❇︎コルネリウスです
❇︎フェルマイ星結び後です
❇︎アンゲリカ&エク兄星結び後
❇︎コルネリウスの苦労を書きたくて書いたので、地雷になっちゃう方はご遠慮ください
❇︎必然的にハルトムート登場
❇︎アレキサンドリアです
❇︎アンゲリカは騎士団長になってます
❇︎の注意書きが許せる人のみ観覧○
城の中を歩いていると、ハルトムートに出会った。
「ハルトムート! 久しぶりに会った気がするな」
「ああ。ローゼマイン様に頼まれて、ある伯爵のことを調べていたから、城を離れていたのだ」
「そうだったのか…。ん? いつもとなんだか雰囲気が違う気がするのだが…」
「ユストクス様が変装させてくれたから、それが残っているのかもしれない
な。先程、ヴァッシェンしたのだが…」
ハルトムートはちょいちょい、と髪をいじり始めた。と思っていると、すぐやめて私に顔をずいっと近づけてくる。
「そういえば…!! 聞いてくれ!!」
ハルトムートは拳を握り、天井を仰いだ。その目は熱を含んでいる。
「久しぶりにローゼマイン様とお会いして、改めて神々の寵愛を受けていると感じてな! それで……」
いつもと違うと思った私が間違っていたみたいだ。
「やはりお前はいつも通りだ」
ハルトムートのローゼマイン話は長くなるので、そろそろ退散しようとしたら、ハルトムートが急に動きを止めた。
「なあコルネリウス、前々から聞こうと思っていたのだが…」
いつになく真面目な顔に、喉が鳴った。
ハルトムートは元々優秀な文官だ。何か重要なことを言うのではないか、と身構えてしまう。
ハルトムートが口を開いた。
「其方はなぜ、ローゼマイン様を崇めないのだ?」
至極どうでもいい質問だった。
「…崇めるわけがないだろう? ローゼマイン様はそういう存在じゃない」
「おかしいな…。其方の兄とは話せたのだが…」
「ん? 私の兄…? エックハルト兄上のことか。…ちょっと待て。一体何について話した!?」
「互いの主の話だ」
…嫌な予感しかしない。主の話? あのふたりが?
私がそんなことを考えている間も、ハルトムートは話し続ける。
「………そういう話の流れで、主至上主義者の会を画策したのだが…」
嫌な予感は的中した。
「んんっ!? 其方、今なんと言った? どういう話の流れで、そんなことになる??!」
「聞こえていなかったのか? 医者にかかった方がいいのではないか?」
「医者にかかった方がいいのはお前だ、ハルトムート」
…待て待て。思考が追いつかない。は?フェルディナンド様至上主義者の兄上とローゼマイン至上主義者のハルトムートが主至上主義者の会を立ち上げる? つまり、同類同士が手を組んだということか!?
「だが、主の目を掻い潜るのは難しいので、保留になったんだよ。非常に残念だ」
「そんな計画潰してしまえ」
「ひどいな、コルネリウス。其方の幼馴染の私と、其方の兄である、エックハルト様が考えたことなのだぞ? 応援してくれても良いのではないか?」
…応援したくない。面倒なことになると分かっているのに、誰がそんなことをするのか。兎に角私は、こういう変人たちからローゼマインを護らなければならない。
「……ハルトムート、私は今急いでいるので失礼する」
「急いでいるようには見えないが?」
「其方が私を足止めしたからだろう?」
少々笑顔で睨み合っていると、背後から声がした。いつも聞いていて、尚且つ可愛らしい声が。それは________
「ふたりとも、一体何をしているのですか?」
「ローゼマイン様……!」
私はハルトムートをチラリと見ると、すぐに目を逸らす。頬が蒸気して、なんとも気持ち悪いハルトムートが出来上がっていたのだ。
それを見ているローゼマインも、「うわぁ」と呟いてしまっている。
私はローゼマインの側に行って、小さな声で話しかけた。
「ローゼマイン様、早くここから離れてください。ハルトムートは私が責任を持って足止めします」
「分かりました。…コルネリウス、任せましたよ」
ローゼマインが側近を連れて去っていった。ハルトムートはローゼマインの姿が見えている間は気持ち悪さが健在だったが、見えなくなると私を睨んできた。
「コルネリウス…。先程ローゼマイン様と話をしていたよな? ……ずるいぞ」
「私がローゼマイン様と話をしようが、其方には関係ないだろう? それよりも、そろそろ帰ったらどうだ? 久しぶりにクラリッサに会いに行くといい」
「クラリッサに……か?」
「ああ。其方の妻なのだから、ローゼマイン様の話も充分に出来るだろう?」
「それはいい考えだな! コルネリウス、私は失礼するよ」
「クラリッサに宜しくな」
ハルトムートの相手をクラリッサに押し付けて、ローゼマインの部屋に向かった。そろそろ護衛騎士交代の時間だ。
部屋のドアを押し開けると_________
「嫌です! ちょっと! フェルディナンド様!!」
「“フェルディナンド様”ではなく、“フェルディナンド”です。アウブ」
ローゼマインをフェルディナンド様が抱えていた。
「ローゼマイン様!? アンゲリカ、何をしている!! なぜローゼマイン様を助けない?」
アンゲリカはハッとして、ローゼマインに駆け寄ろうとした。が__________
「アンゲリカ、先程私が言ったことを、もう忘れたのか?」
エックハルト兄上が、アンゲリカの腰を掴んで持ち上げた。
「ローゼマ…っな! 隠し部屋!?」
…ローゼマインが隠し部屋に連れて行かれた!! フェルディナンド様、うちの妹に何をする気だ!?
