フェアドレーオスになりたい   作:透百合

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第2話

 

❇︎コルネリウスです

❇︎フェルマイ星結び後です

❇︎アンゲリカ&エク兄星結び後

❇︎コルネリウスの苦労を書きたくて書いたので、地雷になっちゃう方はご遠慮ください

❇︎必然的にハルトムート登場

❇︎アレキサンドリアです

❇︎アンゲリカは騎士団長になってます

❇︎の注意書きが許せる人のみ観覧○

 

日の光に照らされて、私は起きた。

今日はローゼマイン様の護衛任務はない。代わりにアンゲリカのところ、つまりは騎士団に行かなくてはならない。

なぜかというと_______________

 

「団長! よくわかりません!!」

「アンゲリカ様!! もう少し説明を…。せめて、シュティンルーク様をお使い下さい!!!」

 

アンゲリカはこてり、と可愛らしく首を傾げるだけだ。

 

しかし、騙されてはならない。

アンゲリカは何も考えていない。

 

…さては思考を放棄したな?

 

「アンゲリカ」

「コルネリウス!」

 

バッ、とアンゲリカは私を見た。

 

…おいアンゲリカ! 「任せました」とその瞳が雄弁に語っているぞ!?

 

この輝いている瞳に大半の人は騙されるが、アンゲリカの成績を上げ隊の者なら、今頃ため息をついているだろう。

 

「どういう状況なのか、教えてくれ」

「騎士団の役割がこの者たちは分かっていないのです」

「私たちは役割を果たしているつもりですが?」

「アンゲリカ様! 一体どういうことでしょうか?」

「アンゲリカ、説明が足りない。騎士団の役割といっても、色々あるだろう?」

「騎士団は領主一族を護るのが仕事です。それを分かっていないのです」

「……もっと領主一族に忠誠心を持て、ということか?」

「そういうことです!」

「私たちはきちんと忠誠心を持ってます!」

「どこがそのような風に見えるんですか!?」

「なんとなく分かった。”領主一族を護る力がない、自覚がない、分かったつもりでいるだけ“ そういうことか? しかし、なぜそう思った?」

「“領地順位が高いこともあって、優秀ではあるのですが、いついかなる敵にも立ち向かわなければならない為、わたくしはボニファティウス様から教わった訓練をさせているのです。しかし騎士たちは全然出来ていなくて…。それくらい出来なければ、領主一族を護るなんて不可能だとは思いませんか?”…と、わたくしの言葉を解読したシュティンルークが言っていました」

「……確かにその通りだな。ここの騎士たちは、前回の領地対抗戦で、“ダンケルフェルガーに勝てなくても当然だ” と、言っていたらしいしな。自覚が足りない」

「そうなんです! それで、ハルトムートに相談したのですけれど…」

「……ん? 待て! ハルトムートに、だと? あのローゼマイン至上主義者に!?」

「はい」

 

…猛烈に嫌な予感がする。とんでもないことを言ったんじゃないか? というか、相談する相手を間違えている。

 

「……ハルトムートはなんと?」

「“クラリッサに相手をしてもらって、負けた者は処刑…と、言いたいところだが、給料の減給で手を打とう。そして、反省文を書かせる。何がいけなかったのか、どうしなければならなかったのか等を書いて、私に渡す。無論、私が書き直しを命じる場合もある”…だそうです」

「は!?!? 減給と反省文!? 書き直しを命じるって、絶対全員に命じるだろそれ!! げ、減給だなんて、ローゼマイン様が許さないぞ!!」

「それが、ローゼマイン様がわたくしを騎士団長に任命した時……」

 

 ーーアンゲリカの騎士団長任命ーー

 

「アンゲリカ、あなたには騎士団長になってもらいます」

「無茶です、ローゼマイン様!! アンゲリカに騎士団長が務まるとでも!?」

「黙りなさいコルネリウス。わたくしが話しているのよ?」

「……申し訳ございません」

「コルネリウスの心配も分かります。けどね、アンゲリカがこの頃どうしているのか、知っていますか?」

「…………いえ」

「何も考えずにただ命じたことしかしないのです!!! …アンゲリカには、きちんと頭で考えることをしてもらわなくては」

「………仰る通りです」

「理解していただけて何よりです。アンゲリカ、あなたに騎士団のことを一任します」

「かしこまりました。頑張ります」

 

  ーーーーーーーーーーーーーー

 

「……と、いうことで、わたくしには騎士団員の減給が出来るらしいです。一任されましたから」

 

…気持ち悪い。ローゼマインの一言一言を憶えているハルトムートが気持ち悪い。そしてなぜアンゲリカは自慢げに“一任された”とか言っているんだ!? もう私の手に追えないものたちばかり!!

