「クロヱ、入るぞ」
前々から渡されていた合鍵を使う。扉の向こうからはなんとも邪悪な雰囲気は漂っていた。
「...」
集合時間から1時間経っても来ず、LIMEも送っても来ない。彼氏なら心配するところだろうが、俺の場合はそうでは無い。むしろこれで何回目かわからない。
「クロヱ、起きろ」
「...ん」
案の定、来てみたらこんな様子だ。未だに夢の中である。布団からちょびっと見えている顔はまるで赤ん坊のようだ。体を揺すっても、何度名前を呼んでも起きる気配がない。こうなったら、
チュ
「う〜ん、そんなに沙花叉と遊びたいのか〜」
ようやく起き上がった。今日はいつもより粘っていた気がした。最初の方こそデートには遅刻しなかった。だけど日が経つに連れて遅刻癖がついてしまっていた。
「そうじゃなくて、もう2時間も経ってるぞ。しかも少し臭うな...。何日風呂に入ってない?」
「当ててみな〜」
「わかるわけないだろ...。4日目くらいか?」
「ぶっぶー。正解は5日目でした〜。間違ったから罰ゲームしてもう1回寝ちゃお〜」
「あ、おい!」
そうするとクロヱはまた布団に潜り込んでしまった。こうなってしまうとしばらくは起きない。この調子だと今日は外出は無理そうだ。今度は何をやっても起きない、強い意志を布団から感じる。
俺は自然に起きるまで部屋の掃除をすることにした。掃除が得意なやつの部屋を掃除するのは少々不可解なことではあるが。使われた後に放置された調理器具、洗われていない食器たちでシンクは山のようになっていた。
「料理はできんのにどうしてこうなんだよ...」
俺は片っ端から洗い始めた。いかんせん、量が多すぎるため乾かすスペースがないと思っていたが、案外スペースは広くその不安は杞憂であった。
「次は部屋かな」
投げ捨てられているポテチの袋、何日前に着たかわからない服、部屋だけ見ると女子とは思えないし掃除が得意を売りにしている人の部屋ではなかった。
ゴミを袋に入れ。服も洗濯機にぶち込んだ、もちろん下着も一緒に。意外と派手なの着てるんだよなぁ。掃除機をかけるのも忘れずに。
騒々しかったはずなのにクロヱは本格的に二度寝にはいっていた。時刻は既に13時をまわっている。今頃本当はネットで話題のカフェに行ってるはずだったんだけどなぁ。寝ているクロエを背に買い出しに出掛けた。
14時ちょっきり。クロヱは俄然すやすやであった。なんとなく悔しいから、本来食べるはずだったカルボナーラを作ることにした。
「おはよ〜」
「お、ようやく起きたか」
「もしかして寂しかった〜??笑笑」
「ほんとにお前は...」
もうこのやりとりにも慣れてきた。だが非常にムカつくことに変わりはない。でもこの小悪魔的可愛さに俺が惹かれたのは事実だ。ムカつくが最終的に毎回許してしまう。
「もう昼飯できるから座って待ってろ」
「もう座ってるよ〜」
いつの間にかフォークを持ち出していて食べる準備は万全みたいだ、どうしてこういうところだけ素早いんだか。
「ほら、一緒に食べよう」
「いただきまーす。うん!おいしい!わざわざ外食しなくてもこんだけ美味しかったら行かなくてもいいね」
「こっちの労力も考えてくれ」
「またまた〜笑そんなこと言って照れてたりして?笑」
「そんなわけないだろ、次寝坊したらもう知らないからな」
「それ前も言ってましたよ〜?ほんとに沙花叉のこと好きなんだから〜」
「うるさいなー!もう」
毎回くクロヱのペースに持ってからてしまう。でも何故か嫌な気はしない。もしかして俺はM属性があるのかもしれない。
「実はショートケーキも買ってきたんだ。今日行く予定だったとこの。テイクアウトできるみたいだったから」
「うわ!美味しそう!いただきまーす」
「どうだ?美味しいか?」
「うん〜。沙花叉このショートケーキ好きー」
「良かったな。美味しかったなら何よりだ」
その分俺の財布がぶっ飛んだのは内緒だ。というか元より今日はその予定だった。
「君のチョコケーキも美味しそうだね。もらっちゃお〜。うん!美味しい〜」
「最近食べたやつの中でも美味しい方だな。買ってよかった」
いつもなら食べられたことにツッコムのだが今日はひと味違う。その隙をついて俺もショートケーキをこっそり食べることに成功したからだ。これでおあいこってことだ。
「で、沙花叉のショートケーキは美味しかった?」
「...!!あ、ああ。美味しかったぞ」
「あはは!君もしかしてバレてないと思った〜?沙花叉からは見えちゃってました〜」
「うるさい!いい加減に風呂に入れ!!」
また1本取られてしまった。どうしてこうも相手のペースになってしまうのだろうか。アホなのか俺は。
ケーキを食べ終えた後は2人でゲームをして過ごした。もちろん俺はここでもボコボコにされた。毎回負けると「あれれ〜?笑」とか「ぷぷっ笑」とかと言われ煽られてしまう。最初はムカついていたが今はもう慣れてきてしまった。だが俺は負けず嫌いだ。空き時間はゲームの練習に費やしているのだがゲームは性にあわないようだ。
お開きムードになったため、帰る支度をしていた。
「あのさ、今日は寝坊しちゃってごめんね。次のデートはちゃんと起きるようにするから」
珍しく謝ってくれた。実は次はちゃんと起きると言ったデートの日は遅刻せずに来てくれるのだ。毎回やってくれたらありがたいんだけどな。でも今回こそは強めに言わなきゃだめだと思った。
「そうなってくれたらありがたいんだけどな。次は起こしに行かないし連絡もしないから」
「それは困るかも..」
ちょっと強く言ってしまったかもしれない。しゅんとしてしまった。
「...まあ何より無事でよかったよ。何かあったとかじゃなくてただの寝坊で」
「良かったならまた寝坊しちゃお〜笑」
「お前はほんとに...!」
「ぽえぽえぽえ〜?」
俺は今日も、沙花叉クロヱを憎めない。
次話、何期生で書けばいいでしょうか?
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