「エックハルト兄上!! なぜアンゲリカを止めるのです!?」
「主の邪魔はさせない」
…次は、「主が良ければそれでいい」とか言うのだろう? このフェルディナンド様至上主義者め!!
「エックハルト様…。その、おろしてくださいませ」
アンゲリカは顔が真っ赤に染まっている。
…アンゲリカもあんな顔をするのか。というか、兄上はこういう時、シュタープの光の束でぐるぐる巻きにして放置するのに、アンゲリカのときは違うのだな…って、そんなことよりローゼマインだ!
「エックハルト兄上、フェルディナンド様は一体何を…?」
「さあな。主が良ければそれでいい」
…ほら言った!! 兄上! 主の動向くらいは把握しておいてください!!!
私の心の声もつゆ知らず、周りの時間は刻々と過ぎていく。
「アンゲリカ、しばらくこのままでも構わないか?」
「え………………?」
…兄上えええええええええええええええ!!!!!????
アンゲリカに攻めすぎです!!!
「あああああああ兄上???? その…。いくら星を結んでいるとはいえ、今は勤務中ですよ!!!」
「それならフェルディナンド様に許可をもらった。私たちは帰る」
エックハルト兄上は、アンゲリカを担いで行ってしまった。
…はあああ。兄上とアンゲリカのあんな姿、見せられる身にもなってみろ!!!
ん? ローゼマインは? ローゼマインが帰ってこない!!!!
「ユストクス、ローゼマイン様はまだか?」
私が焦っているのを見透かしたように、ユストクスはくすくすと笑った。
「まだだと思いますよ。フェルディナンド様に捕まってしまいましたから」
「エーヴィリーベがゲドゥルリーヒを占領しているのか……。全く、フェルディナンド様は」
その日、夕食になるまでローゼマインとフェルディナンド様は帰ってこなかった。
そして________________
「やあ、コルネリウス」
厄介者が帰ってきてしまった。
「ハルトムート…。帰ったのではなかったのか?」
「クラリッサととことん話したよ」
私は怪訝そうな顔をしてしまっていると思う。でも、仕方がないではないか。
「そのまま語っていれば良かったものを…」
「ん? 何か言ったか?」
「いや、何も?」
また昼間のように笑顔で睨み合った。
「ハルトムート!!」
「クラリッサ…? どうかしたのか?」
「わたくし、見てしまったのです…」
クラリッサは頬を赤くして、目の前で手を組んだ。
「何を見たのだ?」
ハルトムートがこてりと首を傾げる。
「わたくし、わたくし…。ローゼマイン様の神々しいお姿を見てしまったのです! もう…!! 言葉に表せません!」
「わかる…。わかるよ、クラリッサ! ローゼマイン様のことを言葉に表すというのは、グラマドゥーアも悩ませる程!」
…私にはわからない。普通はわかるはずもない。わかりたくもない。
「ハルトムート! わたくし、もうどうしたら…。一体、どうしたら良いのでしょう!?」
「クラリッサ、ふたりでローゼマイン様を崇めればいいのですよ」
「そうですね!!」
…何に悩んでいるのかも、なぜ崇めるという選択肢にいくのかも、なぜ納得するのかもわからない。
「…………私はもう行くよ。ふたりの邪魔をしてはいけないからね」
私の言葉に、ふたりは反応しなかった。ふたりとも同じ瞳で、ローゼマインのことを語っている。身振り手振りをしながら。
…忠誠心は本物だが、もうあんなやつらの相手なんてしたてご免だ!!!
今日の仕事が終わり、私は家に帰った。
「レオノーレはいるか? …ああ、今日はローゼマインの護衛だったな。なら帰らないか」
寝台の上で一人、横になる。
…疲れた。こんな毎日もう嫌だ。そういえば、明日はアンゲリカの様子を見に行かなくてはいけなかったな。はぁ。
一日でも楽になれる日を私にくれないか!?
コルネリウスの大変な一日目、終了。