ネフィリム・ホロウ〜無類の機械好き、ロボゲーに挑まんとす〜 作:煌天
3/21 2人のイメージカラーを変更しました。それに伴い、ネフィリムの武装の差し色も変化しました。
えー、一旦状況を整理しよう。
僕は組織に入るために、このスタジアムなる施設にファルコンとニアさんと一緒に来た。
そしたら、ちょうどネフィリム同士の戦いが行われていた。そして、僕は動くロボットに興奮してその戦いに見とれてしまっていた。その戦いが終わったあとに、ファルコンとニアさんのところに戻ると、叫んでいたと言われて見捨てられかけた。それを阻止しようと思ったら、謎の二人組がやってきた。多分さっき戦っていた二人かな?そして今ニアさんが説教を始めた…。
いや、整理してもいまいちよくわからんな。
「あんたらね…もうちょいおとなしくできないの?」
呆れ顔と怒り顔を足して2で割ったかのような、なんとも言えない顔でニアさんが赤色と黄色の服を纏った男女に説教をしている。当の本人たちは、さして気に留めた様子もなくニアさんと相対している。
「近距離武器にちょっとおもしろそうな性能を見つけちゃったものでね。どうやら、出力上げるとエネルギー弾でもレーザーブレードで切れそうなんだ」
そうキラキラした目で答えるレッドのジャンパーを着た男の頭の上には「ケンジ」というプレイヤーネームが浮かんでいる。話し方がすごい知性的だ。さっきのネフィリムに乗っていたときの動きのキレの良さとは、また少し違った鋭さをどこからか感じる。
「まぁまぁ、
そう答えたイエローのジャンパーを着たポニーテールの女の頭上には、「チアキ」という文字が浮かんでいる。こちらはケンジとは異なり、先ほどの動きからは想像できないほど、のらりくらりとした話し方をしている。
しばらくニアさんとケンジ・チアキは騒がしく押し問答をしていたが、不意にチアキが僕とファルコンの存在に気がつき、顔をこちらに向けてきた。そして
「あなたたち誰〜?新人さん?」
と聞いてきた。うーん、どうしよう。このチアキなるプレイヤー、言葉の端々から話すのがとても大変そうな雰囲気を醸し出してるんだよなぁ。どう答えたものかと2人で目配せをして
「紹介してなかったね。今日初ログインの初心者の、スカーさんとファルコンさん。」
そう簡単な説明をした後、こちらへ向き直って、こんな補足説明をいれてきた。
「スカーさん、ファルコンさん、この赤と黄色の2人はまぁなんというか戦闘が大好きな猛獣かなんかだと思ってもらえれば…」
それに対して、ケンジは異議申し立てをした。
「それは失礼じゃないかい?僕は考察を始めれば、そこらの人よりも話が通じる方だと思いますよ?」
「そうかもだけどさ…」
ふぅん。……えっ!
「さっきあんなに動いていたのに、考察勢なんですか?」
………しまった、思わず聞いてしまった。いやでも仕方なくない?あまりにさっきまでのネフィリムに乗っていたときと今とでは、どちらも鋭いけど行動の雰囲気が変わりすぎているし、僕は別人説を推すよ?
「そういえば君はさっき、試合会場の外から見ていたね。そうだね、もともと僕達は対人勢だ。もといた鯖では、「フェニックス」とも何度か戦ったことがある。けど今は、考察の面白さに気づいて今まで何も考えずにいたこの世界について知りたくなってここにきたってわけさ。」
「あたしは、この人に誘われて同じ対人鯖から来たんだよね。世界観はそこまで興味はないんだけど、裏からぷんぷん匂う超科学に夢中、って感じ。」
かたや、対人から出向してきた世界観考察勢。かたや、同じところから来た化学考察勢。うーん、なーんかどっちも癖強いな…。
けれど考察勢との接点は持っておきたいし、友好関係を築けるように頑張るか。
なんて考えていた矢先、ファルコンが待ち構えていたかのように口を開いた。
「さっきの動きすごいっすね!チュートリアルで少し動いたんすけど、あそこまで細かく動けませんでした!ぜひコツを教えてください!」
ケンジとチアキはそれを聞いて、顔を見合わせて驚いていた。そしてすぐに、とても嬉しそうな笑顔を浮かべ、ファルコンと向き合った。
「褒めてくれてありがとう。対人鯖ではこれが最低ラインだったから、褒められるってすごく新鮮で、驚いてしまったよ。でもこればっかりは慣れかな。やればやるだけ慣れていく、そういうもんさ。」
「そーそー、みーんな当たり前な顔してエグい動きしてくるんだよねー。元いた鯖ではわたしたちでもせいぜい上の下ぐらいじゃない?」
大したことないかのように言っているが、それでも充分凄いことだと思う。ぜひ見習いたいものだ。
そのまましばらく話していると、唐突にチアキが僕に向かって、
「ところで、あなたたちはなんでここにきたの?見学?」
と聞いてきた。えっと、うーん?なんだっけ…
………っは、思い出した!組織への登録をしにきたんだった。ニアさんの方を覗くと、話を変えられたのがよほど不服だったのか、膨れっ面で渋々といったふうに答えた。
「この2人、今日が初ログインだから、登録しようと思ってね。」
「あぁ、なるほどそうだっだね。どこに入るかはもう決めているのかい?」
と、ケンジは僕らに聞いてきた。どこに所属するかね、うん、
「一応もう決めてます。」
「俺も決まってますよー。」
ファルコンも決まってるのか。僕ら2人が肯定の返事を返すと、ニアさんはそれを聞いて、じゃあもう説明会行かなくてもいいかな?などと独白した。そしてすぐに、こんな提案をしてきた。
「じゃあお二人さん、同時に発表するというのはどうですか?」
あー、なるほど楽しそう。別に僕は問題ないしいいと思うかな。ちらっと隣を見ると、どうやらファルコンも同意見らしい。では、発表するとしようか。
「「せーの…………」」
同時に答えた声は、しかして不協和音を奏でた。
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