「余だぞ!」
教室の机で本を読んでいたら元気いっぱいな百鬼さんがこっちに近づいてきた。
「どうかしましたか?」
「今日、友達みんな委員会とかでお昼一緒に食べれないんだー。良かったら君と一緒に食べたい!!」
「ええ...ですけど...」
「お願いお願いお願い!!」
別に百鬼さんが苦手とかそういう訳では無い。むしろこの学校の生徒会長であり、男女問わず大人気な百鬼さんからお誘いを受けること自体とても嬉しいことだ。
「でも、周りの視線が...」
「うーん...じゃあ生徒会室開ける!それでどう?」
「それならいいですけど...」
「何か問題あるか?」
「いえ!何も...」
結局百鬼さんの押しを跳ね除けることはできず、一緒にご飯を食べることにした。代替案まで出してもらって断ることはできなかった。
「でねでね!ジルの頭とかおしりとかをチョンチョンって触ってたらね!怒って余の手を噛んできてさー」
「はい...」
「...ってさっきから君、元気ない?もしかして余と一緒にご飯食べるの嫌だった?!」
「いえ!そうではなくて...生徒会室でご飯を頂くの、恐縮だな〜って思って」
「なんだそんなことか〜!気にしないで余!今は余と君しかいないんだから」
さっきから百鬼さんの話が止まらない。今までの飼い猫の話から始まり、その前は友達と出かけたこと、家族とのエピソードなど色々話のストックがあった。話を聞くことは楽しいけど、なぜ百鬼さんが僕をお昼ご飯に誘ったのかが気になって、それどころではなかった。
「なんで百鬼さんは僕のことをお昼に誘ってくれたんですか?僕以外にも誘える人いましたよね?」
「だから〜友達は委員会とか部活の関係でみんないないんだって〜」
「でも...」
「それと、余が君とご飯を食べたかったの!いっぱい話したかったし、君といると楽しいんだ〜」
無自覚でそんなことを言ってるのなら、それは犯罪であろう。でもこの感じ、わざとではなさそうだ。
「そ、そうですか...僕も百鬼さんと話してると楽しいです」
「本当に!良かった余〜。余ばっかり喋って君を退屈させてるんじゃないか心配になっちゃって」
「そんなことないですよ。百鬼さんの話を聞いてるだけでなんか癒されますし...」
「癒されますし?」
「その...とにかく楽しいんです。僕あんまり人と話すタイプではないので。百鬼さん、生徒会長もやってて全校生徒に人気があって僕なんかが話せるわけないなって思ったんですけど、百鬼さんは優しいですね」
「そうかな〜?余は君と話したくて話してるんだ余。確かに今日は本当に友達は委員会とか部活でいないけど、他にも友達はいたんだ〜」
「やっぱりそうですよね。じゃあなんで僕なんかを?」
「それは秘密!!」
「秘密ですか.」
「じゃあ、今日の放課後、またここに来てくれたら話してあげる余!」
「放課後ですか...わかりました」
そうして僕達は、昼休みが終わりに近づいてきたのもあって1度解散し、教室へと戻って行った。
百鬼さんと放課後会う約束をしたことを思い出すだけで恥ずかしさが止まらない。今日だけで2度も2人きりになるなんて明日は豪雨が確定してしまう。それと同時に緊張が僕を襲い、とてもじゃないが授業に集中することなんてできやしなかった。
「...失礼します」
「お!来たね」
「作業されてたんですか?すみません邪魔をしてしまって」
「全然大丈夫だ余〜。来週ある生徒会の定例会議用の資料を作ってただけだから」
やはり生徒会長なだけあって、普段は友達や僕なんかをからかったりするくらいおちゃめだが、空き時間はしっかり生徒会に打ち込んでいるようだった。生徒会室に入った時に見たあの凛とした目が何よりの証拠だった。
「資料作り終わるまで待ってますよ。作業終わらせてしまった方が気が楽になるでしょう?僕は作業終わってなかったらうずうずしてしまう人なので一思いに終わらせちゃってください」
「悪いね〜。じゃあお言葉に甘えちゃおっかな?すぐ終わらせるね!」
そういうと百鬼さんは画面とにらめっこし、その数秒後には真面目な顔付きでカタカタキーボードを打ち始めた。
カタカタカタ
なんで百鬼さんは僕を誘ったんだろう?
カタカタカタ
なんで他の人もいたのに僕のことを?
カタカタカタ
もしかして僕のことをからかって他の人に晒しあg
「わ!!」
「うわああ!!!」
「どう?びっくりした?さっきから何回呼んでも返事しないんだもん。どうしたの、なにか考えごと?」
「いえ、ちょっとぼーっとしてただけです。資料作り終わったんですか?」
「うん!お陰様で終わった余〜。余いつも何かを作る時は締切ギリギリなんだけど、今回は久しぶりに余裕を持って終わらせれた余〜」
「それは良かったです。お疲れ様でした」
時計を見たら僕がここに来てだいたい30分が経った位だった。百鬼さんは手際よく資料を作ったのだろう。すると突然百鬼さんは僕の隣に座ってきた。
「でね、今日君を誘ったのは」
「.君と2人きりになりたかったからだ余」
「僕と?」
「君が真面目で誰よりも優しいってこと、余は知ってる。この前迷子の子どもの面倒見てたのを見かけちゃって、その時の君、不器用だけど子供相手に優しく接してて。いい人だなって思った余。慣れないことでも自分なりに最善を尽くして頑張るところ、余は大好き」
「百鬼さん...」
「それだけじゃない。余が話してる時もいつも笑顔でいてくれて。一方的に話してるだけなのにずっと楽しそうでいてくれて。でも今日はオドオドしてたかな?」
「それは言わないでください」
「そんな君を見てると、なんだか余も止まらなくなっちゃってね。今日のお昼休みずっと続いたらなって思った」
やり場のない手をどうにかしようとしたら百鬼さんの手と重なってしまった。慌ててどかそうとしたが百鬼さんがそうはさせまいと離してはくれなかった。
「だから今、君と2人でいれて嬉しい。ずっと続いたらいいのにな」
言うしかないのだろうか。僕の好意を今ここで百鬼さんに言うべきなのか。
「な、百鬼さん!」
が、その声は届くことはなかった。僕の肩に眠ってしまった百鬼さんの頭がよしかかってきた。資料を作った疲れもでたのだろう。もう片方の手で頭を撫でる。普段はこんなことできないが、何かが僕を積極的にさせる。
「お疲れ様です、百鬼さん。百鬼さんの一生懸命頑張る姿、いつも見てますよ。今はゆっくり休んでください」
起きた時に想いを伝えよう。そう思いながら僕は百鬼さんの横で瞼を瞑った。
次話、何期生で書けばいいでしょうか?
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