フェアドレーオスになりたい   作:透百合

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第3話

 

❇︎コルネリウスです

❇︎フェルマイ星結び後です

❇︎アンゲリカ&エク兄星結び後

❇︎コルネリウスの苦労を書きたくて書いたので、地雷になっちゃう方はご遠慮ください

❇︎必然的にハルトムート登場

❇︎アレキサンドリアです

❇︎アンゲリカは騎士団長になってます

❇︎フリーダがアレキサンドリアにいます

❇︎の注意書きが許せる人のみ観覧○

 

「少し協力してもらうぞ」

「………え?」

 

    “有無は言わせない“

 

底冷えする声が、私を逃してはくれなかった。

 

「……で、私は何をすれば?」

「私の手となり、足となってもらう」

 

       ゾワッ

 

…なんだ? 誰かに殺気を向けられている気がする。

 

振り返ると、ドアから殺気を感じた。

 

…まさか、あそこにエックハルト兄上がいたりしないよな? 気のせいだよな? うん、きっとそうだ。

 

私はもう振り返らないようにしようと思った。

 

「フェルディナンド様には何か策があるのですか?」

 

フッとフェルディナンド様は鼻で笑う。

 

「まあな。期待していろ」

 

…うん、嫌な予感。魔王到来だな。

 

 その後、散々こき使われたが、半日で全ての情報が集まってしまった。

そしてなぜかローゼマインがこれから今回の出来事に関しての証拠隠滅を自室で行うと発覚。私たちはすぐさまローゼマインの部屋へと向かった。

 

「フェルディナンド様!?」

「ローゼマイン」

「ど、どうしてこちらに?」

 

ローゼマインが明らかに狼狽している。

 

「其方、ラーゼラント伯爵をハルトムートを使って脅したな?」

 

ローゼマインはスゥッと空気を変えた。

 

「脅したなんて人聞きの悪い…。わたくしは病原菌を排除したまでです。何も悪いことはしていませんよ」

「証拠はもう揃っている。言い逃れは不要だ。…私から逃れられると思うな」

「…怒ってますか?」

 

先程の気配から一気に変わって、泣きそうな瞳を現した。

 

「勿論だ。私の意見も聞かずに…。全く、其方は」

 

フェルディナンド様は柔らかい顔になっていく。

 

「フェルディナンド様…。ごめんなさいっ! わたくし、わたくし、フェルディナンド様がわたくしから離れていってしまうのが嫌で、それで…」

「私には、ローゼマイン以外の者を愛することが出来ない…というかしない。ローゼマインだけだ」

「フェルディナンド、様……」

 

…何だろう。丸く治ったはずなのに、妹と義弟の惚気を見せつけられている気がする。

 

    パチパチパチパチ

 

バッと後ろを振り向くと、ハルトムートが拍手をしていた。

 

「素晴らしい。作戦はうまくいったな」

「ハルトムート、どういうつもりだ?」

「まあまあそう怒るな、コルネリウス」

「私たちを嵌めたのか?」

 

ハルトムートはニコリと笑うだけ。

 

思えば、ハルトムートは口を滑らせることなんてするだろうか。

あれほどローゼマインに心酔しているというのに、主の情報を、”うっかり“?

 

…あり得ない。私の知るハルトムートは、そんな失態はしない。

 

わざとだと考える方が自然だ。

 

…まさか、こんなにも簡単に情報が集まったのは……。

 

私は、私たちは、見事にハルトムートの策に嵌まったのであった。

 

 

 

 

 

…ふぅ。これで一安心。やっと休めるな。ん? 何か大事なことを忘れているような気がする…。

 

「気のせいか」

 

私はローゼマインの部屋を後に、歩き出した。

 

「コルネリウスー!」

 

私が振り返ると、淡い水色の髪を揺らし、ぶんぶんとこちらに手を振る___アンゲリカが私に向かって走っていた。

 

「どうした?」

「エックハルト様がお呼びです」

 

…しまったああああああああ!!!!

そのことをすっかり忘れていた! なんてことだ! 殺される!!

 

「……あ、ああ…。すぐ行くと伝えておいてくれ」

「その必要はない」

 

背後には、エックハルト兄上がいた。

 

…は、挟まれた、だと!?

 

「ええ、え、エックハルト兄上…。今向かおうとしていたところです」

「言い訳はよせ。私の部屋と進路が真逆だぞ?」

 

…ずっと監視していたのか…。

 

「申し訳ございません、兄上…」

「己の罪から逃れようと嘘をつくなど、言語道断。さあ、私の部屋へ行こうか」

 

フェルディナンド様のような綺麗な笑みで微笑まれた。

 

…だ、誰か、誰か助けてくれえええ!!

 

アンゲリカに目で助けを求めたが、ただこてりと可愛らしく首を傾げるだけ。

 

するとそこに、美しい夜空が広がった。

 

「あ、コルネリウス! ちょうど良いところに」

「「「ローゼマイン様!」」」

「今感謝を伝えようと探していたところだったんですよ」

 

ローゼマインは優しく微笑む。

 

「ここ三日間の話を聞きましたよ。わたくしやフェルディナンド様のために尽力してくれた、と。フェルディナンド様も感謝していました」

「フェルディナンド様が!?」

 

エックハルト兄上が目を見開いた。

 

…自分の頑張りが認められた。

 

胸の奥がじーんときて、心が温まる。

 

「アンゲリカ、貴女もコルネリウスにお世話になったのでしょう? お礼は言いましたか?」

「コルネリウス、ありがとうございました」

 

ほとんど棒読み。

 

「エックハルトも。フェルディナンド様が“コルネリウスのお陰で助かった”と言っておりましたのよ? 先程怖い顔をしていましたが、今コルネリウスに言う必要がある言葉は、叱責ではないでしょう?」

「よくやった、コルネリウス。其方は自慢の弟だ」

 

満面の笑み。

 

…切り替え早っ!

 

「コルネリウス、貴方には休暇を与えます。…コルネリウス兄様、ありがとう」

 

…頑張って、良かったあぁぁぁ。

 

 

 休暇をもらったので、妻のレオノーレと一緒に、フリーダという、ローゼマインの知り合いが経営するイタリアンレストランに来た。

 

「最近大変だったみたいね。お疲れ様」

「レオノーレだって疲れただろう? この三日間、ローゼマインの護衛をしていたのだから。…お疲れ様」

「ふふっ。…コルネリウスに比べれば、まだまだよ。ローゼマイン様を確実にお守りできるよう、もっと努力しないと…」

 

レオノーレはふと、何を思ったのか、私をじっと見た。

 

「コルネリウスには、“なりたいもの”、みたいなのはありますか?」

 

蘇るこの三日間の記憶。

大変で、騒がしくて、本当に疲れた日々で、神にどうにかしてくれと祈ったほどだった。…でも、楽しかった……いや、そんなはずはない。

 

 

「そうだな、私は……」

 

 

___フェアドレーオスになりたい。

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