 

「…………そうか」

 

 

 こうして、騎士団の地獄の訓練が始まった。殆どの者が反省文を書くこととなり、ハルトムートに書き直しを命じられている。

 

「なあハルトムート。そんなことをしていて、ローゼマイン様に気付かれていないのか?」

「ああ。例えローゼマイン様に気付かれたとしても問題はないが、今はそれどころではないからな」

「………どういう意味だ?」

「おっと。私としたことが口を滑らせてしまったようだ。では、失礼する」

 

私の知らない間に何か事が起きている気がする。

 

…気が進まないが、あの人に聞くしかないか。

 

「ローゼマインの様子、だと?」

「はい。フェルディナンド様なら何かご存知ではないかと」

「最近可笑しな事が起きたのだが、やはりローゼマインが関与していたか…」

「やはり? 何かあるんですか?」

「昨日聞いても答えてくれなかった」

「昨日? ……もしかして隠し部屋に行ったのは」

「ああ。問い詰めようと思ってな」

 

…良かった。エーヴィリーベが到来した訳ではなかったのだな。

 

「可笑しな事とはなんですか?」

「………私に第二夫人やら愛妾やらを勧めてくる輩がいるのは知っているな?」

「はい、ですが全て断っていらっしゃるのですよね?」

「ああ、ローゼマイン以外を愛す気はないからな」

「……そうですか。で、その者たちがどうかしたんですか?」

「最近、よくその事を勧めていた者が急に城に来なくなってな。これ以上言うなら、出入り禁止にしようと思っていたのだが…。その前にいなくなってしまった」

「それがローゼマインに関係があるのですか?」

「妙な動きをしていたのだ。だが、ユストクスも何も知らないと言っている。細やかな情報操作など、簡単に素人が出来るはずがなかろう」

「………フェルディナンド様は、ハルトムートを怪しんでいるのですか?」

「その通りだ。しかし、ハルトムートはローゼマインの命令が無い限り動かない。だからローゼマインを疑っていたのだ。……最愛の妻を疑いたくはないが」

 

…ん? 確かハルトムートは昨日、 ”ローゼマイン様に頼まれて、ある伯爵のことを調べていた“ と言っていたな。もしかしたら、その伯爵は____

 

「私の推測ではあるのですが、実は……………」

 

 

「そのようなことがあったのか」

「そうなると、ユストクス様も関与していた事になります」

「面白がって黙っていた可能性はあるな」

 

腕を組み、こめかみをトントンと叩き始める。

 

「ハルトムートに探りを入れても無駄でしょうし…。どうしましょう?」

「ユストクスが駄目なら、アレしかいないな」

「まさか…。エックハルト兄上ですか!? それはちょっと…」

「仕方がないだろう」

 

フェルディナンド様はフッと肩の力を緩めた。

 

「じゃ、じゃあ! ラザファム様はどうでしょうか!?」

「其方…。そこまでして自分の兄が嫌なのか?」

「嫌、というよりも、事が大きくなるとしか思えません。 ”その伯爵…。フェルディナンド様の意にそぐわない事をするなんて、早く神の元へ行きたいのか?“ とか、 ”ローゼマインがフェルディナンド様の意見を訊かずに勝手に行動した、だと? 少々説教が必要なようだ“ とか、言い兼ねませんよ?!」

「まあ、そう言うだろうな」

「だから兄上を巻き込むのは…」

「私がどうかしたか?」

 

     私は息を呑んだ。

 

領主の護衛騎士が気付かない程の足運び。こんなにも上手く気配を消さなければならない程、危険が迫っていた者。そして何より、気配を感じ取った後に感じる圧。そんな者、この領地には______

 

「…………え? あ、あに、あ、兄上…?ど、どうしてこちらに?」

「自分の主の元にいては駄目なのか?」

「い、いえ…」

「エックハルト、今は出ていてくれないか? コルネリウスとふたりで話しているのだ」

「コルネリウスと、ふたりきりで……ですか。…分かりました。失礼します」

 

兄上は私に怪訝そうな顔を現し、誰にも聞こえないような声の大きさで呟いた。

 

「後で私のところに来い」

 

私が返事をする間も無く、エックハルト兄上は去っていった。

 

「コルネリウス」

 

私が目を向けると、フェルディナンド様は急に立ち上がった。

 

「少し協力してもらうぞ」

「………え?」

 

コルネリウスの大変な二日目、終了。

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