を野球で例えるなら、さっき受けたチュートリアルが素振りで今回は練習試合みたいなものなんだろう。

 

「なるほど。そしてさっき出てきた目の前のこれは、そのテスト内容っていうことであってるのかな」

 

そう言ってスカーは目の前に浮かぶ半透明のウィンドウに目線を落とした。そのウィンドウには、様々な内容が細々と綴られている。段落や数字が振ってあって読みやすくしようという努力は感じられるけど…

うん、これは読む気さんが全力で逃走する代物だ。

 

『そのウィンドウには大小全てを漏らさないように事細かに書いてありますが、今から概要のみ抜粋してお伝えいたします。』

 

「あっ、助かります。」

 

親切なアナウンサーで本当に助かった。 

 

『はじめに、試験内容について説明させていただきます。このテストは主に3つのパートに分けられています。第一に移動や運動などの基礎運動技能試験、第二に射撃や剣術、飛翔などの基礎武装技能試験、第三に思考力や判断力を調べる応用思考力試験となっています。』

 

「ひとつ質問してもいい?僕は今日ここにきたばかりだからまだネフィリム持ってないけど、どうやってその試験を受けたらいい?生身とか?」

 

『ネフィリム系ライセンス取得テストや我が社の入社試験では、基本的には自身の保有するネフィリムへの搭乗をお願いしておりますが、我が社への入社を済ませているネフィリム未所持の方には、我が社が手がけた商品である、

機装人(ネフィリム)練習機-00】をお渡ししています。この機体は最低限の武装やブースター、システムのみを持ち合わせた練習機となっています。この機体はそのまま貴方のネフィリムとなるので、大切にお使いください。』

 

今までどこでネフィリムをもらえるかわからなかったが、カンパニーから福利厚生のような形でもらえるとは、ちょっと想定外だ。

 

『貴方のネフィリムの仕様(スペック)は、新しいウィンドウに表示したようになります。』

 

その言葉と共に目の前に、これから自分のものとなるネフィリムの仕様書が出てきた。そのウィンドウには、機体が装備している武装、アイテムなどが書かれている。

 

 

僕がその内容に目を取られていると、バンッというスイッチが入るかのような音と共に今まで闇だった自分の周囲が、不意に明るくなった。そして、自分の周りを取り囲むように広がる直方体の形の白い空間を表した。

その空間は、内壁の構造や照明のデザインが現実世界の格納庫に酷似していた。しかし現実の何十倍も広く、そしてその見た目に違わぬ働きをしている。

 

 

彼が音と光に驚き顔をあげると、そこには()()が立っていた。

 

「…!」

 

不意に目の前に現れた見上げる程に巨大なもの。

今まで闇に紛れて全く気づくことができなかったそれはーーーネフィリムだった。

 

僕の相棒となるネフィリムは内に秘める力強さを感じさせる佇まいで不動直立の姿勢をとっていた。

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